鼻毛スピリッツ

花嫁控室


ここでレムは水色のウェディングドレスで身を包んで座っていた。
しかし、その目は虚ろでレム自身の意識はないように見える。
そんなレムの前に白いタキシードを着た中々渋い男が偉そうに立つ。

「綺麗だぜ?レム。流石は俺様が見込んだ女だぜ」
「・・・」
「喜べ、もうすぐ俺様たちは結ばれるんだ」

だが、レムは沈黙したままだった。
それでも男は喜びで歪められる顔を抑える事が出来なかった。


















一方その頃、ボーボボたちは・・・


「さて、どうやって空中都市まで行くか・・・」

レムの結婚式が行われる空中都市・クラウンの真下にいた。
ぼやくボーボボ。
彼らはまだ地上にいた。

「毛狩り隊空ブロック隊長・カナヅチが作った空中都市は他のブロックの隊員も利用しているそうです。
 だから、他のブロックに乗り込んで空中都市への移動用の乗り物を奪うのはどうでしょう?」

やや説明口調に聞こえなくもないが、空中都市についての説明は大体そんな感じである。
だが、ヘッポコ丸の提案をランバダがスマホを操作しながら否定する。

「バカが。そんな事してたらレムがカナヅチとか訳わかんねー男と結婚しちまうだろうが。
 それに、空中都市を利用出来るブロックは限られてる」
「どことどこだよ?」
「まず最初にツルリーナ四世とその隊員たち、次にカオス・ザ・マルハーゲ四天王率いるブロック。
 それから情報ブロックと給食ブロックだ」
「給食ブロック!?なんだそれ!?」

第一期の時はなかった筈のブロックがあってヘッポコ丸は驚く。
とうとうとち狂ったか、とさえヘッポコ丸は思った。

「くぅっ、給食ブロックか・・・。ここから近いのはそこだが給食ブロック相手じゃ勝ち目はねぇ・・・!」
「他の所はどうにかなりそうだが給食ブロックはヤバいな・・・」
「多分全員死ぬぜ?」
「給食ブロックどんだけ!!?」

ボーボボ・首領パッチ・天の助の順で給食ブロックへのコメントを述べる。
ビュティには全く理解できなかった。いや、他の人でも理解出来ないだろう。
恐るべし給食ブロック。

「毛狩り隊・・・今はどのくらいの規模になってるんだ?」
「そんな事も知らねーのかよ」
「じゃあお前は知ってるのかよ?」
「当たり前だ。レムを探す為にそこら辺の情報は集めてたし、ネットで有名だぞ」
「ネットでか!?」
「更に驚け。オフィシャルサイトがある上に隊員募集をしてるぞ」
「オフィシャルサイト!?隊員募集!!?」

「おっ、マジであった」
「自給1000円で交通費も出るのか」
「インタビュー覧もあるよ」
「このグッズいいな」

ヘッポコ丸がツッコんでる横で首領パッチ・ボーボボ・ビュティ・天の助の順で公式サイトをスマホで見ていた。
ちなみに、カオス・ザ・マルハーゲ公式サイトはかなり充実しているとか。
そんな事は置いといてヘッポコ丸は話題を戻した。








「それで、その規模ってのは?」
「頂点にツルリーナ四世、その下にはツルリーナ四天王がいる。
 更にその下に海・山・空・情報・派遣・給食ブロックが並列して存在する。
 で、また更にその下はA~Zブロックと暗殺部隊だ。下にいけば行くほど部隊は弱い」
「凄い大規模だな・・・」
「毛狩り隊はそこまで強大になっていたのか」

やや思案顔になるボーボボ。
そんなボーボボにランバダは催促する。

「そんな事よりクラウンに行くための手段を考えるぞ」
「フッ、もう考えたぜ」
「何!?だったらそれを早く言え!」
「そう焦るな。―――鼻毛真拳奥義『トランポリン』!!!」

