鼻毛スピリッツ
「ビュティ!」
仲人たち毛狩り隊軍団を片付けて追いかけてきたヘッポコ丸。
所々に傷などがあるがまぁ気にしない。
「あ、へっくん」
「カナヅチはどうなった?」
「実は・・・」
ビュティはランバダとカナヅチの戦いについて説明した。
特に最後の決着については。
「・・・と、言う訳なの」
「なんつー台無しエンド・・・」
「ホントに・・・」
溜め息をつく二人。
そんな二人を他所にランバダはレムを抱き起して呼びかける。
「レム!起きろレム!干してた布団と枕が雨で濡れるぞ!」
「何その起こし方!?」
気持ちを切り替えてビュティがツッコむ。
それにしてもなんと雰囲気ぶち壊しの起こし方だろうか。
「ここは俺に任せろ!ビュティ、50円玉あるか?」
「え?うん」
「貸してくれ!」
「はい」
ビュティは財布から50円玉を取り出してボーボボに渡した。
ボーボボはそれを受け取ると、50円玉の穴に紐を通してレムの目の前で左右に揺らした。
「鼻毛真拳奥義『50円玉催眠術』!」
「50円玉!?5円玉じゃなくて!?」
「う・・・ここは・・・?」
レムは目覚めた。
「起きた!?50円玉で!!?」
「レム!」
「あ、ランバダ様。おはようございます」
「呑気に言ってる場合か」
しかし、ランバダの表情は笑顔だった。
レムを取り戻し、更に目覚めたので安心したのだろう。
ランバダはボーボボに礼を述べた。
「悪ぃな、ボーボボ」
「気にするな。礼は十万倍に返してくれればそれでいい」
「・・・は?」
ランバダは差し出しそうになった手を止めてボーボボをまじまじと見た。
そのグラサンの奥の瞳がどのような光を灯しているかは判らないが、絶対にロクな事ではない。
なんだかもう本能で判る、なんかヤバイと。
レムをつれてさっさと逃げ出そうとした時には既に遅く、ランバダはレムと共にロープで縛られていた。
「なっ!?いつの間に・・・!」
「逃げられると思うなよ?」
「安心しろって!悪いようにはしないねーからよぉ」
「こまけー事は屋形船でな」
ボーボボ・首領パッチ・天の助は極悪な笑みを浮かべる。
レムは未だに状況が理解出来ないでいたが、ランバダはもう嫌という程理解出来ていた。
そしてつくづく思う、なんでもっと早く逃げなかったのか。
更に何故、屋形船で話しをするのか。
んな訳で屋形船。
屋形船にはボーボボたち以外にクマたちも相席していた。
けどまぁ、こんな事はよくあるので誰もツッコミを入れない。
ボーボボたちは細かい事はここで話すと言ったものの、目の前の料理に集中していて話をする気ゼロだ。
「話しすんじゃなかったのかよ・・・」
「・・・zzz・・・」
「お前は寝るな!」
とりあえず縄が解かれているランバダは、既にいつもの服に着替えて寝ているレムを起こす。
「ハッ!朝ですか?」
「んな訳あるか」
「レムさん、ランバダさん、天ぷら食べますか?」
「ああ・・・って!そーじゃねーよ!話しはどうなったんだよ!?」
「ランバダ、お前はツッコミ属性だな」
「真面目な顔で何訳わかんねーこと言ってんだテメーは!!」
平常運転のビュティとヘッポコ丸にツッコミを入れるランバダ。
