慶ちゃんは吸血鬼 外来編
マステゴ ~慶ちゃんは吸血鬼~ 外来編
♡ side
俺がシゲを襲ってしまった日のこと
♡ 「じゃあこれで」
雑誌のインタビュー撮影が終わり、駐車場に向かう
立体駐車場なため、少々薄暗い
自分の車の所へ向かう途中
目の前に黒いワゴン車が現れ、あれよあれよと連れ込まれた
こんなドラマみたいなシーン、ドッキリか?
だったらそんなに腕を強く引っ張るなよ
♡ 「なになに?」
少し面白おかしく、慌てふためく顔をする
どうせドッキリなんだから
「黙れ」
♡ 「んっ!」
そう言われ、白い布のようなものを口に当てられる
___________________________
目を覚ますと俺はブルーシートの上にいた
周りはコンクリートの壁
どこかのアジトのような、たまり場のような感じがする
最近のドッキリはタレントを眠らせるのか
俺はまだ、この大変な事態についてまだ把握出来ていなかった
「起きたね〜」
やたら語尾を伸ばすガタイのいい男がこちらに近づいてくる
男は、鼻ピアスに首、腕にはタトゥーが
口を開ければ舌ピアスまで
これはドッキリじゃない
♡ 「離せよ」
タバコ臭い男3人が俺を取り囲み、押さえつける
強気で歯向かうが、本当は怖い
♡ 「離せって!」
服を脱がされて焦った
♡ 「やだ…やめろ」
奥に座っていた男達はクスクスと笑い、何やらカメラをこちらに向けている
「じゃあ、やっちゃって〜」
あいつはボスか?
あいつの一言で一斉に男達が俺に襲いかかる
色んなところをベタベタと触られて気持ち悪い
♡ 「離せ!」
「うわぁ"っ!」
俺を取り巻く黒い渦が男達を払い除ける
♡ 「チッ…」
バレちゃった
男達は怯えた様子で後ずさり
お前達にはこの姿が見えているの?
赤くて底なしの瞳が
ここからはもうスローモーションのように、
あれほど余裕ぶっていた男達が次々と血を流して倒れていく
♡ 「うわっ…こいつらの血まっず」
ペッと血を吐き出し、この殺戮とした光景を目にする
♡ 「あ………、俺はまた」
殺しちゃった
アジトを出ると、さほど駐車場と距離が離れておらず
俺は歩いて元いた場所に戻った
時間は止まっている
しかしこんな返り血を浴びた服だと物騒だし気持ち悪い
俺は近くの古着屋で良さそうな服を選び、お金をレジに置いて着替えた
周りの人達は皆止まっている
前に小山さんが言っていた
「時間が止まっている間も動ける人間がいる」って
それは誰なんだろう、どんな人なんだろう
なんて考えていたら駐車場についた
車に乗り、エンジンをかけると
向こう側に見慣れた顔が姿を現した
シゲだ
降りて声をかけようか
でも待て、
今は時間が止まっているはず
俺は降りてシゲに聞こうと思った
でもなんて?
「なんで動いているの?」とでも言うのか?
俺は一旦降りた車にまた乗ろうとするが
フワッと甘い香りがした
時間が止まっているのに匂いを感じるなんて
♡ 「っ!」
俺は激しい息切れと共にそこで気を失った
ここから先は覚えていない
また俺は人を殺してしまったのだろうか
小山さんに抱かれる状態で目を覚まし、ペロッと八重歯を舐めると甘い味がした
この味…
俺は直ぐに飛び起きた
シゲを殺した?
□ 「大丈夫、誰も殺してない」
小山さんのその声を聞いて、俺はシゲを殺してないんだとホッとした
誰も殺してない…は、間違ってるけど
シゲに謝り、時間を戻した
「これで戻ったの?」と不安そうに聞く
俺もよくわからない、何となくそれっぽくしたら時間は動く
シゲはマネージャーを待っているという事だから、
俺はマネージャーが来る前に駐車場から出た
_________________________________
人を殺めたその日の夜は決まってある夢を見る
俺はそんな悪夢に犯されうなされ、汗だくになっていた
▽ 「手越、手越ってば」
隣で寝ていた頼りがいのある恋人が俺を譲って起こす
♡ 「あ、……あぁ、ごめん」
▽ 「大丈夫?汗ふく?」
君はベッドから降り、お湯で絞ったタオルを持ってきてくれた
人を殺してしまった罪悪感と、
あの時男達に押さえつけられて身動きが取れなかった恐怖が入り交じる
▽ 「何があったか…言ってくれないの?」
言ったら君はどんな顔をする?
軽蔑する?怖がられる?
俺は人を殺したんだ
♡ 「ごめん…」
君は極端に悲しそうな顔をした
▽ 「あ、タオル冷たくなっちゃった…もう1回あっためてくるね」
♡ 「待って!………ひとりにしないで…」
俺は話した、もちろん人を殺したことは言わずに
男に無理やり車へ連れ込まれた
輪姦されそうになった所を死にものぐるいで逃げてきたと
▽ 「そんなことが…」
君は俺を優しく包み込む
▽ 「怖い?」
♡ 「怖くない」
怖くないから…
気持ち悪い手で触られた事には変わりない
今すぐ君に触れて欲しい、上書きして欲しい
♡ 「んッ…」
優しく、溶け込むようなキスを何度も
そっと腰を抱き寄せる腕は強いけど暖かくて優しい
丁寧に触れられる所が熱くなる
♡ 「あぅッ…貴ッ…」
君に触れられると 俺の中にある汚いものが浄化されている気がするんだ
だからもっと触って?
