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家に帰ってから、僕はずっと考え続けた。何故、お父さんはあの公園にいたのか。あいつは誰なのか。(あいつ、僕を見て驚いたみたいな顔をした。待ってて言ってたな。けど……肝心な事が、考えても分からない。やっぱりお父さんが帰るまで待って、直接聞こう) そう思ったのに、いつの間にか寝てしまい目が覚めた時はベッドの中で、辺りはもう明るくなっていた。慌ててベッドから起き、お父さんの部屋に駆け込む。いない。洗面所、トイレ、リビング、全部見たがいなかった。トメが『お早う御座います。昴坊っちゃん、どうしたんですか?』と僕を見て呼び掛けた。「おはよう。トメ。お父さんは?」「旦那さまでしたら、お仕事のご都合で、遅い時間にお帰りになりました。ですが、着替えを済まして昴坊っちゃんのお顔を覗きに行かれると、また直ぐにお仕事に出掛けられましたよ。もしかすると、二、三日はお戻りになれないかもしれないと仰っていました」「そう……」 トメの言葉に、がっかりして肩を落とした。「旦那さま、昴坊っちゃんにお手紙か、何かお書きになられていましたよ? ございませんでしたか?」「え? お父さんが? 見てくる!」 そう言って、部屋に駆け戻った。机の上に手紙が置いてあった。それを読んで思った。(やっぱりお父さんが、嘘つく筈ない。そうだ。あいつに直接聞きに行こう。今日は日曜日で、何もお教室がない。バスですぐだって言ってた。確かひかり公園って名前……ネットで調べよう) 調べて見るとひかり公園は、バスが結構通っていた。僕の学校の近くを走るバスも、ひかり公園前を通るのがあったし、うちの近所のもあった。念のため、時刻表や地図をプリントして、お小遣いと一緒に鞄に入れた。 トメと運転手さんに『今日は同級生達と、社会科のグループ発表会の準備をしないとならないから行って来る』と言った。「昴坊っちゃん、どなたのお家に行かれるのですか?」 トメが聞く。僕は準備してた答えをそれらしく言う。「色んな人にお話を聞いて歩くから、どことは言えないよ」「そうですか……でしたら携帯を忘れずに、お持ちになって下さいね。時々お電話を掛けて下さると、安心します」 言うトメに『分かった、連絡をいれる』と答える。 僕の携帯にはGPSと防犯ブザーがついている。パソコンや携帯で居場所が分かる。けど、機械音痴のトメはやり方がイマイチ分かってない。だから、たまに連絡して、声を聞かせろって話だ。 トメはまだ少し心配らしく『知らない方には、ついて行かないように』と念を押された。そんなトメを安心させるように、僕は『心配ないよ』と答えて置いた。 家を出る時、トメが小さな水筒に入ったお茶と、銀紙に包んだおにぎりを幾つかとバナナを持たせてくれた。「どこまで行くのか分かりませんが、お腹が空いたら食べて下さい。何か、困った事があればお電話を下さいましね」「うん、ありがとう。行ってきます」 そう言って家を出た。
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