ヒナコレ

カランカラン

「よーロナルド!来たぜー!」

「お、マリアにターチャンにコユキちゃんにシーニャじゃねーか」
「女性退治人が勢揃いだな。今日は仕事は大丈夫なのかね?」

「おう!今日はみんな非番なんだ!」
「冷やかし来たね」
「お邪魔します」
「おかしな能力を持った吸血鬼にやられたらしいけど中々お洒落な喫茶店じゃな~い」

「あ、退治人の女性陣の・・・」



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「よーヒナちゃん!」
「邪魔するしてる」
「こんばんは」
「キャ~!ヒナイチちゃん可愛いわ~!この喫茶店の制服?」

「制服・・・と言えばまぁ、そうだが・・・」
「件の吸血鬼が大量に置いて行ったんだよ。俺が捨てようか?って言ってもヒナイチが折角だから着るって言うもんでさぁ」

「それでいいと思います」

「えぇっ!?コユキちゃん!?」

「ヒナちゃんの好きにさせてやれよ」
「分からん奴ね」

「マリアもターチャンも!?」

「それよりも貴方達もいつもとは違う制服を着るのはどう?良かったらあげるわよ~!」

「いいいいいやいい!悪いけど遠慮するわ!」
「そそそそれよりもご注文は如何ですかな!?何でも作りますぞ!」
「ヌーヌー!」

「じゃあこのボンテージを着ておつまみを作ってちょうだい!」

「ア”ァーーーーー!!!!!」
「ヌー・・・」


(守ってやれなくてごめん、ジョン・・・ドラ公はどうでもいい)


「はいはい、じゃあおつまみと・・・飲み物はどうするかね?」

「俺ビール!」
「メロンサワーするね」
「カルピスサワーでお願いします」
「アタシはこの『ドラちゃん特製カクテル・マジロムーン』にしようかしら!」

「ビールとメロン・カルピスサワー、と。カクテルはこれとこれを入れてシェイク、と」

「おい待て。その恰好でカクテル作るのか?」

「これを着て作ってくれとの御所望なんだから応えるしかないでしょ」

「ドラルクさん、商売人の鑑です」
「目に猛毒アル。バックヤードで作ってそのまま溶けて死ねガリガリ」


スナァ


「ドラちゃん早くぅ~!」

「はいはい・・・」


スチャ(ドラルクがシェイカーを構える)

スチャ×3(ロナルド・ヒナイチ・ジョンもシェイカーを構える)


「ん?どしたのキミ達?」
「わ、私もシェイカーを振ってみたくて・・・」
「この間へんなとやってみたけど上手く出来なかったからよ」
「ヌンヌヌヌヌイヌ」
「子供か。ジョンはいいけどね。上手だし」
「ジョンはシェイカーも扱えるのか?」
「そりゃ勿論」
「凄いな」
「ジョン多芸!!」
「はいそれじゃ、ゆっくりやるから私の動きに合わせてシェイカーを振るように。せーのっ」


シャカシャカシャカ


「・・・なぁロナルド」

「何だ、マリア?」

「お前何で腰振ってんだ?」

「な、なんか振っちまうんだよ!」
「初心者にありがちだが、若造の場合はこの間のへんなとの特訓の所為で癖になったと見た」

「いいわよロナルド~!もっと腰振ってちょうだ~い!需要はここにあるわ!」

「い、いらーねよそんな需要!!」
「うぅ・・・私もつい腰を振ってしまう・・・!」

「ヒナイチさん、可愛いです」

「い、今はあんまり嬉しくないぞ、コユキ・・・!」
「今日はこのくらいにしよう。はいお待たせ、マジロムーン」

「ありがとう、ドラちゃん♡あ、ロナルドはそのまま腰振っててね!」

「振らんわ!!」

「んじゃ、とりあえず乾杯しようぜ!」

「「「「かんぱーい!!」」」」

「ゴクッ・・・ゴクッ・・・ぷはぁっ!うめぇー!!」
「客足どうね?繁盛してるか?」

「今んとこまだ知り合いしか来てねーな」
「気楽でいいがね」

「こっちとしても気楽に過ごせるから良いと思うわ」
「いつまで経営するんですか?」

「ネタがなくなるまで」
「メタい事言うな!!」
「衣装のストックが切れるのが早いか、ネタとモチベ切れになるのが早いか、だな」
「ヒナイチもやめろつってんだろ!!」

