鼻毛スピリッツ
前回までのあらすじ!!
パチ美には悲痛に満ちた過去があった。
ヤッくんと出会う前、パチ美はタッくんという男と付き合っていた。
しかしタッくんはとても疑り深く、パチ美が他の男と浮気していたのではないかと疑っては暴力を振ってきた。
そんなタッくんに耐えられなくなったパチ美―――
「もういや!もう私耐えられない!!私達もう終わりよ!!」
こうしてパチ美はタッくんと別れ、その直後にヤッくんと出会った。
ヤッくんと出会ったパチ美は傷ついた心を癒していくのだったが、運命の悪戯によって再び波乱の渦に飲み込まれるのをまだ、知らない。
次回、大波乱!!
パチ美とヤッくんに訪れる試練!!
パチ美はヤッくんへの愛を貫けるのか!!?
次回の『桜の花びらのように儚く』を見逃すな!!
「絶対見ろよな☆」
「どーでもいいよ!!!」
毛狩り隊監獄ブロック―独房―
ビュティとレムは後ろ手に縄で拘束され、薄暗い独房の中で横たわっていた。
そんな中、ビュティが『レムスリープワールド』から帰還し、目を覚ます。
「ん・・・ここは・・・牢屋?」
『レムスリープワールド』にて現実モニターを見た時は護送車にいたが、どうやらすぐに独房にぶち込まれたらしい。
「まさかこんな事になるなんて・・・ボーボボたち大丈夫かな・・・」
ボーボボたちの身を案じ、そして自分たちの置かれた状況を考えて俯くビュティ。
しかしこんな所で弱気になっていても何も始まらない。
幸い、レムという頼りになる仲間と一緒に独房にぶち込まれたのだ、これ程心強い事はない。
とにかくまずはレムを起こそうと呼びかけようとした時だった。
「お目覚めかい?お嬢ちゃん」
ガチャンと扉の鍵が開く音がして、ギキィイと鉄のなる音と共に扉が開き、二人の看守が入ってきた。
どちらも下卑た顔を浮かべており、それを見ただけでビュティはこれからされる事を察知して戦慄した。
「な、何よ、アンタたち・・・」
それでも尚、気丈に振る舞おうとするビュティ。
けれど看守たちの態度は変わらない。
「おいおい、その口の聞き方はないんじゃねーのか?自分の置かれた状況判ってんのか?」
「でないとキツ~イお仕置きするぞ?」
看守Aがビュティの前に立ち、もう一人の看守がレムの傍に立つ。
「へへへ、ガキの髪をやれるなんざ久しぶりだぜ」
「お前ホントにガキ好きな。ま、その分俺はこっちの女の方を味わえる訳だが」
「い、いや、やめて、触らないで!!」
恐怖からビュティの瞳に涙が溜まるがそれは男を興奮させるだけでしかない。
看守Aが下卑た笑いを漏らしながらビュティに触れようとしている間、看守Bは横たわっているレムの顔を上向けた。
が、上向けたレムは鋭く看守Bを睨んでいた。
「なっ!?お前―――」
ゴッ!(頭突きする音)
「ぐあっ!!」
「どうした!?」
「ハッ!」
看守Bが突然の頭突きでよろめいている隙にレムは起き上がって看守Bの腹を思いっきり蹴り飛ばした。
これにより、看守Bはノックダウン。
「き、貴様!!」
「フンッ!」
看守Aが警棒を出してレムを殴ろうとしたがレムはそれを容易く躱し、看守Aの鳩尾に膝蹴りをかまして同じように蹴り飛ばした。
「舐めんじゃねーよ、雑魚が」
看守どもを鋭い目つきで睨むレムからは100年前の毛狩り隊・元Dブロック隊長であった事を思い出させる。
流石は最強の3世世代の隊長だ。
「レムさん!」
「待ってて、今縄を解いてあげるから」
シュルっとレムの手首を縛っていた縄が床に落ちると、レムはビュティの縄を解き始めた。
どうやらレムは縄抜けか何かの技を心得ていたようである。
縄を解いてもらった所でビュティは立ち上がり、レムに尋ねた。
「ありがとう、レムさん!でも、これからどうしよう?」
「ちょっと危ないかもだけど、ボーボボさんたちを探すよ。アタシから離れないようにね」
「うん!」
「その前に鍵は、と・・・あった!」
ノックダウンした看守のポケットなどを探ってレムは鍵を見つける。
鍵を束ねているキーリングには隙間なくオモチャから普通の鍵まで様々な鍵が通されていた。
「鍵多っ!!?」
「よし、行くよ」
「大丈夫なの!?本当にその鍵で大丈夫なの!?」
ガチャン
「開いた!」
「本当に開いた!?」
「予想通りだったね」
「予想通りだったの!?」
大真面目な顔で言い放つレムにビュティはすかさずツッコむ。
果たしてこんな人だっただろうか。
別の意味の不安を覚えながらビュティはレムと共に牢屋から出て仲間の救出に向かった。
刑務所の中は円形になっており、フロアの真ん中は吹き抜けになっていて、暗い所為もあって底が見えなかった。
二人がいる階はどうやら最上階らしく、天井が近い。
ビュティとレムは一つ一つの檻を確認しながらボーボボたちを探すが、一向に見つかる気配はない。
それよりも、牢屋に入れられてる人(と人外)は、抜けだしているビュティたちを見ても助けを求めないでいた。
むしろ、刑務所内を撹乱しようと牢屋に入れられてる人たちを解放しようとすると、全員が口を揃えて「やめてくれ」と言い放つのだった。
「どうしてみんな逃げたいって顔をしてるのに逃げたくないんだろう?」
「それはな、この刑務所が逃げようとしても逃げられないような作りになっているからじゃ」
「?」
ビュティの疑問に、牢屋に入れられている、宙に浮いている老人が理由を教えた。
きっと仙人か何かの類の人間だろう。どうでもいいが。
「ここの刑務所は地上の最上階と地下の最下層にいる二人の刑務所所長を倒す事で脱出する事が出来るのじゃ。
じゃが、どちらの所長も恐ろしく強く凶悪で、未だかつて誰も倒せた事がないんじゃ。
そういう事もあって、ここにいる皆は逃げたくても逃げれず、こうして虚ろな日々を送っているのじゃ」
「そうなんだ・・・」
「それより爺さん、最近ここに新入りが来たりしなかった?」
「ところてんで出来た男が拷問部屋に連れて行かれるのなら見たぞ」
「ところてんで出来た男ってきっと天の助君の事だよ!」
「でも拷問部屋って・・・!」
「あそこは恐ろしい部屋じゃ・・・お前さんらの仲間も、もう―――」
「ぎゃぁああああああああああ!!!!」
謎の仙人が先を言いかけた時、突然刑務所内に悲痛な絶叫が木霊した。
声のした方向にビュティとレムは瞬時に振り向いて驚く。
「今の声・・・」
「天の助君だよ・・・間違いないよ・・・!天の助君!!」
「あ、待って!!」
天の助の身を案じてビュティは拷問部屋へと走りだし、レムもビュティを追いかけて走りだす。
「ぎゃぁあああああああああああああ!!!!!!!!」
天の助の絶叫は鉄の扉越しからも響いており、拷問の凄惨さを物語る。
「て、天の助君・・・!」
ビュティは瞳を潤ませ、ガタガタと震える。
そんなビュティをレムは抱き寄せて励ます。
「大丈夫、アイツがそう簡単に死なないのはアンタがよく知ってるでしょ?大丈夫、アタシが絶対に助けるから」
「うん・・・うん!」
ビュティはレムに支えられながら拷問部屋の扉に近づく。
扉には小窓が付いており、窓は閉められていた。
パカッと窓を開いて中の様子を伺うと―――
「や、やめろーーーーーー!!俺を豆腐と一緒に煮るなーーー!!!!」
天の助は豆腐の看守たちによって水攻めならぬ豆腐攻めにされていた。
「ええっ!!?何この拷問!?ていうか拷問かこれ!!?」
「これで終わると思うなよ」
「毛の王国で散っていった仲間の豆腐たちの痛みを思い知れ!!」
「クソッ!テメーら豆腐の残党か!!?」
「違うと言えば違う、そうと言えばそうだ」
「ど、どういう意味だ!?」
「杏仁豆腐と言えば・・・判るか?」
「あ、杏仁豆腐だと!!?馬鹿な!!杏仁豆腐は豆腐と袂を分かった筈じゃ・・・!?」
「へっ、そりゃぁもう昔の話だ。豆腐と杏仁豆腐はとっくに手を結び直したのさ!
