鼻毛スピリッツ
ボーボボたち一行は銭湯に来ていた。
「銭湯だ銭湯だーーーー!!!」
「わーーーーーーい!!!!」
ボーボボと首領パッチは浮輪をつけて泳いでいた。
バタ足でバタバタと水を跳ねさせて泳ぐものだから迷惑だ。
「おい!風呂で泳ぐなよ!!」
ヘッポコ丸が注意する。
「はっはっは、お前たちは本当に子供だな~」
笑う天の助は既に溶けていて、形が崩れつつあった。
「お前溶けてるぞ!!」
自ら風呂に入るなど天の助は馬鹿なのだろうか。
いや、馬鹿だからこそこんな事になっているのか。
ヘッポコ丸は天の助をどうしようかとあたふあする。
対するランバダはボーボボたちとは離れた湯に浸かって和んでいた。
そこに―――
「随分と余裕だな、ボーボボ」
挑戦的な声がボーボボにかけられた。
「誰だ!?」
ボーボボは泳ぐのをやめて声のした方を振り返る。
そこには、ボーボボたちと同じ湯に浸かっているスキンヘッドの男がいた。
言わずもがな、毛狩り隊だ。
「フッフッフ、俺は毛狩り隊―――」
「毛狩り隊はぶっ潰す!!!!!」
男が名乗る前にボーボボは激しくバタ足をして思いっきり水をかけてやった。
「台無しだーーー!!!」
すかさずヘッポコ丸がツッコむ。
ボーボボは相変わらずだ。
しかし、敵も我慢は出来ない。
「やめろーーーーーー!!!!」
ザバァッと勢いよく立ちあがって水かけから脱出する。
男はボーボボを睨みつけて言い放った。
「おい!!!人の折角の見せ場を台無しにするんじゃねーよ!!」
「使い捨てキャラが何を言う」
冷たい一言を言い放つボーボボ。
まぁ、実際使い捨てキャラなのだから何も言えないが。
そんな事は気にせずに男はもう一度やり直した。
「俺の名はベップ。毛狩り隊暗殺部隊の者だ」
「また暗殺部隊・・・」
この間のアヒルパンツの奴らと同じなんじゃなかろうかと、ヘッポコ丸はふと思ったとか。
しかし、見るからにアヒルパンツの奴らよりはまともに見えるので大丈夫だとは思う。
「ふん、暗殺部隊だろうが何だろうがすぐに倒してやるよ」
石鹸やスポンジの入った洗面器を持つボーボボと風呂用のアヒルのおもちゃを持って構える首領パッチ。
天の助は・・・溶けてほとんど原形を留めていなかった。
一方その頃、女湯では・・・
「はぁ~~!いいお湯!銭湯もいいもんだね~」
ビュティがのんびりと寛いでいた。
男湯
ボーボボたちとベップは構え合っていた。
ベップは少し余裕そうに見える。
「言っておくが、俺は銭湯拳法体得者だ。銭湯での戦闘は慣れている」
「それがなんだってんだ。俺なんかスポンジの違いが判る拳法体得者だ」
「自慢にならねー!!」
「俺なんか女湯覗き拳法体得者だぜ?」
いつの間にか男湯と女湯を隔てる壁をよじ登っていた首領パッチ。
犯罪である拳法を身につけているのである意味最低だ。
そして、壁を登り切って女湯に顔を覗かせたが―――
「何やってんのよ首領パッチ君!!!!」
ビュティの洗面器投げによって弾き飛ばされた。
良い子のみんなは絶対に真似してはいけません。
そんなバカはほっといて、ボーボボとベップの戦いが始まる。
「行くぞ!!銭湯拳法・洗面器タイフーン!!!」
ベップは軽やかな動きで洗面器を投げつけてくる。
「なんの!こちらもスポンジタイフーン!!!」
ボーボボも対抗してスポンジを軽やかな動きで投げる。
色とりどりのスポンジが宙を舞う。
一方その頃、待合室では・・・
「ぷはーっ!やっぱ風呂上がりはコーヒー牛乳だよね~」
ビュティがコーヒー牛乳を飲んでいた。
そして男湯
湯船のあちこちで洗面器と色とりどりのスポンジが浮かんでいた。
(後で片付けなきゃ・・・)
でないと番台のおばあさんに怒られてしまう。
ヘッポコ丸は律義だった。
そんなヘッポコ丸を他所に戦いは続く。
「行くぜ!石鹸クロー!!!」
ベップが両手に固形の石鹸を持って殴ってくる。
「なんの!スポンジガード!!」
ボーボボも負けまいとして両手にスポンジを持って防御する。
「防御していては俺は倒せんぞ?」
ベップは挑発する。
しかし、ボーボボは動じず、むしろ余裕の笑みを浮かべてみせた。
「それはどうかな?」
「何っ!?」
「今だ、首領パッチ!」
