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● ○ ● ○ おチビちゃんの状態が思わしくない。俺は山田女史に連絡を入れた。「あ、山田女史?」「ああ。小野瀬。私だ」「まだ分析掛かる?」「八割方終わったんだが、まだ解毒に必要な薬品が全て掴めてない。量も曖昧だ。……状態が思わしくないのか?」「ああ、かなり切羽詰まってるみたいだ」「すまない。穂積にも頼まれているからな。私も何とかしたいんだが。現状では出来る限り早急に努力するとしか言えない」「今、分かってる薬品の投与だけでも先に、と言う訳に行かないの?」「小野瀬、解析してて思ったがな。まだ全容は掴み切れてはいないが、どうやらこの薬はなかなか恐ろしいしろものだよ。配合によってはある種の特効薬にもなりそうだが、何か違えれば恐ろしい殺人薬にも変移しそうな薬だ。全く、こんな物を造り出すヤツの気が知れないね。少なくとも、必要な成分と量をきちんとしなければ逆に危ない状態になってしまう可能性が高いんだよ。開発者に聞くのが一番なんだが、まだ捕まらないのだろう?」「ああ」「そうか。そちらは穂積に任すしか無いな。とにかく、小野瀬。私はこうしてる時間が惜しい。分かり次第連絡する。私は私で最善を尽くすよ。では」 通話を切った俺の元へ看護師がやって来た。「患者さんの状態を先生からお話しますので、よろしいですか?」 医師から俺に最悪な事が告げられた。「こちらで出来る事が無い上に状態は悪化する一方です。非常に残念ですが……今の内に会わせたい方がいれば、ご連絡を。解毒方法が分からない限り、患者の生命力次第です。……いつ、急変してもおかしくありません」 俺は穂積に連絡を入れ『最悪な展開だよ』と切り出し一連の話を説明した。「小野瀬、俺は今昴がいる建物の表だ。必ず昴を連れて帰る。お前はチビ助を叩き起こしてでも『意地でも待っていろ』と伝えろ。俺はアイツの生きる力を信じる。小野瀬、チビ助に気合いを入れてやってくれ。今、アイツには気合いが必要だ。小野瀬、お前、伝説の元ヤン総長様だろうが。気合い入れんのは得意だろう? ……チビ助を頼んだぞ」 一方的に切れた手の中のスマホを眺め思わずボヤく。「全く。穂積のヤツ。いつも無茶ばかり言いやがって。……急げよ。穂積」 俺はおチビちゃんの病室に行き、彼女の手を取るといつも穂積がやるように、おチビちゃんに言って聞かせるように呼び掛けた。 非科学的だが今出来る事は、昴くんとおチビちゃんの絆を信じ、彼女の意志の強さと生命力に掛けるしかなかった。
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