こんにゃくもゼリーも俺達と同調しつつある。残るはところてん、テメーだけだ!!」
「くぅっ!屈しねーぞ!俺はお前らなんかに屈しねーぞ!!必ずお前らを倒して頂点を取り戻してやるからな!!」
「何やってんの・・・」
冷めた目と呆れ声で普通に入ってくるビュティとレム。
そんな二人に気づいた天の助の顔が一気に明るくなって、二人に助けを求める。
「おお!ビュティにレムじゃねーか!頼む、助けてくれ!このままじゃ溶けちまう!!」
「はいはい」
「小娘!貴様何をしようとしている!?」
「貴様も豆腐で煮られたいか!!?」
手を伸ばして天の助を助けようとするビュティに豆腐たちが襲いかかろうとする。
が、そこを冷めた目つきのレムが蹴りを入れてあしらう。
杏仁豆腐たちはあっけなく倒され、二人は天の助の救出に成功するのだった。
「ふう、助かったぜ。危うく豆腐と融合しちまうところだったぜ」
「あっそ」
「おい、ところてん、ボーボボさんたちがどこに捕まってるか知ってるか?」
「そういえば看守たちがボーボボたちを上の階につれてったとか話してるのを聞いたな」
「本当か!?」
「完全に分断されちゃったね」
「ん?どういう意味だ?」
「ここの刑務所は二つの階層に分けられてて、最上階と最下層にいる所長を倒さないと脱出出来ないんだって。
それで多分、私達が今いる階は最下層側で、ボーボボたちは最上階側の方につれてかれちゃったかもしれないの」
「ははーん、そういう事か。だがボーボボたちの事を心配しなくてもアイツらはアイツらでなんとかするだろ。
それよりも俺達の心配をしようぜ。ここを脱出するには最上階と最下層にいる所長を倒す必要があるなら、少なくとも最下層の所長は俺達が倒さなくちゃなれねーって事だろ?」
「うん。でも・・・」
「戦えるのは俺とレムだけだな」
「で、でも!私も頑張るから!」
「無理はすんな。それに、いざとなれば俺がところてんギフトを贈呈して媚び売りして見逃してもらうからよ!」
「かつてないほどの頼りのなさだよ!!」
「安心しな、二人共!頼もしい仲間がたった今増えたよ!!」
「本当!?」
「どんな奴だ!!?」
レムのセリフに希望を見出した二人は明るい顔でレムの方を振り返る。
が、そこにいたのは八頭身のスーツを着たブタだった。
「ブタ!!?」
「どうだ、頼もしいだろ?」
「何言ってんのレムさん!?こんなブタが頼もしい分けないじゃん!!」
「たとえ殴られようとも蹴られようとも俺は倒れないから心配するな」
(殴りてぇ)
「すげーじゃねーかレム!そいつさえいれば百人力だぜ!!」
「嘘でしょ!!?」
一体こんなブタ如きに何が出来るというのか。
ビュティには甚だ疑問だった。
「それより、最下層にいる所長の所へはどうやって行く?階段を降りていては看守に見つかって厄介だ」
(ブタが仕切りだした!?)
「フッ、そこは俺に任せろ。この吹き抜けを降りれば一気に最下層に着く訳だろ?見てろ。
―――いでよ!『ぬ』の絨毯よ!!」
天の助が両腕を大きく広げると、吹き抜けの真ん中に大きな『ぬ』の絨毯が現れた。
「『ぬ』の絨毯が現れた!!?」
「やるじゃねーかところてん!」
「大丈夫なの!?大丈夫なのこれ!?今までの経験上凄く心配なんだけど!!?」
「喚いていても始まらない、信じて飛び乗るぞ」
「お前は黙ってろブタ!!」
「いいから乗るぞビュティ!」
「きゃっ!?」
天の助は強引にビュティを抱きかかえるとレムとブタと共に『ぬ』の絨毯に飛び乗った。
一度は『ぬ』の絨毯に乗る事に成功した四人だったが、重量オーバーだったのかそのまま『ぬ』の絨毯が宙に浮く事はなく、吹き抜けの底へと真っ逆さまに落下していくのであった。
「きゃーーーー!!!?」
ビュティーの悲鳴が刑務所内に木霊するのであった。
あえなくして地面に激突した四人。
大きな衝突音が刑務所内に響き、ダメージの大きさを物語る。
「いたたた・・・」
お尻をさすりながら起き上がるビュティ。
「テメー!!駄目だったじゃねーか!!!」
「ぎゃぁああああああああああ!!!!」
ブチ切れたレムに胸ぐらを掴まれて寝撃を食らわされる天の助。
自業自得である。
そんな二人をスルーしてビュティはとある大きな扉の存在に気付く。
扉の上には『所長室』などという、おおよそ今の雰囲気には似つかわしくないプレートが貼り出されていた。
「ここが所長室・・・」
「安心しろ、ビュティ。お前は俺が必ず護る」
キリッとした顔つきでビュティの肩に手を置くブタだが、ビュティはそれを無言でパンッと叩いた。
そして扉に手をかけ、力を入れて押し開く。
「騒がしいじゃねぇか。脱獄か?」
扉を開いた先、禍々しい空気が立ち込める空間にその男は大きなイスに座していた。
鎖で吊るされたり、水攻めにされて泣き叫んでいる囚人たちに囲まれながらその男は笑っていた。
そこでビュティは気付く。
この所長室に満ちる禍々しい空気の源はこの男であり、只者ではないという事を。
「脱獄したきゃ監獄最下層所長・コキュートス様を倒してからにしろよ。
ま、もっとも俺を倒した所で最上階にいるニルヴァーナの兄貴も倒さないと出られないがな」
鋭い目つきで射抜かれてビュティの背中がゾクリと震える。
(コイツ、ヤバイ・・・!)
