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そしてなまえが四つになった数ヶ月後、困った事が起きた。 使用人の中では一番なまえがなついてるお付きのばあやが、流行り風邪にやられ体調を崩し暫く休む事になった。 急遽、ばあやの代わりになまえ専属の使用人を、雇う事になった。 新しく来た使用人は、なんだか見るからにギスギスした怖そうなおばさんだった。僕はイヤな感じを受けた。あきらかに悪い意味で異色だったからだ。その人と会った時、僕らの城の他の使用人には、いないタイプの人だと直感的に思ったんだ。(カマキリみたい……なんでこんな怖そうな人を、雇ったんだろう) そう思い僕はじいやに聞いてみた。「何でも、各地でもう何人も王室のお子様の面倒をみて来られた有名な方らしいのです。それをお聞きになり、それならばと大地さまがお雇いになられたと聞きました」「有名とか何とか僕には分からないけど。とにかく僕は好きになれないな。なまえが心配だ」 僕の心配は当たった。カマキリは子供や下の者には、偉そうに横柄だった。大地さまや、うちの両親、執事長などの前では、ニコニコと良い人そうにしてた。「やなかんじ。な? なまえ」 父上や母上も寛ぐその側で、遊ぶなまえを目の前に見ながらカマキリを思い出し言うと、なまえが僕を見上げて『しゅー?』と聞き返す。 なまえは舌足らずなのか、上手く言えない言葉があった。[さしすせそ]が特に苦手で、僕の名も本人は[すー]と呼んでるつもりだけど[つゅー]になったり[しゅー]になったりする。「あら、あなたの名が[しゅー]に聞こえるわね」「うん。僕が何度教えてあげても、直らないんだよ」「そう……。でも、小さい内はみんなそんなものよ。もう少し大きくなるまで、広い心で許してあげなさい。ね? それに、なんだか可愛いわ。こんなの聞けるの、今の内だけよ。うふふ……」「フッ、そうだな。母上の言う通り、可愛らしいな。それに昴、君だって小さい頃は[お父さん]が[おとうたん]だの[おとうしゃん]になっていたぞ」「えー? 本当ですか?」 びっくりして聞くと、父さんは笑いながら少し懐かしそうな顔で『本当だよ。みんな、そんなものなんだ』と言った。 それを聞き僕は、そういうものなんだなと納得した。 なまえがちょっと位うまく喋れなくても、僕を[つゅー]とか[しゅー]と呼んでも、気にしない事にしたんだ。どんな呼び方でも、なまえが笑っていられれば良いやと思ったから。
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