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「けど、僕。君を守るのやめないよ。きっといざとなったら、自分でも止められない。君を助けないなんて、無理。でも、悲しませたい訳じゃないし幸せも守りたい。だから自分も守れるように最善を尽くすよ。ごめん。そうとしか、言えない」「なまえ。オレも最善を尽くす。この幸せを守りたいからな」「ん。僕──君を失うの、何より怖い。だから……一人にしないで?」 彼女は震えてた。「なまえ。ああ。分かってるよ。オレはずっと傍にいる。約束したろ? それにオレの奥さんは、寂しがりだからな。オレがいないとダメだもんな」『ん』と頷く彼女はとても儚げに見えた。 守るようにしっかりと抱きしめながら改めて強く思った。(このひとと、それからオレ達の幸せを守って行かねーと)「こんなに震えて。大丈夫だよ。安心しろ。怖くなくなるおまじない、してやるよ」 まだちょっと不安そうに震える彼女にそっと唇を寄せた。――バーァン―― もう少しで唇が触れ合うその時。 ノックもなしにいきなり音を立て乱暴にドアが開いた。「なまえちゃーん!」 これまた、けたたましい声がして彼女は驚いてビックーゥと飛び上がった。「凛子、お前なー。ノックぐらいしろよ」「無事で良かったわー」「おい、無視すんな」 そのままずかずかと入って来ると凛子がオレをドンと押し退ける。面食らってる彼女をむぎゅーっと抱きしめた。「おま、痛てーなー! 見舞いに来て入院患者、突き飛ばすなよっ!」 凛子の胸に押し付けられるように、強く抱きしめられた彼女は『胸が、胸がぁ』と呻いた後、窒息しそうになったのか手をバタバタとした。「ちょっ、凛子。離せっ! 息、詰まってる」 慌てて彼女を引きはがすと真っ赤な顔でふぅーふぅー、ハァハァと苦しそうに息を継いだ。「あ、苦しかった? ごめぇーん。つい」「あ、じゃねーよ! オレのなまえを殺す気かぁ!」「何言ってんのよ。一柳ぃ。そんな訳ないじゃない。さっき、如月くんにアンタとなまえちゃんが大変って聞いてさ。もー、すっごい心配したんだからね。一柳のバカッ! ほんとにアンタは。心配掛けるんじゃないわよ。いい? うちの代はね、殉職禁止よ! 許さないからね」 突っ立ったまま、すっごい権幕でまくし立てると、いきなり泣き出した。 まさか泣くとは思わなかったオレは、唖然としてしまった。「もー二人とも無事で良かったぁー」 そう言いながら泣く凛子を彼女が『心配掛けてごめんね』と言って立ち上がり手を広げた。 凛子は彼女に抱き付いて『良かったー』と繰り返しながら暫く泣いた。 すっごく心配したのが伝わり、泣きやんだ凛子に『心配させて、すまねー』と謝った。「ほんとよ。全く。出張から戻ったら奢んなさいよね」「あ? お前、これから出張?」「そうよ。ほんとは時間ないんだけど、アンタ達が気になって寄ったの。あっ! もう行かなきゃ! じゃあね! 戻ったら連絡するわ。それまでに、元気になっときなさいよ? きゃー! 乗り遅れるわー」 凛子が慌ただしく出て行った。彼女は凛子を見送る為に窓辺に立った。横に立ち一緒に凛子が出て来るのを待った。凛子はバタバタと急ぎ足で出て来て、急ぎながらもオレ達の病室を振り返った。 オレ達に気付いた凛子は、遠目ながら嬉しそうに笑ったように見えた。彼女が手を振ると凛子もぶんぶんと振り返し通りに姿を消した。
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