ビュティの本能が男―――コキュートスの危険さを悟る。
そして恐怖からか、何気なく目線を上に移すと、なんと天井近くの空中でヘッポコ丸が磔にされているではないか。
「へっくん!!」
「みんな・・・!」
「ククク、このガキ、お前らの仲間なんだろ?このガキを賭けて俺と勝負しようや。
拷問真拳奥義『ヘルタイマー』&『バーニングアイアンメイデン』!!」
コキュートスが奥義を発動すると、ヘッポコ丸の両隣におどろおどろしい時計のような物と赤く光るアイアンメイデンが現れた。
時計の方は長針しかなく、現在は60の数字を指している。
「あのタイマーが60を指した時、すなわち一時間が経過したらあのガキを拷問にかける。
それまでに頑張ってこの俺を倒してみろ」
「アイツ・・・!」
「けっ、やってやろうじゃねーか!」
「アタシたちの強さ、見せてやるよ!」
「待っていろ、ヘッポコ丸。必ず俺達が助けてやるからな!」
「いや、何そこのブタ!?」
こうして、監獄ブロック最下層所長・コキュートスVS天の助チームの戦いが幕を開いた。
「天の助君とレムさん、初めてチームを組むけど連携出来るの?」
「俺は!!?」
華麗にスルーされるブタ。
ビュティの後ろで「おいビュティ、俺もチームの一人だぞ!」と喚くが、ビュティは徹底的に無視を決め込んだ。
「初めてだと連携難しいんじゃない?」
「問題ねぇ、ビュティ。こんな時の為にレムに睡眠学習させといたからな!!」
そう言って天の助が得意げに見せたのは『よく分かる!天ちゃんの全て!!』のディスクとCDプレイヤーだった。
「学習じゃなくてそれ洗脳でしょ!!?」
「どっちも変わんね―って」
「全然違うよ!!」
「それよりも行くぜレム!!」
「ああ!―――と見せかけてドーン!!!」
ドカァッ!!(コキュートスめがけて天の助とブタを蹴り飛ばす)
「「ぎゃぁあああああああ!!!」」
「レムさん!!?」
「拷問真拳奥義『アイアンバット』!!」
ブォン(鉄の金棒のような大きなバットが出現する)
ドゴッ!!(天の助とブタを殴り飛ばす)
「「ぎゃあああああああああああ!!いてぇえええええええええ!!!」」
天の助とブタは無様にレムの前に転がるのであった。
「うぅ・・・俺が仕込んだCDには俺の代わりに戦うようにって刷り込みがあった筈なのに・・・)
涙目になりながら天の助は自身が仕込んだCDである『よく分かる!天ちゃんの全て!!』を確認した。
すると、CDの表面のシールがぺらりと剥がれ、『よく分かる!ボーボボと首領パッチの全て!!』が真の姿を現すのだった。
「なにこれ!!!!??」
「きっとボーボボたちが夜中に入れ替えたんだろうね」
「おい待て!!という事はレムは―――」
「行くぜ、ところてん!合体奥義『ところてんタイフーン』!!」
レムは天の助の両足を掴むと、ジャイアントスイングをして投げ飛ばした(本日二度目)。
「や、やめろレム!!このパターンは!このパターンは!!」
「拷問真拳奥義『電撃鉄球』!」
「ほらきたぁああああああああああ!!!!」
出現した電気を纏った鉄球に天の助は叩きのめされるのであった。
この光景、まさにボーボボと首領パッチを彷彿とさせるものである。
((レムさんがボーボボ色に染まった!!))
ビュティと空中から見ていたヘッポコ丸の心のツッコミがシンクロした瞬間だった。
そして同時に、常識人枠であっただろうレムがハジケ枠に移動してしまった事に落胆したとか。
「今度はこっちからいくぜぇ!拷問真拳奥義『永劫水車』!!」
コキュートスが奥義を発動すると、三つのおどろおどろしい水車が現れてレム・天の助・ブタを捕らえた
レム達の両手両足は水車の回転部分の表面に縛り付けられ、そのまま水車は回転を始めた。
水に浸されたかと思うと外気に晒され、息を吸おうとしたらまた水に浸される。
徐々にスピードは増していき、息継ぎの時間はどんどん短くなっていく。
まさに地獄の拷問だ。
「おうおう、いい眺めじゃねぇか!酒の肴にはもってこいだな!」
「悪趣味なやつ・・・!」
「へっ!そう容易く酒の肴にされる天ちゃんじゃないぜ!いくぞ!プルプル真拳奥義『ツルンと抜けちゃいます』!」
天の助はところてんであった為、ツルンと縄からすり抜ける事が出来てそのまま脱出した。
それにレムとブタも続く。
「ならアタシも爆睡真拳奥義『寝て力抜く』・・・zzz」
すると、レムの両手両足もスルリと縄から抜けた。
「うそぉ!!?」
「zzz・・・ごぼごぼ・・・zzz・・・」
「起きてー!レムさん起きてー!!」
「フッ、全く手のかかる仲間だぜ」
そこでいつの間にか水車から脱出していたブタがレムを水の中から引き上げる。
キリッとした表情で言うものだから腹立たしさは倍である。
(ウザッ)
「チッ、抜け出しやがったか。だが楽しい拷問の時間はまだまだこれからだ。拷問真拳奥義『鉄球アラレ』!!」
コキュートスの次なる奥義を発動すると、天の助たちの頭上に大量の棘付き鉄球が現れる。
「さぁ踊りな!」
コキュートスが手を動かすと鉄球はその動きに従って次々と天の助たちの上に降り注ぎ始めた。
それを天の助たちは難なく避けるが、必ずしも天の助たちの上だけに降り注ぐという訳でもない。
そう、ビュティの上にも―――。
「きゃぁあああああ!!」
「マズイ、ビュティ!」
「俺に任せろ!」
飛び出そうとした天の助よりも先にブタが飛び出し、ビュティの元に駆け寄る。
そして襲いかかる鉄球をその蹄で強く弾き返した。
「あ、ありがとう・・・」
「言った筈だ、お前の事は俺が必ず守ると」
「いや、何でそんな無駄にカッコいいのお前!?」
「何なんだあのブタは!?」
「余所見してていいのか?」
ハッとして声の方を振り返ると眼前にレムと天の助が迫っていた。
「爆睡真拳奥義『寝撃』!」
「プルプル真拳奥義『天ちゃんヒップ』!」
「ぐっ!!」
レムの寝撃を左手の甲で受け止め、天の助のヒップアタックを右腕で受け止めるコキュートス。
その為、左手が動かなくなる。
「なっ!?左手が・・・!!」
「お前のその左手はもう使えないよ!」
「オラオラどうする!?土下座して命乞いすれば許してやってもいいぞ!あぁ!?」
「上等じゃねぇか!!!拷問真拳超奥義『鬼神憑依』!!!」
コキュートスが超奥義を発動すると怪しげな赤いオーラがコキュートスに集い、纏わり付いていった。
オーラはやがておどろおどろしく赤い鎧へと姿を変え、太く鋭い二本の黄金の角が生えた兜が装着される。
瞳の色も煉獄の炎の如く赤いものに変わり、鋭い牙が顔を覗かせる。
まさに鬼神と呼ぶに相応しいその姿に天の助とレムはお互いの体を抱きながら悲鳴を上げて後ずさる。
「「いやぁあああああああああ!!!!!」」
「雰囲気が変わった!!?」
「すぐには殺さねぇ、じっくり拷問にかけて真の地獄を味あわせてやる!拷問真拳奥義『風神棒・雷神棒』」
風を纏った巨大な金棒と雷を纏った金棒がコキュートスの両手に握られる。
「そんな、左手はもう動かない筈じゃ・・・!」
「鬼神が憑依した事によって俺様の左腕は復活したのさ!行くぞお前ら!!