そう言って子供用のトランポリンを出すボーボボ。

「ふざけてんじゃねーよ!!!」

手をポリゴンにしたランバダがボーボボに斬りかかる。
ボーボボはそれを華麗に避けると、首領パッチと天の助と一緒にトランポリンに乗って飛び跳ね始めた。

「見ていろ!トランポリンの無限の可能性を!!行くぜお前ら!」
「「おう!!」」

「「「ポーンポーンとーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーう!!!!!!!」

クラウンに届くくらい高く、三バカは飛び跳ねた。

「子供用トランポリンすごーい!!!」

ビュティが驚きのツッコミを入れる。
恐るべし子供用トランポリン。
ランバダはしばらく無言になった後、同じようにトランポリンに乗って空高く飛んで行った。
あとにはビュティとヘッポコ丸が残る。

「・・・俺たちも行こうか」
「そうだね」

二人はどこか吹っ切れたような爽やかな笑顔でクラウンまで飛んで行った。














空中都市・クラウン


六人は無事にクラウンに到着した。
そして、昔のドラクエのような感じで行動を開始した。
ちなみに、先頭はボーボボである。

「何故にドラクエ風!!?」

と、ツッコむビュティ。
更にランバダが抗議する。

「おいボーボボ!こっちは急いでんだ!早くしろ!」
「何言ってんだ。新しい街に来たら民家の箪笥や壺を調べるのは常識だろう?」
「ボーボボ、あっちの家、小さなメダルがありそうだぜ」と首領パッチ。
「いい加減にしやがれ!!!」

「そこの帽子を被った人の言う通りです」

突然声がして六人は驚いて辺りを見回す。

「こちらです」

もう一度声がして今度こそ声の主を捉える。
すると、そこには翼の生えた青年と数百人の隊員がいた。
ヘッポコ丸が叫ぶ。








「毛狩り隊!」

「如何にも。私は毛狩り隊空ブロック副隊長・キクウ。
 ボーボボ及びその仲間を敵とし、またカナヅチ様の結婚式を邪魔する不届き者として排除させて頂きます」

「へっ!お前みたいなひょろっちい奴にやられる俺たちじゃねーぜ!おととい来やがれってんだ!!」

天の助は威勢良く叫び、本人曰くの黄金の右拳をキクウに向かって走りながら突き出した。
それに対してキクウは背中の翼で己の身を包む。

「らぁっ!!」

天の助の右拳がキクウの翼に触れた瞬間、天の助は浄化された。
天の助は地を這うような声を上げて消える。

「ぐぁ~~~~!!!」
「浄化された!!」

「無駄です。この翼は心が邪悪な者を浄化する力があります」

「ならば、心が聖者のように澄んでいれば問題ないな」
「聖者と言えば神父で決まりだぜ!」

ボーボボと首領パッチは神父へと姿を変え、十字架を持ってキクウに突撃した。
結果・・・

ジュワ~~~~~~!(浄化される音)

「「ぐぁあ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」」

「浄化された!!!」

表面を神父で装っても中身が邪悪なので通じなかったようだ。

「今です、全員でかかりなさい」

「「「おーっ!!!」」」

キクウの号令の下、隊員たちは一斉に飛び掛かってきた。

「ビュティ、俺の後ろに!」
「うん!」

ビュティに指示を出すヘッポコ丸。
今回は頼もしいぞ、ヘッポコ丸。

「お前らに用はねーんだ、うせろ!」

ランバダは隊員たちを上手くかわしたり一撃を加えて撃沈させながら辺りを見回す。
すると、偶然にも『この先、カナヅチ様結婚式場』の立て看板があった。
ランバダはそれを便りに走り出す。
だが、それをキクウが許さない。

「この先には行かせませんよ」

「チッ!」

攻撃を仕掛けてくるキクウとそれを防御するランバダ。
力の差はランバダの方が圧倒的に上だがキクウは粘り強く、中々前に進めない。

「とっととそこをどきやがれ!!」

「どく訳には・・・行きません・・・!カナヅチ様の・・・為にも・・・!」

どうやらキクウはカナヅチに対して忠誠心が強いようだ。
だからこそ、こうやってボロボロになりながらもランバダの行く道を阻もうとする。
そんなキクウの下に三体の神が降臨した。

