鼻毛スピリッツ

西暦300X年。
マルハーゲ帝国は滅んだと思われていた。
しかし、あのツル・ツルリーナ4世は生きていたのだ!!
そしてその幕が今、開かれようとしている!
そんな中、彼の戦士たちが立ち上がるのだった!!










鼻毛1『集う戦士たち!奢りは宜しく』




とある喫茶店にて、ビュティはボーボボたちを待っていた。
ボーボボから招集の手紙を受け、ビュティはやってきたのだ。

「来たい奴だけ付いて来いって書いてあったけど、みんな来るよね?」

ビュティはボックス席で窓の外を見ながらぼやいた。
例え誰かが来なくてもきっとまた出会う。
不思議とそんな気がした。

「それにしてもボーボボ遅いな~。自分から招集かけといて遅刻するなんてさ~」

ビュティは不服そうな顔をしながら、ふと店の植木に目をやった。

「なぁっ!!?」

すると、植木にはボーボボの顔があり、ビュティは驚いた。
そして、ツッコミが炸裂する。

「ボーボボそこで何やってんの!?」
「おお、ビュティか。久しぶりだな」
「久しぶりだけれども!!」

「どうした?一体?」

すると、店の店員がビュティとボーボボのやり取りに気付いたらしく、声をかけてきた。

「ああ、ちょっと仲間が来たからな。話をしていたんだ」
「へぇー、そっか。なら今日はもう上がっていいぞ」
「あざーす」

店員は去り、ボーボボは植木のきぐるみ(?)を脱いだ。
そして、首をコキコキ鳴らしてビュティの向かい側の席に着く。

「あ~、やっぱ植木のバイトは大変だな~時給500円ってのはやっぱ安いかな~?」
「安すぎるよ!」

ビュティのツッコミが出た所で、ボーボボはメニュー表を手に取った。
そして、たまたま通りかかった店員に声をかける。

「ああ、すいません」
「はい、何でしょうか?」
「このハンバーグセット一つ。セットはドリンクのコーヒーで」
「かしこまりました」
「ビュティも何か注文するか?」
「じゃあ、このトロピカルパフェで」
「かしこまりました」

店員はお辞儀をすると厨房へと向かった。
そして、二人の会話が始まる。

「今回招集をかけたのってやっぱりまた○ハーゲ帝国関係のこと?」
「そうだ。詳しい事は皆が集まってから話す」

そう言いながらボーボボはおしぼりで手を拭く。
対するビュティは水を飲む。
そこに―――







「お待たせいたしました」

先程の店員がトレーにトロピカルパフェとハンバーグセット&コーヒーを持ってきたのだ。

「トロピカルパフェの方」
「あ、はーい」

ビュティが手を上げると、ビュティの前にトロピカルパフェが置かれた。

「ハンバーグセットの方」
「あ、俺です」

店員は先にコーヒーを出した。
そして―――

「しかし、ハンバーグが作れなかったので代わりにこの食材を使わせていただきました」

店員はハンバーグが乗った皿を置いた。
しかし、店員の言った通り、ハンバーグの代わりにオレンジ色の物体が使われていた。

「あれ?これってもしかして・・・」

ビュティはオレンジ色の物体に見覚えがあった。
太陽の様な印象的なオレンジ。
そして沢山あるトゲ。
これはもしや―――

「ええーーーーーっ!?首領パッチ君!?」

そう、オレンジ色の物体は首領パッチだったのだ。

「よお、久しぶりだな。ビュティ、ボーボボ」

首領パッチは軽く手を上げて挨拶をする。

「久しぶりだな、首領パッチ。相変わらずいいハジケっぷりだな」
「だろ?」
「まぁ座れ」

ボーボボに促され、首領パッチはボーボボの隣に座った。
そして、メニュー表を見ると店員を呼んだ。

「すいません、チョコレートパフェ一つ」
「かしこましました」

子供のような顔をして注文した首領パッチの表情はそのまま。
そして・・・

「お待たせいたしました。チョコレートパフェです」

店員がチョコレートパフェを出してきた。
首領パッチはそれに喜ぶ。

「わーい!いっただっきまーす!」

首領パッチは無邪気な顔をしながらチョコレートパフェを食べ始める。
パクパクと食べるその様は子供そのものだ。
そして、しばらくすると―――

「あ、いた」

オナラ真拳の使い手・ヘッポコ丸がやって来たのだ。








「遅いぞ、ヘッポコ丸」
「すいません、ちょっと準備に手間取って・・・」

ヘッポコ丸は謝った。
そして、ビュティの隣に座る。

「よし、全員集まったな」
「待ってボーボボ。天の助君やお兄ちゃんがまだ来てないよ」
「色々用事があって来れないって連絡が来たんだ。俺たちで集会を始めるぞ」
「そうなんだ」

ビュティは納得した。が、ここに来ている自分たちは何て暇なのだろうとも思った。
それは置いといて、ボーボボの話は続く。

「さて、まず最初に・・・今日は誰がここの食事代払う~?」

ボーボボは急にギャルの格好をして言い放った。
そのボケに首領パッチもギャルになって乗る。

「何言ってんの?誘ったあんたが払いなさいよボボ美~」
「えー?嫌よ~。アタシこの間払ったもん。今度はパチ美が払ってよ~」
「え~?あたしぃ、今月ヤバいのよ~。そうだ!ここはヘッ君に払ってもらいましょうよ!」

