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自分でその単語を口にして、思わず『あっ』と気が付く。室長がゲラゲラ笑い出した。「あっはは。やっぱりお前と一緒じゃねえか」 彼女はますます恥ずかしそうに身を縮めた。事情の掴めない桐原夫妻に室長が説明する。「こいつも、跳ねっ返りのじゃじゃ馬なんだよ。凛子、お前と似たタイプだ。ま、その辺の使えない野郎よりいい働きをするがな」「へぇ、そうなの。いいじゃない。ますます話が合いそうだわ。なまえちゃん、よろしく!」「あ、よろしくお願いします!」「凛子、よろしくはいいけど、なまえにあんまり変な事教えるなよ? お前と違って、オレのなまえは可愛くて繊細なんだからな」「あら? どさくさ紛れにノロケとは一柳、言うじゃないの。あのね、あなた。さっきもこの調子でデレてたのよ。こいつ」 先輩に、凛子が報告すると室長が付け足す。「この二人はなまえバカに昴バカのバカップル夫婦だからなー」「穂積先輩、一柳って、いつもこんな調子なの? じゃあ、真面目になったって噂も本当なのねぇ」 凛子の言葉に、先輩が思い出し続け言う。「その噂、凛子も聞いたのか。俺も桂木さんから聞いた。そりゃあもう、大事にしてるって」「え? 桂木さんがそんな事を? 参ったな……ま、でも事実ですけどね。こんなに可愛い女なら、そうなりますよ」「あー、また一柳がノロケたー! あら、なまえちゃんがまた真っ赤かになった。ふふ、可愛いわねぇ。一柳には勿体無ーい」「うるせー。お前にだって先輩は勿体無ねーよ」「あら何、言ってんのよ。あたし達はラブラブなのよー。ねー、あなた」『ははは』と先輩が目を細め笑う。大事にしてるのが、凛子を見るその表情から伝わって来る。 それから、昔話を酒の肴に盛り上がった。なまえは実に興味深気に楽しそうな顔で話を聞いていた。「そうだ。凛子、研修の話、なまえにしてやって」「何だ、チビ助。海外研修行きたいのか?」「いや、全然イメージが無いから分からないですけど。お話は聞いてみたいです。あの、僕、ちょっと……」 彼女がトイレに立つと凛子がからかうように聞いて来る。「良いの? 一柳ぃ」「何?」「あたしの話を聞いて、なまえちゃんが『海外研修、行きたーい』って言い出したらさー。あんた、困るでしょ?」「かもな。でもな、オレはなまえの可能性も摘みたくねーんだよ。あいつはな、アレでかなり優秀だぞ? 前途有望だ。オレのエゴでそれを潰したくねー。オレは、いつでも味方になって、あいつのサポートをしてやりてーんだ。先輩が、そうしてるみたいにな」 そう言うと、先輩が『フッ』と笑う。「昴も、成長したな」 酒を注いでくれた。 「そうねー。うちの宏明にはまだまだ遠く及ばないけど、昔よりマシになっていい男になったわね。彼女のおかげかしら……」「ん、あいつのおかげだな」「あら、一柳あんた、えらく素直ね。びっくりしたわ。本当に変わったのねぇ。ふふ……いい事ね」
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