「じゃあ俺達でネタを考えてやろうぜ!」

「やんなくていいから!」

「あ、じゃあ私からネタを一つ提供します」

「人の話聞いてた!?」

「バーテンダーの衣装を差し上げますのでヒナイチさん、今度それを着て私達に接客してくれませんか?」

「ああ、分かった」
「ヒナイチくんは 衣装と ネタを 手に入れた」
「ヌー!」
「知らねーぞ。結局書かない事になっても知らねーぞ」
「ないよりマシだ」

「ドラルク、ビールおかわり!」

「おいマリア、あんまり飲み過ぎんなよ?ていうか帰り大丈夫か?俺が送るかタクシー呼ぶぜ?」

「へーきへーき!俺強いからよ!」
「私が見る。心配するしない」
「それにアタシもいるから平気よ~!」

「あ、ああ、うん・・・シーニャがいりゃぁ無敵だな・・・」
「挑む猛者はそうおらんだろうな」

「ヒナイチさんは今日も床下ですか?それとも寮に?」
「まぁ寮に帰る事になってもドラルクがいりゃぁ安心だよな!」

「マ、マリアさん・・・!」
「はぁ?何言ってんだマリア、こんな奴がいても安心どころか足手まといで邪魔なだけだろ」

「あれ?ロナルド知らねーのか?」
「ドラルク、クソ雑魚。でも漢気ある」
「あの時のドラルクさん、凄く素敵でした」
「そうそう!下心があって女子会に潜入してきたみたいだけど、それでもヒナイチちゃんを―――」

「わーわー!!マリアさんビールのおかわりどうぞ!ターちゃんさんもおつまみ如何ですかな!?コユキさんもシーニャさんもフルーツの盛り合わせをサービスしておきますぞ!」
「どうしたお前?急に」
「な、何でもないわゴリ造!黙って食器洗え!!」
「ジョン、ヒナイチ、ドラ公はどうしたんだ?」
「ヌヌヌヌヌヌヌヌ」
「ああ、今話すのは野暮だからそのうちな」
「そのうちでも駄目!!チョコチップマドレーヌあげるから黙って忘れなさい!」
「チョコチップマドレーヌ!」
「ヌー!」
「お、チョコチップたっぷり!こういうのって沢山あると嬉しいよな!」
「ふぅ、なんとか誤魔化せたか・・・」

「うふふ、ドラちゃんってばまだまだ子供ね」

「揶揄わないで下さいよ。私は最初から最後まで女性の皆さんの血を狙って女子会に潜入してた、横取りされたくなかったから前に出た、そうでしょう?」

「そういう事にしといてあげるわ」

「頼みますよ、ホントに・・・」



そして・・・



「楽しかったぜロナルド!また来るからな!」
「悪くなかた。合格ね」
「ご馳走様です」
「最高だったわ!また今度宜しくね!」

「おう、気を付けてな」
「相手が何もしてきてない内からボンテージを着せてはいけませんぞ」
「またいつでも気軽に来てくれ!」
「ヌ~!」
「・・・それにしても」
「あ?どした?」
「文字だから途中で頭から抜けただろうが」
「おう?」
「私もジョンも最後までボンテージを着ていたと意識していた者はどれだけいただろうな?」
「それ言わなきゃ誰も意識してなかっただろ」
「ドラルク、オチを付ける為にわざわざ言わなくていいんだぞ」
「ヌヌ」






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