神様、自分、迷い犬の世界なんて求めてませんっ!
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やっぱアイツ、クソ野郎だ。
太宰さんと出会って早3時間弱、私は早くもあの包帯への怒りを再発させていた。
事の始まりは30分前、普通に道をブラブラと歩いていただけなのに、あやつはいきなり「良い川があるよっっ!!」とキラキラした目で言い放ち、私が反応するよりも早く、ゴキブリのような速さで川へドボンしたのである。
私が茫然としていると、後ろから
「だざぁぁぁぁぁぁぁぁあい!!!!!!!!!!」
と喉が心配になるくらいの大声で叫ぶ男の人の声が聞こえてきた。
振り向くと、髪の長い……国木田独歩さんが鬼の形相でこちら(おそらくは川を流れる太宰さん)を見ていた。私は考えるよりも早く国木田さんに声をかけていた。
「あっあの!」
「ん?なんだお前は。まさか、あの男の入水 を手伝っていた、とでも言うのか!?」
「ちょっとちょっと!そんなこと一言も言ってないじゃないですか!手伝ってるっていうか、私もあのクソ包帯に困ってるんです!」
慌てて弁明する私に、国木田さんは疑わしげな視線を向ける。その目に射抜かれそうになりつつ、私は言葉を続ける。
「その、見知らぬ人ですし疑うのも分かるのですけど、実は私、あの包帯男に拾われたのですよ」
「拾われたぁ?」
更に眉根が寄るのを見て、心に焦りが生まれる。あ、あれ?余計に怪しい者って印象与えちゃった?……そりゃそうか、あの男が拾ってきた奴なんて怪しいことこの上ないよな、しらんけど()。
でも、全てを説明すれば私があのクソヤローに肩入れしているわけではないことはご理解いただけるかもしれぬ!!←どこの人?
「実は、かくかくしかじかで行く場所もなく……。そんな時に太宰さんがやって来て、私を拾ってくれたんです。虎探しを手伝ってくれるなら、っていう交換条件つきで。最初は嫌がったんですけど……」
「彼奴 っっ!!自分がサボりたいからって無関係の人物に仕事を押し付けて入水したということか!?どこまでも怠け者だな全く!」
嗚呼……悲しき叫び……。常日頃あのお方に振り回されているのだなぁ、可哀想に……。などと涙をほろりさせていると、国木田さんが勢いよくこちらを振り向いた。ビクッと肩を揺らすも、その瞳は先程よりも落ち着いていた。それでも威厳ある力強さに後退りしてしまいそうになる。
「な、なんでしょうか?」
「すまんな、あんな奴に会ってしまった所為 でこんな変なことに巻き込まれて……」
まるで自分のことのように眉をひそめ、ため息をつく国木田さんに、私はなぜかこんな言葉を吐いていた。
「けど、あの人だから、私は拾ってもらえたんだと思いますし」
そう笑ってから、自分の発言の矛盾に気づき、慌てて口を両手で抑えた。さっきまで罵倒していたというのに、まるで、逆に肩入れしているみたいじゃないか!それが一番嫌だって思ってんのに!!
そう悶えていると、フッと息を吐くような笑いが聞こえた。不思議に思いつつ国木田さんの顔を見上げると、その顔は今まで見てきた表情の中でも一番に柔らかく、優しかった。
思わずその表情に見入っていると、国木田さんはハッと我に返り、背を向けた。なんだか可愛くて「プッ」と吹き出した私に、国木田さんは今度こそ私に鋭い目線を向けた。ひゅっと息を呑み、固まる私をしばらく見つめたあと、国木田さんはまた微笑み、口を開いた。
「なんだか、お前は不思議な奴だな。……あぁ、そういえば、まだ名乗っていなかったな。俺は国木田独歩、あの包帯の……相棒だ」
知ってるけど、と思いつつ私は小さく頷く。
国木田さんは私と目を合わせた。眼鏡の奥で、鋭い目が、少し柔らかな何かを纏っているように見えた。
「太宰に拾われたのなら、此処に放置するのはあまり良くないだろう。一緒に探すか。お前の名は?」
「……文子です」
答えると、国木田さんは大きく頷き、背を向けて歩き始めた。
「よし、文子、俺に着いてこい。彼奴の入水ルートは半分は頭に入っている。まあ、大抵は裏をかかれるんだが……。ああ腹が立つ……殺してやりたい……だが彼奴は死にたがっているのだからそれじゃ罰にならん……。そうだ、犬を大量にけしかければ卒倒するんじゃないか……?よしそれだ、今度大量に犬を所持している家を乱歩さんに探してもらって……」
ブツブツ恨み言を呟く国木田さんに若干引きつつ、あのヤバ包帯への苛立ちが溢れて来るのを感じていた。ああ、一瞬でも肩入れみたいなことを口走った自分を殴りたいっっ!