ボーボボが呼びかけると、首領パッチが湯船の中から飛び出してきた。
その両手にはアヒルのおもちゃが握られている。
「秘技・アヒルスラッシュ!!!」
素早い動きでベップを切り裂く。
「ぐおっ!!!」
「えっ!?ダメージくらってんの!!?」
たかがアヒルのおもちゃ如きでダメージをくらうとは・・・。
アヒルのおもちゃが強いのか、それとも単に敵が弱いだけか。
どちらとも言えないが、あまりレベルの高い戦いではないのは確かだ。
「そしてそのまま、ランバダへどーーーん!!!」
首領パッチはやめておけばいいものを、ランバダの頭に二対のアヒルのおもちゃを突き立てた。
「・・・」
勿論、ランバダはキレた。
だからこそ、首領パッチの両足を片手でがしっと掴んで
「秘技・バカスラッシュ」
怒りが滲み出ている声で首領パッチをベップに向かって振り回したのだ。
攻撃力は絶大だ。
「ぐおぉっ!!!」
「らぁっ!!」
ランバダは首領パッチを思いっきりベップに投げつけた。
そして、何事もなかったかのように湯船に入り直す。
(ランバダ怖ぇ~)
ランバダの恐ろしさをまた一つ学ぶヘッポコ丸だった。
そんな二人を置いてといて、ボーボボとベップの戦いが続く。
「銭湯拳法ってのも大した事ねーな」
「ふん、これからが本番だ。行くぞ―――」
ベップは構えた。
「銭湯拳法・子供の舞!!!」
ベップはボーボボの周りをちょろちょろと走り始めた。
その走り方は、さながら銭湯ではしゃいで走り回る子供のようだ。
「そして!銭湯拳法・石鹸斬り!!」
石鹸で斬りつけてきたベップ。
石鹸にそんな殺傷能力があるだなんてにわかに信じられないヘッポコ丸。
それでも良い子は真似してはいけません。
「ぐぅっ!!」
両手で防御するボーボボ。
傷跡があちこちに出来る。
反撃したい所だがベップがちょろちょろ動いていて当たりそうにない。
しかし、ボーボボには秘策があった。
「調子に乗るなよ!鼻毛真拳奥義・銭湯アクシデント!!」
ボーボボは人差し指を天井に向かって大きく突き上げる。
「ぬあっ!?」
すると、ベップが腰に巻きつけていたタオルがポロリと外れた。
そして―――海パンが露になる。
「何だと!?」
「海パン!!?」
ボーボボとヘッポコ丸は驚く。
対するベップはしたり顔だ。
「フッフッフ、驚いたか?―――俺が何の対策もしていないと思ってたか?」
「何の対策だよ」
ヘッポコ丸が冷静にツッコむ。
ベップはまさかこうなる事を予測していたのだろうか?
だったら凄いが、とてつもなくどうでもいい。
呆れているヘッポコ丸の傍らで、ボーボボは怒りを露にしていた。
「ベップ。お前は侵してはならないことを犯した。よって、『銭湯の制裁』を受けてもらう」
「何だと!?」
「一つ!!!」
ボーボボが構えると鼻から勢いよく鼻毛が出てきてベップを巻きつける。
「な、何だ!?」
もがくベップ。
しかし、鼻毛が解かれる事はなく、ボーボボは続けた。
「銭湯で周りの人に迷惑をかけたこと!!」
「ボーボボさんも十分迷惑をかけてましたよ!!」
ヘッポコ丸はボーボボの諸行を忘れてはいなかった。
しかし、ボーボボはそれを無視して続ける。
「ふたーつ!!この世に生を受けたこと!!」
「全否定!!!??」
しかもそれが二つ目だという。
そして、最後の三つ目になった。
「みっつー!!銭湯で海パンを履いてきたこと!!」
「えっ!?それ!!?」
「これらを総合してお前を水風呂の刑に処する!!」
「それだけ!?」
ボーボボとヘッポコ丸のやり取りが一通り終わる。
ボーボボは鼻毛でベップを高く上げてベップを水風呂の中に思いっきり突っ込んだ。
ドカーンという音が風呂の中で響く。
ベップは―――戦闘不能になった。
ボーボボVSベップ ボーボボの勝利
「やった!」
レベルの低い戦いでも勝利を喜ぶヘッポコ丸。
「もう少し湯に浸かっていたい所だが、ビュティが待っている筈だ。出るぞ」
「はい」
しかし、よく考えてみれば自分は殆どと言っても過言ではないくらい湯に浸かっていない気がする。
出入り口の方では首領パッチがランバダにジュースを強請っているが適当にあしらわれている。
天の助は・・・溶けてなくなってる。
何の為に銭湯に来たのか判らなくなってきたヘッポコ丸だった。