千の竜巻 万の稲妻 二つが合わさりし時 業深き罪人共を切り裂かん!!!」
コキュートスが二つの金棒を構えて同時に振ると鋭い雷を纏った沢山の竜巻が出現した。
いつかの疾風のゲハの時のような竜巻を思い出してビュティは危機感を覚える。
「何あれ、ヤバそう・・・」
「行けぇ!罪人共を切り刻め!!」
「逃げて二人共!!」
「なんの!」
「協力奥義『ソーシャルダンス』」
レムはタキシードを、天の助はドレスを着ると互いに手を取り合って踊り始めた。
「何で!?普通逆でしょ!!?」
「ルールルル~♪ラ~ララララ~ン♪」
「ターランランターランランタララ~ララン♪」
ギュッ(天の助がレムの足を踏む)
「あ~らごめんあそばせ」
「破局!!」
レムは天の助を思い切り蹴飛ばした。
「ぎゃぁ~~~~~~~!!!!」
蹴り飛ばされた天の助は一つの竜巻に巻き込まれて姿を消してしまう。
その様子を見てコキュートスは高らかに笑った。
「ヒャハハハハハ!仲間割れとはざまぁねぇな!!そのままところてんの方からくたばりやがれ!」
ボンッ!!(天の助が放り込まれた竜巻から白鳥の羽が沢山舞い散る)
「な、何だ!?」
「プルプル真拳奥義『白鳥の舞』」
竜巻の真ん中、台風の目。
そこで天の助は瞳を澄ませ、バレエの白鳥の衣装を着て美しく踊っていた。
その姿はまさしく白鳥の様。
そして風の流れに乗って踊っているせいか、竜巻は天の助の意のままに操られていた。
その証拠に天の助が右に左に動けば竜巻も同じように動き出したからだ。
「タ~ラララ~ン♪ルンッルンッ♪」
「な、なにぃっ!!!??」
「私は~♪ところてんの湖の白鳥~♪」
「ところてんの湖!!?」
すかさずビュティがツッコむ。
想像してみてなんだか綺麗じゃなさそうだと思った。
「いつもここで踊っているけれど、でもダメ。一人じゃ踊れないの・・・!」
「キミは一人じゃないさ」
そこに、同じように瞳を澄ませて白鳥の衣装を着たレムが現れて天の助の前に躍り出た。
「レムさんが行ったー!!?」
「まぁ、貴女は?」
「私はスワンヌ。キミの名前は?」
「私はスワンノ。良かったら私と踊ってくれないかしら?」
「勿論さ」
「「協力舞踏奥義『ところ眠の湖』」」
二人は華麗に舞い踊りながら他の竜巻を巻き込み、吸収していった。
そうして吸収された竜巻は一つの強大なハリケーンとなり、コキュートスを圧倒させる。
「な、なんだと・・・!?」
「「届け!私達のラブハリケーン!!」」
二人が一つのステップを踏むとハリケーンはコキュートスの元へと進み出した。
「くっ!!こんなもの、元は我が金棒で出来たもの!吸収してもう一度―――」
「キャベツのみじん切り~♪」
「人参の乱切り~♪」
「なななな何やってんだテメーら!!?」
金棒を構えてハリケーンを吸収しようとした時、天の助とレムが無邪気な顔をして野菜をハリケーンの中に投入していた。
鋭い風で切り刻まれる野菜はハリケーンに混ざっていき、緑黄色な色へと変化していく。
予想外の動きにコキュートスは対応する事が出来ず―――
「や、やめろ!!不純物が混ざったらこの金棒は―――!!!」
バリッ・・・バラバリ・・・バッキャーーーーーーーー!!!!
深くヒビが入り、激しい音を立てて金棒が破裂する。
吸収されなかったハリケーンはそのままコキュートスに直撃した。
「ぐぁああああああああああああああ!!!!」
毒蛇が自らの毒に当てられるかの如くコキュートスはハリケーンをまともに受け、ボロボロの状態となった。
「さて、お遊びはここまでだ」
「そろそろ締めるよ」
「いくぞお前ら!」
天の助、レム、ブタの順に言い放つと三人は「とうっ!」と叫んで飛び上がると手を繋いだ。
そして飛行機を思わせる並びで空中からコキュートスへと突撃する。
「「「協力奥義!!!」」」
「く、来るな罪人共が!!!」
「「「『スカイダンテ』!!!」」」
「ぐはぁあああああああっ!!!!」
天の助チームVSコキュートス 天の助チームの勝利!!
「やったー!天の助くんたちの勝ちだー!!」
喜びに飛び上がるビュティ。
「やったな、俺たち」
「これからも宜しく頼むぞ」
「ああ」
天の助・ブタ・レムは仲良く手を取る。
が―――
「馴れ馴れしいんだよテメーら!!」
「ぶぅーーーーーーー!!!?」
レムがボーボボ宜しくブチギレ出して天の助とブタを蹴り上げるのであった。
ブタと天の助は壁にめり込み、そのまま気を失うのであった。
「ったく、調子乗りやがってzzz・・・」
「ちょっとレムさん寝ちゃダメ!へっくん降ろさなきゃ!天の助くんとブタも手伝って!」
「・・・」
「・・・」
天の助とブタの魂は天に召されるのであった。
「死んだ!!?」
『なぁなぁヘッポコ丸~』
『今度は俺たちと組もうぜ~』
「バカやってねーでこれ解いてくれ!!」
幽霊になった天の助とブタはしばらくの間、ヘッポコ丸に纏わり付いて遊ぶのであった。
END
↓オマケ
『愛を求める不倫妻~玉ねぎの誘惑~』
パチ美「はぁ、最近旦那ったら冷たいわ。他の女と仲良くしてる噂も聞くし・・・どうしよう」
ボーボボ「へいらっしゃい奥さん!新鮮な野菜を入荷してるよ!玉ねぎなんてどうだい!」
パチ美「まぁ美味しそう!今日は玉ねぎを使った料理にしましょうかしら!?」
天の助「おっと待ちな!そっちの店よりもウチの店の玉ねぎの方が新鮮で大きいよ!」
パチ美「あら本当!こっちの玉ねぎもいいわね~!」
ボーボボ「おうおう!ウチの客を取らないでくれるか!?えぇ!!?」
天の助「へっ!悔しかったら奥さんのハートを掴んでみな!!」
ボーボボ「奥さん!今なら玉ねぎ2個オマケするよ!」
天の助「だったらウチは玉ねぎの他に別の野菜もオマケだ!!」
パチ美「そんなぁ!?パチ美・・・パチ美選べない!!」
ボーボボ「ほらほらぁ、正直になりなよ。ウチの玉ねぎで野菜炒め作りたいだろう?」
天の助「自分の胸に手を当てて聞いてみな。ウチの玉ねぎを使ってカツ丼を作りたいってなぁ?」
パチ美「いやぁーーーーーーーー!!パチ美の心を乱さないでぇーーーー!!!」
ヒュンッ!!(玉ねぎをランバダめがけて投げつける)
ランバダ「ゴフッ!!?」
ビュティ「ランバダさん!!!?」
ランバダ「何すんだテメーら!!!」
パチ美「キャーーーー!!あら手の玉ねぎ農家よー!!!」
天の助「させねぇよ!世界一の玉ねぎ農家はウチだよ!」
ボーボボ「なんのなんの!!玉ねぎ協会会長を務めるウチが世界一に決まっとるだろう!!」
ヘッポコ丸「・・・俺とレムが買い物行ってる間に何があったの?」
ビュティ「色々ね・・・」
レム「・・・zzz・・・」
パチ美には悲痛に満ちた過去があった。
ヤッくんと出会う前、パチ美はタッくんという男と付き合っていた。
しかしタッくんはとても疑り深く、パチ美が他の男と浮気していたのではないかと疑っては暴力を振ってきた。
そんなタッくんに耐えられなくなったパチ美―――
「もういや!もう私耐えられない!!私達もう終わりよ!!」
こうしてパチ美はタッくんと別れ、その直後にヤッくんと出会った。
ヤッくんと出会ったパチ美は傷ついた心を癒していくのだったが、運命の悪戯によって再び波乱の渦に飲み込まれるのをまだ、知らない。
次回、大波乱!!
