ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
明智と如月に偽者を連行させ、小笠原が手持ちのパソコンで地図を調べる。 救出の算段をしてるとチビ助がフラりとロッカーに歩みより、いきなり病衣を脱ぎ捨て着替え始めた。恥ずかしがりのチビ助が皆がいるのに平気で着替えるなど、普段ではあり得ない。つまり、それだけ頭に血が登っているという証拠だ。「チビ助! どこ行くつもり!?」 返事もせず着替え続け、出て行こうとする。「待ちなさいっ!」 怒鳴るとこちらを振り向いた。その瞳は俺ですら一瞬、飲まれそうになる程に怒りでギラギラしてた。 プイッと何も発せずに出て行こうとするチビ助を、慌てて掴み止める。「待てと言ってるんだ!」「離せーーっっ!」 火が着いたように暴れるチビ助を、小野瀬と二人押さえる。「チビ助っ!」「おチビちゃん! 落ち着けっ!」「嫌だーっ! 離せーっ! 昴を、昴を助けに行くんだーーっ!」 その小さい身体のどこに、これ程の力があるのかと思う位、男二人で押さえるのがやっとというほど暴れるチビ助。(くぅ! こいつを今行かせたら、きっと命懸けで無茶苦茶する。それこそ、死ぬかも知れねえ。何としても、止めねえと!) 藤守も押さえに掛かっても、取り乱しもがき暴れるチビ助。俺はその頬を夢中で張った。「馬鹿野郎っ! それじゃ助かるもんも、助からねえぞ! 昴、助けてえなら頭を冷やせ!」 叩かれたショックか、チビ助が大人しくなった。みるみる内に瞳にじわーっと涙が潤んで来る。 その姿があまりに痛々しくて、堪らずチビ助を抱きしめた。「チビ助、安心しろ。昴は必ず助け出す」「……室……長……、昴、無事だよねぇ? 絶対助かるよねぇ? 大丈夫だよねぇ? 昴ぅうぅうぅぅ」 腕の中でヤツの名を叫ぶチビ助の声が、悲痛に響く。まるでその身をもぎ取られでもしたように、痛みのこもった悲しく苦し気な声。「当たり前だ。昴は絶対に助け出す。約束する。だからチビ助は安心して休んでろ」「そうや、大丈夫や。絶対、大丈夫に決まってるやろ? 安心せい」「おチビちゃん、少し休もう。君はまだ重症なんだよ?」 小野瀬がチビ助をベッドへと促し連れて行こうとした。 次の瞬間、チビ助の身体がゆらりと揺らいだ。倒れ崩れ落ちそうになる。俺は慌てて手を伸ばし抱き止める。見れば、息が荒く様子がおかしかった。「た、大変や! 看護師さん呼ばな!」 覗き込んだ藤守が看護師を呼びに飛び出した。『チビ助!』と呼び掛けてみるが、意識が混濁しているのか瞳に光が無い。だらりとしたチビ助を寝かそうと急いで抱き上げた。チビ助の身体は、ついさっき抱きしめた時よりも、はるかに熱い。熱が急激に上がっているみたいだ。
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。