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──人質。── その朝、目が覚めると身体は重く体調が良くなかった。既に昴は起きているらしく隣に彼の姿はなかった。キッチンから微かに音が聞こえて来る。(ああ。また、先に起きられなかった。今朝もやらせちゃった。ダメだな。僕。後で謝ろう。……にしても、ダルいなぁ。これは風邪、だな。ひな祭りの時から怪しかったけど、やっぱりなー。参ったな。ダルいつっても……今日は、休めないよなー) ぼんやりとした頭で、今日のスケジュールを思い返す。(確か今日……如月さんと小笠原さんが小野瀬さんと一緒に科学警察研究所に出張の日だもんな。小笠原さんに頼まれた入力、今日中にしておかないといけない……人数も少ないし、定時までは何とか頑張んねーと) 科学警察研究所は通称科警研(かけいけん)と呼ばれ、千葉県の柏市にある研究機関。よく間違われるけど科学捜査研究所、通称科捜研(かそうけん)とは別機関だ。連携して機能している所はあるけれど、科学警察研究所は日本の警察の頂点である警察庁の機関で、科捜研の方は、各都道府県にあるそれぞれの警察本部の付属機関だ。(小野瀬さんは、その科警研から出向でこっちに来ているし、小笠原さんも元科警研だから、古巣にあたるな。二人には里帰り、みたいなもんか? つーか、うちって出向組がほとんどなんだよねぇ。室長達も警察庁からの出向だしね。うちのダーリン含め、みんなスゴい人達なんだよねぇ) 横になったまま、そんな事を考えてると寝室のドアが開き昴が入って来た。(嗚呼、僕のエリートさんは今朝も素敵。朝の癒しのひととき♪)「ハニー、おはよう。朝だぞ。……ん? 今朝はもうお目覚めか」 言いながら、おはようのキスをしようとする昴を止める。「あ、ちゅうはダメ……おはよ。ごめん、また先に起きられなかった」「あ? 起きられなかったのは別に良い。……おはようのキス、ダメ? ……ん? お前、もしかして具合悪い? 目が具合悪い時の目になってる」「ん、ちょっとだけ……まぶた、変になってる?」「んーヘンじゃねーけどいつもよりくっきりして三重位になってんな。ま、そんでも可愛いから心配すんな。それより熱は?」 そう言って昴がおでことおでこをくっ付けた。「ちょっとあるな。風邪、かな。じゃあ、そのまま寝てろ」「え? ダメ、ダメ。そんなにひどくないって」 止められる前に布団から起き出し、クローゼットから服を出し着替えに掛かった。「あ? お前、熱あんのに仕事行く気?」「熱って、そこまでじゃないよ? 大丈夫。今日は出張組がいるからさ、人数少ないし。それに小笠原さんに頼まれた仕事もやんないといけないから。残業しないにしても休めないよ」「その顔は、止めてもきかねえな……はぁぁ」 ため息をついて『ひどくなったら無理しないで言えよ』と言う昴に頷いて、これ以上心配を掛けないように何とか朝食を食べて仕事に出掛けた。
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