パチ美とヤッくんに訪れる試練!!
パチ美はヤッくんへの愛を貫けるのか!!?
次回の『桜の花びらのように儚く』を見逃すな!!
「絶対見ろよな☆」
「どーでもいいよ!!!」
毛狩り隊監獄ブロック―独房―
ビュティとレムは後ろ手に縄で拘束され、薄暗い独房の中で横たわっていた。
そんな中、ビュティが『レムスリープワールド』から帰還し、目を覚ます。
「ん・・・ここは・・・牢屋?」
『レムスリープワールド』にて現実モニターを見た時は護送車にいたが、どうやらすぐに独房にぶち込まれたらしい。
「まさかこんな事になるなんて・・・ボーボボたち大丈夫かな・・・」
ボーボボたちの身を案じ、そして自分たちの置かれた状況を考えて俯くビュティ。
しかしこんな所で弱気になっていても何も始まらない。
幸い、レムという頼りになる仲間と一緒に独房にぶち込まれたのだ、これ程心強い事はない。
とにかくまずはレムを起こそうと呼びかけようとした時だった。
「お目覚めかい?お嬢ちゃん」
ガチャンと扉の鍵が開く音がして、ギキィイと鉄のなる音と共に扉が開き、二人の看守が入ってきた。
どちらも下卑た顔を浮かべており、それを見ただけでビュティはこれからされる事を察知して戦慄した。
「な、何よ、アンタたち・・・」
それでも尚、気丈に振る舞おうとするビュティ。
けれど看守たちの態度は変わらない。
「おいおい、その口の聞き方はないんじゃねーのか?自分の置かれた状況判ってんのか?」
「でないとキツ~イお仕置きするぞ?」
看守Aがビュティの前に立ち、もう一人の看守がレムの傍に立つ。
「へへへ、ガキの髪をやれるなんざ久しぶりだぜ」
「お前ホントにガキ好きな。ま、その分俺はこっちの女の方を味わえる訳だが」
「い、いや、やめて、触らないで!!」
恐怖からビュティの瞳に涙が溜まるがそれは男を興奮させるだけでしかない。
看守Aが下卑た笑いを漏らしながらビュティに触れようとしている間、看守Bは横たわっているレムの顔を上向けた。
が、上向けたレムは鋭く看守Bを睨んでいた。
「なっ!?お前―――」
ゴッ!(頭突きする音)
「ぐあっ!!」
「どうした!?」
「ハッ!」
看守Bが突然の頭突きでよろめいている隙にレムは起き上がって看守Bの腹を思いっきり蹴り飛ばした。
これにより、看守Bはノックダウン。
「き、貴様!!」
「フンッ!」
看守Aが警棒を出してレムを殴ろうとしたがレムはそれを容易く躱し、看守Aの鳩尾に膝蹴りをかまして同じように蹴り飛ばした。
「舐めんじゃねーよ、雑魚が」
看守どもを鋭い目つきで睨むレムからは100年前の毛狩り隊・元Dブロック隊長であった事を思い出させる。
流石は最強の3世世代の隊長だ。
「レムさん!」
「待ってて、今縄を解いてあげるから」
シュルっとレムの手首を縛っていた縄が床に落ちると、レムはビュティの縄を解き始めた。
どうやらレムは縄抜けか何かの技を心得ていたようである。
縄を解いてもらった所でビュティは立ち上がり、レムに尋ねた。
「ありがとう、レムさん!でも、これからどうしよう?」
「ちょっと危ないかもだけど、ボーボボさんたちを探すよ。アタシから離れないようにね」
「うん!」
「その前に鍵は、と・・・あった!」
ノックダウンした看守のポケットなどを探ってレムは鍵を見つける。
鍵を束ねているキーリングには隙間なくオモチャから普通の鍵まで様々な鍵が通されていた。
「鍵多っ!!?」
「よし、行くよ」
「大丈夫なの!?本当にその鍵で大丈夫なの!?」
ガチャン
「開いた!」
「本当に開いた!?」
「予想通りだったね」
「予想通りだったの!?」
大真面目な顔で言い放つレムにビュティはすかさずツッコむ。
果たしてこんな人だっただろうか。
別の意味の不安を覚えながらビュティはレムと共に牢屋から出て仲間の救出に向かった。
刑務所の中は円形になっており、フロアの真ん中は吹き抜けになっていて、暗い所為もあって底が見えなかった。
二人がいる階はどうやら最上階らしく、天井が近い。
ビュティとレムは一つ一つの檻を確認しながらボーボボたちを探すが、一向に見つかる気配はない。
それよりも、牢屋に入れられてる人(と人外)は、抜けだしているビュティたちを見ても助けを求めないでいた。
むしろ、刑務所内を撹乱しようと牢屋に入れられてる人たちを解放しようとすると、全員が口を揃えて「やめてくれ」と言い放つのだった。
「どうしてみんな逃げたいって顔をしてるのに逃げたくないんだろう?」
「それはな、この刑務所が逃げようとしても逃げられないような作りになっているからじゃ」
「?」
ビュティの疑問に、牢屋に入れられている、宙に浮いている老人が理由を教えた。
きっと仙人か何かの類の人間だろう。どうでもいいが。
「ここの刑務所は地上の最上階と地下の最下層にいる二人の刑務所所長を倒す事で脱出する事が出来るのじゃ。
じゃが、どちらの所長も恐ろしく強く凶悪で、未だかつて誰も倒せた事がないんじゃ。
そういう事もあって、ここにいる皆は逃げたくても逃げれず、こうして虚ろな日々を送っているのじゃ」
「そうなんだ・・・」
「それより爺さん、最近ここに新入りが来たりしなかった?」
「ところてんで出来た男が拷問部屋に連れて行かれるのなら見たぞ」
「ところてんで出来た男ってきっと天の助君の事だよ!」
「でも拷問部屋って・・・!」
「あそこは恐ろしい部屋じゃ・・・お前さんらの仲間も、もう―――」
「ぎゃぁああああああああああ!!!!」
謎の仙人が先を言いかけた時、突然刑務所内に悲痛な絶叫が木霊した。
声のした方向にビュティとレムは瞬時に振り向いて驚く。
「今の声・・・」
「天の助君だよ・・・間違いないよ・・・!天の助君!!」
「あ、待って!!」
天の助の身を案じてビュティは拷問部屋へと走りだし、レムもビュティを追いかけて走りだす。
「ぎゃぁあああああああああああああ!!!!!!!!」
天の助の絶叫は鉄の扉越しからも響いており、拷問の凄惨さを物語る。
「て、天の助君・・・!」
ビュティは瞳を潤ませ、ガタガタと震える。
そんなビュティをレムは抱き寄せて励ます。
「大丈夫、アイツがそう簡単に死なないのはアンタがよく知ってるでしょ?大丈夫、アタシが絶対に助けるから」
「うん・・・うん!」
ビュティはレムに支えられながら拷問部屋の扉に近づく。
扉には小窓が付いており、窓は閉められていた。
パカッと窓を開いて中の様子を伺うと―――
「や、やめろーーーーーー!!俺を豆腐と一緒に煮るなーーー!!!!」
天の助は豆腐の看守たちによって水攻めならぬ豆腐攻めにされていた。
「ええっ!!?何この拷問!?ていうか拷問かこれ!!?」
「これで終わると思うなよ」
「毛の王国で散っていった仲間の豆腐たちの痛みを思い知れ!!」
「クソッ!テメーら豆腐の残党か!!?」
「違うと言えば違う、そうと言えばそうだ」
「ど、どういう意味だ!?」
「杏仁豆腐と言えば・・・判るか?」
「あ、杏仁豆腐だと!!?馬鹿な!!杏仁豆腐は豆腐と袂を分かった筈じゃ・・・!?」
「へっ、そりゃぁもう昔の話だ。豆腐と杏仁豆腐はとっくに手を結び直したのさ!
