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「それ、誰かに言われたの?」「……うん。よく、言われる」 目を伏せるなまえを見たら、よく分からないけど苦しくなった。 僕は浴槽を出て、なまえにシャワーを掛けて泡を流すと、手を引いて湯船に連れて来た。「もう綺麗だよ。それにオレ、気持ち悪くなんかない。ほら、一緒に入ろう」 風呂に入るとなまえは漸く『気持ち良いね』と微笑んだ。「うん、気持ち良いな。熱くないか?」「熱くない。極楽ー♪」「極楽って。あはは……お前、おっちゃんみたい」「裕子ちゃん、ほら診療所のお姉ちゃん、あそこん家で、お風呂入れてもらうの。お姉ちゃんと入ったり、おじちゃんと入ったり。で、おじちゃんと入るとさ『あー極楽、極楽』って言うよ」「おじさんと入るの?」「うん。後、結菜姉ちゃん家や海司兄ちゃん家でも入れてもらう」「海司ってやつとも入るの?」「うん? 海司兄ちゃん家はお姉ちゃんが三人いるから、だいたいお姉ちゃんと入るけど、前に一緒に入った事あるよ」「…………」(なんかモヤモヤする。なんだこれ……)「僕、自分ん家で入れてもらえないからさ、みんな『家で入ってけ』って言ってくれる。毎日じゃ悪いから、夏は公園の水道でも洗うけどね」「え? 水で?」「うん、冬みたいにお水でも冷たくないから」「まさか、冬も水で!?」「うん、前やってみた。凍りそうになって大騒ぎになってさ。裕子姉ちゃんのおじちゃんに『死んじゃうぞ』って怒られた。それからみんな交代でお風呂貸してくれる」 僕は、その話にかなり驚いた。なまえの話は僕の想像を越える事が多く、度々びっくりさせられる。(本当になまえが、死ななくて良かった。でもこいつ、放って置くと危ないな) そう思い、僕は決めた。これからは、僕が守ってやろうって。お父さんがいつも『昴は男だから強くならないとな。男は強くなって、女の子や弱い者を守って優しくしてやらないとダメだぞ』って言ってた。僕は男だから、女の子は守らなきゃいけない。「なまえ、これからはうちで風呂に入れ。毎日でも良いから。どうせ、うちはオレしか入らないんだ。遠慮はいらない。オレが、毎日迎えに行ってやるよ。そうしろ。な?」「でも、昴お兄ちゃんお教室とか忙しいんじゃないの? それに迷惑じゃない?」「習い事はぁ……何か、考える。それに迷惑じゃないぞ! オレのが、お前より年上だし、オレは男だからな。これからは、オレがお前を守ってやるよ」 なまえは目を丸くして、オレをじっと見た。「嘘じゃないぞ。約束だ」「うん、昴お兄ちゃんありがとう」 そういうなまえと指切りをした。
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