みっぴきだいありー

ロナルドの朝の日課は洗濯物を干してゴミを捨てに行き、食材の買い出しに行く事。
洗濯はあらかじめドラルクが寝る前に洗濯機で洗濯していた物を干すだけ。
ヒナイチのブラウスや短パンなども干す事に関して以前までは「何でだよ!」とツッコミを入れていたものの流されやすい性分の彼は今ではすっかりそれを受け入れていた。
それに雨が降った時にたまたまヒナイチが事務所にいたら取り込んでくれたりしていたので持ちつ持たれつというものになった次第である。

「ただいまー」
「ああ、お帰り」

ゴミを捨て、ヴァミマでチャンピオンを買い、スーパーで食材の買い出しを終えて事務所に戻れば食卓用テーブルでヒナイチが朝ご飯を食べていた。
今日は非番でサンズと出掛ける約束をしているらしく、いつもの白い制服ではなく普段着だった。
こちらも最初は「何で当たり前のようの俺ん家で朝飯食ってんだよ!!」とツッコミを入れていたものの、みっぴきの生活が長くなってきた今となってはもう一人の妹分が普通に朝ご飯を食べている景色としてしか認識しなくなった。
ちなみにヒマリが泊まりに来て一緒に朝ご飯を食べている風景を見た時なんかは仲の良い姉妹の朝食風景として認識している。
ドラルク曰く、流され過ぎて認識バグルド君とのこと。

「ロナルド、今日は夕方から雨が降るらしいから洗濯物気を付けるようにな」
「おーマジか。いつまで降るんだ?」
「夜通し降るそうだ」
「んじゃ、今日は変態どもは大人しいだろうな。お前も折り畳み傘とか忘れないようにな」
「ああ」

買って来た食材を冷蔵庫に放り込み、調味料系は棚にしまってエコバッグをクローゼットにしまうとロナルドはそのまま洗面所に手を洗いに行った。
洗面所では洗濯機が第二陣を洗っており、機体の上にはドラルク変身失敗ぬいぐるみ~カニVer~が置かれていた。
この洗濯第二陣とぬいぐるみはヒナイチの下着とハンカチやタオル類が洗濯されている事を意味する。
みっぴきで過ごすのが当たり前になったとはいえ流石に女性ものの下着も一緒くたにして洗濯したり干すのもそれぞれに抵抗があった。
そこでハンカチやタオル類も干す事を条件にヒナイチの下着だけは個別で洗濯する事となったのである。
ところがロナルドがうっかり蓋を開けて取り出しそうになるという事故が多発した為、ぬいぐるみを置くという対策を施したのだ。
ヒナイチが下着を洗っている時だけぬいぐるみを置く事でそれを目にしたロナルドが「ドラ公の変身失敗ぬいぐるみ・・・あ、ヒナイチか」という思考に至る寸法である。
ちなみにこれを発案したのはドラルクで、その時に「これで変態ゴリラの知能指数が上がる事も間違い無し!流石ドラドラちゃん!」とロナルドを煽るセリフも忘れなかった為に砂にされた。
話は戻してロナルドは手を洗うとさっさと洗面所から退散した。
チラリと見た洗濯終了までの時間が残り数分だったので、いつまでもここにいるとヒナイチが取りに来れないからだ。

「ロナルド、お前の分のご飯を用意しておいたぞ」
「お、サンキュー」

洗面所から戻ってみれば食卓テーブルにドラルクがラップをかけておいたご飯が温め直して出されていた。
代わりに先程までご飯を食べていたヒナイチは食事を終えて流し台で食器を洗っており、ロナルドが席に着くのと同時に蛇口を止めて食器をタオルで拭き始める。
機嫌が良いのか、鼻歌交じりだ。
これがドラルクの鼻歌だったらロナルドは漏れなく眉間に皺を寄せていただろう。
それほどまでにドラルクの歌は下手くそだった。

「あ、洗濯終わった」

ヒナイチが最後の食器を拭き終わって棚にしまうのと同時に洗濯機が任務完了の音を報せ、ヒナイチはパタパタと洗濯物を干しに行く。
それから程なくしてヒナイチが戻ってきてお出掛け用の鞄を肩にかけると事務所スペースの入り口でパンプスを履き始めた。

「それじゃあ行ってくる」
「おう、気を付けてな」

ヒナイチが出掛け、後にはご飯を食べるロナルドが残される。
すぐ傍の棺桶からはドラルクの静かな寝息とジョンのドラルクのクラバットを食べる音しか聞こえない。
これだけの音で起きないのは慣れてきたのと棺桶が高性能だからだろう。
流石に事件が起きた時の大騒ぎでは目を覚ますが。

「あ、まったりしてる場合じゃなかったわ。ネットフィリップスで見たいもんあったんだった」

大切な事を思い出したロナルドはご飯をさっさと食べると食器を洗って片付け、qs5でネットフィリップスを見始めるのだった。




この後、ロナ戦の締め切りが明日であるという一番大事な事実に気付くのはドラルクが起きる頃であったという。







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