スーパーリア充シェイドさん
誕生日プレゼントはお菓子の家がいい。
それがミルキーからのリクエストだった。
妹想いでとことん甘いシェイドはミルキーの願いを叶えるべく、シュガー星の『お菓子の家ツアー』に申し込みをした。
しかしこのツアー、最低参加人数は五人からとなっており、数合わせにファインとレインとブライトにお願いして参加してもらう事にした。
三人は快く承諾してくれ、ファインなんかは一も二もなく承諾したのは言うまでもない。
ミルキーにも人数についての説明をすると納得し、むしろみんなで行った方が楽しいと喜んでくれた。
そんな訳で現在、シェイドはミルキー達と共にシュガー星のお菓子の家に訪れていた。
服が汚れないようにという事で女性にはとても可愛らしいエプロンドレスが、男性には適当で無難なデザインの黒のエプロンドレスが貸し出されてそれを着用している。
「「わぁ~!お菓子の家だ~!!」」
「大きくて可愛くて美味しそう!お兄様、ありがとう!!」
「時間は沢山あるからゆっくり食べるんだぞ」
「はーい!ファイン、レイン、早速食べましょう!」
「「うん!!」」
ファインとレインは頷くとミルキーと共にお菓子の家を食べ始めた。
その様子を優しい眼差しで眺めるシェイドの隣にブライトが立つ。
「今日は誘ってくれて感謝するよ、シェイド」
「いや、俺の方こそ付き合ってもらって悪いな。恐らくミルキー一人でも平らげられたと思うが、だからと言って強引に人数制限を無視する訳にもいかなくてな」
「気にする事ないさ。僕もレインもお菓子は好きだし、ファインだってご覧の通り大喜びしてる。でも流石に見てるだけで胸焼けがしそうだからコーヒーでもどうだい?ブラックを淹れたよ」
「ああ、助かる」
苦笑しながらシェイドはブライトがコーヒーを淹れたテーブルの席に座る。
見ているだけでもお腹がいっぱいになって胸焼けしそうなお菓子の家にプリンセス達ははしゃぎながらパクパクとお菓子を食べていく。
そんな微笑ましい光景をシェイドはコーヒー片手にぼんやりと眺め、その横顔をブライトは静かに見やる。
普段、シェイドは凛とした顔つきであったり真面目な表情である事が多い。
そんな彼が優しい顔つきになるのは身内といる時、とりわけ妹のミルキーと恋人のファインがいる時はそれが顕著になる。
今もそう、シェイドの視線はミルキーとファインに注がれていて口元が緩んでいる。
それだけでもシェイドがどれだけ二人を愛しているか分かるというもの。
(ご馳走様)
心の中で小さく呟いて笑みを溢しながらブライトはコーヒーを一口含む。
ブラックなのに甘く感じてしまう辺り、身内に対する愛情が強すぎる誰かさんに中てられたのかもしれない。
コーヒーが終わったら次は紅茶でも飲もうか、なんて考えているとお菓子を皿に乗せたファインとミルキーがシェイドの下に、レインがブライトの下にやってきた。
「シェイドも一緒に食べよう!」
「とっても美味しいわよ、お兄様!」
言いながら笑顔で皿を差し出すファインとミルキー。
しかしその皿に盛られているお菓子の量は尋常ではなく、冗談抜きで文字通り山盛りとなっていてシェイドは呆れた溜息を吐く。
「そんなに食べられる訳ないだろ。お前達と違ってこっちは普通の胃袋をしてるんだ、どれか一つずつくれればそれでいい」
「じゃあアタシはクッキーをあげるね!」
「私はマカロン!」
「はい!」と言って差し出されるクッキーとマカロンをそれぞれ手に取ってシェイドは「ありがとう」と優しく礼を述べるとそれらを一つずつ食べ始めた。
その様子をファインとミルキーはキラキラした瞳で見つめる。
「どう?シェイド?」
「美味しいでしょ?お兄様?」
「ああ、美味しいよ。流石はお前達が選んだだけはあるな」
「こっちも食べて!すっごく美味しいから!」
「あ、ファインずるい!お兄様、こっちのも食べて!」
「分かったから少し待て」
最愛の妹と恋人に迫られ、けれど満更でもなさそうなシェイド。
