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彼は早口で『ツレの気分が悪くトイレを借りたい』と言うとおじさんは僕の方を見て『それは大変だ』と急いでトイレに案内してくれた。『車、邪魔にならない所に移したら直ぐに行くから』と言う彼に頷き僕はよろけつつ、店内へ急いだ。 初めて寄ったそのドラッグストアは結構広くて混んでたけど、おじさんのおかげで真っ直ぐトイレに向かう事が出来、僕はどうにか店内でもどすような惨事を免れた。 まだ新しいのか、綺麗な広めのトイレだった。吐けるだけ吐いたら、どうにか吐き気が治まって来た。フラフラしながら手を洗いハンカチで拭いてるとドンと人にぶつかった。ふらつきながら『すいません』と謝りドアに向かう。ドアを開ける寸前、肩甲骨辺りに何かが当たった感触がした。思考も動作も緩慢にしか働かない。ボーッとしながら、それでも後ろにやった視界の隅に、スタンガンが見えた。(えっ!? マズい!) ハッと振り向こうとした時には、もう遅かった。振り返る前に物凄い衝撃が身体を突き抜けて行く。『がぁあっ』衝撃に思わず声が漏れ、僕の身体は力を失った。崩れ意識が飛ぶ寸前、誰かに抱き止められた。(もしかして昴が、来てくれたの?)「す、ば……」 最後の一文字を言い終える間も、抱き止めた相手を確認する間もなく、僕の意識は闇の中に飲まれて行った。 ● ○ ● ○ あの様子じゃ、よっぽど具合が悪いらしい。車から降りる時も顔色が、土気色をしていた。駐車係に事情を話し、車を隅に仮置きして中へと急いだ。店員にトイレの場所を聞いて向かう。 ノックして声を掛けるが反応が無い。 もしや、倒れているのかと中へ入る。ドアを開けた床に見覚えのあるハンカチが落ちていた。嫌な予感が過る。急いで個室を確認するが、もぬけの殻だった。(落ち着け。もしかしたら、ハンカチを落とした事に気付かず、店内で買い物をしてるかも知れねーじゃねーか……) そう、自分に言い聞かせる。それとは別に疑問と不安も浮かぶ。(あんな身体で? しかもオレに何も言わずに、か? なまえはオレが心配してんの知ってる筈だ。ありえねー) 混んだ店内を彼女を、探し駆け回る。(いない──やっぱり何かあったのか?) カウンターで店員に彼女を見掛けなかったか確認していると、先程のおじさんが来た。『お連れ様は大丈夫ですか?』と聞くその男性店員に事情を説明すると、直ぐにカウンターの店員全員に何か知らないか聞いてくれた。「ああ、その方ならお連れの方に抱えられて出て行きましたよ。ついさっきです。ぐったりされていたので『どうしました?』とお聞きしたら『具合が悪くなってトイレで倒れた』とおっしゃって。『救急車をお呼びします』と私が言ったんですが……。その方が『それには及びません』とおっしゃって、ちょっと不振に感じたんです。ですが直ぐに『私はこの子の兄なのですが、医者をやってまして。私共の病院が直ぐ近くなのです』と、この近くの聞いた事のある病院の名前を言われたものですから。……あの病院は最近、若先生があとを継がれたと話に聞いていたので。疑問もあまり持たなかったんです」(つまり、彼女は誘拐されたのか?)
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