ヒナコレ
「さて、若造は半田君とカメ谷君と一緒に遊びに行った事だし、私達はだらだら客が来るのを待つとしよう。ヒナイチくんはどうする?床下に戻るかい?」
「いや、私もここにいよう。たまにはだらだらするのも悪くな―――」
バシャッ(水を零して服を濡らしてしまう)
「あっ!」
「あらら」
「ヌイヌーヌ?」
「すまない。ありがとう、ジョン」
ゴシゴシ(ジョンから布巾を受け取って拭く)
「染みにならないといいが・・・」
「水がかかっただけだしこのくらいなら平気だよ。それより着替えた方がいいんじゃない?風邪引くよ」
「なら・・・」
「おお!和風のウェイトレス衣装か!いいねぇ、よく似合ってるよ、ヒナイチくん」
「ヌー!」
「そ、そうか?」
「このペンギンのピンを付けたらより良いと思うぞ」
ドゴスッ(カズサの腹に正拳突きをかます)
「ぐふっ」
「どうした?兄さん」
「開幕早々、正拳突きをかますとは流石は我が妹・・・」
「ここ関係者以外立ち入り禁止なんだけど」
「ヒナイチの兄という立場なら立ち入ってもいいだろう?」
「駄目に決まってるだろ、傍若無人口の中噛み造」
「ほら、出て行ってくれ」
「分かった分かった。とりあえずコーヒーを出してくれ」
「どこまでも図々しいな、この男は」
「しっかり料金は払ってもらうからな、兄さん」
「えー?」
「えーじゃない!!」
「はいはい分かったよ。あ、クッキーも宜しく。それからホットケーキも」
「へいへい、分かりましたよ。ホイどーぞ」
カチャ&コト
「秒で出来立てのコーヒーやクッキーを出すとは流石は恐るべき吸血鬼だな」
「そりゃあ私くらいの吸血鬼になればこのくらいは(ファー!)」
「何を気持ちよくなってるんだお前は。ただのお世辞だぞ」
「お世辞だろうと畏怖られたら誰しも嬉しいものさ。なぁ、ジョン?」
「ヌーヌー」
「ん?ジョンも食べたくなったのか?」
「ヌー!」
「なら俺のクッキーを食べるか?マジロ」
「ヌ、イーヌ?」
「ああ、いいぞ。ホラ食え」
「ヌヌヌヌー!」
「お前はドラルクの使い魔らしいな。とても愛らしくて主人に似て知性に溢れているのが一目見て分かる」
「ヌ~!(ヌファー!)」
「ンー!(ファー!)」
「主従揃って何をやっているんだ」
「こんなにも美味しいクッキーを作ってくれて・・・モグモグ・・・可愛いマジロもいて・・・モグモグ・・・中々充実した監視任務をしているようだな、ヒナイチ・・・」
「充実などと・・・サクサク・・・毎日過酷で・・・サクサク・・・私がどれだけ苦労しているか・・・」
「喋るか食べるかどちらかにしろ」
「「サクサクサクサクサク」」
「クッキーモンスターの兄はクッキーモンスターのようだ」
「ヌー」
「ホットケーキも綺麗な焼き目がついててほわほわホクホクとは恐れ入る」
「ドラルク!私もホットケーキが食べたい!」
「ヌンヌー!」
「キミ達もう仕事なんて忘れてるだろ・・・はい、どーぞ」
コト
「おいしい!おいしい!」
「ヌ~!」
「いつもこんなに美味しいおやつを食べさせてもらってるのか?」
「おやつだけじゃないぞ!ご飯もよく食べさせてもらっているんだ!」
「それも美味いのか?」
「勿論!」
「私の料理が不味いなどまず有り得ない事だ。ジョンという美食家マジロがいるからな」
「ヌフッ」
「マジロが味見役という訳か。お前はしないのか?」
「そりゃするけど自分の好きな味付けに満足しても客人を満足させられるとは限らん。他人の意見は必要だ。とはいえ、私の料理をメインで食べるのはジョンだから必然的にジョン好みの味付けになるし、美食家であるジョンの好みの味付けは万人に受け入れられるのだ」
「なるほどな」
「そういえばドラルク、この間サンズとフレンチトーストを食べたんだ」
「ふーん・・・美味しかった?」
「ああ!」
「フレンチトーストねぇ。その程度のものだったら私でも余裕で作れるけど?今度作ろうか?」
「頼む!」
「お、吸血鬼ドラルクの操縦方法を心得ているようだな?ヒナイチ」
「ドラルクは料理に対するプライドが高いんだ」