そんな三人の様子をぼんやりと眺めていたレインとブライトは顔を見合わせるとクスクスと笑った。
「シェイドってばモテモテですね」
「本当にね。ただでさえお腹がいっぱいだっていうのに胸焼けがしそうだよ」
「それで、あ、あの・・・私達も・・・その・・・!」
「うん、見せつけちゃおうか。レイン、食べさせてくれるかい?」
「はい!喜んで!!」
レインは即答するとクッキーを一枚手に取ってブライトに「あーん」と言って食べさせるのであった。
オマケ
シェイドにお茶をしようと誘われたファインはシュガー星で買ったデラックスお土産セットの中から即席チョコフォンデュの袋を二つ持って行った。
小さな器一杯分しかチョコがないがシェイドにとっては十分な量で、クッキーを出してシェイドの部屋で二人で食べる事にした。
「ん~!美味しい~!やっぱりシュガー星のお菓子は最高だね~!」
「クッキーのおかわりならいくらでもあるから遠慮なく食べて良いぞ」
「はーい!」
上機嫌に返事をしながらファインはパクパクとチョコフォンデュにクッキーを浸して平らげていく。
それから2、3回のおかわりをして漸くファインの手は止まるのだった。
「ふぅ、ご馳走様でした!」
「途中からチョコがなくなってクッキーを食べるだけにシフトしたのはいつもながら流石としか言いようがないな」
「それ褒めてる?貶してる?」
「半々といった所だ」
「むぅ~・・・相変わらずシェイドは意地悪なんだから」
頬を膨らませながらファインは指に付いたチョコをハンカチで拭おうとする。
「待て」
だが、そこで唐突にシェイドにストップを入れられてファインの動きは止まり、目を瞬かせる。
「どうしたの?」
ファインの質問には答えずシェイドは僅かにチョコレートの残る器を持ってファインの隣に移動する。
そしてチョコの付いている方の手を掴むと、チョコの付いている指先を何の予告もなく口の中に含んだ。
「シェ、シェイド!?」
驚き困惑するファインに構う事なくシェイドは舌を這わせる。
「・・・っ!」
瞬間、ファインの顔が一瞬にして耳まで赤く染め上がる。
すぐにでも指を引っ込めたいのにしっかりと手首を掴まれている上に甘い痺れがファインを動かなくさせる。
じっくり、ねっとりと這わされる熱い舌。
チョコなんてとっくに舐め取られた筈なのにそれはいつまでも絡みついた。
解放されたのは殆どふやけそうになった頃で、羞恥心などからファインの体からはすっかり力が抜けていた。
「ふ、ぁ・・・」
後ろに倒れかけたファインをすぐに抱き寄せて腕の中に閉じ込める。
小刻みに震える体がすぐには動けないと悟り、その間にシェイドはチョコレートが僅かに残る自分の器に人差し指を浸した。
「ファイン」
名前を呼ばれて顔を上げればチョコレートを被ったシェイドの人差し指が目の前にあった。
まさか、と思って視線を上げれば有無を言わさぬ夜空の瞳とぶつかる。
従わなければ解放される事はなく、それどころかとんでもない追加制裁が待ち受けている為、ファインは少し躊躇った後にシェイドの指をパクリと口に含んだ。
「・・・ん、ん・・・」
恐る恐るといった風に舌を這わして骨ばった指に付いたチョコを舐めとる。
いけない事をしているような背徳感に駆られている筈なのに背中を駆け上がるゾクゾクとしたものの正体が分からなくてファインは咄嗟にシェイドの服を掴んで縋りつく。
それを察してくれたのか、それとも上手に出来ていると褒めているのか、シェイドは優しくファインの頭を撫でた。
頭を撫でる手の心地良さに酔いしれてもう少しだけシェイドの指を舐めると静かに離れた。
「まだ少しだけチョコは残っている」
その言葉の意味するもの、瞳が語るものを誰よりもよく知っているファインは頷くと同じように器に人差し指を浸し、残りのチョコを全て掬い取った。
「・・・は、はい・・・」
これ以上ないくらい顔を赤く染めておずおずと人差し指を差し出すファイン。
