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「ねぇ、あの女の子は貴方の大事な人? だいぶ弱ってたけど、開発中の薬を打たれたの? 大丈夫かしら。ちゃんと解毒されたかしら。解毒には、成分とか、量とか大事なのよ。心配だわ。でも……貴方もあの子も、見ない顔ね。きっと研究室とは遠い部署なのね。なら、見ない顔でもおかしくないもの。……ねぇ、貴方達もあの男に逆らったの? もしかして貴方があの子を逃がそうとした、とかなの? なら、彼も、貴方みたいにどこかに幽閉されて直ぐには殺されないのかしら?」「誰か捕まったヤツがいるのか?」「ええ、その服の持ち主よ。私の恋人。私を逃がそうとした後、行方不明になったの。彼、あの薬の臨床実験者の中にも、この前警察に捕まった連中の中にも居なかったようなのよ。彼だけでも何とか逃げられたのなら私はもう、それで良いんだけど。心配で。捕まっていたとしても、貴方みたいにどこかに幽閉されて生きてる可能性もあるわよね?」「……なあ、それなら尚更、ここで心配してても始まらねーよ。これ外してくれねーか? 無理矢理従わされてる奴等も、みんな一緒にここを出て、人質になっている連中やお前のそいつ、助けようぜ」 女が戸惑い躊躇する。「このまま、ここに居たって用が済めば消されるぞ。お前達が処分されれば、きっと人質も消される。誰一人助からねえじゃねーか。大事な人を諦めんのか? オレは、最後まで諦めねーぞ。絶対にここを出て、あいつに薬品が必要な事を知らせて何としてもあいつを助ける!」 女はオレを見ていたが、震える手で鎖の鍵を外した。それからポケットからメモを出し急いで何かを書いた。「これ、あの子に必要な薬品と量。それと、ここから出口までの地図よ。走り書きだけど分かるわよね? 後、これを」 女はメモと一緒にスマホを差し出した。「外に出れば、それで助けが呼べるかも知れないわ。助けを呼んだら、処分して構わないわ。追跡されると怖いから。とにかく貴方は先に行って。あの子が手遅れになる前に、早く薬を。私はみんなを説得してから、一緒に脱出するわ。見張りに気を付けてね」「ああ、お前もな」「……ねぇ、あの子の意識が戻ったらツラい目に合わせてごめんねって伝えて。あの子、私の妹と同じ位なのよ。本当は、助けてあげたかったけど、私。勇気が無くて。助けられなかった。ごめんなさい」「それは、お前があいつ、なまえに直接言え。あいつの事だから、にっこり笑って許してくれるよ。なまえはな、笑うと滅茶苦茶可愛いんだぜ。オレとなまえを助けたお前に、特別にあいつの笑顔を見せてやるよ。だから、無事にここを脱出して病院に来い。約束だ。そういえばお前、名前は?」「瀬能睦美よ」「せのうむつみ、か。オレは一柳昴。瀬能、必ず、会いに来いよ」 頷く瀬能と別れ、オレは外を目指した。
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