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● ○ ● ○ あれからどれ位、経っただろう。オレは窓もない部屋の壁に鎖で拘束されて身動きが全く取れない状態だった。窓がねーから光も入らず、今が昼なのか夜なのかも分からねえ。おまけに、オレの偽者野郎に服と頼みの綱のSOSウォッチを盗られた。オレには定期的に水、それから数回わずかな食料が与えられている事から、生かして置くつもりらしいのは分かった。「フッ、うまく行かねーな」 いつも[彼女を守りたい]と思うのに……。今回もみすみす彼女を拐われ、挙げ句彼女はオレの為に無理をした。あんなにボロボロになるまで。 オレが来た時、彼女は妙な薬を打たれ続けたせいで荒い息をし既に意識が朦朧としてるようだった。そんな状態の彼女をアイツ等は数人で床に押さえつけた。あのドラッグストアの男は最悪な状況を目の当たりにしたオレに『大人しく従わなければ、例の……のたうち回って死ぬ薬を打ちますよ』とニヤけながら言った。 着くまでは“どうにか隙をみて彼女を助け出そう”と思っていたが、予想以上の人数を相手にオレ一人で、意識が無い彼女を救出するのは不可能と判断せざる得なかった。男と交渉し、これ以上の投薬はしないと約束させた。男は言った。「良いでしょう。薬の投与は今後一切しません。ただし。回復薬等も投与するつもりはありません。それならば、ある一定期間の投与後モルモットがどうなるのかが分かります。こんな、廃棄寸前のモルモットでも研究に役立ちますしねぇ」「廃棄寸前のモルモット……だと? ふざけるなっ」「おや? ずいぶんと反抗的ですねぇ。よろしいのですか? 今や、あなた方を生かすも殺すも、私次第なのですがねぇ」「くぅ!」(チキショー。足元見やがって!)「でも……まだ助かる見込みはありますよ?」 そう言って男は彼女を足で蹴った。「あなただけならね。簡単ですよ? このモルモットを見棄てて逃げれば良いのです。クフフフ……。逃げてもよろしいですよ? あなたは危険をかえりみず、ここまでコレを助けに来た。例え、我が身可愛さに逃げ出したとしても[一度は助けに来た]その事実に変わりはありません。助けようと尽力したが助けられなかった……。それを責める人間はいないでしょう。人間は己が一番可愛いものですよ。無理せず、それを素直に認めたら如何ですか?」「あ? やだね。大事なもん見棄てて行けるかよ。おい、約束しろ。オレは抵抗しない。だからもう、薬は一切投与しない。守ってくれるんだろうな?」「これはこれは、飽きれますねぇ。あなた方は二人とも、バカなのですか? フッ、よろしいでしょう。あなたが抵抗しなければ、回復薬含め一切の投与はしません。助かるかどうかは、コレの体力と運次第という事になりますねぇ。クフフフ……それはそれでおもしろい。そこのあなた、この方を幽閉しておいて下さい。客人がおいたをしないようにきっちりと頼みますよ?」 彼女を見たのはあれっきりだ。今どうしてるのかも分からねえ。
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