たらりとチョコは垂れて指の付け根へと流れていく。
シェイドは目を細めると何の躊躇いもなくファインの人差し指を根元まで口に含んだ。
「・・・ぅぅ・・・ん・・・!」
舌全体で舐められたり、くすぐられたり、吸われたり・・・こんな時ばっかり変に働く想像力が恨めしかった。
シェイドの舌は熱くてまたふやけてしまいそうだ。
そう思った矢先、人差し指の付け根に歯を立てられた。
「やっ・・・!?」
驚いて慌てて指を引き抜く。
軽く噛まれただけで歯型は残っていなかったが生々しい感覚が今でも指の付け根に残っており、ファインは羞恥心で顔から湯気を出して項垂れた。
「あぅ・・・」
「さて―――」
ショート寸前のファインに構わずシェイドはファインを抱き上げるとベッドに寝かせた。
背中に感じた柔らかい感触にファインは即座に現実に戻って慌て始める。
「あ、の、シェイド!?何を―――」
「首にチョコが付いてる」
「そ、そんな所に付いて―――ひゃっ!?」
突如首筋に這わされたぬるりとした感触にファインは首を縮め、そして脱力する。
全身を巡るピリピリとした電流のような衝撃はファインの知らない感覚で、頭の中を真っ白にした。
予想以上に敏感で蕩けるのが早いらしい事を知ったシェイドは意地悪く口角を上げるとまたファインの首筋に舌を這わした。
今度は一度では終わらず、何度も。
「あ、あああのシェイ、ド・・・!」
「何だ」
「そそそ、の、あの・・・そ、そう!ま、またミルキーが覗き見しちゃうから今日はこの辺で―――」
「ミルキーは今日はしずくの国に遊びに行っている」
「えぇっ!?じゃ、じゃあそれを見越して・・・!?」
「招待したのは事実だがこの展開は想定外だ」
「つまり・・・?」
「棚から牡丹餅って所だな」
「も・・・もうお菓子は持ってこな~い!!」
しかしファインが持って来ずともシェイドが用意してしまうのでどのみち意味のない宣言なのだが、今のファインがそれを理解する事は出来ないのであった。
END
それがミルキーからのリクエストだった。
妹想いでとことん甘いシェイドはミルキーの願いを叶えるべく、シュガー星の『お菓子の家ツアー』に申し込みをした。
しかしこのツアー、最低参加人数は五人からとなっており、数合わせにファインとレインとブライトにお願いして参加してもらう事にした。
三人は快く承諾してくれ、ファインなんかは一も二もなく承諾したのは言うまでもない。
ミルキーにも人数についての説明をすると納得し、むしろみんなで行った方が楽しいと喜んでくれた。
そんな訳で現在、シェイドはミルキー達と共にシュガー星のお菓子の家に訪れていた。
服が汚れないようにという事で女性にはとても可愛らしいエプロンドレスが、男性には適当で無難なデザインの黒のエプロンドレスが貸し出されてそれを着用している。
「「わぁ~!お菓子の家だ~!!」」
「大きくて可愛くて美味しそう!お兄様、ありがとう!!」
「時間は沢山あるからゆっくり食べるんだぞ」
「はーい!ファイン、レイン、早速食べましょう!」
「「うん!!」」
ファインとレインは頷くとミルキーと共にお菓子の家を食べ始めた。
その様子を優しい眼差しで眺めるシェイドの隣にブライトが立つ。
「今日は誘ってくれて感謝するよ、シェイド」
「いや、俺の方こそ付き合ってもらって悪いな。恐らくミルキー一人でも平らげられたと思うが、だからと言って強引に人数制限を無視する訳にもいかなくてな」
「気にする事ないさ。僕もレインもお菓子は好きだし、ファインだってご覧の通り大喜びしてる。でも流石に見てるだけで胸焼けがしそうだからコーヒーでもどうだい?ブラックを淹れたよ」
「ああ、助かる」
苦笑しながらシェイドはブライトがコーヒーを淹れたテーブルの席に座る。
見ているだけでもお腹がいっぱいになって胸焼けしそうなお菓子の家にプリンセス達ははしゃぎながらパクパクとお菓子を食べていく。