こんにゃくもゼリーも俺達と同調しつつある。残るはところてん、テメーだけだ!!」
「くぅっ!屈しねーぞ!俺はお前らなんかに屈しねーぞ!!必ずお前らを倒して頂点を取り戻してやるからな!!」
「何やってんの・・・」
冷めた目と呆れ声で普通に入ってくるビュティとレム。
そんな二人に気づいた天の助の顔が一気に明るくなって、二人に助けを求める。
「おお!ビュティにレムじゃねーか!頼む、助けてくれ!このままじゃ溶けちまう!!」
「はいはい」
「小娘!貴様何をしようとしている!?」
「貴様も豆腐で煮られたいか!!?」
手を伸ばして天の助を助けようとするビュティに豆腐たちが襲いかかろうとする。
が、そこを冷めた目つきのレムが蹴りを入れてあしらう。
杏仁豆腐たちはあっけなく倒され、二人は天の助の救出に成功するのだった。
「ふう、助かったぜ。危うく豆腐と融合しちまうところだったぜ」
「あっそ」
「おい、ところてん、ボーボボさんたちがどこに捕まってるか知ってるか?」
「そういえば看守たちがボーボボたちを上の階につれてったとか話してるのを聞いたな」
「本当か!?」
「完全に分断されちゃったね」
「ん?どういう意味だ?」
「ここの刑務所は二つの階層に分けられてて、最上階と最下層にいる所長を倒さないと脱出出来ないんだって。
それで多分、私達が今いる階は最下層側で、ボーボボたちは最上階側の方につれてかれちゃったかもしれないの」
「ははーん、そういう事か。だがボーボボたちの事を心配しなくてもアイツらはアイツらでなんとかするだろ。
それよりも俺達の心配をしようぜ。ここを脱出するには最上階と最下層にいる所長を倒す必要があるなら、少なくとも最下層の所長は俺達が倒さなくちゃなれねーって事だろ?」
「うん。でも・・・」
「戦えるのは俺とレムだけだな」
「で、でも!私も頑張るから!」
「無理はすんな。それに、いざとなれば俺がところてんギフトを贈呈して媚び売りして見逃してもらうからよ!」
「かつてないほどの頼りのなさだよ!!」
「安心しな、二人共!頼もしい仲間がたった今増えたよ!!」
「本当!?」
「どんな奴だ!!?」
レムのセリフに希望を見出した二人は明るい顔でレムの方を振り返る。
が、そこにいたのは八頭身のスーツを着たブタだった。
「ブタ!!?」
「どうだ、頼もしいだろ?」
「何言ってんのレムさん!?こんなブタが頼もしい分けないじゃん!!」
「たとえ殴られようとも蹴られようとも俺は倒れないから心配するな」
(殴りてぇ)
「すげーじゃねーかレム!そいつさえいれば百人力だぜ!!」
「嘘でしょ!!?」
一体こんなブタ如きに何が出来るというのか。
ビュティには甚だ疑問だった。
「それより、最下層にいる所長の所へはどうやって行く?階段を降りていては看守に見つかって厄介だ」
(ブタが仕切りだした!?)
「フッ、そこは俺に任せろ。この吹き抜けを降りれば一気に最下層に着く訳だろ?見てろ。
―――いでよ!『ぬ』の絨毯よ!!」
天の助が両腕を大きく広げると、吹き抜けの真ん中に大きな『ぬ』の絨毯が現れた。
「『ぬ』の絨毯が現れた!!?」
「やるじゃねーかところてん!」
「大丈夫なの!?大丈夫なのこれ!?今までの経験上凄く心配なんだけど!!?」
「喚いていても始まらない、信じて飛び乗るぞ」
「お前は黙ってろブタ!!」
「いいから乗るぞビュティ!」
「きゃっ!?」
天の助は強引にビュティを抱きかかえるとレムとブタと共に『ぬ』の絨毯に飛び乗った。
一度は『ぬ』の絨毯に乗る事に成功した四人だったが、重量オーバーだったのかそのまま『ぬ』の絨毯が宙に浮く事はなく、吹き抜けの底へと真っ逆さまに落下していくのであった。
「きゃーーーー!!!?」
ビュティーの悲鳴が刑務所内に木霊するのであった。
あえなくして地面に激突した四人。
大きな衝突音が刑務所内に響き、ダメージの大きさを物語る。
「いたたた・・・」
お尻をさすりながら起き上がるビュティ。
「テメー!!駄目だったじゃねーか!!!」
「ぎゃぁああああああああああ!!!!」
ブチ切れたレムに胸ぐらを掴まれて寝撃を食らわされる天の助。
自業自得である。
そんな二人をスルーしてビュティはとある大きな扉の存在に気付く。
扉の上には『所長室』などという、おおよそ今の雰囲気には似つかわしくないプレートが貼り出されていた。
「ここが所長室・・・」
「安心しろ、ビュティ。お前は俺が必ず護る」
キリッとした顔つきでビュティの肩に手を置くブタだが、ビュティはそれを無言でパンッと叩いた。
そして扉に手をかけ、力を入れて押し開く。
「騒がしいじゃねぇか。脱獄か?」
扉を開いた先、禍々しい空気が立ち込める空間にその男は大きなイスに座していた。
鎖で吊るされたり、水攻めにされて泣き叫んでいる囚人たちに囲まれながらその男は笑っていた。
そこでビュティは気付く。
この所長室に満ちる禍々しい空気の源はこの男であり、只者ではないという事を。
「脱獄したきゃ監獄最下層所長・コキュートス様を倒してからにしろよ。
ま、もっとも俺を倒した所で最上階にいるニルヴァーナの兄貴も倒さないと出られないがな」
鋭い目つきで射抜かれてビュティの背中がゾクリと震える。
(コイツ、ヤバイ・・・!)
