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● ○ ● ○ 公安内の会議室の一室へ俺達を呼びに来た男、後藤と共にやって来た。部屋には、石神と黒澤が待っていた。「お待ちしていました。はじめに……捜査室及びラボは盗聴されている恐れがあります。ここは盗聴器の有無を確認済みなのでご安心下さい」「え? ラボも? あそこも捜査室もセキュリティは厳しい筈だよね?」 小野瀬が驚き問う。「ええ、一般人がおいそれとは立ち入り出来る区域ではありません」 石神の含んだ言い方に俺は確認を取る。「一般人が……それはつまり、内部に協力者がいる。と、言う事か」「恐らくは」 皆に動揺が走る。それが分かっていたように石神は鎮まるのを待ち、口を開いた。「我々があなた方に提供出来る情報は限られています。厳密に言えば……提供出来る情報など無いに等しいのです」「それはどういう──」 珍しく興奮気味の明智を制する。小笠原が眼鏡をあげながら静かに言った。「ここは公安だ。今回の件が公安が担当するような案件、例えば国際テロリストが関わる……そうだな、一柳さんのお父上である警視総監狙いの大きなヤマなら、公安の性質上、石神さんがそう言わざる得ないのは納得出来る。……なら、何故、俺達を招いたの?」「小笠原さん、君は噂に聞く通り頭脳明晰のようですね。公安として言うなら、君達に勝手に掻き回されては困る、と言う所でしょうか……」「なるほど。だけど、それだけなら後藤さんに伝言を頼めば済む。それだけじゃないよね?」「そうですね。小笠原さんの言う通り。それだけではありません。今日は公安としてではなく、個人的立場として皆さんにお越し願ったのです」「ああー! 何やねんな! 石神さん、俺等は今仲間二人とられて、混乱してます。頼むからストレートに話してや。勿体振るんは、堪忍して下さい。頼むわ!」 藤守が頭をグシャグシャと掻き、イライラした様子で言った。 石神が、フゥーとため息のような息を漏らし『そうですね』と呟き、続けた。「では、単刀直入に言いましょう。私は、一柳と一柳なまえさんを助け出したいのです。こういうのは、私の柄でないのは分かっています。仲間……いや、私の事を兄と呼んでくれる彼女の、兄代わりとしてあの二人が犠牲になるのを何としても避けたいのですよ。……こんな事を思う時点で、公安としては失格かも知れませんがね」 そう言った石神の顔には、立場と本音が責めぎ合う苦悩が見え隠れしていた。ヤツの気持ちは同じ警察官として、また管理職としても、チビ助達の身の安全を心配する者としても、俺には手に取るように理解出来た。「ですが、最早立場にとらわれている時間はない。事は急を要します」
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