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● ○ ● ○ 小笠原さんの仕事も無事に仕上げ、何とか定時を迎えた。身体は朝より確実にダルく重くなっていた。「チビ助、もう定時だから上がりなさい。アンタ、朝よりツラそうよ。大丈夫? 昴、アンタも上がって。この子、早く連れて帰って寝かせた方が良いわ」 心配するみんなに挨拶をして帰宅する事にした。「ねぇ昴、ちょっとドラッグストアに寄って。薬と、なんか調達してく」「じゃあ、お前は車にいろ。オレが買って来るから。薬の他に何が欲しい? それとも阿久津先生の所、行くか?」「んー裕子さんの所はもうちょっと様子見てダメだったら行くぅ。あのさ見ないと何あるか分かんないからやっぱ、僕も降りたいな。アイスクリームとか、何かあるかなぁ……」 今から思えばこの時、彼の言う事を素直に聞いて大人しく病院に行っとけば良かったと思う。だけど普通の人間には、予知能力なんてものは備わって無い。 でも後から、僕はこの時の事をスゴく後悔する羽目になった。 その日は何とも間の悪い事に、道は混んでいた。周辺の店の駐車場も、どこも車の列でいっぱいみたいだった。「今日、何かあったっけ? いつもより混んでない?」 僕が言うと、昴がカーナビをTVに切り替えニュースを着けた。ぼんやり眺めるが、頭に入って来ない。「この近くでデカイ事故があったらしいな……迂回して来た車と、混む時間が重なって余計だな……もう少し掛かりそうだ。キツいか? シート倒して横になれ」 渋滞で車が動かないのを利用して、昴は僕の方に伸びシートを倒してくれた。それから心配そうに、頬やおでこに触れた。「あー気持ち良い……」 僕がそう呟くと『熱、上がったみてーだな。寒くねーか?』と上衣を脱いで掛けてくれた。「ありがとう。昴、寒くない?」「オレは大丈夫」「ねぇ、動く時……離して良いから、こうしてて?」「ああ。良いよ」「昴の手、安心する……」 僕は、そのままいつの間にか寝てしまったみたいだ。気が付くと、ドラッグストアの駐車場の入り口にいるみたいだった。『ここもか』と彼が舌打ちするのが聞こえた。『ん?』とちょっとキョロキョロと辺りを見る。駐車待ちの列の中だった。『悪りー、起こしたか?』と言うのに辛うじて口元をゆるめ、小さく首を振った。けれど、具合は確実にさっきより悪くなってた。身体はシートに縫い付けられたように、重たく感じた。マズい事に、ちょっと気持ち悪い……。「なあ、買い物やめて、やっぱり阿久津先生の所に行こう。買い物はオレが後で行くから。な?」「ん、でもその前に……。ちょっと気持ち悪い。僕、トイレ借りて来る」「あ? 気持ち悪い? 今、入り口につけるから待ってろ」 そう言って彼は列から抜けて、入り口に車をつけてくれる。 有り難く思いつつ重い身体を起こした。店のエプロンをしたおじさんが、彼に声を掛けた。どうにか車から降り立つと目は回るし、地面が液状化でもしてるみたいに感じて、よろよろしてしまった。 気分がとても悪い。
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