このままボーボボたちが話しだすのを待っても時間の無駄なので、料理をポリゴンにして中断させた。
「ぬぁあっ!飯が!!」
「オイコラテメー!食いもん粗末にしてんじゃねーよ!!」
「粗末にされる食い物の恨みと悲しみがお前に判るのか!?ああ!?」
「うるせー!飯喰ってねーでさっさと本題に入れ!沈めるぞコラァ!」
「上等じゃコラァ!やれるもんならやってみやがれってんだ!!」
「二人共、落ち着いて!」
ビュティが二人の間に入って喧嘩のムードを沈める。
まぁ、ここで喧嘩になってもしゃーないので二人はとりあえず落ち着いて話しをする事にした。
「ボーボボ、何でランバダさんたちに話があるのか説明してあげなよ」
「いいだろう。お前ら二人に話があるのは他でもない。礼を返してもらう為た」
「主人公の癖に礼を求めんのかよ!お前それでも主人公か?」
「けっ!全ての主人公が礼なしに無償で人探しとか手伝ってくれると思うなよ」
「オメあんま舐めてっと痛い目みんぞコラァ」
「これだから最近のガキはよぉ」
首領パッチと天の助がヤクザみたいな格好をしてランバダの背中を蹴る。
ランバダは無言で二人をポリゴン化して蹴飛ばした。
そして話を続ける。
「で?見返りはなんだ?金か?」
「そうだと言いたいがそうじゃない。いいか、よく聞け」
ボーボボが腕を組みながら真剣に言い放つ。
何やらいつになく只ならぬ雰囲気を醸し出している。
ランバダとレムも真剣な顔つきになって耳を傾けた。
「俺達の奴隷になれ。レム、ランバダ!」
「真剣な顔で何言っちゃってんの!!?」
すかさずビュティがツッコミを入れる。
その後にランバダも続く。
「ふざけんなテメー!!奴隷になれってどういう事だよ!!?」
「一緒にレム探してやったじゃねーか。このくらいの報酬は当然だ」
「レムの捜索と報酬が釣合ってねーよ!!」
「そう思っているのはお前だけだ」
「俺だけか?俺だけなのか!?」
「それで?具体的には何をすればいいんですか?」
「レム!!!??」
やや乗り気のレムにランバダは心底驚く。
けれどもレムは至って真面目にこう答えた。
「だって私の為に敵地まで乗り込んで来てくれたんだし、恩返しはしないと」
「奴隷だぞ!いいのか!!?」
「よし、レムは布団係だ!毎日俺たちの為に最高の布団を頼むぞ!」
「お前は黙ってろ!!」
「あーあ、眠いな~」
「レム~、ちょっと布団になってくんねーか?」
首領パッチと天の助が厭らしい笑みを浮かべながら言い寄る。
「あ、いいですよ」
「いいわけあるか!!」
「「おぶっ!!」」
ブチ切れたランバダが首領パッチと天の助を思いっきり蹴り飛ばして外に放り出す。
二人はドッボーンと音を立てて川に沈んだ。
バカ二人を排除した所でランバダは話しを戻した。
「大体、買い出し当番やったじゃねーか!それでチャラだろ!!」
「あれは俺たちの仲間入りする為の手数料です~。報酬には入りません~」
「ざけんなこのクソ野郎!!!」
「なぁらばぁ!俺を倒してこの運命に抗ってみせよ!!」
「上等だ!!」
ボーボボVSランバダの死闘、今ここに再び始まる!