「え?あの、ちょっと・・・」

急に話しを振られて戸惑うヘッポコ丸。
しかし、そうこうしている内に話はどんどん進んでいく。

「あら、いいわねぇ~。そうしましょう!いいでしょ?ヘッ君?」
「え?いや、俺は・・・その・・・」
「はい決定~!ヨロシクネ~ヘッ君」

パチ美は勝手に決定してしまい、ヘッポコ丸が食事代を払うことになった。
哀れヘッポコ丸。
悲しむヘッポコ丸にビュティは・・・

「ヘッ君、もっと発言力持った方がいいよ?」

などと言う励ましているのかそうでないのかという言葉を掛けて来た。
ヘッポコ丸は更に涙を流す。
そんなヘッポコ丸を放置してビュティは元に戻ったボーボボに本題を促した。

「それよりボーボボ、早く本題を言ってよ」
「そうだったな。―――お前らは知らないと思うが単刀直入に言う。あのツル・ツルリーナ4世がとうとうたった」

「えっ!?」
「えっ!?」
「まぁっ!?」

この時、ビュティとヘッポコ丸は驚きの表情を見せた。
しかし、首領パッチだけは若干別の驚きを表した。

「ツララ、やっと立てるようになったのね・・・。パチジ、嬉しい!!」

首領パッチは手に口をあてながら泣いた。
ついでに言うなら、ハ○ジの鬘も被っている。

「そういえば、ツララにこんなことしったけなぁ~・・・」


オラオラァ!
さっさと立てるようになれやぁ!!

て言って鞭を打ったり・・・

立てねぇんだったら友達の縁切るぞ!?

て言ったり・・・


「やったっけなぁ~。今となっては楽しい思い出ね」








首領パッチの回想では、ツル・ツルリーナ4世がいた。
しかし、首領パッチの回想通り、極悪非道の限りをつくされていて何とも哀れだった。

「アンタ何て事してんだよ!?苦しい思い出でしかないよ!!」

ビュティは同情しながらツッコんだ。

「おじいさんもパチジに協力した甲斐があったよ」

何時の間にかボーボボはおじいさんの格好をしていた。
そして、首領パッチ―――いや、パチジと同じような回想をする。

「確か、こんなことしたなぁ・・・」


オラオラァ!
早く立てるようになんねーと車いすパンクさせんぞ!!


「もはやただの苛めでしかねぇー!!」

今度はヘッポコ丸がツッコむ。
本当に酷い奴らだ。
しかし、そんな流れをビュティが浄化する。

「ねぇ、ふざけてないで真面目に話してよ!!ツル・ツルリーナ4世がたったって本当なの!?」
「ああ、本当だ。4世は再び毛狩り隊を作って最強の戦士を育成して“カオス・ザ・マルハーゲ帝国”を作り上げたのだ」
「“カオス・ザ・マルハーゲ帝国”!?」

(ゴロが悪い)

ビュティは内心思うのだった。

「では、何故4世はその存在を公にしないのですか?」
「準備が出来ていないからだろうな、きっと。だが、奴は今日、マルハーゲ帝国を改め、カオス・ザ・マルハーゲ帝国の復活を宣言する」
「そんな・・・。でも、一体そんな情報をどこで?」

ビュティが聞くと、ボーボボは一人の男性を想像した。
眼鏡をかけて髪は長く、四六時中パソコンに熱中している男だ。
顔にはニキビが沢山ついていて太っている。

「漫画喫茶で知り合ったのん君だ」
「それただのオタクじゃん!!」
「何を言う。のん君は色んなアニメや漫画のことを知っていて声優のライブやらキャラのコスプレもするんだぞ!?」
「だから何!?」
「それでインターネットで情報を手に入れるのもお手の元なんだ。そこでたまたま、ネットの掲示板で毛狩り隊の情報を俺に教えてくれたんだ!」
「たまたまかよ!!つか、ネットの掲示板に載せるとかどんだけだよ!!」

今度はヘッポコ丸がツッコむ。
その時―――

「あの~、もしかしてボーボボさんたちですか?」








男がやってきて声を掛けて来た。
見れば、いつかの毛狩り隊の服を着ている男がいた。
その証拠に、胸の部分に、丸の中に『狩』と書かれている。
とどめに丸刈り。
という事は毛狩り隊だ。