ビュティの本能が男―――コキュートスの危険さを悟る。
そして恐怖からか、何気なく目線を上に移すと、なんと天井近くの空中でヘッポコ丸が磔にされているではないか。
「へっくん!!」
「みんな・・・!」
「ククク、このガキ、お前らの仲間なんだろ?このガキを賭けて俺と勝負しようや。
拷問真拳奥義『ヘルタイマー』&『バーニングアイアンメイデン』!!」
コキュートスが奥義を発動すると、ヘッポコ丸の両隣におどろおどろしい時計のような物と赤く光るアイアンメイデンが現れた。
時計の方は長針しかなく、現在は60の数字を指している。
「あのタイマーが60を指した時、すなわち一時間が経過したらあのガキを拷問にかける。
それまでに頑張ってこの俺を倒してみろ」
「アイツ・・・!」
「けっ、やってやろうじゃねーか!」
「アタシたちの強さ、見せてやるよ!」
「待っていろ、ヘッポコ丸。必ず俺達が助けてやるからな!」
「いや、何そこのブタ!?」
こうして、監獄ブロック最下層所長・コキュートスVS天の助チームの戦いが幕を開いた。
「天の助君とレムさん、初めてチームを組むけど連携出来るの?」
「俺は!!?」
華麗にスルーされるブタ。
ビュティの後ろで「おいビュティ、俺もチームの一人だぞ!」と喚くが、ビュティは徹底的に無視を決め込んだ。
「初めてだと連携難しいんじゃない?」
「問題ねぇ、ビュティ。こんな時の為にレムに睡眠学習させといたからな!!」
そう言って天の助が得意げに見せたのは『よく分かる!天ちゃんの全て!!』のディスクとCDプレイヤーだった。
「学習じゃなくてそれ洗脳でしょ!!?」
「どっちも変わんね―って」
「全然違うよ!!」
「それよりも行くぜレム!!」
「ああ!―――と見せかけてドーン!!!」
ドカァッ!!(コキュートスめがけて天の助とブタを蹴り飛ばす)
「「ぎゃぁあああああああ!!!」」
「レムさん!!?」
「拷問真拳奥義『アイアンバット』!!」
ブォン(鉄の金棒のような大きなバットが出現する)
ドゴッ!!(天の助とブタを殴り飛ばす)
「「ぎゃあああああああああああ!!いてぇえええええええええ!!!」」
天の助とブタは無様にレムの前に転がるのであった。
「うぅ・・・俺が仕込んだCDには俺の代わりに戦うようにって刷り込みがあった筈なのに・・・)
涙目になりながら天の助は自身が仕込んだCDである『よく分かる!天ちゃんの全て!!』を確認した。
すると、CDの表面のシールがぺらりと剥がれ、『よく分かる!ボーボボと首領パッチの全て!!』が真の姿を現すのだった。
「なにこれ!!!!??」
「きっとボーボボたちが夜中に入れ替えたんだろうね」
「おい待て!!という事はレムは―――」
「行くぜ、ところてん!合体奥義『ところてんタイフーン』!!」
レムは天の助の両足を掴むと、ジャイアントスイングをして投げ飛ばした(本日二度目)。
「や、やめろレム!!このパターンは!このパターンは!!」
「拷問真拳奥義『電撃鉄球』!」
「ほらきたぁああああああああああ!!!!」
出現した電気を纏った鉄球に天の助は叩きのめされるのであった。
この光景、まさにボーボボと首領パッチを彷彿とさせるものである。
((レムさんがボーボボ色に染まった!!))
ビュティと空中から見ていたヘッポコ丸の心のツッコミがシンクロした瞬間だった。
そして同時に、常識人枠であっただろうレムがハジケ枠に移動してしまった事に落胆したとか。
「今度はこっちからいくぜぇ!拷問真拳奥義『永劫水車』!!」
コキュートスが奥義を発動すると、三つのおどろおどろしい水車が現れてレム・天の助・ブタを捕らえた
レム達の両手両足は水車の回転部分の表面に縛り付けられ、そのまま水車は回転を始めた。
水に浸されたかと思うと外気に晒され、息を吸おうとしたらまた水に浸される。
徐々にスピードは増していき、息継ぎの時間はどんどん短くなっていく。
まさに地獄の拷問だ。
「おうおう、いい眺めじゃねぇか!酒の肴にはもってこいだな!」
「悪趣味なやつ・・・!」
「へっ!そう容易く酒の肴にされる天ちゃんじゃないぜ!いくぞ!プルプル真拳奥義『ツルンと抜けちゃいます』!」
天の助はところてんであった為、ツルンと縄からすり抜ける事が出来てそのまま脱出した。
それにレムとブタも続く。
「ならアタシも爆睡真拳奥義『寝て力抜く』・・・zzz」
すると、レムの両手両足もスルリと縄から抜けた。
「うそぉ!!?」
「zzz・・・ごぼごぼ・・・zzz・・・」
「起きてー!レムさん起きてー!!」
「フッ、全く手のかかる仲間だぜ」
そこでいつの間にか水車から脱出していたブタがレムを水の中から引き上げる。
キリッとした表情で言うものだから腹立たしさは倍である。
(ウザッ)
「チッ、抜け出しやがったか。だが楽しい拷問の時間はまだまだこれからだ。拷問真拳奥義『鉄球アラレ』!!」
コキュートスの次なる奥義を発動すると、天の助たちの頭上に大量の棘付き鉄球が現れる。
「さぁ踊りな!」
コキュートスが手を動かすと鉄球はその動きに従って次々と天の助たちの上に降り注ぎ始めた。
それを天の助たちは難なく避けるが、必ずしも天の助たちの上だけに降り注ぐという訳でもない。
そう、ビュティの上にも―――。
「きゃぁあああああ!!」
「マズイ、ビュティ!」
「俺に任せろ!」
飛び出そうとした天の助よりも先にブタが飛び出し、ビュティの元に駆け寄る。
そして襲いかかる鉄球をその蹄で強く弾き返した。
「あ、ありがとう・・・」
「言った筈だ、お前の事は俺が必ず守ると」
「いや、何でそんな無駄にカッコいいのお前!?」
「何なんだあのブタは!?」
「余所見してていいのか?」
ハッとして声の方を振り返ると眼前にレムと天の助が迫っていた。
「爆睡真拳奥義『寝撃』!」
「プルプル真拳奥義『天ちゃんヒップ』!」
「ぐっ!!」
レムの寝撃を左手の甲で受け止め、天の助のヒップアタックを右腕で受け止めるコキュートス。
その為、左手が動かなくなる。
「なっ!?左手が・・・!!」
「お前のその左手はもう使えないよ!」
「オラオラどうする!?土下座して命乞いすれば許してやってもいいぞ!あぁ!?」
「上等じゃねぇか!!!拷問真拳超奥義『鬼神憑依』!!!」
コキュートスが超奥義を発動すると怪しげな赤いオーラがコキュートスに集い、纏わり付いていった。
オーラはやがておどろおどろしく赤い鎧へと姿を変え、太く鋭い二本の黄金の角が生えた兜が装着される。
瞳の色も煉獄の炎の如く赤いものに変わり、鋭い牙が顔を覗かせる。
まさに鬼神と呼ぶに相応しいその姿に天の助とレムはお互いの体を抱きながら悲鳴を上げて後ずさる。
「「いやぁあああああああああ!!!!!」」
「雰囲気が変わった!!?」
「すぐには殺さねぇ、じっくり拷問にかけて真の地獄を味あわせてやる!拷問真拳奥義『風神棒・雷神棒』」
風を纏った巨大な金棒と雷を纏った金棒がコキュートスの両手に握られる。
「そんな、左手はもう動かない筈じゃ・・・!」
「鬼神が憑依した事によって俺様の左腕は復活したのさ!行くぞお前ら!!