「こんな所で戦闘なんか始めないでよ!!!」
鼻毛とポリゴンが交わる中、ビュティはレムとヘッポコ丸と一緒に隅に避難しながら叫んだ。
ちなみに、食事をしていたクマたちも巻き添えをくらっている。
そこに―――
「「飛び出せ!!!」」
海パンを履いてゴーグルを着けた首領パッチと天の助が鮫に乗って乱入してきた。
ボーボボとランバダの乱闘+首領パッチと天の助の暴走で屋形船は崩壊しつつあった。
「誰かコイツらを止めてーーー!!!」
ビュティの叫びは空に木霊するのだった。
そして―――
「「「すいません、すいません、すいません」」」
なんやかんやで川岸に流れ着いたボーボボたち。
しかし、屋形船の破壊と被害にあったクマたちに謝罪をしていたのはビュティ・ヘッポコ丸・レムだった。
「四人共、そこに正座」
散々怒られて戻ってきたビュティが最初に言った一言はこれだった。
声音には怒りが含まれている。
三バカトリオはしゅんとしながらすぐに正座をする。
「ランバダさんも」
「う、うるせぇ!俺に命令――ー」
「正座」
ビュティはランバダを睨んで言った。
その迫力は凄まじく、逆らってはいけないとランバダの本能が告げていた。
そんな訳で仕方なくランバダもボーボボたちと並んで正座をした。
「何か言う事は?」
「「「「ごめんなさい」」」」
「全くもう!毎回毎回大暴れしないでよ!謝るこっちの身にもなってよ!!」
「だってランバダが・・・」
「言い訳しない!」
「はい・・・」
「だって鮫が・・・」
「俺達はやめようって言ったのに・・・」
「鮫の所為にしない!」
「「はい・・・」」
三人の反論を抑えてビュティは続ける。
「罰としてボーボボは一ヶ月荷物持ち」
「なにーっ!?」
「ランバダさんは一ヶ月買い出し当番」
「はぁっ!?」
「首領パッチ君と天の助君は一ヶ月皿洗いね」
「「ええ~っ!?」」
「返事は?」
「「「「はい・・・」」」」
不満の声をあげようとした四人をビュティは角が生えそうな勢いと迫力で屈服させた。
つまり、メチャクチャ怖い。
その光景にヘッポコ丸は苦笑し、レムは「凄いなー」と思いながら眺めていた。
「はい、じゃあもう正座しなくていいよ」
「「「はーい」」」
三バカは喜んで正座を崩した。
一方でランバダはビュティに末恐ろしさを感じながら正座を崩す。
真のボスはビュティかもしれないと感じて―――。
「ところでランバダよ、答えは決まったか?」
「もういい、好きにしろ。お前らの仲間にでもなんでもなってやるよ。その代わり、奴隷にはならないからな」
「まぁいいだろう」
「レムもそれでいいな?」
「はい」
そんな訳でランバダとレムが仲間になった。
「よしっ!お前ら、仲間に加わった記念の儀式を始めるぞ!!」
「「おうっ!!」」
三バカトリオはテンションをあげる。
そして何かが書かれた紙と朱肉を用意してランバダの脇に腕を通した。
「な、何すんだテメー!!?」
「暴れるな!すぐに終わる!!」
「は~いお兄さん、ちょっと指に朱肉着けましょうね~」
「はいはい、色が付いたらこちらの紙にぐいぐいっと押し付けてね~」
天の助が紙を差し出して来る。
ランバダは指を押さえつけられまいと抵抗しながら、紙に書いてあるものを読み上げた。
「『私はこれから一生ボーボボさんたちのパシリになる事を誓います』・・・だと?」
「さぁ押せ!すぐ押せ!今押せ!!」
「誰が押すかクソ野郎がーーーー!!!」
ランバダはオーラ・オブ・ポリゴンを発動して三バカを払いのけた。
そして再び乱闘が始まる。
