シチュエーションお題
芸術祭なるものが開催される事となった。
テーマは何でも良し。
絵でもデコールでも衣装のデザインでも何でも。
驚く事にチーム同士での共同制作も有りだ。
これもファインとレインの『学園仲良し計画』による学校改革の賜物と言えよう。
さて、そんな中チームジェミニ・チームジュエル・チームサンバで共同制作する事になったとかならないとか。
チームジュエルがデコールを作り、チームサンバが衣装を作り、チームジェミニのファインとレインがそれを試着して披露するという所謂モデル役を務める事になった。
ちなみにシフォンはデザインの全体的バランスチェックと二人のヘアアレンジ担当である。
そこでどんな髪型にしようかと考えている所にシェイドとブライトが偶然通りがかり、ファインとレインの恋心を知っているシフォンは二人にあるお願いをした。
「悪いんだけどファインとレインのヘアアレンジを手伝ってくれないかしら?」
基本が優しい二人は快く引き受けてくれたがファインとレインからしてみれば心臓がバクバクするようなシチュエーションに違いなかった。
エルザやトゥルースなどの両親、キャメロットやルルなどのメイド、プーモといった身内やお互い以外に殆ど触らせた事のない自分達の髪。
異性なんかそれこそ父親であるトゥルース以外で触らせた事など一度もない。
それをあろう事か想い寄せるプリンスに触られて梳かれるのだ、ドキドキしない筈がない。
そんな二人の心内など露知らずブライトはレインの、シェイドはファインのヘアゴムが解かれた長い髪をブラシで優しく丁寧に梳いていく。
「懐かしいなぁ、アルテッサの髪をよく整えてあげたっけ」
「俺もミルキーが成長したらやる事になるんだろうな」
「ミルキーはシェイドの事が大好きだからもしかしたらおねだりしてくるかもね。ファインにお願いして少し練習させてもらったらどうだい?」
「それもそうだな。ファイン、いいか?」
「ウ、ウン・・・イイヨ・・・」
「どうした?具合でも悪いのか?」
「ナナナンデモナイ、ヨ・・・!」
「あ、ごめんよレイン。今ブラシが引っ掛かって痛かったよね?」
「ダダダダイジョウブデス、ヘイキデス・・・!」
男性特有のゴツゴツとした手が、そして何より好きな人が自分の髪を触っているという事実に顔を真っ赤にしてカチコチに固まるファインとレイン。
そんな二人の向かい側に座ってヘアスタイルのカタログを読みながら様子を窺っていたシフォンは更なる冷やかしもとい甘酸っぱさを求めてシェイドとブライトにある進言をする。
「シェイド、ブライト、しっかり梳いてね。複雑なヘアスタイルをする時はしっかり髪が梳かれてないと出来ないんだから!ブラシで梳いた後に自分の指でも滑らかに通るかよく確かめるのよ!」
「そういうものなのか?」
「いやぁ、アルテッサの髪を整えてあげてた時はブラシをしっかり通すだけで十分だったんだけど・・・」
「かのウンチーク様もこう言っているわ!乙女の髪はラーメンが如し!乙女よラーメンであれ!!」
「いやぁ意味分からん」
「と、とにかくよく梳いてあげればいいんじゃないかな」
「ふぁ~!ラーメン食べたいな~!」
「後で食べに行きましょうか」
なんて呑気な会話を交わすファインとレイン。
しかし次の瞬間、シェイドとブライトがシフォンの言った通りに髪に指を通して滑らか具合を確かめてきたので驚きとくすぐったさに震え上がり、シフォンを喜ばせたのは言うまでもない。
「・・・」
シェイドは少々無心になってファインの髪の毛先をブラシで何度も梳く。
本人の性格を反映したような毛先は何度梳いても元気にあちこちに跳ね回る。
「・・・」
ブライトも少々無心になってレインの髪の毛先をブラシで何度も梳く。
本人の性格を反映したような毛先は何度梳いても綺麗なシャープを描いてくるんと回る。
「・・・今更だがファインは癖毛なんだな」
「レインもそうだね。髪の毛先がくるんって跳ねる」
「お母様が癖毛だものね」
「そうそう!だからアタシ達も癖毛なんだよね~」
「「ああ・・・」」
嬉しそうに話すファインとレインの会話からシェイドとブライトは二人の母親にしておひさまの国の王妃であるエルザを思い出す。
思えばエルザも癖毛で髪の毛先が跳ねていた。
そう考えると娘であるファインとレインも遺伝で癖毛になるのも頷けるというもの。
「あ、この編み込み可愛いかも!シェイド、ブライト、試しにこの編み込みをやってみてくれないかしら?」
「編み込み?」
「三つ編みみたいなものさ。こうやってやるんだ」
ブライトがお手本を見せてシェイドがそれを見よう見真似で編み込んでいく。
どちらも手先が器用で、シェイドも呑み込みが早い方なので少し手間取りながらも綺麗に完成させる事が出来た。
「出来たよ、シフォン」
「こんなものか?」
「ええ、バッリチよ!後で見比べられるように写真を撮っておくわね!」
というのは建前で本当はシェイドとブライトによってヘアアレンジしたファインとレインの写真を収め、二人に後で現像してプレゼントする為である。
その事をシェイドとブライトに聞こえないようにこっそりと二人に教えたら「あ、ありがとう・・・」と顔を赤らめながらお礼を口にされた。
「ファインとレインは次はどんな髪型がいいかしら?」
「わ、私はこれがいいかな~!なんて・・・!」
「あ、アタシはこれ・・・!」
「ですって。お願いね、ブライト、シェイド」
その後しばらく、ファインとレインはシフォンの協力もあって好きな人にヘアアレンジをしてもらったり髪を触ってもらう幸せを堪能するのであった。
