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申し訳なさそうに言うその子に、気が付くと僕は『良いよ。気にしてない』と言ってた。その子はホッとした顔で漸く笑った。その後で、その子が話してくれた。お父さんがお仕事の途中で通り掛かる事があって、いつも一人なのを心配して声を掛けてくれた事。それからたまに話すようになった事と、お父さんが僕の話をよくするので僕と会ってみたかった事。お父さんが僕とお母さんの写真をいつも大切に持ち歩いていて見せてくれた事を語った。『そのおかげで、この前すぐに分かったよ』とその子は笑顔を向けた。僕は、まだ名前を聞いてなかったのを思い出して聞いてみた。「なまえだよ。真山なまえ。*****小の、一年」「一年生?」「うん、今年の春一年になった。六歳!」「六歳か。じゃあ、僕……オレのが四つ年上だ」 その後もブランコに乗りながら、なまえと話をした。なまえは僕の話をスゴく楽しそうに聞く。なまえは小一にしては、色んな事を知ってた。『本を読むのが大好きなの。この近くの図書館で読むんだよ』と言う。僕も本を読むのは、好きだ。僕達は図書館に行く事にした。なまえは『ちょっと待ってて』と駆けて行きどっかから小さな洗面器と石鹸とタオルを持って来た。それから水道で顔や、手や、腕を丁寧に洗い始めた。僕がびっくりしてると『この近所に診療所があって、そこのお姉ちゃんと仲良しで洗面器とかを預けてある。図書館に行く時は、特に綺麗にしないとダメだから』と教えてくれた。それからまた洗面器を置きに行って図書館に向かった。診療所で着替えたのか、ちょっとくたびれてはいるがTシャツが綺麗なのになっていた。 どんな本が好きか二人で話しながら歩くと図書館に着いた。なまえはワクワクした顔をした。それを見て(本当に本が好きなんだなあ)と思い、何だか僕まで楽しみになった。 なまえは入り口で、立ち止まりキョロキョロとした。「どうしたの?」「う、うん。大丈夫みたい……」 そう行って自動ドアを潜り中に入った。 でも、入ってすぐに後ろから『待ちなさい!』と、眼鏡のおっかないおばさんに呼び止められた。おばさんは『何度言ったら分かるのっ! あなたはダメよ! さあ、帰りなさい』とキンキン声で喚くように言った。突然の事で、ワケが分からない。僕が呆気に取られる内になまえは、外に追い出されてしまった。僕は目の前で起こった事にびっくりした。図書館は誰でも使えると思っていたからだ。なまえは自動ドアの向こうに追いやられ、シュンとした悲しそうな顔をした。慌てて外に出て聞いた。「どうして? 前に何かやったの?」 なまえは首を横に振り『やらないよ。やらないけど、あのおばさんがいる時はダメなの。ごめんね』と言う。「何で? ダメなの?」「僕が……汚ないからだって。大事な本が汚れるって……」 それを聞いて僕はさっきなまえが手が赤くなる程、丁寧に洗っていたのを思い出した。*お好きな学校名を当てはめてお読み下さい。
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