「また始まった・・・」
ヘッポコ丸はやれやれといった感じで呟く。
その後ろでビュティはレムと挨拶をしていた。
「宜しくね、レムさん」
「ええ、宜しく」
こうしてランバダとレムという心強い者たちを仲間にしたボーボボ一行。
彼らの旅はまだまだ続く。
一方その頃、カオス・ザ・マルハーゲ帝国では・・・
「4世様!4世様ー!!」
タコのオクトパスが慌ただしく駆けていた。
「騒々しいぞ、オクトパス」
「申し訳ございません。それよりも四天王が集まりました!」
「そうか。ならば、これより会議を始めるぞ」
ツル・ツルリーナ4世は口の端を歪めながら立ち上がった。
以前と違って何やら只ならぬオーラを纏っている。
「待っていろ、ボーボボ。俺はお前を完膚なきまでに潰して世界を手に入れる」
END
仲人たち毛狩り隊軍団を片付けて追いかけてきたヘッポコ丸。
所々に傷などがあるがまぁ気にしない。
「あ、へっくん」
「カナヅチはどうなった?」
「実は・・・」
ビュティはランバダとカナヅチの戦いについて説明した。
特に最後の決着については。
「・・・と、言う訳なの」
「なんつー台無しエンド・・・」
「ホントに・・・」
溜め息をつく二人。
そんな二人を他所にランバダはレムを抱き起して呼びかける。
「レム!起きろレム!干してた布団と枕が雨で濡れるぞ!」
「何その起こし方!?」
気持ちを切り替えてビュティがツッコむ。
それにしてもなんと雰囲気ぶち壊しの起こし方だろうか。
「ここは俺に任せろ!ビュティ、50円玉あるか?」
「え?うん」
「貸してくれ!」
「はい」
ビュティは財布から50円玉を取り出してボーボボに渡した。
ボーボボはそれを受け取ると、50円玉の穴に紐を通してレムの目の前で左右に揺らした。
「鼻毛真拳奥義『50円玉催眠術』!」
「50円玉!?5円玉じゃなくて!?」
「う・・・ここは・・・?」
レムは目覚めた。
「起きた!?50円玉で!!?」
「レム!」
「あ、ランバダ様。おはようございます」
「呑気に言ってる場合か」
しかし、ランバダの表情は笑顔だった。
レムを取り戻し、更に目覚めたので安心したのだろう。
ランバダはボーボボに礼を述べた。
「悪ぃな、ボーボボ」
「気にするな。礼は十万倍に返してくれればそれでいい」
「・・・は?」
ランバダは差し出しそうになった手を止めてボーボボをまじまじと見た。
そのグラサンの奥の瞳がどのような光を灯しているかは判らないが、絶対にロクな事ではない。
なんだかもう本能で判る、なんかヤバイと。
レムをつれてさっさと逃げ出そうとした時には既に遅く、ランバダはレムと共にロープで縛られていた。
「なっ!?いつの間に・・・!」
「逃げられると思うなよ?」
「安心しろって!悪いようにはしないねーからよぉ」
「こまけー事は屋形船でな」
ボーボボ・首領パッチ・天の助は極悪な笑みを浮かべる。
レムは未だに状況が理解出来ないでいたが、ランバダはもう嫌という程理解出来ていた。
そしてつくづく思う、なんでもっと早く逃げなかったのか。
更に何故、屋形船で話しをするのか。
んな訳で屋形船。
屋形船にはボーボボたち以外にクマたちも相席していた。
けどまぁ、こんな事はよくあるので誰もツッコミを入れない。
ボーボボたちは細かい事はここで話すと言ったものの、目の前の料理に集中していて話をする気ゼロだ。
「話しすんじゃなかったのかよ・・・」
「・・・zzz・・・」
「お前は寝るな!」
とりあえず縄が解かれているランバダは、既にいつもの服に着替えて寝ているレムを起こす。
