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それは、楓さんを含めた親戚連中に彼女を会わせた食事会から数日後の平日の事だった。外回りから戻る道筋で、彼女は商店街の人達に声を掛けられた。「あ、なまえちゃん! あの記事見たよ。大丈夫かい?」「全く、ひどい事を書く奴らもいたもんだよ」「わたしゃ腹が立って、腹が立って」「本当だよな。うちのばっちゃんもえらい怒っちゃってよ。『そんな雑誌、全部返品しちゃいな!』ってよ。ばっちゃん、なまえちゃんの事、大好きだからよ。心配してたぞ。なまえちゃん、また時間が空いたら茶でも、飲みに来てやって」「なまえちゃん、あんなの気にする事ねぇからな」「そうそう、やっかみなんか気にすんねぇ。アンタの人柄の良さは、付き合いがありゃ分かるんだからよ」「そうだよ。あたしら、みんななまえちゃんの味方だよ。元気お出しよ」 クリーニング屋さんを始め、本屋さん、魚屋さん、八百屋さん、お茶屋さん達がワラワラと寄って来てそう彼女に励ましの声を掛けた。そして、魚屋さんが脇に立つオレに言った。「よう、あんちゃん。なまえちゃんを頼むぜ。まあさ、あんちゃんの事だから心配は要らねえとは思うがよ。負けんなよ」「俺等、あんちゃんの事も、応援してんだよ。だからさ、頑張ってくれよな」 何の事か分からずに、二人で『ありがとう』と言って頭を下げながら、その場を離れた。「昴ぅー、また何か起きたね……」「らしいな。雑誌とか、記事とか言ってたな」「コンビニ、寄ろうか……」「大丈夫か? あの口振りじゃ、ひどい内容らしいぞ」「んーでも、状況が分からないとなー。それにさー……」「気になる、か」「うん」「だよな。じゃあ、買いに行く前に約束。良いか? お前には、オレがついてる。それを忘れるなよ? もしも何かあっても、二人で乗り越えるんだ。分かった?」「ん、分かった」 頷く彼女と雑誌を探そうと、コンビニに寄った。雑誌は探すまでも無く、すぐに見つかった。ゴシップ記事を取り扱っている週刊誌の見出しに[イケメンJr.を落とした元暴走族の女 警視庁シンデレラ物語]とあった。読む前から、内容が分かりそうな見出しに彼女は眉を寄せて、ため息をついた。それでも彼女は、雑誌を一冊手にしてレジに向かう。「やっぱり買うのか?」「うん、想像は着くけど。内容、確かめないとな。この後起こりうる事に対処しきれないと困る。見た方が良さそうだもん」 警視庁に入って行くと何人かに、ジロジロと好奇な目を向けられた。中にはヒソヒソ囁く者さえいる。その中を彼女は、淡々とした表情で前を向いて普通に歩いてく。普段通り知り合いに会うと、笑顔で挨拶を交わし捜査室に戻った。
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