「毛狩り隊!?」

ビュティが叫んで警戒する。
ボーボボは隊員を睨みながら尋ねる。

「毛狩り隊か?」
「あ、そうですけど、私はこういった郵便物を配る者でございますので戦意はございません」
「あらやだも~!そうならそうと早く言って下さいよも~!」

隊員の話を聞くなり、ボーボボは急に奥さん口調になった。
ピンクのエプロンに紅い口紅やら頬紅をしている。

「それで、今日は何かしら?」
「はい、ボーボボ御一行様に手紙と人数分のチケットを届けに来ました」
「あら、ありがとうございます~」

ボーボボがそれらを受け取ると、隊員は帰って行った。
手紙は一枚だが、チケットはこの場にいる四人分ある。
ビュティが手紙について尋ねる。

「ボーボボ、手紙にはなんて書いてあるの?」
「ああ、読み上げるぞ」

そして、ボーボボは手紙を読み上げた。


『ボーボボたち諸君へ

 私は最強の帝国、『カオス・ザ・マルハーゲ』を作り上げた。
 潰せるものなら潰してみるがいい。
 だが以前よりも強くなった我が帝国は貴様程度の奴を返り討ちにするなど
 赤子の手をひねるも同然。
 逃げてもいいのだぞ?
 だがそれでも我が帝国に歯向かうのなら手始めに『エンドランド』に来るがいい。
 貴様と戦いがっている奴らがいてな。
 ま、精々頑張るのだな。

PS.
 チケットは郵便配達の者に持たせた。
 人数分貰うといい。
 精々死なないようするんだな。

                            ツル・ツルリーナ4世』

「挑戦状、ですね」

ヘッポコ丸が呟くように言うと、ボーボボは持っていた手紙をグシャッと握り潰した。
そして、超がつく険しい顔つきになる。

「4世~!!いい度胸してんじゃねーかよ!!」
「そーだそーだ!アイツ拷問の刑に処するぞ!!」


首領パッチが一緒になって険しい顔をしながら言い放つ。

「何も拷問まではしなくていいじゃん!!」

しかし、ビュティのツッコミを無視しつつ、二人は拷問道具は何にするかを遠くで少し話した。








まぁ、そんな話を手短に終わらせ、ボーボボは立ち上がった。

「俺と戦いたい奴がいるなら上等!!毛狩り隊は片っ端からぶっ潰す!!」

左の手の平を右拳でパンっと打つ。
これは本気のようだ。

「険しい道のりになるかもしれんが、お前らついてこい!!」
「勿論だよ!」
「どこまでもついて行きます!」
「どこまでも付いて行ってやらぁっ!!」

頼もしい仲間の叫び。
ボーボボはそれを見据えた後、外へと駆け出した。
ビュティたちもそれに続いて走り出す。
ヘッポコ丸も店を出ようとしたが、店員に腕を掴まれた。

「お客様」
「あ、はい?」
「お勘定がまだです」

そう言って店員はレシートをヘッポコ丸の前に突き出した。
ヘッポコ丸は沈んだ顔をしつつ、お金を払う事に・・・。

(テンション下がるな・・・)










勘定を払い終えて、ヘッポコ丸は店から出て来た。

「遅いぞ、ヘッポコ丸」
「早く来いや。テンション下がるだろ」
「すいません・・・」

(お前らが支払いを押しつけてきたんだろ)

ヘッポコ丸はオナラ真拳をかましたい所だったが、ぐっと堪えた。
まぁ、そんな空気は気にせずにビュティがボーボボに尋ねる。

「エンドランドまでどうやって行く?」
「そうだな・・・。適当にタクシーでも捕まえて行くか」

じゃぁ、と言ってビュティはタクシーを捕まえようとした。
その時―――

「ん?」
「何だ?あれは?」

街の人たちがザワザワと囁き始めたのだ。
街の人たちが見ている方向を向くと、ビルに取りつけられているモニターや電気屋のテレビ、家庭で使われているテレビなどに―――ツル・ツルリーナ4世が映っていた。

『全国の諸君、平和な日々を如何お過ごしかな?
 しかし、残念ながらそんな平和な日々も今日でお終いだ。
 私は今この時、毛狩り隊復活の宣言をする!!!』








「なんだと!?」
「まさか、今日宣言するなんて・・・」

ヘッポコ丸とビュティは驚きが隠せなかった。
4世の演説はまだ続く。

『そして、これを見ているであろうボボボーボ・ボーボボ。
 私は以前よりも力を付けて戻って来た。
 前のように簡単に潰せると思うなよ?』

しかし、ビュティが振り向けば、ボーボボは首領パッチと一緒になってゲームをしていた。

「全く聞いてねー!!」

全く緊張感がない。
しかし、逆に言えば余裕だという事だ。

『まぁ精々頑張れ。
 アッハッハッハッハッハッ!!!!』

『つとむー、ご近所迷惑だから大きな声で笑うのやめなさーい!!』

母親だと思われる声が聞こえると、途端に映像は切れた。

「本名、つとむなんだ・・・」

ビュティが小さくツッコむ。

「何はともあれ、今日が毛狩り隊の復活日であり、破滅の始まりだ!!行くぞ!!」

ボーボボは走り出した。
ビュティたちもそれに続いて走り出す。



こうして、戦士たちの新たな戦いが幕を開けたのだった!!!!








おまけ


「ヘッ君、ポコミちゃんはどうしたの?」
「・・・プップーシティでナメ郎と一緒にいる」
「え?ナメ郎君見つかったの?」
「たまたま通りかかった所をポコミが武力行使して一緒に住み始めたんだ」
「・・・どんまい」




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