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「これ? これはねー。はい」 今度は明智さんに差し出した。「俺にか?」 ちょっと面食らう明智さんに、彼女はニッと笑う。「今さ、あんまん食べて『翼達にも食べさせたいな』って思ってたでしょ?」 声色交え言うと、明智さんがちょっと赤らんだ。「当たりだ。ふふ……家族思いの明智さんならきっとそうかなってさ、ワゴンの兄ちゃんに交渉して調理前の譲ってもらったんだ。明智さんなら美味しく蒸かせるでしょ。あんまんしか入ってないけど家族で食べてよ。翼ちゃんも、くるみも、甘いの大好きだもんね」 明智さんが、ちょっと感激したような顔でお礼を言った。「なぁーんだ。翼とくるみので、しかもあんまんじゃ、くれとは言えないわねえ」 ちょっと残念そうに、室長が言うと彼女が、笑いながら言った。「ま、本当にまた非番の時に買って来るって。昼休みに合わせて、持って来るから。他の旨いもんもあるかも知れないしさ。今日の所は、大人しくご飯を食べて下さい」『はいはい』と言いながら、ご飯を食べ始める室長。皆もご飯をパクつき始めた。彼女がふと思い出したように言う。「そうだ。中華まん買ってる時に、すっごい綺麗な人がいたの。すらっとしてさ、格好良い人」「すらっと格好良い美人か。チビが憧れそうなタイプだな」 明智さんが言うとブンブンと頷いて言う。「そう。めっちゃ格好良くてさ、あんな風になりたいなー」「チビ、そんなに美人だったのか? もっと詳しく!」 如月が食い付く。「うん、美人。んーたとえるとぉ、ほら、BOSSの大澤絵里子みたいなかんじ。それがさ、その人も同じ方向であれ? って思ってたら警視庁に入ったんだよ。エレベーターでも一緒で。目が合って声掛けられたの。『あら、あなたも同業者? ここにお勤め?』ってさ。気さくそうな人だったなぁ。で、名乗ったら『そうなの。じゃあ、穂積先輩の所ね。私、海外研修から戻って来た所なのよ。穂積先輩にも挨拶に伺わなきゃ』って爽やかな笑顔で──」 彼女がどこか、ほわんとした顔で言う。「あ? 私を知ってたの? 誰かしら。すらっとした美人で海外研修から戻った……?」「うん。後、昴の事も知ってそうだったよ。『あそこには今、一柳がいるでしょ?』って。だからね、名前を聞こうとしたら降りる階になっちゃってさ。『またね~』って行っちゃったんだ」「オレを一柳って呼んでた……?」「多分それ、桐原凛子ね」「そうですね。あいつですね。きっと。室長は凛子と知り合いですか?」「ええ、あるヤマで凛子が、まだあんこの時に一緒に仕事をした事があるのよ。アンタも知り合いなの? あ、歳からいって同期かしら?」「そうです。同期です」「へぇ、桐原さんと昴くんは同期か。君の代はなかなかの精鋭揃いだねぇ。彼女も優秀だろう」*あんこ:新人
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