待合室
待合室ではビュティがのんびりマッサージ機に座っていた。
とても気持ちよさそうな顔をしている。
そこに―――
「待たせたな」
ボーボボの声がした。
「ボーボボ!お風呂はどうだった?」
笑顔で振り返るビュティ。
しかし、ボーボボと首領パッチのHPは10/100であるのに気づいた。
天の助に至っては『死亡』とだけしか表示されていない。
「何があったの!!?」
銭湯で身も心も回復する筈が逆に減っているというこの不思議。
ツッコまずにはいられなかった。
だが、それにはちゃんとした理由があったのでボーボボは説明した。
「運悪く毛狩り隊がいてな。ゆっくり休めなかったんだ」
「毛狩り隊が!?」
「ああ、ビュティは大丈夫だったか?」
「私の所は大丈夫だったよ」
「ねぇママ~、ジュース飲みた~い~」
二人の会話に首領パッチが割り込んできた。
子供のようにビュティにジュースをおねだりしている。
「はいはい、買ってきな」
ビュティは財布から100円玉を出すと、それを首領パッチに渡した。
「わーい!!」
首領パッチは嬉しそうに駆け出した。
「ランバダ、ベップにレムの事を聞かなくてよかったのか?」
ボーボボが思い出したようにランバダに聞く。
ランバダはコーヒー牛乳を傾ける手を止めて答えた。
「どうせアイツも知らねーだろ。だからいい」
「そうか。よし、次行くか」
「天の助君はどうするの!?」
「置いていく」
「ええっ!!?」
まさかの発言にビュティは驚く。
ボーボボたちからしてみれば溶けた物をどうしろという問題だ。
それに、天の助だからいいんじゃね?的な気持ちもある。
そんな訳で、ボーボボ達は銭湯を後にした。
ベップの海パンから招待状が食み出てるのも知らずに。
END
「銭湯だ銭湯だーーーー!!!」
「わーーーーーーい!!!!」
ボーボボと首領パッチは浮輪をつけて泳いでいた。
バタ足でバタバタと水を跳ねさせて泳ぐものだから迷惑だ。
「おい!風呂で泳ぐなよ!!」
ヘッポコ丸が注意する。
「はっはっは、お前たちは本当に子供だな~」
笑う天の助は既に溶けていて、形が崩れつつあった。
「お前溶けてるぞ!!」
自ら風呂に入るなど天の助は馬鹿なのだろうか。
いや、馬鹿だからこそこんな事になっているのか。
ヘッポコ丸は天の助をどうしようかとあたふあする。
対するランバダはボーボボたちとは離れた湯に浸かって和んでいた。
そこに―――
「随分と余裕だな、ボーボボ」
挑戦的な声がボーボボにかけられた。
「誰だ!?」
ボーボボは泳ぐのをやめて声のした方を振り返る。
そこには、ボーボボたちと同じ湯に浸かっているスキンヘッドの男がいた。
言わずもがな、毛狩り隊だ。
「フッフッフ、俺は毛狩り隊―――」
「毛狩り隊はぶっ潰す!!!!!」
男が名乗る前にボーボボは激しくバタ足をして思いっきり水をかけてやった。
「台無しだーーー!!!」
すかさずヘッポコ丸がツッコむ。
ボーボボは相変わらずだ。
しかし、敵も我慢は出来ない。
「やめろーーーーーー!!!!」
ザバァッと勢いよく立ちあがって水かけから脱出する。
男はボーボボを睨みつけて言い放った。
「おい!!!人の折角の見せ場を台無しにするんじゃねーよ!!」
「使い捨てキャラが何を言う」
冷たい一言を言い放つボーボボ。
まぁ、実際使い捨てキャラなのだから何も言えないが。
そんな事は気にせずに男はもう一度やり直した。
「俺の名はベップ。毛狩り隊暗殺部隊の者だ」
「また暗殺部隊・・・」
この間のアヒルパンツの奴らと同じなんじゃなかろうかと、ヘッポコ丸はふと思ったとか。
しかし、見るからにアヒルパンツの奴らよりはまともに見えるので大丈夫だとは思う。
「ふん、暗殺部隊だろうが何だろうがすぐに倒してやるよ」
石鹸やスポンジの入った洗面器を持つボーボボと風呂用のアヒルのおもちゃを持って構える首領パッチ。
天の助は・・・溶けてほとんど原形を留めていなかった。
一方その頃、女湯では・・・
「はぁ~~!いいお湯!銭湯もいいもんだね~」
ビュティがのんびりと寛いでいた。
男湯
ボーボボたちとベップは構え合っていた。
ベップは少し余裕そうに見える。