そんな微笑ましい光景をシェイドはコーヒー片手にぼんやりと眺め、その横顔をブライトは静かに見やる。
普段、シェイドは凛とした顔つきであったり真面目な表情である事が多い。
そんな彼が優しい顔つきになるのは身内といる時、とりわけ妹のミルキーと恋人のファインがいる時はそれが顕著になる。
今もそう、シェイドの視線はミルキーとファインに注がれていて口元が緩んでいる。
それだけでもシェイドがどれだけ二人を愛しているか分かるというもの。
(ご馳走様)
心の中で小さく呟いて笑みを溢しながらブライトはコーヒーを一口含む。
ブラックなのに甘く感じてしまう辺り、身内に対する愛情が強すぎる誰かさんに中てられたのかもしれない。
コーヒーが終わったら次は紅茶でも飲もうか、なんて考えているとお菓子を皿に乗せたファインとミルキーがシェイドの下に、レインがブライトの下にやってきた。
「シェイドも一緒に食べよう!」
「とっても美味しいわよ、お兄様!」
言いながら笑顔で皿を差し出すファインとミルキー。
しかしその皿に盛られているお菓子の量は尋常ではなく、冗談抜きで文字通り山盛りとなっていてシェイドは呆れた溜息を吐く。
「そんなに食べられる訳ないだろ。お前達と違ってこっちは普通の胃袋をしてるんだ、どれか一つずつくれればそれでいい」
「じゃあアタシはクッキーをあげるね!」
「私はマカロン!」
「はい!」と言って差し出されるクッキーとマカロンをそれぞれ手に取ってシェイドは「ありがとう」と優しく礼を述べるとそれらを一つずつ食べ始めた。
その様子をファインとミルキーはキラキラした瞳で見つめる。
「どう?シェイド?」
「美味しいでしょ?お兄様?」
「ああ、美味しいよ。流石はお前達が選んだだけはあるな」
「こっちも食べて!すっごく美味しいから!」
「あ、ファインずるい!お兄様、こっちのも食べて!」
「分かったから少し待て」
最愛の妹と恋人に迫られ、けれど満更でもなさそうなシェイド。
そんな三人の様子をぼんやりと眺めていたレインとブライトは顔を見合わせるとクスクスと笑った。
「シェイドってばモテモテですね」
「本当にね。ただでさえお腹がいっぱいだっていうのに胸焼けがしそうだよ」
「それで、あ、あの・・・私達も・・・その・・・!」
「うん、見せつけちゃおうか。レイン、食べさせてくれるかい?」
「はい!喜んで!!」
レインは即答するとクッキーを一枚手に取ってブライトに「あーん」と言って食べさせるのであった。
オマケ
シェイドにお茶をしようと誘われたファインはシュガー星で買ったデラックスお土産セットの中から即席チョコフォンデュの袋を二つ持って行った。
小さな器一杯分しかチョコがないがシェイドにとっては十分な量で、クッキーを出してシェイドの部屋で二人で食べる事にした。
「ん~!美味しい~!やっぱりシュガー星のお菓子は最高だね~!」
「クッキーのおかわりならいくらでもあるから遠慮なく食べて良いぞ」
「はーい!」
上機嫌に返事をしながらファインはパクパクとチョコフォンデュにクッキーを浸して平らげていく。
それから2、3回のおかわりをして漸くファインの手は止まるのだった。
「ふぅ、ご馳走様でした!」
「途中からチョコがなくなってクッキーを食べるだけにシフトしたのはいつもながら流石としか言いようがないな」
「それ褒めてる?貶してる?」
「半々といった所だ」
「むぅ~・・・相変わらずシェイドは意地悪なんだから」
頬を膨らませながらファインは指に付いたチョコをハンカチで拭おうとする。
「待て」
だが、そこで唐突にシェイドにストップを入れられてファインの動きは止まり、目を瞬かせる。
「どうしたの?」
ファインの質問には答えずシェイドは僅かにチョコレートの残る器を持ってファインの隣に移動する。
そしてチョコの付いている方の手を掴むと、チョコの付いている指先を何の予告もなく口の中に含んだ。
「シェ、シェイド!?」
驚き困惑するファインに構う事なくシェイドは舌を這わせる。
