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「つまりそれだけヤバい状況なんだな?」 俺の問いに石神は無言で頷いた。「石神さん、情報に制限があったとしても構わねえ。今、言える範囲で構わねえから教えてくれ。俺達もチビ助と昴を助けたい。力を貸してくれ」 俺は石神に頭を下げた。他の連中も俺に続き頭を下げた。「皆、気持ちは一緒と言う事ですね。とにかく、頭をあげて腰掛けて下さい。先ず、一柳が後藤に託した事からお伝えしましょう」「昴が後藤に?」 そう呟き後藤に視線をやった。「そうです。アイツはさっき俺の所に来ました」 昴は後藤にスマホを預け、後の事を託したらしい。「結論から言えば現状は最悪です」 そうことわってから、後藤はいきさつを語った。 先ず、犯人側からの指示で追跡される可能性があるスマホは置いて来るように言われた事。チビ助が犯人に捕まっていて様子がおかしく、抵抗したり自分で脱出するのが不可能である事。犯人側から送られた動画を見る限り、一刻も早く救出した方が良い状況であり、指示に従い昴が出向かわなければ直ぐに殺される可能性がある事や、犯人側がこちらの状況を逐一把握している事から内通者の存在が疑われる事。盗聴の可能性が高い事を指摘したそうだ。 俺達は、会議室のTVで昴へ届いた動画を見る事にした。 ● ○ ● ○ どこかの一室、コンクリート打ちっぱなしの窓の無い部屋。チビ助が転がされていた。「お、前達……誰だ? ね、狙いは……なん、なんだ……よ」 具合が悪化してるのかも知れない。苦し気な呼吸で途切れ途切れに言うチビ助に、男が近寄る。ドラッグストアで兄と名乗った男だ。「ずいぶん具合が悪くなって来たようですね」「う、うるさい! そんな事はどうでも良い! 目的は……な、何なんだ!」 喚くチビ助の口を手で覆い、片手で自分の口元に指を立て『シィー』と言った。睨むチビ助に静かに言い聞かせるように続けた。「静かにして下さい。私は煩いのと、言い付けのきけないおバカさんは、嫌いです。もし、おバカさんなら……。貴女と、それから一緒にお越しいただいた一柳昴さんにも罰を与えますよ?」 チビ助が目を見開き、覆われていた手を外すと男に飛び付いた。それはいつもよりも、はるかに緩慢で遅い動作だった。チビ助は容易に男に捕まった。「す、昴も? 昴もここに?」「ええ。別な部屋にお通ししていますよ」「嘘だ! 昴が簡単に捕まる訳がねえ!」「いえ、造作もありませんでしたよ? 貴女をお預かりしているとお伝えしたら、とても従順に大人しくして下さいました。なんなら、声を聞かせて差し上げましょうか?」 男は他の者に合図をすると、コードレスの受話器が用意された。「一柳さん、お聞きになってましたか? いささかなまえさんは聞き分けが無いですね。貴方から助言を願いしますよ。あ、分かっていると思うのですが、もし貴方も煩いおバカさんなら、貴方の代わりになまえさんに罰を受けて頂きます。よろしいですね? さあ、どうぞ」
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