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思わぬ僕の返しに、カマキリが怯んだ。その隙をつき、なまえはカマキリの腕に思い切り噛み付き、転がるようにして必死に逃げて来た。抱き止め、後ろに庇うようにして前に立つとなまえが僕の服をぎゅっと掴んだ。「なまえ、怖かったろ? もう大丈夫だ。僕が守ってやるから」 それに『ん』と頷いて『えぐっえぐ』と泣き出した。 なまえが泣いたのを見て僕は、怒りでいっぱいになるのを感じた。(許せない! なまえは滅多矢鱈に、泣いたりしない。それなのに……。よっぽど怖い目にあったに違いない。カマキリめ!)「近衛ーっ! 近衛は、おらぬかっ!」 僕が、怒りを込めて強く張り上げた声と、なまえの泣き声を聞きつけて、近衛と執事やメイド達が即座に駆け込んで来る。「す、昴さま。こ、これはいかがなさいましたか?」 執事長が青くなりながら聞いて来る。カマキリを指差すと、命令した。「近衛っ! この者を即刻捕らえよ。この者はなまえ王子に危害を加えていた。僕がこの目でしかと見た。大地さまが戻られるまで、逃げぬよう見張っておれ!」 カマキリはどこぞでなまえが[真山国王家の掟]の為、ばあやと限られた者にしか顔や手足などの一部しか、肌を見せられぬ事を耳にしていた。それでバレぬと思い、なまえの服に隠れる部分をつねるなどして、暴力を繰り返していたようだ。大地さまが戻られ確認して見た所、手や足などにアザが幾つも出来ていたらしい。 これには普段お優しい大地さまも、大変にお怒りになられた。黙秘するカマキリに大地さま自ら、直々に問いただされた。 カマキリも、大地さまの鬼気迫る追及に終には観念し罪を認め[他の国の幼い王家の子供達にも同じ事を繰り返して来た。どの子も無口で大人しく、バレた事がなかった。自分が王家のガキを震え上がらせていると思うと、胸がスッとした]と白状したらしい。 カマキリが、どういう罰を受けたかは、子供の僕等は知らない。だが、ハッキリ言ってカマキリなんてどうでも良い。些末な事に、気を取られる余裕は無かった。 僕は傷付いただろう、なまえの事がひたすら心配だった。 なまえは部屋に閉じこもりがちになり、大人と二人になるのを怖がるようになったんだ。あまり喋りたがらず無口になった。 そしてその内、真山城にいる時はいつも“ちゅう、ちゅう”と指をしゃぶるようになったらしい。 心配した大地さまが、なまえの主治医のじいちゃん先生に相談した所『なまえ王子は愛情不足かも知れませんな。寂しいとちゅうちゅうやるんじゃないかと思います。今度、注意してみててごらんなさい。もしそうなら[愛情が足りないよ]のサインじゃよ』と言われたらしい。
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