「ハッ!朝ですか?」
「んな訳あるか」
「レムさん、ランバダさん、天ぷら食べますか?」
「ああ・・・って!そーじゃねーよ!話しはどうなったんだよ!?」
「ランバダ、お前はツッコミ属性だな」
「真面目な顔で何訳わかんねーこと言ってんだテメーは!!」
平常運転のビュティとヘッポコ丸にツッコミを入れるランバダ。
このままボーボボたちが話しだすのを待っても時間の無駄なので、料理をポリゴンにして中断させた。
「ぬぁあっ!飯が!!」
「オイコラテメー!食いもん粗末にしてんじゃねーよ!!」
「粗末にされる食い物の恨みと悲しみがお前に判るのか!?ああ!?」
「うるせー!飯喰ってねーでさっさと本題に入れ!沈めるぞコラァ!」
「上等じゃコラァ!やれるもんならやってみやがれってんだ!!」
「二人共、落ち着いて!」
ビュティが二人の間に入って喧嘩のムードを沈める。
まぁ、ここで喧嘩になってもしゃーないので二人はとりあえず落ち着いて話しをする事にした。
「ボーボボ、何でランバダさんたちに話があるのか説明してあげなよ」
「いいだろう。お前ら二人に話があるのは他でもない。礼を返してもらう為た」
「主人公の癖に礼を求めんのかよ!お前それでも主人公か?」
「けっ!全ての主人公が礼なしに無償で人探しとか手伝ってくれると思うなよ」
「オメあんま舐めてっと痛い目みんぞコラァ」
「これだから最近のガキはよぉ」
首領パッチと天の助がヤクザみたいな格好をしてランバダの背中を蹴る。
ランバダは無言で二人をポリゴン化して蹴飛ばした。
そして話を続ける。
「で?見返りはなんだ?金か?」
「そうだと言いたいがそうじゃない。いいか、よく聞け」
ボーボボが腕を組みながら真剣に言い放つ。
何やらいつになく只ならぬ雰囲気を醸し出している。
ランバダとレムも真剣な顔つきになって耳を傾けた。
「俺達の奴隷になれ。レム、ランバダ!」
「真剣な顔で何言っちゃってんの!!?」
すかさずビュティがツッコミを入れる。
その後にランバダも続く。
「ふざけんなテメー!!奴隷になれってどういう事だよ!!?」
「一緒にレム探してやったじゃねーか。このくらいの報酬は当然だ」
「レムの捜索と報酬が釣合ってねーよ!!」
「そう思っているのはお前だけだ」
「俺だけか?俺だけなのか!?」
「それで?具体的には何をすればいいんですか?」
「レム!!!??」
やや乗り気のレムにランバダは心底驚く。
けれどもレムは至って真面目にこう答えた。
「だって私の為に敵地まで乗り込んで来てくれたんだし、恩返しはしないと」
「奴隷だぞ!いいのか!!?」
「よし、レムは布団係だ!毎日俺たちの為に最高の布団を頼むぞ!」
「お前は黙ってろ!!」
「あーあ、眠いな~」
「レム~、ちょっと布団になってくんねーか?」
首領パッチと天の助が厭らしい笑みを浮かべながら言い寄る。
「あ、いいですよ」
「いいわけあるか!!」
「「おぶっ!!」」
ブチ切れたランバダが首領パッチと天の助を思いっきり蹴り飛ばして外に放り出す。
二人はドッボーンと音を立てて川に沈んだ。
バカ二人を排除した所でランバダは話しを戻した。
「大体、買い出し当番やったじゃねーか!それでチャラだろ!!」
「あれは俺たちの仲間入りする為の手数料です~。報酬には入りません~」
「ざけんなこのクソ野郎!!!」
「なぁらばぁ!俺を倒してこの運命に抗ってみせよ!!」
「上等だ!!」
ボーボボVSランバダの死闘、今ここに再び始まる!