「言っておくが、俺は銭湯拳法体得者だ。銭湯での戦闘は慣れている」
「それがなんだってんだ。俺なんかスポンジの違いが判る拳法体得者だ」
「自慢にならねー!!」
「俺なんか女湯覗き拳法体得者だぜ?」
いつの間にか男湯と女湯を隔てる壁をよじ登っていた首領パッチ。
犯罪である拳法を身につけているのである意味最低だ。
そして、壁を登り切って女湯に顔を覗かせたが―――
「何やってんのよ首領パッチ君!!!!」
ビュティの洗面器投げによって弾き飛ばされた。
良い子のみんなは絶対に真似してはいけません。
そんなバカはほっといて、ボーボボとベップの戦いが始まる。
「行くぞ!!銭湯拳法・洗面器タイフーン!!!」
ベップは軽やかな動きで洗面器を投げつけてくる。
「なんの!こちらもスポンジタイフーン!!!」
ボーボボも対抗してスポンジを軽やかな動きで投げる。
色とりどりのスポンジが宙を舞う。
一方その頃、待合室では・・・
「ぷはーっ!やっぱ風呂上がりはコーヒー牛乳だよね~」
ビュティがコーヒー牛乳を飲んでいた。
そして男湯
湯船のあちこちで洗面器と色とりどりのスポンジが浮かんでいた。
(後で片付けなきゃ・・・)
でないと番台のおばあさんに怒られてしまう。
ヘッポコ丸は律義だった。
そんなヘッポコ丸を他所に戦いは続く。
「行くぜ!石鹸クロー!!!」
ベップが両手に固形の石鹸を持って殴ってくる。
「なんの!スポンジガード!!」
ボーボボも負けまいとして両手にスポンジを持って防御する。
「防御していては俺は倒せんぞ?」
ベップは挑発する。
しかし、ボーボボは動じず、むしろ余裕の笑みを浮かべてみせた。
「それはどうかな?」
「何っ!?」
「今だ、首領パッチ!」
ボーボボが呼びかけると、首領パッチが湯船の中から飛び出してきた。
その両手にはアヒルのおもちゃが握られている。
「秘技・アヒルスラッシュ!!!」
素早い動きでベップを切り裂く。
「ぐおっ!!!」
「えっ!?ダメージくらってんの!!?」
たかがアヒルのおもちゃ如きでダメージをくらうとは・・・。
アヒルのおもちゃが強いのか、それとも単に敵が弱いだけか。
どちらとも言えないが、あまりレベルの高い戦いではないのは確かだ。
「そしてそのまま、ランバダへどーーーん!!!」
首領パッチはやめておけばいいものを、ランバダの頭に二対のアヒルのおもちゃを突き立てた。
「・・・」
勿論、ランバダはキレた。
だからこそ、首領パッチの両足を片手でがしっと掴んで
「秘技・バカスラッシュ」
怒りが滲み出ている声で首領パッチをベップに向かって振り回したのだ。
攻撃力は絶大だ。
「ぐおぉっ!!!」
「らぁっ!!」
ランバダは首領パッチを思いっきりベップに投げつけた。
そして、何事もなかったかのように湯船に入り直す。
(ランバダ怖ぇ~)
ランバダの恐ろしさをまた一つ学ぶヘッポコ丸だった。
そんな二人を置いてといて、ボーボボとベップの戦いが続く。
「銭湯拳法ってのも大した事ねーな」
「ふん、これからが本番だ。行くぞ―――」
ベップは構えた。
「銭湯拳法・子供の舞!!!」
ベップはボーボボの周りをちょろちょろと走り始めた。
その走り方は、さながら銭湯ではしゃいで走り回る子供のようだ。
「そして!銭湯拳法・石鹸斬り!!」
石鹸で斬りつけてきたベップ。
石鹸にそんな殺傷能力があるだなんてにわかに信じられないヘッポコ丸。
それでも良い子は真似してはいけません。
「ぐぅっ!!」
両手で防御するボーボボ。
傷跡があちこちに出来る。
反撃したい所だがベップがちょろちょろ動いていて当たりそうにない。
しかし、ボーボボには秘策があった。
「調子に乗るなよ!鼻毛真拳奥義・銭湯アクシデント!!」
ボーボボは人差し指を天井に向かって大きく突き上げる。
「ぬあっ!?」
すると、ベップが腰に巻きつけていたタオルがポロリと外れた。
そして―――海パンが露になる。
「何だと!?」
「海パン!!?」
ボーボボとヘッポコ丸は驚く。
対するベップはしたり顔だ。
「フッフッフ、驚いたか?―――俺が何の対策もしていないと思ってたか?」
「何の対策だよ」
ヘッポコ丸が冷静にツッコむ。
ベップはまさかこうなる事を予測していたのだろうか?
