曲者さんと一緒の段
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「あれ~? 早雲先輩?」
「先輩、さっき諸泉尊奈門さんの声が聞こえたんですけど」
「伏木蔵と乱太郎か。そう、ちょうど運び込まれてな。治療の手伝いをしているんだ」
「そうなんですか!? 保健委員として、放っておけません!」
「知らない間にすっごいスリル~。ぼくも行きます!」
「ありがとう。俺は頼まれた水を汲んでくるから、二人は医務室に向かってくれ」
「はい!」
綺麗に揃った返事と、ぱたぱたと立てる足音がなんとも微笑ましい。
早雲は一年生の可愛らしさに癒されつつ、尊奈門のために水を用意した。
「お待たせしまし……」
「うわあ~! 伊作先輩ー!」
「不運だあ~!」
「何でこうなる!!」
「尊奈門さん! 安静に!」
「できるか!!」
「おかえり早雲くん」
「ただいま、帰りました……」
「悪い早雲、手を貸してくれないか」
「もちろんです」
別名・不運委員会のメンバーが二人増えたからなのか、部屋はとんでもないことになっていた。
苦笑した土井に頷き、早雲も救出に加わる。
何故か抜けた引き出しや包帯、様々なものが散らばり乱雑とした中から、三人を引っ張り出すことにした。
「伊作先輩、大丈夫ですか」
「助かるよ早雲~」
「乱太郎と伏木蔵も……ほら、手を」
「ありがとうございます、先輩ー!」
怪我人の尊奈門は土井が助けていたので、落ちてきた物の海に飲み込まれたのは保健委員たちだった。
美男子である早雲だが、意外と力は強い。
一年生は勿論、先輩である伊作のことも軽々と救出する。
そんな忍たまたちを、ちゃっかり退避した雑渡はお茶を啜りながら眺めていた。
「じゃあ、治療を始めますね。……わあっ、粉薬が!」
「ゲホッ! なんで今出した!」
「尊奈門さん、専門家の先輩が出したんです、きっと必要なものですよ」
「……まあ、お前がそう言うなら……」
「うわ~ん! 手が滑っちゃいましたぁ!」
「おっと。乱太郎、中身は無事だ」
「ありがとうございます、早雲先輩!」
「いててて! 押し付けすぎだ!!」
「でも、こうした方がもっとスリルですよぉ」
その後、幾度となく不運が発生したが、その都度早雲が対応することで尊奈門の治療は無事に終わった。
「尊奈門くん、もう暫くは勝負できないからね」
「くう……覚えてろよ、土井半助……」
まったく、と息を吐いた土井を見ていた早雲はあることに気づく。
「先生」
「ん? どうした早雲」
「頬に粉が。……失礼します」
先ほど伊作がまき散らした粉が土井の頬に残っていたので、手拭いでさっと拭き取った。
一瞬目を丸くした土井だったが、すぐに微笑んで礼を言う。
「ありがとう」
「いえ」
「……それにしても、大きくなったなあ。まさか早雲に顔を拭かれる日がくるとは。乱太郎たちと同じくらいだった頃の早雲を思うと、感慨深いよ」
「なんですか、四年前のことをそんな赤子の頃から見ていたかのような……」
急に生あたたかい視線になった土井に、早雲は話を終わらせようとするが、思い通りにはならなかった。
その言葉を聞いて笑みを深くした伊作が会話に加わったからだ。
「一年生の頃の早雲、可愛かったですもんね」
「へぇ。小さい頃の早雲くん、興味あるな」
「雑渡さんまで! 止してください」
「わたしと同い年の早雲先輩……!」
「ぼくも見てみたいですぅ~」
「ね、みんなも気になるよね」
わいわいと盛り上がる伊作たちに、早雲の居心地の悪さが加速する。
ここに味方はいない。
横たわって気の毒そうに早雲を見る尊奈門が一番の味方という絶望的状況。
思わず、早雲は助けを求めるようにこぼしてしまう。
「う……小平太先輩……」
「ふふ」
その名前を聞き、伊作は目を細めた。
「やっぱり、早雲が一番初めに頼りにするのは小平太だよね」
「ああ、それは変わらないな」
「い、さく先輩、土井先生も、ちょっと……」
「ふぅん。会計委員の先輩じゃないんだ?」
「そうなんです。雑渡さんにも見せたいなぁ、あの時の早雲」
「伊作、乱太郎に特徴を伝えて描いてもらうのはどうだ?」
「わたしも気になるので、ぜひ!」
「小さい頃の早雲くんか。楽しみだな」
「っ~~! もう! 尊奈門さんからも何か言ってくださいよ!」
「はぁ? 私は怪我人だ!」
「尊奈門さん興奮しないで! 包帯がズレます!」
「理不尽だ~!!!」
照れた早雲から突然助けを求められた尊奈門はとばっちりをくらい、大声を上げることに。
この後再び一悶着あったが、なんやかんやで丸く収まり、タソガレドキの二人は忍術学園を後にした。
きちんと当初の目的だった薬も伊作から受け取り、早雲の慌ただしい一日はようやく終わるかと思いきや。
「で、早雲先輩」
「さっきのお話について、詳しく~!」
「俺は知らない! 早く忘れてくれ!!」
「あっ! 待ってくださーい!」
医務室を飛び出す早雲を追いかける乱太郎と伏木蔵。
この日、一年生に追いかけられる五年生、という珍しい光景が廊下で目撃されたのだった。
