スーパーリア充シェイドさん

暑すぎず寒すぎない程よい気温。
肌を撫でる柔らかな人工の風。
緩やかに流れる穏やかな時間。
ここはおひさまの国の城下町を囲う森。
知る人ぞ知る穴場で周りに自分達以外の人の気配はなく、聞こえるのは鳥のさえずりと大切な妹と恋人の楽しそうな話し声。
本日シェイドは時間を作ってお休みを取り、ミルキーとファインと共におひさまの国の森にピクニックにやってきていた。
ちなみにピクニックを提案したのはシェイドだ。
勿論二人が反対する筈もなく、むしろ大賛成をして今日この日にやって来たという訳である。
そして現在、シェイドはファインの膝枕に頭を預けて目を閉じていた。
本当は昼寝をしていたのだが、ミルキーとファインの何かを企む密やかな笑い声にふと目が覚めた次第である。

「そっとね?シェイドって気配に敏感ですぐに起きちゃうから」
「分かってるわ、任せて」

(本当はもう起きてるんだけどな)

いつもだったら意地悪をして起きるのだが、それでも狸寝入りしているのはシェイドなりの優しさだった。
それに、たまにはしてやったりといった風に笑う二人の顔も見てみたい。

「右手はこうして・・・」
「左手にはこれを着けて・・・」

右手の薬指と左手首に何かを巻きつけられる。
感覚からして茎のようだ。
それだけでシェイドは自分に何をされているのかを大体把握した。

「お兄様!起きてお兄様!」
「シェイドおっきろ~!」

肩や体を揺らされて不自然にならないように起きたフリをする。
それから目を瞑ったまま地面に手を着いて起き上がる。
目を瞑ったまま起き上がるのは寝そべっている状態で目を開くとファインの豊かな胸が目に飛び込んでくる為。
性格だけでなく発育も活発なファインは齢16にして抜群のスタイルを誇るプリンセスとなった。
姉のレインも抜群のプロポーションを誇るプリンセスとなり、様々な星で話題になっている事もあって日々シェイドとブライトの頭を悩ませている。
それでもそんなファインに膝枕をしてもらえるのは自分だけの特権だとシェイドは内心自慢していた。
下からその豊かな胸を拝めるのも自慢と言えば自慢なのだがプリンスとしてはしたないのと、何よりファインに悪いのでなるべく見ないように目を瞑って起き上がるようにしているが。
さて、狸寝入りから目覚めたシェイドは自分の右手の薬指に嵌められたピンクの花の指輪と左手首に嵌められている赤い花のブレスレットを見て笑みを溢す。

「これは・・・」
「花の指輪とブレスレットよ!お兄様の為に作ったの!」
「どう?驚いた?」
「ああ、そうだな」
「え~?お兄様本当に~?」
「ちょっと嘘くさいよね。本当は途中から起きてたんじゃないの?」
「さぁ、どうだろうな?」
「むぅ~・・・ファイン、アレを」
「りょーかい!―――とりゃ!」

ファインは背中に隠していた物をシェイドの頭に素早く被せた。
流石に予想していなかった動きに内心驚きつつシェイドは努めて冷静に頭に被せられた物に触ってそれが何であるかを確認する。

「・・・花・・・の、冠?」
「そ!お揃いだよ!」
「三人でお揃い!」

悪戯が成功した子供のように笑いながらファインとミルキーは続け様に隠していた自分用の花の冠を取り出してそれを頭に着ける。
ファインのは赤い花の冠でミルキーのはピンクの花の冠だ。
ちなみにシェイドのは赤の花とピンクの花を織り交ぜた花の冠である。
またもや予想出来なかったサプライズにシェイドは素直に負けを認めた。

「今回は俺の負けだ」
「イェイー!大成功!」
「私達の勝ちね!」

シェイドの目の前でファインとミルキーは嬉しそうにハイタッチを交わす。


今日も今日とて二人には敵わないと柔らかな笑みを溢すシェイドであった。






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