いつか俺が人間じゃないって言えたらいいな
その時は君の血を飲みたい
♡ side
俺がシゲを襲ってしまった日のこと
♡ 「じゃあこれで」
雑誌のインタビュー撮影が終わり、駐車場に向かう
立体駐車場なため、少々薄暗い
自分の車の所へ向かう途中
目の前に黒いワゴン車が現れ、あれよあれよと連れ込まれた
こんなドラマみたいなシーン、ドッキリか?
だったらそんなに腕を強く引っ張るなよ
♡ 「なになに?」
少し面白おかしく、慌てふためく顔をする
どうせドッキリなんだから
「黙れ」
♡ 「んっ!」
そう言われ、白い布のようなものを口に当てられる
___________________________
目を覚ますと俺はブルーシートの上にいた
周りはコンクリートの壁
どこかのアジトのような、たまり場のような感じがする
最近のドッキリはタレントを眠らせるのか
俺はまだ、この大変な事態についてまだ把握出来ていなかった
「起きたね〜」
やたら語尾を伸ばすガタイのいい男がこちらに近づいてくる
男は、鼻ピアスに首、腕にはタトゥーが
口を開ければ舌ピアスまで
これはドッキリじゃない
♡ 「離せよ」
タバコ臭い男3人が俺を取り囲み、押さえつける
強気で歯向かうが、本当は怖い
♡ 「離せって!」
服を脱がされて焦った
♡ 「やだ…やめろ」
奥に座っていた男達はクスクスと笑い、何やらカメラをこちらに向けている
「じゃあ、やっちゃって〜」
あいつはボスか?
あいつの一言で一斉に男達が俺に襲いかかる
色んなところをベタベタと触られて気持ち悪い
♡ 「離せ!」
「うわぁ"っ!」
俺を取り巻く黒い渦が男達を払い除ける
♡ 「チッ…」
バレちゃった
男達は怯えた様子で後ずさり
お前達にはこの姿が見えているの?
赤くて底なしの瞳が
ここからはもうスローモーションのように、
あれほど余裕ぶっていた男達が次々と血を流して倒れていく
♡ 「うわっ…こいつらの血まっず」
ペッと血を吐き出し、この殺戮とした光景を目にする
♡ 「あ………、俺はまた」
殺しちゃった
アジトを出ると、さほど駐車場と距離が離れておらず
俺は歩いて元いた場所に戻った
時間は止まっている
しかしこんな返り血を浴びた服だと物騒だし気持ち悪い
俺は近くの古着屋で良さそうな服を選び、お金をレジに置いて着替えた
周りの人達は皆止まっている
前に小山さんが言っていた
「時間が止まっている間も動ける人間がいる」って
それは誰なんだろう、どんな人なんだろう
なんて考えていたら駐車場についた
車に乗り、エンジンをかけると
向こう側に見慣れた顔が姿を現した
シゲだ
降りて声をかけようか
でも待て、
今は時間が止まっているはず
俺は降りてシゲに聞こうと思った
でもなんて?
「なんで動いているの?」とでも言うのか?
俺は一旦降りた車にまた乗ろうとするが
フワッと甘い香りがした
時間が止まっているのに匂いを感じるなんて
♡ 「っ!」
俺は激しい息切れと共にそこで気を失った
ここから先は覚えていない
また俺は人を殺してしまったのだろうか
小山さんに抱かれる状態で目を覚まし、ペロッと八重歯を舐めると甘い味がした
この味…
俺は直ぐに飛び起きた
シゲを殺した?
□ 「大丈夫、誰も殺してない」
小山さんのその声を聞いて、俺はシゲを殺してないんだとホッとした
誰も殺してない…は、間違ってるけど
シゲに謝り、時間を戻した
「これで戻ったの?」と不安そうに聞く
俺もよくわからない、何となくそれっぽくしたら時間は動く
シゲはマネージャーを待っているという事だから、
俺はマネージャーが来る前に駐車場から出た
_________________________________
人を殺めたその日の夜は決まってある夢を見る
俺はそんな悪夢に犯されうなされ、汗だくになっていた
▽ 「手越、手越ってば」
隣で寝ていた頼りがいのある恋人が俺を譲って起こす
♡ 「あ、……あぁ、ごめん」
▽ 「大丈夫?汗ふく?」
君はベッドから降り、お湯で絞ったタオルを持ってきてくれた
人を殺してしまった罪悪感と、
あの時男達に押さえつけられて身動きが取れなかった恐怖が入り交じる
▽ 「何があったか…言ってくれないの?」
言ったら君はどんな顔をする?
軽蔑する?怖がられる?
俺は人を殺したんだ
♡ 「ごめん…」
君は極端に悲しそうな顔をした
▽ 「あ、タオル冷たくなっちゃった…もう1回あっためてくるね」
♡ 「待って!………ひとりにしないで…」
俺は話した、もちろん人を殺したことは言わずに
男に無理やり車へ連れ込まれた
輪姦されそうになった所を死にものぐるいで逃げてきたと
▽ 「そんなことが…」
君は俺を優しく包み込む
▽ 「怖い?」
♡ 「怖くない」
怖くないから…
気持ち悪い手で触られた事には変わりない
今すぐ君に触れて欲しい、上書きして欲しい
♡ 「んッ…」
優しく、溶け込むようなキスを何度も
そっと腰を抱き寄せる腕は強いけど暖かくて優しい
丁寧に触れられる所が熱くなる
♡ 「あぅッ…貴ッ…」
君に触れられると 俺の中にある汚いものが浄化されている気がするんだ
だからもっと触って?
いつか俺が人間じゃないって言えたらいいな
その時は君の血を飲みたい
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