千の竜巻 万の稲妻 二つが合わさりし時 業深き罪人共を切り裂かん!!!」
コキュートスが二つの金棒を構えて同時に振ると鋭い雷を纏った沢山の竜巻が出現した。
いつかの疾風のゲハの時のような竜巻を思い出してビュティは危機感を覚える。
「何あれ、ヤバそう・・・」
「行けぇ!罪人共を切り刻め!!」
「逃げて二人共!!」
「なんの!」
「協力奥義『ソーシャルダンス』」
レムはタキシードを、天の助はドレスを着ると互いに手を取り合って踊り始めた。
「何で!?普通逆でしょ!!?」
「ルールルル~♪ラ~ララララ~ン♪」
「ターランランターランランタララ~ララン♪」
ギュッ(天の助がレムの足を踏む)
「あ~らごめんあそばせ」
「破局!!」
レムは天の助を思い切り蹴飛ばした。
「ぎゃぁ~~~~~~~!!!!」
蹴り飛ばされた天の助は一つの竜巻に巻き込まれて姿を消してしまう。
その様子を見てコキュートスは高らかに笑った。
「ヒャハハハハハ!仲間割れとはざまぁねぇな!!そのままところてんの方からくたばりやがれ!」
ボンッ!!(天の助が放り込まれた竜巻から白鳥の羽が沢山舞い散る)
「な、何だ!?」
「プルプル真拳奥義『白鳥の舞』」
竜巻の真ん中、台風の目。
そこで天の助は瞳を澄ませ、バレエの白鳥の衣装を着て美しく踊っていた。
その姿はまさしく白鳥の様。
そして風の流れに乗って踊っているせいか、竜巻は天の助の意のままに操られていた。
その証拠に天の助が右に左に動けば竜巻も同じように動き出したからだ。
「タ~ラララ~ン♪ルンッルンッ♪」
「な、なにぃっ!!!??」
「私は~♪ところてんの湖の白鳥~♪」
「ところてんの湖!!?」
すかさずビュティがツッコむ。
想像してみてなんだか綺麗じゃなさそうだと思った。
「いつもここで踊っているけれど、でもダメ。一人じゃ踊れないの・・・!」
「キミは一人じゃないさ」
そこに、同じように瞳を澄ませて白鳥の衣装を着たレムが現れて天の助の前に躍り出た。
「レムさんが行ったー!!?」
「まぁ、貴女は?」
「私はスワンヌ。キミの名前は?」
「私はスワンノ。良かったら私と踊ってくれないかしら?」
「勿論さ」
「「協力舞踏奥義『ところ眠の湖』」」
二人は華麗に舞い踊りながら他の竜巻を巻き込み、吸収していった。
そうして吸収された竜巻は一つの強大なハリケーンとなり、コキュートスを圧倒させる。
「な、なんだと・・・!?」
「「届け!私達のラブハリケーン!!」」
二人が一つのステップを踏むとハリケーンはコキュートスの元へと進み出した。
「くっ!!こんなもの、元は我が金棒で出来たもの!吸収してもう一度―――」
「キャベツのみじん切り~♪」
「人参の乱切り~♪」
「なななな何やってんだテメーら!!?」
金棒を構えてハリケーンを吸収しようとした時、天の助とレムが無邪気な顔をして野菜をハリケーンの中に投入していた。
鋭い風で切り刻まれる野菜はハリケーンに混ざっていき、緑黄色な色へと変化していく。
予想外の動きにコキュートスは対応する事が出来ず―――
「や、やめろ!!不純物が混ざったらこの金棒は―――!!!」
バリッ・・・バラバリ・・・バッキャーーーーーーーー!!!!
深くヒビが入り、激しい音を立てて金棒が破裂する。
吸収されなかったハリケーンはそのままコキュートスに直撃した。
「ぐぁああああああああああああああ!!!!」
毒蛇が自らの毒に当てられるかの如くコキュートスはハリケーンをまともに受け、ボロボロの状態となった。
「さて、お遊びはここまでだ」
「そろそろ締めるよ」
「いくぞお前ら!」
天の助、レム、ブタの順に言い放つと三人は「とうっ!」と叫んで飛び上がると手を繋いだ。
そして飛行機を思わせる並びで空中からコキュートスへと突撃する。
「「「協力奥義!!!」」」
「く、来るな罪人共が!!!」
「「「『スカイダンテ』!!!」」」
「ぐはぁあああああああっ!!!!」
天の助チームVSコキュートス 天の助チームの勝利!!
「やったー!天の助くんたちの勝ちだー!!」
喜びに飛び上がるビュティ。
「やったな、俺たち」
「これからも宜しく頼むぞ」
「ああ」
天の助・ブタ・レムは仲良く手を取る。
が―――
「馴れ馴れしいんだよテメーら!!」
「ぶぅーーーーーーー!!!?」
レムがボーボボ宜しくブチギレ出して天の助とブタを蹴り上げるのであった。
ブタと天の助は壁にめり込み、そのまま気を失うのであった。
「ったく、調子乗りやがってzzz・・・」
「ちょっとレムさん寝ちゃダメ!へっくん降ろさなきゃ!天の助くんとブタも手伝って!」
「・・・」
「・・・」
天の助とブタの魂は天に召されるのであった。
「死んだ!!?」
『なぁなぁヘッポコ丸~』
『今度は俺たちと組もうぜ~』
「バカやってねーでこれ解いてくれ!!」
幽霊になった天の助とブタはしばらくの間、ヘッポコ丸に纏わり付いて遊ぶのであった。
END
↓オマケ
『愛を求める不倫妻~玉ねぎの誘惑~』
パチ美「はぁ、最近旦那ったら冷たいわ。他の女と仲良くしてる噂も聞くし・・・どうしよう」
ボーボボ「へいらっしゃい奥さん!新鮮な野菜を入荷してるよ!玉ねぎなんてどうだい!」
パチ美「まぁ美味しそう!今日は玉ねぎを使った料理にしましょうかしら!?」
天の助「おっと待ちな!そっちの店よりもウチの店の玉ねぎの方が新鮮で大きいよ!」
パチ美「あら本当!こっちの玉ねぎもいいわね~!」
ボーボボ「おうおう!ウチの客を取らないでくれるか!?えぇ!!?」
天の助「へっ!悔しかったら奥さんのハートを掴んでみな!!」
ボーボボ「奥さん!今なら玉ねぎ2個オマケするよ!」
天の助「だったらウチは玉ねぎの他に別の野菜もオマケだ!!」
パチ美「そんなぁ!?パチ美・・・パチ美選べない!!」
ボーボボ「ほらほらぁ、正直になりなよ。ウチの玉ねぎで野菜炒め作りたいだろう?」
天の助「自分の胸に手を当てて聞いてみな。ウチの玉ねぎを使ってカツ丼を作りたいってなぁ?」
パチ美「いやぁーーーーーーーー!!パチ美の心を乱さないでぇーーーー!!!」
ヒュンッ!!(玉ねぎをランバダめがけて投げつける)
ランバダ「ゴフッ!!?」
ビュティ「ランバダさん!!!?」
ランバダ「何すんだテメーら!!!」
パチ美「キャーーーー!!あら手の玉ねぎ農家よー!!!」
天の助「させねぇよ!世界一の玉ねぎ農家はウチだよ!」
ボーボボ「なんのなんの!!玉ねぎ協会会長を務めるウチが世界一に決まっとるだろう!!」
ヘッポコ丸「・・・俺とレムが買い物行ってる間に何があったの?」
ビュティ「色々ね・・・」
レム「・・・zzz・・・」