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「状態を記録して置きましょう」「ううぅ……」 小さなうめき声をあげて頭を垂れるチビ助の髪をまた掴み、顔を引き上げる。チビ助は赤みを全く無くし、唇さえも紫がっかていた。光が無く虚ろな目で、口端から涎が垂れている。「うぅ……さ、寒い……寒、い……」 荒い息と共に小さな声でうわごとを繰り返すチビ助。 そこで、動画が切れた。次に流れたのは会話の録音か、音声だけになった。「もしもし! 今、向かってる。頼むから! もう、止めてくれっ!」「貴方が早く来れば良いのですよ。指示通り、おかしな細工をせずにね。もし、少しでもおかしな事をしたら、どうなるのか……。分かりますよね? 私はおバカさんは嫌いですからねぇ。そうですねぇ。彼女の実験を止めて、別な薬を投与いたしましょう。クフフ……とっておきの薬品ですよ。投与すれば、必ず数時間はのたうち回り、確実に死ぬ薬品です。今のところ、恐らく解毒出来る薬はありません。こちらも私どもが開発したのですけど、こちらは沢山の臨床実験済みです。どの方も、例外なくもがき苦しんで亡くなっていますよ」「そんな薬、冗談じゃねー! 指示には必ず従う。だから、頼むから止めてくれ!」 切羽詰まった必死な昴の声。「分かりました。従うと言うのであれば、待ちましょう。それから、そのスマホも捨てて来て下さい。今後、こちらからご連絡は差し上げません。ですが、良いですか? おかしな動きがあれば直ぐに我々の耳に入ります。その場合には、今お話しした薬を貴方の大事ななまえさんに、プレゼントして差し上げますよ。よろしいですね? では、お早いお着きをお待ちしてますよ」 通話の切れた音して『チキショー!』と昴が叫んだ。 ほんの少し間が空いて、語り掛ける昴の声が聞こえた。静かだが、腹を決めた強い声だ。「後藤、オレは奴らの指示に従う。あれは脅しじゃねー。今は指示に従うしか道はねー。そうしないとなまえが死んじまう。オレはアイツを、あんな所で一人ぼっちで逝かせるワケには行かねーんだ。だが、そうする事でもしかしたら……。この後、親父がヤバい状況に陥る可能性が出て来る。後藤。すまねーが、後を頼む。……動く時はくれぐれも注意しろよ? 誰か、内部に通じてるヤツがきっといる。……オレは彼女と親父だけは、何としても助けたい。オレの願いはそれだけだ。後藤、お前ならオレの気持ち、分かんだろ? 悪いが後を頼むぞ」 そこで、音声は切れていた。「あんまりだ。こんなやり方!」 如月が叫び、行き場のない怒りをぶつけるように机を叩いた。「マズいな。二人共、お互いを盾にとられて身動き出来ない状況じゃないか。おまけに、おチビちゃんのあの状態。早く救出しないと間に合わなくなる」「ですが、先に内通者を明らかにしないと失敗する可能性もあります」
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