その出会いが、春も終わる頃だった。その出会いのおかげで、僕のつまらなくて寂しい日々が一変した。僕はなまえといる時間が、すっかり気に入った。習い事の教室が終わると、公園に行って一緒に遊ぶのが日課になった。そして夏休みになると、毎日、朝から公園になまえを迎えに行って、僕の家で一緒に夏休みの課題をやり、本を読み、話をして過ごした。
なまえはなかなか賢くて、礼儀正しく、優しい子だった。それに笑顔が可愛い。なまえを気に入ったのは僕だけじゃなかった。接する内に、運転手さんやトメや他の使用人にも、気に入られて仲良くなった。
なまえは、率先してお手伝いもした。僕も一緒にやる事にして、二人でトメの手伝いや、運転手さんが車を洗うのを手伝ったりした。
「うわぁ! あーぁ、昴お兄ちゃんってば、いきなり水掛けるんだもん。びしょびしょぉー」
「あはは……なまえ、油断したろー」
「もーえいっ!」
夏の日差しの下、車を洗うのもそっち退けで僕達は水掛けっこに夢中になった。屋敷まで届く位の笑い声を響かせて遊んでいたら、二人共ずぶ濡れになった。様子を見に来たトメに『まぁー』と呆れられた。
「昴坊っちゃんもなまえちゃんも、お風呂の支度しましたから入って下さい。夏とはいってもそんなにびしょびしょでは……お風邪を引かれたら大変です」
なまえの手を引いて風呂場に行くと、なまえはモジモジして『一緒に入るの?』と聞いた。
「ああ、うちの風呂は大きいから大丈夫だ。早く入ろう」
『じゃあ、先に入ってて』と言うので、先に入って頭と身体を洗い、湯船につかった。
後から入って来たなまえを見て驚いた。あっちこっちにあるアザにも驚いたけど……。
「お、お前……お、女の子だったの?」
「う、うん。ねぇ、これで洗って良いの?」
内心、ドキマギしながら『ああ』と答える。
なまえはいつかみたいにスゴく丁寧に、頭や身体を洗い始めた。最初は
なまえの方を見ないようにしていたが、あんまりいつまでも洗っているので、そちらを見るとまた肌が赤くなってた。
「
なまえ、洗い過ぎじゃない? そんなに擦ったら皮が剥けちゃうよ?」
「だって、ちゃんと洗わないと昴お兄ちゃん、気持ち悪いだろ?」
「え?」
「僕、みすぼらしいっていうか、ちょっと浮浪者みたいだろ……だから──」
身体を洗いながら、僕を見ずにそう言う
なまえ。