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● ○ ● ○「なまえ?」 呼び掛けたが、彼女は早口で『僕のだ』と撒くし立てるように口にして更にぎゅっと抱き付いて来る。必死な様子にちょっと驚く。だが、正直嬉しかった。彼女が我慢せずにストレートに感情を表に出すのは珍しい。いつもは、ヤキモチを妬いても我慢してしまうから、気付き難い。それがこんなに必死で……。 と、凛子が吹き出し腹を抱えて笑い出した。「やっぱり……」 思わず、呟くと彼女が『え?』と声を漏らしキョトンとしてる。暫くポーっと凛子を眺め小首を傾げる。[何が何やら分からない]そんな顔だ。滅茶苦茶可愛い。けど……。オレは笑う凛子のおしぼりを取り凛子に投げた。「お前なー、オレのなまえをからかうんじゃねーよ。可哀想じゃねーか。このバカ」 凛子がヒィーヒィー笑いながら『ごめん、ごめん』と言う。目尻に涙まで浮かべて笑ってやがる。「えぇー? どういう事ぉ?」 オレを見上げ聞く彼女。「あーだからな。なまえは、からかわれたんだよ。凛子に」「からかわれた?」「ああ。こいつ、昔からいたずらが好きでな。ったく、凛子は相変わらずだなー。因みにこいつの言った付き合う云々はデマかせだ。こいつ、オレとどうこうなんて一ミリも思ってねーから。あ、もちろんオレもだ。こいつとなんてとんでもねーよ」「デマかせ、なの……?」「そっ、だってこいつ、べた惚れの旦那がいるからな。旦那以外はまるで興味ねーんだ」「えっ! 旦那さんがいるぅ? えぇー? 凛子さん、結婚してるのぉ?」 目を真ん丸くして驚く彼女に頷く。「からかわれたんだ、僕。……マジで? だって知らないから、恥ずかしい事いっぱい言っちゃったよ。ひぃーやだ!」 彼女が真っ赤かになって顔を押さえた。「あー可哀想に。悪い女にいじめられたな。よしよし」 湯気が出そうな位、真っ赤かな彼女を引き寄せ抱きしめながらいいこ、いいこをして慰める。「何よー。一柳ぃ、あんた滅茶苦茶嬉しそうなデレッとした顔してた癖にー。あたしのおかげで嬉しかったでしょー? しっかし、あんたには勿体無い位可愛い子ね。ふふ。可愛い子ってからかいたくなるのよねー。もう反応が一途で可愛い! あーあ、良いわねぇ。あたしも旦那に会いたくなったなー」「旦那といやあ、先輩も凛子を嫁にするなんて物好きだよなー。あり得ねー」「あんた、うっさいわねー」 ギャーギャーと言い合う。凛子とは、いつもそうだ。男友達みたいな感覚で気が合って、こいつにはあんまり遠慮した事がないし、こいつも遠慮がない。そんな調子で騒いでると室長と先輩が連れ立ってやって来た。
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