四年前の早雲の話は、また後ほど。
「先輩、さっき諸泉尊奈門さんの声が聞こえたんですけど」
「伏木蔵と乱太郎か。そう、ちょうど運び込まれてな。治療の手伝いをしているんだ」
「そうなんですか!? 保健委員として、放っておけません!」
「知らない間にすっごいスリル~。ぼくも行きます!」
「ありがとう。俺は頼まれた水を汲んでくるから、二人は医務室に向かってくれ」
「はい!」
綺麗に揃った返事と、ぱたぱたと立てる足音がなんとも微笑ましい。
早雲は一年生の可愛らしさに癒されつつ、尊奈門のために水を用意した。
「お待たせしまし……」
「うわあ~! 伊作先輩ー!」
「不運だあ~!」
「何でこうなる!!」
「尊奈門さん! 安静に!」
「できるか!!」
「おかえり早雲くん」
「ただいま、帰りました……」
「悪い早雲、手を貸してくれないか」
「もちろんです」
別名・不運委員会のメンバーが二人増えたからなのか、部屋はとんでもないことになっていた。
苦笑した土井に頷き、早雲も救出に加わる。
何故か抜けた引き出しや包帯、様々なものが散らばり乱雑とした中から、三人を引っ張り出すことにした。
「伊作先輩、大丈夫ですか」
「助かるよ早雲~」
「乱太郎と伏木蔵も……ほら、手を」
「ありがとうございます、先輩ー!」
怪我人の尊奈門は土井が助けていたので、落ちてきた物の海に飲み込まれたのは保健委員たちだった。
美男子である早雲だが、意外と力は強い。
一年生は勿論、先輩である伊作のことも軽々と救出する。
そんな忍たまたちを、ちゃっかり退避した雑渡はお茶を啜りながら眺めていた。
「じゃあ、治療を始めますね。……わあっ、粉薬が!」
「ゲホッ! なんで今出した!」
「尊奈門さん、専門家の先輩が出したんです、きっと必要なものですよ」
「……まあ、お前がそう言うなら……」
「うわ~ん! 手が滑っちゃいましたぁ!」
「おっと。乱太郎、中身は無事だ」
「ありがとうございます、早雲先輩!」
「いててて! 押し付けすぎだ!!」
「でも、こうした方がもっとスリルですよぉ」
その後、幾度となく不運が発生したが、その都度早雲が対応することで尊奈門の治療は無事に終わった。
「尊奈門くん、もう暫くは勝負できないからね」
「くう……覚えてろよ、土井半助……」
まったく、と息を吐いた土井を見ていた早雲はあることに気づく。
「先生」
「ん? どうした早雲」
「頬に粉が。……失礼します」
先ほど伊作がまき散らした粉が土井の頬に残っていたので、手拭いでさっと拭き取った。
一瞬目を丸くした土井だったが、すぐに微笑んで礼を言う。
「ありがとう」
「いえ」
「……それにしても、大きくなったなあ。まさか早雲に顔を拭かれる日がくるとは。乱太郎たちと同じくらいだった頃の早雲を思うと、感慨深いよ」
「なんですか、四年前のことをそんな赤子の頃から見ていたかのような……」
急に生あたたかい視線になった土井に、早雲は話を終わらせようとするが、思い通りにはならなかった。
その言葉を聞いて笑みを深くした伊作が会話に加わったからだ。
「一年生の頃の早雲、可愛かったですもんね」
「へぇ。小さい頃の早雲くん、興味あるな」
「雑渡さんまで! 止してください」
「わたしと同い年の早雲先輩……!」
「ぼくも見てみたいですぅ~」
「ね、みんなも気になるよね」
わいわいと盛り上がる伊作たちに、早雲の居心地の悪さが加速する。
ここに味方はいない。
横たわって気の毒そうに早雲を見る尊奈門が一番の味方という絶望的状況。
思わず、早雲は助けを求めるようにこぼしてしまう。
「う……小平太先輩……」
「ふふ」
その名前を聞き、伊作は目を細めた。
「やっぱり、早雲が一番初めに頼りにするのは小平太だよね」
「ああ、それは変わらないな」
「い、さく先輩、土井先生も、ちょっと……」
「ふぅん。会計委員の先輩じゃないんだ?」
「そうなんです。雑渡さんにも見せたいなぁ、あの時の早雲」
「伊作、乱太郎に特徴を伝えて描いてもらうのはどうだ?」
「わたしも気になるので、ぜひ!」
「小さい頃の早雲くんか。楽しみだな」
「っ~~! もう! 尊奈門さんからも何か言ってくださいよ!」
「はぁ? 私は怪我人だ!」
「尊奈門さん興奮しないで! 包帯がズレます!」
「理不尽だ~!!!」
照れた早雲から突然助けを求められた尊奈門はとばっちりをくらい、大声を上げることに。
この後再び一悶着あったが、なんやかんやで丸く収まり、タソガレドキの二人は忍術学園を後にした。
きちんと当初の目的だった薬も伊作から受け取り、早雲の慌ただしい一日はようやく終わるかと思いきや。
「で、早雲先輩」
「さっきのお話について、詳しく~!」
「俺は知らない! 早く忘れてくれ!!」
「あっ! 待ってくださーい!」
医務室を飛び出す早雲を追いかける乱太郎と伏木蔵。
この日、一年生に追いかけられる五年生、という珍しい光景が廊下で目撃されたのだった。
四年前の早雲の話は、また後ほど。
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