「毎度毎度躍らされてると分かっていながらも応えてるあげてるドラちゃんってば超健気。あ、そういえばボタン付け直しておいたよ」
「本当か?ありがとう、ドラルク」
「それからこの間の怪我は治った?」
「ああ、お前が応急処置をしてくれたお陰ですぐに治ったぞ。医者も手際が良いと褒めていた」
「ま、完璧なドラドラちゃんだからね、当然だとも!」
「なんだなんだぁ?まるで夫婦みたいだなぁ?ヒナイチ、今のうちに予約しておいたらどうだ?美味い飯やお菓子が作れて家事が完璧な男なんてそういないぞ?」
「にに兄さん!!何を言って・・・!」
「あらやだぁ、そしたらあーたはアタクシのお義兄さんになるのぉ?」
「そうざますよぉ?」
「ヌンヌオヌヌヌ?」
「そうざます、マジロも俺の義弟ざますよ」
「でもクッキーモンスターがもう一体増えるだなんてドラちゃん、クッキー死してしまいますわぁ」
「ヌァ」
「アタクシ、クッキーじゃなくても甘い物なら何でもウェルカムでしてよぉ?」
「そういう問題じゃなくってよぉ?」
「ヌォ?」
「さっきから何でマダム口調なんだ・・・」
「だが流石に可愛い妹をそう簡単に嫁に出す訳にはいかないな。ヒナイチが欲しければ三段重ねフルーツケーキを作ってみせろ」
「それ兄さんが食べたいだけだろ」
「あらお安いこと!アタクシの腕にかかれば余裕過ぎて片手間にアップルパイが作れましてよ?」
「お前はお前でいつまでマダム口調でいるんだ」
デンワワワワ
「もしもし、俺だ・・・それは別に俺じゃなくてもなんとかなるだろ・・・分かった、仕方ない。用事を済ませてから行こう。それじゃ」
ピッ
「急用が入った。アップルパイをテイクアウトで頼む」
「はいはい、分かりましたよ」
「ヌンヌヌンヌ!」
「私もアップルパイが食べたい!」
「はいはい、作ってあげるから大人しく待ってておくれ」
そして・・・
「じゃあなヒナイチ。引き続き監視任務頑張れよ」
「兄さんも抜き打ち視察は程々にな」
「ついでに傍若無人な振る舞いもな」
「ヌー」
カランカラン(カズサログアウト)
「いつもと変わらず良好な関係を築いてて何よりだ。どっちも結婚は満更でもなさそうだったし、利用しない手はないな」
END
「いや、私もここにいよう。たまにはだらだらするのも悪くな―――」
バシャッ(水を零して服を濡らしてしまう)
「あっ!」
「あらら」
「ヌイヌーヌ?」
「すまない。ありがとう、ジョン」
ゴシゴシ(ジョンから布巾を受け取って拭く)
「染みにならないといいが・・・」
「水がかかっただけだしこのくらいなら平気だよ。それより着替えた方がいいんじゃない?風邪引くよ」
「なら・・・」
「おお!和風のウェイトレス衣装か!いいねぇ、よく似合ってるよ、ヒナイチくん」
「ヌー!」
「そ、そうか?」
「このペンギンのピンを付けたらより良いと思うぞ」
ドゴスッ(カズサの腹に正拳突きをかます)
「ぐふっ」
「どうした?兄さん」
「開幕早々、正拳突きをかますとは流石は我が妹・・・」
「ここ関係者以外立ち入り禁止なんだけど」
「ヒナイチの兄という立場なら立ち入ってもいいだろう?」
「駄目に決まってるだろ、傍若無人口の中噛み造」
「ほら、出て行ってくれ」
「分かった分かった。とりあえずコーヒーを出してくれ」
「どこまでも図々しいな、この男は」
「しっかり料金は払ってもらうからな、兄さん」
「えー?」
「えーじゃない!!」
「はいはい分かったよ。あ、クッキーも宜しく。それからホットケーキも」
「へいへい、分かりましたよ。ホイどーぞ」
カチャ&コト
「秒で出来立てのコーヒーやクッキーを出すとは流石は恐るべき吸血鬼だな」
「そりゃあ私くらいの吸血鬼になればこのくらいは(ファー!)」
「何を気持ちよくなってるんだお前は。ただのお世辞だぞ」
「お世辞だろうと畏怖られたら誰しも嬉しいものさ。なぁ、ジョン?」
「ヌーヌー」
「ん?ジョンも食べたくなったのか?」
「ヌー!」
「なら俺のクッキーを食べるか?マジロ」
「ヌ、イーヌ?」
「ああ、いいぞ。ホラ食え」
「ヌヌヌヌー!」
「お前はドラルクの使い魔らしいな。とても愛らしくて主人に似て知性に溢れているのが一目見て分かる」