END
テーマは何でも良し。
絵でもデコールでも衣装のデザインでも何でも。
驚く事にチーム同士での共同制作も有りだ。
これもファインとレインの『学園仲良し計画』による学校改革の賜物と言えよう。
さて、そんな中チームジェミニ・チームジュエル・チームサンバで共同制作する事になったとかならないとか。
チームジュエルがデコールを作り、チームサンバが衣装を作り、チームジェミニのファインとレインがそれを試着して披露するという所謂モデル役を務める事になった。
ちなみにシフォンはデザインの全体的バランスチェックと二人のヘアアレンジ担当である。
そこでどんな髪型にしようかと考えている所にシェイドとブライトが偶然通りがかり、ファインとレインの恋心を知っているシフォンは二人にあるお願いをした。
「悪いんだけどファインとレインのヘアアレンジを手伝ってくれないかしら?」
基本が優しい二人は快く引き受けてくれたがファインとレインからしてみれば心臓がバクバクするようなシチュエーションに違いなかった。
エルザやトゥルースなどの両親、キャメロットやルルなどのメイド、プーモといった身内やお互い以外に殆ど触らせた事のない自分達の髪。
異性なんかそれこそ父親であるトゥルース以外で触らせた事など一度もない。
それをあろう事か想い寄せるプリンスに触られて梳かれるのだ、ドキドキしない筈がない。
そんな二人の心内など露知らずブライトはレインの、シェイドはファインのヘアゴムが解かれた長い髪をブラシで優しく丁寧に梳いていく。
「懐かしいなぁ、アルテッサの髪をよく整えてあげたっけ」
「俺もミルキーが成長したらやる事になるんだろうな」
「ミルキーはシェイドの事が大好きだからもしかしたらおねだりしてくるかもね。ファインにお願いして少し練習させてもらったらどうだい?」
「それもそうだな。ファイン、いいか?」
「ウ、ウン・・・イイヨ・・・」
「どうした?具合でも悪いのか?」
「ナナナンデモナイ、ヨ・・・!」
「あ、ごめんよレイン。今ブラシが引っ掛かって痛かったよね?」
「ダダダダイジョウブデス、ヘイキデス・・・!」
男性特有のゴツゴツとした手が、そして何より好きな人が自分の髪を触っているという事実に顔を真っ赤にしてカチコチに固まるファインとレイン。
そんな二人の向かい側に座ってヘアスタイルのカタログを読みながら様子を窺っていたシフォンは更なる冷やかしもとい甘酸っぱさを求めてシェイドとブライトにある進言をする。
「シェイド、ブライト、しっかり梳いてね。複雑なヘアスタイルをする時はしっかり髪が梳かれてないと出来ないんだから!ブラシで梳いた後に自分の指でも滑らかに通るかよく確かめるのよ!」
「そういうものなのか?」
「いやぁ、アルテッサの髪を整えてあげてた時はブラシをしっかり通すだけで十分だったんだけど・・・」
「かのウンチーク様もこう言っているわ!乙女の髪はラーメンが如し!乙女よラーメンであれ!!」
「いやぁ意味分からん」
「と、とにかくよく梳いてあげればいいんじゃないかな」
「ふぁ~!ラーメン食べたいな~!」
「後で食べに行きましょうか」
なんて呑気な会話を交わすファインとレイン。
しかし次の瞬間、シェイドとブライトがシフォンの言った通りに髪に指を通して滑らか具合を確かめてきたので驚きとくすぐったさに震え上がり、シフォンを喜ばせたのは言うまでもない。
「・・・」
シェイドは少々無心になってファインの髪の毛先をブラシで何度も梳く。
本人の性格を反映したような毛先は何度梳いても元気にあちこちに跳ね回る。
「・・・」
ブライトも少々無心になってレインの髪の毛先をブラシで何度も梳く。
本人の性格を反映したような毛先は何度梳いても綺麗なシャープを描いてくるんと回る。
「・・・今更だがファインは癖毛なんだな」
「レインもそうだね。髪の毛先がくるんって跳ねる」
「お母様が癖毛だものね」
「そうそう!だからアタシ達も癖毛なんだよね~」
「「ああ・・・」」
嬉しそうに話すファインとレインの会話からシェイドとブライトは二人の母親にしておひさまの国の王妃であるエルザを思い出す。
思えばエルザも癖毛で髪の毛先が跳ねていた。
そう考えると娘であるファインとレインも遺伝で癖毛になるのも頷けるというもの。
「あ、この編み込み可愛いかも!シェイド、ブライト、試しにこの編み込みをやってみてくれないかしら?」
「編み込み?」
「三つ編みみたいなものさ。こうやってやるんだ」
ブライトがお手本を見せてシェイドがそれを見よう見真似で編み込んでいく。
どちらも手先が器用で、シェイドも呑み込みが早い方なので少し手間取りながらも綺麗に完成させる事が出来た。
「出来たよ、シフォン」
「こんなものか?」
「ええ、バッリチよ!後で見比べられるように写真を撮っておくわね!」
というのは建前で本当はシェイドとブライトによってヘアアレンジしたファインとレインの写真を収め、二人に後で現像してプレゼントする為である。
その事をシェイドとブライトに聞こえないようにこっそりと二人に教えたら「あ、ありがとう・・・」と顔を赤らめながらお礼を口にされた。
「ファインとレインは次はどんな髪型がいいかしら?」
「わ、私はこれがいいかな~!なんて・・・!」
「あ、アタシはこれ・・・!」
「ですって。お願いね、ブライト、シェイド」
その後しばらく、ファインとレインはシフォンの協力もあって好きな人にヘアアレンジをしてもらったり髪を触ってもらう幸せを堪能するのであった。
END