「ナレーションストップ!!三体の神ってまさか―――!!」

「「「そのまさかだ」」」

「ところてんの神・ところ天の助!」
「ハジケの神・首領パッチ!」
「牛乳の神・ボーボボ!」

「牛乳!?鼻毛じゃなくて!!?」

「ここに降臨!!!」

ピカーッと戦隊もの宜しく後光を輝かせる三人。
キクウは戸惑った。








「ば、バカな!お前たちは私の翼で浄化した筈!なのに何故・・・!?」

キクウの問いにボーボボが答える。

「簡単な事だ。お前がランバダと戦闘している間に俺たちは何十回と輪廻転生をした。
 そしてその末、神々の審判で俺たちは神へと召し上がられたって訳さ」
「この数分間の間にそんな壮絶な事があったの!!?」

「くっ!だが、いくら戯言を口にしようがお前らが邪悪なのは変わるまい!」

「試してみるか?」
「言っておくが、俺たちはあの時の俺たちじゃないぜ?」
「覚悟するんだな」

ボーボボ・首領パッチ・天の助が挑発するように言い放つ。
キクウはその挑発に乗ってしまい、再び翼で己の身を包んだ。

「行くぜ!鼻毛真拳奥義『ゴッドハンド』!!」

三人の拳がキクウの翼を貫通する。

「なっ・・・!?」

キクウは驚くが、その時には既に三人の拳が迫っており、避ける事は適わなかった。
そのままキクウは殴り飛ばされ、再起不能となる。

「バカな・・・邪悪な・・・筈、じゃ・・・」

「神は善悪を超えた存在だ。邪悪な訳があるか」




ボーボボVSキクウ  ボーボボの勝利!








「やりましたね、ボーボボさん!」

ヘッポコ丸が息を切らしながら声をかける。
どうやら大量にいた隊員を片付け終わった所らしい。

「よし、ヘッポコ丸の方も片付いた所で結婚式に殴り込みに行くぞ!」

「おーっ!!」

ボーボボたちは走り出す。
が、突然再びドラクエ風のドット絵になって一列に並ぶ。

「その前に宿屋で回復するぞ」
「セーブも忘れんなよ」
「だからふざけてんじゃねーよ!!!!」

ランバダの怒りの叫び声は宿屋に響いたのだった。












END









→オマケ







チラッと日常

『仁義なきアイス戦争』



夜中


三バカ「こそこそ・・・」

ギシッ

天の助「あっ!」
首領パッチ「静かにしろバカ!」
天の助「あ、ああ、悪い」
ボーボボ「それより早く行くぞ」






冷蔵庫


ガラガラ・・・(冷凍庫を開ける)


首領パッチ「来た来た!ハーゲンホワッツ!」
天の助「早く食べようぜ!」
ボーボボ「俺はクッキー&バニラな」
首領パッチ「んじゃ、おれはオレンジ味」
天の助「俺はベルギーチョコ味にしよっと」

三バカ「いただきまーす」

パクッ

・・・・・・

・・・・・・

三バカ「うま~♡」




そして・・・




ボーボボ「ゴミは小さい紙袋に入れた状態でゴミ袋に入れて処分するぞ」
首領パッチ「天の助、その間にお前は冷凍庫に入ってアイスのフリをしろ」
天の助「了解」








次の日


ビュティ「ボーボボと首領パッチ君、それと天の助君は今日のオヤツは抜きね」

二人「え~!?何で~!!?」

ビュティ「昨日の夜にハーゲンホワッツ盗み食いしたでしょ?判ってるんだからね!
     しかも代わりに天の助君を入れて誤魔化そうたってそうはいかないんだから!」

二人「ガーン!」





ヘッポコ丸「ちなみに天の助は?」
ビュティ「かちこちに凍ってたから解凍する為に陽の当たる所に置いといたの」
ヘッポコ丸「解凍を通り越して溶けてるんですけど・・・」





END
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