みっぴきだいありー

ジョンはひたすら早歩きしていた。
事務所を目指してひたすら夜のシンヨコの町を小さな足でトテトテと早歩きしていた。
本当なら転がってさっさと帰りたい所だが大好きなご主人に5000~8000歩くようにと万歩計を渡されており、転がってしまってはカウントされないからだ。
達成されなければ自分だけまたウォーキングコースにリリースされてしまう。
それになにより大好きなご主人をガッカリさせたくない。
そんな訳でジョンは歩数を気にしつつ必死に事務所を目指すのだった。



ロナルドは走っていた。
とにかく走っていた。
喫茶店でフクマさんとロナ戦の打ち合わせを終え、通りすがりに現れたポンチ吸血鬼を殴って吸対に引き渡したりしながら走っていた。
いつもなら途中でヴァミマに寄ったりしてのんびり帰るのだが今日はそうもいかなかった。
何としてでも事務所に帰らなければならない理由が彼にはあった。



ヒナイチは走っていた。
そりゃあもう走っていた。
下等吸血鬼の群れを瞬時に切り裂いて隊員達に的確な指示を出していた為に少し遅れてしまったが今の速さで行けば恐らく間に合うだろう。
何だろうと事務所に帰らなければならない理由が彼女にもあった。





「さて、プレーンとバナナとチョコチップのマドレーヌが出来上がったな。期限間近な材料を消費する為に沢山作ったが誰が最初に来るやら。先に帰って来た者はどれだけモグモグ食べてもいい権利を与えると言ったが―――」

「ヌヌイヌ!!」
「帰ったぞ!!」
「マドレーヌ!」

「やはり全員揃って帰って来たか。手を洗ってきなさい。均等に分けておくから」

「おっしゃ!」
「ヌッショーイ!」
「絶対に均等に分けるんだぞ!」

「はいはい。あ、ジョン。万歩計見せて」

「ヌイ!」

「どれどれ・・・5001歩・・・まぁいっか」

「ヌー!」






END
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