……というか、なんで私はあんな男にこんなに心を振り回されてるんだ……?
そんな疑問に首を傾げつつ、私は高身長眼鏡の後ろを背後霊のようについていくのだった。
太宰さんと出会って早3時間弱、私は早くもあの包帯への怒りを再発させていた。
事の始まりは30分前、普通に道をブラブラと歩いていただけなのに、あやつはいきなり「良い川があるよっっ!!」とキラキラした目で言い放ち、私が反応するよりも早く、ゴキブリのような速さで川へドボンしたのである。
私が茫然としていると、後ろから
「だざぁぁぁぁぁぁぁぁあい!!!!!!!!!!」
と喉が心配になるくらいの大声で叫ぶ男の人の声が聞こえてきた。
振り向くと、髪の長い……国木田独歩さんが鬼の形相でこちら(おそらくは川を流れる太宰さん)を見ていた。私は考えるよりも早く国木田さんに声をかけていた。
「あっあの!」
「ん?なんだお前は。まさか、あの男の
「ちょっとちょっと!そんなこと一言も言ってないじゃないですか!手伝ってるっていうか、私もあのクソ包帯に困ってるんです!」
慌てて弁明する私に、国木田さんは疑わしげな視線を向ける。その目に射抜かれそうになりつつ、私は言葉を続ける。
「その、見知らぬ人ですし疑うのも分かるのですけど、実は私、あの包帯男に拾われたのですよ」
「拾われたぁ?」
更に眉根が寄るのを見て、心に焦りが生まれる。あ、あれ?余計に怪しい者って印象与えちゃった?……そりゃそうか、あの男が拾ってきた奴なんて怪しいことこの上ないよな、しらんけど()。
でも、全てを説明すれば私があのクソヤローに肩入れしているわけではないことはご理解いただけるかもしれぬ!!←どこの人?
「実は、かくかくしかじかで行く場所もなく……。そんな時に太宰さんがやって来て、私を拾ってくれたんです。虎探しを手伝ってくれるなら、っていう交換条件つきで。最初は嫌がったんですけど……」
「
嗚呼……悲しき叫び……。常日頃あのお方に振り回されているのだなぁ、可哀想に……。などと涙をほろりさせていると、国木田さんが勢いよくこちらを振り向いた。ビクッと肩を揺らすも、その瞳は先程よりも落ち着いていた。それでも威厳ある力強さに後退りしてしまいそうになる。
「な、なんでしょうか?」
「すまんな、あんな奴に会ってしまった
まるで自分のことのように眉をひそめ、ため息をつく国木田さんに、私はなぜかこんな言葉を吐いていた。
「けど、あの人だから、私は拾ってもらえたんだと思いますし」
そう笑ってから、自分の発言の矛盾に気づき、慌てて口を両手で抑えた。さっきまで罵倒していたというのに、まるで、逆に肩入れしているみたいじゃないか!それが一番嫌だって思ってんのに!!
そう悶えていると、フッと息を吐くような笑いが聞こえた。不思議に思いつつ国木田さんの顔を見上げると、その顔は今まで見てきた表情の中でも一番に柔らかく、優しかった。
思わずその表情に見入っていると、国木田さんはハッと我に返り、背を向けた。なんだか可愛くて「プッ」と吹き出した私に、国木田さんは今度こそ私に鋭い目線を向けた。ひゅっと息を呑み、固まる私をしばらく見つめたあと、国木田さんはまた微笑み、口を開いた。
「なんだか、お前は不思議な奴だな。……あぁ、そういえば、まだ名乗っていなかったな。俺は国木田独歩、あの包帯の……相棒だ」
知ってるけど、と思いつつ私は小さく頷く。
国木田さんは私と目を合わせた。眼鏡の奥で、鋭い目が、少し柔らかな何かを纏っているように見えた。
「太宰に拾われたのなら、此処に放置するのはあまり良くないだろう。一緒に探すか。お前の名は?」
「……文子です」
答えると、国木田さんは大きく頷き、背を向けて歩き始めた。
「よし、文子、俺に着いてこい。彼奴の入水ルートは半分は頭に入っている。まあ、大抵は裏をかかれるんだが……。ああ腹が立つ……殺してやりたい……だが彼奴は死にたがっているのだからそれじゃ罰にならん……。そうだ、犬を大量にけしかければ卒倒するんじゃないか……?よしそれだ、今度大量に犬を所持している家を乱歩さんに探してもらって……」
ブツブツ恨み言を呟く国木田さんに若干引きつつ、あのヤバ包帯への苛立ちが溢れて来るのを感じていた。ああ、一瞬でも肩入れみたいなことを口走った自分を殴りたいっっ!
……というか、なんで私はあんな男にこんなに心を振り回されてるんだ……?
そんな疑問に首を傾げつつ、私は高身長眼鏡の後ろを背後霊のようについていくのだった。
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