「・・・っ!」
瞬間、ファインの顔が一瞬にして耳まで赤く染め上がる。
すぐにでも指を引っ込めたいのにしっかりと手首を掴まれている上に甘い痺れがファインを動かなくさせる。
じっくり、ねっとりと這わされる熱い舌。
チョコなんてとっくに舐め取られた筈なのにそれはいつまでも絡みついた。
解放されたのは殆どふやけそうになった頃で、羞恥心などからファインの体からはすっかり力が抜けていた。
「ふ、ぁ・・・」
後ろに倒れかけたファインをすぐに抱き寄せて腕の中に閉じ込める。
小刻みに震える体がすぐには動けないと悟り、その間にシェイドはチョコレートが僅かに残る自分の器に人差し指を浸した。
「ファイン」
名前を呼ばれて顔を上げればチョコレートを被ったシェイドの人差し指が目の前にあった。
まさか、と思って視線を上げれば有無を言わさぬ夜空の瞳とぶつかる。
従わなければ解放される事はなく、それどころかとんでもない追加制裁が待ち受けている為、ファインは少し躊躇った後にシェイドの指をパクリと口に含んだ。
「・・・ん、ん・・・」
恐る恐るといった風に舌を這わして骨ばった指に付いたチョコを舐めとる。
いけない事をしているような背徳感に駆られている筈なのに背中を駆け上がるゾクゾクとしたものの正体が分からなくてファインは咄嗟にシェイドの服を掴んで縋りつく。
それを察してくれたのか、それとも上手に出来ていると褒めているのか、シェイドは優しくファインの頭を撫でた。
頭を撫でる手の心地良さに酔いしれてもう少しだけシェイドの指を舐めると静かに離れた。
「まだ少しだけチョコは残っている」
その言葉の意味するもの、瞳が語るものを誰よりもよく知っているファインは頷くと同じように器に人差し指を浸し、残りのチョコを全て掬い取った。
「・・・は、はい・・・」
これ以上ないくらい顔を赤く染めておずおずと人差し指を差し出すファイン。
たらりとチョコは垂れて指の付け根へと流れていく。
シェイドは目を細めると何の躊躇いもなくファインの人差し指を根元まで口に含んだ。
「・・・ぅぅ・・・ん・・・!」
舌全体で舐められたり、くすぐられたり、吸われたり・・・こんな時ばっかり変に働く想像力が恨めしかった。
シェイドの舌は熱くてまたふやけてしまいそうだ。
そう思った矢先、人差し指の付け根に歯を立てられた。
「やっ・・・!?」
驚いて慌てて指を引き抜く。
軽く噛まれただけで歯型は残っていなかったが生々しい感覚が今でも指の付け根に残っており、ファインは羞恥心で顔から湯気を出して項垂れた。
「あぅ・・・」
「さて―――」
ショート寸前のファインに構わずシェイドはファインを抱き上げるとベッドに寝かせた。
背中に感じた柔らかい感触にファインは即座に現実に戻って慌て始める。
「あ、の、シェイド!?何を―――」
「首にチョコが付いてる」
「そ、そんな所に付いて―――ひゃっ!?」
突如首筋に這わされたぬるりとした感触にファインは首を縮め、そして脱力する。
全身を巡るピリピリとした電流のような衝撃はファインの知らない感覚で、頭の中を真っ白にした。
予想以上に敏感で蕩けるのが早いらしい事を知ったシェイドは意地悪く口角を上げるとまたファインの首筋に舌を這わした。
今度は一度では終わらず、何度も。
「あ、あああのシェイ、ド・・・!」
「何だ」
「そそそ、の、あの・・・そ、そう!ま、またミルキーが覗き見しちゃうから今日はこの辺で―――」
「ミルキーは今日はしずくの国に遊びに行っている」
「えぇっ!?じゃ、じゃあそれを見越して・・・!?」
「招待したのは事実だがこの展開は想定外だ」
「つまり・・・?」
「棚から牡丹餅って所だな」
「も・・・もうお菓子は持ってこな~い!!」
しかしファインが持って来ずともシェイドが用意してしまうのでどのみち意味のない宣言なのだが、今のファインがそれを理解する事は出来ないのであった。
END