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宿題を済ましてから出て来たので、公園に着いたのはお昼近くだった。遊具のある方へ行く。日曜日の公園はもっと人が大勢いるのかと思っていたが、誰もいなかった。 考えてみたらあいつが、いつもいるとは限らない。僕はちょっとがっかりしながら、何となくブランコに向かった。土管の滑り台みたいな遊具の近くを通り掛かった時、どっからか押し殺したような泣き声が聞こえた。キョロキョロすると滑り台の下の土管から聞こえる。近寄り覗いてみるとあいつが泣いてた。人の気配に驚いたその子はビクッと、怯えたみたいに飛び上がった。そして土管に“ゴツッ”と頭をぶつけて“ギャッ”と短く悲鳴を上げた後『痛ー!』と頭を抱えて転げた。『ひぃーひぃー』言って痛がるのを放って置くワケにも行かず、土管から引っ張り出して頭を見てやった。たんこぶが出来てた。明るい下で見たら、その子はあっちこっちケガをしてた。水道で洗って、ハンカチで拭いてからベンチに行き、持っていた絆創膏を貼ってやった。頭が痛そうなので、また水道に行って、ハンカチを濡らして、冷やしてやった。頭のてっぺんにハンカチを乗せたその子は、何だかテレビのお笑いでやってたお風呂に入る人みたいで、ちょっと面白いと思ったけど、その子が一生懸命泣くのを我慢してるみたいだったから、僕も笑うのを堪えた。「ありがとう……」「良いけど。そのケガ、どうしたの?」「楽しくないお話しても良いの?」(それは、そうだろうな。ケガをする話が楽しいワケないよなあ) そう思いながら、気になったので『良いよ』と答えた。その子は思い出したのか、またちょっと泣きそうになった。それをグッと我慢して落ち着いてから、ポツポツと話し出した。「今朝、ここにいたら二年の子達がいきなり悪口言ってドンって突飛ばして来たんだ。あいつら海司兄ちゃんがいる時はさ、海司兄ちゃんに『弱い者いじめするなー』って怒られるから、怖くて来ないくせに。あ、海司兄ちゃんっていうのは、この公園の近所のお家の兄ちゃん。今日はお出掛けしてんの。で、僕が『みんなして卑怯だ』って言ったらさ、殴って来たんだ。僕、負けたくないからガブッて噛み付いたの。そしたらそいつ、母ちゃん連れて怒鳴り込んで来て……」 そこで、ちょっとベソを掻きそうな顔で、口を尖らせた。「それで、うちの母さんが怒り捲って棒で、バシバシ叩いたの。母さんが疲れるまで、ずーっと叩かれた。殺されるかと思った……うちの母さん、鬼みたいなんだ。僕が大嫌いなの」「え? お母さんがやったの?」「うん、頭に来るとやるんだ。だからさ、あんまり家にいられないの。それで、ここにしょっちゅういるんだけど……見掛けた、おじちゃんが心配して声掛けてくれてね。お兄ちゃん……」「ん?」「お兄ちゃん、おじちゃんの子供の、昴お兄ちゃんでしょ? おじちゃんが、よく昴お兄ちゃんの話してくれるよ」「……知ってたの?」「うん。この前、びっくりしたでしょ? おじちゃんがさ、昴お兄ちゃんは肩車が好きなんだって話してくれたんだ。でも僕、肩車ってやった事無くてよく分かんなかったの……それでおじちゃんが肩車してくれたんだ。ごめんね。昴お兄ちゃんのお父さんなのに」
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