「ヌ~!(ヌファー!)」
「ンー!(ファー!)」
「主従揃って何をやっているんだ」
「こんなにも美味しいクッキーを作ってくれて・・・モグモグ・・・可愛いマジロもいて・・・モグモグ・・・中々充実した監視任務をしているようだな、ヒナイチ・・・」
「充実などと・・・サクサク・・・毎日過酷で・・・サクサク・・・私がどれだけ苦労しているか・・・」
「喋るか食べるかどちらかにしろ」
「「サクサクサクサクサク」」
「クッキーモンスターの兄はクッキーモンスターのようだ」
「ヌー」
「ホットケーキも綺麗な焼き目がついててほわほわホクホクとは恐れ入る」
「ドラルク!私もホットケーキが食べたい!」
「ヌンヌー!」
「キミ達もう仕事なんて忘れてるだろ・・・はい、どーぞ」
コト
「おいしい!おいしい!」
「ヌ~!」
「いつもこんなに美味しいおやつを食べさせてもらってるのか?」
「おやつだけじゃないぞ!ご飯もよく食べさせてもらっているんだ!」
「それも美味いのか?」
「勿論!」
「私の料理が不味いなどまず有り得ない事だ。ジョンという美食家マジロがいるからな」
「ヌフッ」
「マジロが味見役という訳か。お前はしないのか?」
「そりゃするけど自分の好きな味付けに満足しても客人を満足させられるとは限らん。他人の意見は必要だ。とはいえ、私の料理をメインで食べるのはジョンだから必然的にジョン好みの味付けになるし、美食家であるジョンの好みの味付けは万人に受け入れられるのだ」
「なるほどな」
「そういえばドラルク、この間サンズとフレンチトーストを食べたんだ」
「ふーん・・・美味しかった?」
「ああ!」
「フレンチトーストねぇ。その程度のものだったら私でも余裕で作れるけど?今度作ろうか?」
「頼む!」
「お、吸血鬼ドラルクの操縦方法を心得ているようだな?ヒナイチ」
「ドラルクは料理に対するプライドが高いんだ」
「毎度毎度躍らされてると分かっていながらも応えてるあげてるドラちゃんってば超健気。あ、そういえばボタン付け直しておいたよ」
「本当か?ありがとう、ドラルク」
「それからこの間の怪我は治った?」
「ああ、お前が応急処置をしてくれたお陰ですぐに治ったぞ。医者も手際が良いと褒めていた」
「ま、完璧なドラドラちゃんだからね、当然だとも!」
「なんだなんだぁ?まるで夫婦みたいだなぁ?ヒナイチ、今のうちに予約しておいたらどうだ?美味い飯やお菓子が作れて家事が完璧な男なんてそういないぞ?」
「にに兄さん!!何を言って・・・!」
「あらやだぁ、そしたらあーたはアタクシのお義兄さんになるのぉ?」
「そうざますよぉ?」
「ヌンヌオヌヌヌ?」
「そうざます、マジロも俺の義弟ざますよ」
「でもクッキーモンスターがもう一体増えるだなんてドラちゃん、クッキー死してしまいますわぁ」
「ヌァ」
「アタクシ、クッキーじゃなくても甘い物なら何でもウェルカムでしてよぉ?」
「そういう問題じゃなくってよぉ?」
「ヌォ?」
「さっきから何でマダム口調なんだ・・・」
「だが流石に可愛い妹をそう簡単に嫁に出す訳にはいかないな。ヒナイチが欲しければ三段重ねフルーツケーキを作ってみせろ」
「それ兄さんが食べたいだけだろ」
「あらお安いこと!アタクシの腕にかかれば余裕過ぎて片手間にアップルパイが作れましてよ?」
「お前はお前でいつまでマダム口調でいるんだ」
デンワワワワ
「もしもし、俺だ・・・それは別に俺じゃなくてもなんとかなるだろ・・・分かった、仕方ない。用事を済ませてから行こう。それじゃ」
ピッ
「急用が入った。アップルパイをテイクアウトで頼む」
「はいはい、分かりましたよ」
「ヌンヌヌンヌ!」
「私もアップルパイが食べたい!」
「はいはい、作ってあげるから大人しく待ってておくれ」
そして・・・
「じゃあなヒナイチ。引き続き監視任務頑張れよ」
「兄さんも抜き打ち視察は程々にな」
「ついでに傍若無人な振る舞いもな」
「ヌー」
カランカラン(カズサログアウト)
「いつもと変わらず良好な関係を築いてて何よりだ。どっちも結婚は満更でもなさそうだったし、利用しない手はないな」
END