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サイボーグと言われるあの男の、らしからぬ発言に少なからず驚いた。「……アイツまで、妹だの言い出しやがった。はぁー。オレの女房殿は、相変わらずモテモテだな」 彼女は苦し気な呼吸が嘘のように、今は規則正しい穏やかな寝息を繰り返す。 いつもならヤキモチのひとつでも妬く所かも知れねーが。今はただ、なまえが生きてる事が嬉しくて、そんな気にもならなかった。ベッドの傍に行き手を取る。「小野瀬さんから聞いたよ。みんな気が付かなかったのにお前だけは、一目見てオレの偽者に気が付いたんだってな。そんであっという間にオレの居場所をゲロさせたって。お前、見えない所でもオレを守ってんのな。お前って、最高の専属SPだな」 彼女はそん時だけ目覚めたらしい。そのおかげで直ぐに救出に動けたんだと小野瀬さんはそう言った。そして[あんなに思われてる君が、羨ましいよ]と付け足すみたいに呟いた。「なあ、奥さん。オレの大好きなあの可愛い笑顔、見せてくれよ。待ってるんだぞ。あ、出来たら奴らが来る前に頼む。きっと一段落つくと、うっせーのがドヤドヤ来るぞ。また藤守辺りが『俺等のオアシスちゃんは、まだ目覚めんのかいな? 今日は大捕物でお兄ちゃん、お疲れや。早ようエンジェルスマイルで癒してやー』とかって騒いで……多分、室長は室長で『この寝坊助。私が働いてるのにグースカ寝てるとはいい度胸ね。チビ助、早く起きなさい』とかってまた頬っぺピチピチやられるぞ?」──んーそれは、やだねぇ── そう言いながら君が、笑う気がする。「そろそろ想像じゃなくてお前の笑顔、見せてくれよ? オレ、もうなまえ切れ起こしそうだ」 そう言って口づける。ふっと、久方ぶりのキスなのを思い出す。「あの朝、キスしなかったもんなー。良かった。またキス出来て。今度からお前がダメって言っても断固としてキスしよう。ま、ハプニングが起きなきゃ良いんだけどな。……ハニー、起きないともっとキスするぞー」──ちゅっ、ちゅっ、とりあえず二回程口づける。彼女はまだ起きない。「いつもは起きるんだけどなー。さすがに起きねーな。……はぁ、ダメと分かると余計になまえの声、聞きたくなって来た。奥さーん。早く起きろよ……ったくオレを待たすなよ。寂しいだろ」 起きないのを知りつつ、途中から布団に顔を伏せてモゴモゴと言ってみた。(オレもいい歳して。フッ……最早、我が儘でしかないねーな) ひとり、苦笑い。(なまえにはつい、我が儘言っちゃうんだよな。いつも笑って受け止めてくれるからな。にしても、やっぱり早く、声が聞きてー)「そう思うもんは仕方ねーよな。だいたい、なまえ不足なんだからな。オレは」 そのまま、ブツブツと自分へ言い訳をしてみる。──と、ふわりと優しく頭を撫でられた。びっくりしてガバッと起きると彼女が、ちょっと弱々しくも優しく笑ってた。
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