だったら凄いが、とてつもなくどうでもいい。
呆れているヘッポコ丸の傍らで、ボーボボは怒りを露にしていた。
「ベップ。お前は侵してはならないことを犯した。よって、『銭湯の制裁』を受けてもらう」
「何だと!?」
「一つ!!!」
ボーボボが構えると鼻から勢いよく鼻毛が出てきてベップを巻きつける。
「な、何だ!?」
もがくベップ。
しかし、鼻毛が解かれる事はなく、ボーボボは続けた。
「銭湯で周りの人に迷惑をかけたこと!!」
「ボーボボさんも十分迷惑をかけてましたよ!!」
ヘッポコ丸はボーボボの諸行を忘れてはいなかった。
しかし、ボーボボはそれを無視して続ける。
「ふたーつ!!この世に生を受けたこと!!」
「全否定!!!??」
しかもそれが二つ目だという。
そして、最後の三つ目になった。
「みっつー!!銭湯で海パンを履いてきたこと!!」
「えっ!?それ!!?」
「これらを総合してお前を水風呂の刑に処する!!」
「それだけ!?」
ボーボボとヘッポコ丸のやり取りが一通り終わる。
ボーボボは鼻毛でベップを高く上げてベップを水風呂の中に思いっきり突っ込んだ。
ドカーンという音が風呂の中で響く。
ベップは―――戦闘不能になった。
ボーボボVSベップ ボーボボの勝利
「やった!」
レベルの低い戦いでも勝利を喜ぶヘッポコ丸。
「もう少し湯に浸かっていたい所だが、ビュティが待っている筈だ。出るぞ」
「はい」
しかし、よく考えてみれば自分は殆どと言っても過言ではないくらい湯に浸かっていない気がする。
出入り口の方では首領パッチがランバダにジュースを強請っているが適当にあしらわれている。
天の助は・・・溶けてなくなってる。
何の為に銭湯に来たのか判らなくなってきたヘッポコ丸だった。
待合室
待合室ではビュティがのんびりマッサージ機に座っていた。
とても気持ちよさそうな顔をしている。
そこに―――
「待たせたな」
ボーボボの声がした。
「ボーボボ!お風呂はどうだった?」
笑顔で振り返るビュティ。
しかし、ボーボボと首領パッチのHPは10/100であるのに気づいた。
天の助に至っては『死亡』とだけしか表示されていない。
「何があったの!!?」
銭湯で身も心も回復する筈が逆に減っているというこの不思議。
ツッコまずにはいられなかった。
だが、それにはちゃんとした理由があったのでボーボボは説明した。
「運悪く毛狩り隊がいてな。ゆっくり休めなかったんだ」
「毛狩り隊が!?」
「ああ、ビュティは大丈夫だったか?」
「私の所は大丈夫だったよ」
「ねぇママ~、ジュース飲みた~い~」
二人の会話に首領パッチが割り込んできた。
子供のようにビュティにジュースをおねだりしている。
「はいはい、買ってきな」
ビュティは財布から100円玉を出すと、それを首領パッチに渡した。
「わーい!!」
首領パッチは嬉しそうに駆け出した。
「ランバダ、ベップにレムの事を聞かなくてよかったのか?」
ボーボボが思い出したようにランバダに聞く。
ランバダはコーヒー牛乳を傾ける手を止めて答えた。
「どうせアイツも知らねーだろ。だからいい」
「そうか。よし、次行くか」
「天の助君はどうするの!?」
「置いていく」
「ええっ!!?」
まさかの発言にビュティは驚く。
ボーボボたちからしてみれば溶けた物をどうしろという問題だ。
それに、天の助だからいいんじゃね?的な気持ちもある。
そんな訳で、ボーボボ達は銭湯を後にした。
ベップの海パンから招待状が食み出てるのも知らずに。
END