「こんな所で戦闘なんか始めないでよ!!!」
鼻毛とポリゴンが交わる中、ビュティはレムとヘッポコ丸と一緒に隅に避難しながら叫んだ。
ちなみに、食事をしていたクマたちも巻き添えをくらっている。
そこに―――
「「飛び出せ!!!」」
海パンを履いてゴーグルを着けた首領パッチと天の助が鮫に乗って乱入してきた。
ボーボボとランバダの乱闘+首領パッチと天の助の暴走で屋形船は崩壊しつつあった。
「誰かコイツらを止めてーーー!!!」
ビュティの叫びは空に木霊するのだった。
そして―――
「「「すいません、すいません、すいません」」」
なんやかんやで川岸に流れ着いたボーボボたち。
しかし、屋形船の破壊と被害にあったクマたちに謝罪をしていたのはビュティ・ヘッポコ丸・レムだった。
「四人共、そこに正座」
散々怒られて戻ってきたビュティが最初に言った一言はこれだった。
声音には怒りが含まれている。
三バカトリオはしゅんとしながらすぐに正座をする。
「ランバダさんも」
「う、うるせぇ!俺に命令――ー」
「正座」
ビュティはランバダを睨んで言った。
その迫力は凄まじく、逆らってはいけないとランバダの本能が告げていた。
そんな訳で仕方なくランバダもボーボボたちと並んで正座をした。
「何か言う事は?」
「「「「ごめんなさい」」」」
「全くもう!毎回毎回大暴れしないでよ!謝るこっちの身にもなってよ!!」
「だってランバダが・・・」
「言い訳しない!」
「はい・・・」
「だって鮫が・・・」
「俺達はやめようって言ったのに・・・」
「鮫の所為にしない!」
「「はい・・・」」
三人の反論を抑えてビュティは続ける。
「罰としてボーボボは一ヶ月荷物持ち」
「なにーっ!?」
「ランバダさんは一ヶ月買い出し当番」
「はぁっ!?」
「首領パッチ君と天の助君は一ヶ月皿洗いね」
「「ええ~っ!?」」
「返事は?」
「「「「はい・・・」」」」
不満の声をあげようとした四人をビュティは角が生えそうな勢いと迫力で屈服させた。
つまり、メチャクチャ怖い。
その光景にヘッポコ丸は苦笑し、レムは「凄いなー」と思いながら眺めていた。
「はい、じゃあもう正座しなくていいよ」
「「「はーい」」」
三バカは喜んで正座を崩した。
一方でランバダはビュティに末恐ろしさを感じながら正座を崩す。
真のボスはビュティかもしれないと感じて―――。
「ところでランバダよ、答えは決まったか?」
「もういい、好きにしろ。お前らの仲間にでもなんでもなってやるよ。その代わり、奴隷にはならないからな」
「まぁいいだろう」
「レムもそれでいいな?」
「はい」
そんな訳でランバダとレムが仲間になった。
「よしっ!お前ら、仲間に加わった記念の儀式を始めるぞ!!」
「「おうっ!!」」
三バカトリオはテンションをあげる。
そして何かが書かれた紙と朱肉を用意してランバダの脇に腕を通した。
「な、何すんだテメー!!?」
「暴れるな!すぐに終わる!!」
「は~いお兄さん、ちょっと指に朱肉着けましょうね~」
「はいはい、色が付いたらこちらの紙にぐいぐいっと押し付けてね~」
天の助が紙を差し出して来る。
ランバダは指を押さえつけられまいと抵抗しながら、紙に書いてあるものを読み上げた。
「『私はこれから一生ボーボボさんたちのパシリになる事を誓います』・・・だと?」
「さぁ押せ!すぐ押せ!今押せ!!」
「誰が押すかクソ野郎がーーーー!!!」
ランバダはオーラ・オブ・ポリゴンを発動して三バカを払いのけた。
そして再び乱闘が始まる。
「また始まった・・・」
ヘッポコ丸はやれやれといった感じで呟く。
その後ろでビュティはレムと挨拶をしていた。
「宜しくね、レムさん」
「ええ、宜しく」
こうしてランバダとレムという心強い者たちを仲間にしたボーボボ一行。
彼らの旅はまだまだ続く。
一方その頃、カオス・ザ・マルハーゲ帝国では・・・
「4世様!4世様ー!!」
タコのオクトパスが慌ただしく駆けていた。
「騒々しいぞ、オクトパス」
「申し訳ございません。それよりも四天王が集まりました!」
「そうか。ならば、これより会議を始めるぞ」
ツル・ツルリーナ4世は口の端を歪めながら立ち上がった。
以前と違って何やら只ならぬオーラを纏っている。
「待っていろ、ボーボボ。俺はお前を完膚なきまでに潰して世界を手に入れる」
END