スーパーリア充シェイドさん
常々体調には気を遣っていたシェイドであったが不覚にも風邪を引いてしまった。
しかし軽く引いただけなので一日寝るだけで良くなる程度なのだが城の者たちは、それではシェイドが十分に休めないと不満を募らせ、仮病を使ってでもいいからあと三日は休んでくれとミルキーを通して伝えてきた。
早く回復するように願われるどころか仮病を使ってでももっと休めと言われたシェイドの心境が色々複雑なものであったのは言うまでもない。
「俺、もしかして嫌われてるのか?」
「その逆です。みんなお兄様の事を心配してるんですよ。ね?ファイン」
「そーそー!」
シェイドの自室でミルキーがファインに同意を求めるとファインは同調して顔を縦に振った。
ちなみにファインはミルキーが「お兄様が倒れた!」と誇張表現をして月の国に呼んだ。
しかし来てみればただの軽い風邪で、けれどファインは怒らずに「ただの風邪なら良かった」と胸を撫で降ろして看病に名乗り出てくれたのだ。
これに対してシェイドはミルキーに紛らわしい誇張表現をして人を振り回すなと注意したい所だったが、ファインが看病してくれる事に関しては満更でもなかったので今回の件に関しては不問にするのであった。
「とにかくお兄様、今日はゆっくり休んでくださいね。私とファインが面倒見ますから。はい、あーん!」
メイドが作ってくれたおかゆをレンゲで掬い、ふーふーと息を吹きかけて冷ましたものをミルキーが楽しそうにシェイドに差し出す。
これには流石のシェイドも素直に口を開く事が出来ず、やんわりとその行為を遠慮しようとする。
「いや、ミルキー。自分で食べられ―――」
「あーん!!」
「はぁ・・・分かったよ・・・」
溜息を吐いて仕方なく口を開ける。
横でファインがおかしそうにクスクスと笑っていたので横目に睨んだが照れ臭さを隠しきれていないので大した効果は発揮しなかった。
この行為が三回程繰り返された所でミルキーはレンゲを器の中に入れるとそれをファインに差し出した。
「はい、次はファインの番よ!」
「えっ!?あ、アタシ!?」
「ファインもお兄様にあーんするの!」
「で、でも~・・・」
「すーるーのー!」
「うぅ・・・分かったよぅ・・・」
ファインは病人のシェイドよりも顔を赤くして震える手で器を受け取るとレンゲでおかゆを掬い、弱々しくふーふーすると「はい・・・」と言ってシェイドの口元に差し出した。
しかしその顔は横に逸らされており、綺麗な赤い髪の隙間から別の種類の赤い耳が見え隠れしている。
シェイドはシェイドでファインに食べさせてもらう事、そしてミルキーが見ている前でするこの行為に羞恥心を感じており、無言でそれを食べると同じように顔を逸らしてゆっくり咀嚼しながら飲み込んだ。
たった一回、この行為をするだけでも恥ずかしくて堪らないのにミルキーに視線を移しても「最後までやって」と目で訴えられてしまい、ファインは仕方なくこの行為を最後までやり切った。
やり終わった時には自分を褒めてやりたい気分だったのは言うまでもない。
((終わった・・・))
おかゆがなくなり、気恥ずかしい行為の終了にファインとシェイドは同時に脱力するのだった。
「じゃ、食器は私が片付けて来るわね!」
「あ、ちょっ、ミルキー!?」
「ファインはお兄様にお薬飲ませて寝かせておいて!」
ミルキーは風の如き速さでファインから食器を回収すると、さっさと部屋から出て行ってしまった。
気を遣われた、明らかに。
食器を片付けて来るだなんてのはただの建前で二人きりにさせてくれたのだ。
しばらく呆然としたように扉を見つめていた二人だったが、顔を見合わせると互いに苦笑の息を漏らす。
「気を遣われちゃったね」
「情けないな」
「まぁいいじゃない。ほら、お薬飲んで?」
サイドテーブルの上に置かれていた薬と氷の入った冷たいコップを手渡すとシェイドは素直にそれを受け取って薬と水を順番に飲んだ。
それからゆっくり横たわるとファインが布団を掛け直してくれた。
「シェイド、他に何かして欲しい事はある?今日は思いっきり甘えていいんだからね!」
「じゃあ、氷を食べさせてくれ」
「うん!・・・って、え?食べさせる?」
「そうだ」
「氷を?」
「ああ」
「アタシが?」
「他に誰がいる?」
「・・・・・・ゆ、指で掴む―――」
「いい加減にしろ」
「うぅ・・・」
鋭い目つきで釘を刺されてファインは分かりやすくしょげてみせる。
二人きり、シェイドは横たわっている、その状態で氷を食べさせる方法はただ一つ。
ファインは顔を赤くしながらコップを掴むと唇を付ける前に恨み言を呟く。
「・・・これでアタシも風邪引いたらシェイドの所為だから」
「その時は俺が見舞いに行く」
「でも今みたいなのはしないでね?また風邪が移って同じ事の繰り返しになっちゃうから」
「その前にレインに追い出された挙句、接近禁止令を突きつけられるだろうから流石にそれはしない。だから安心しろ」
「ならいいけど・・・」
ファインはコップを傾けると氷を一つ口の中に含んだ。
それからシェイドの顔の両側に手を突き、ゆっくりと顔を近付けながら瞳を閉じて唇を重ねた。
つん、と氷を突き出すとシェイドの唇はすんなりと開いてファインの舌ごと氷を迎え入れた。
「ふぁ・・・ん・・・ぁ・・・んっ」
シェイドの口の中で氷を溶かし合っている間に後頭部を押さえつけられてしまう。
薄っすらと瞼を開けるが夜空色の瞳は細められていて逃がしてくれる雰囲気は一切なかった。
これはダメだと早々に観念したファインは再び瞳を閉じるとシェイドとのキスに耽る覚悟を決めた。
熱を出しているシェイドの舌が熱いからか、それとも二人の絡み合う舌の動きが激しいからか、氷は瞬く間に小さくなっていき、シェイドの喉がこくん、こくん、と小さく動いてそれを飲み下していく。
ついでにファインの舌も吸われた。
「む~!」
軽くもがいてみても勿論解放はされず、絡み合いは続く。
氷の所為で冷たかったシェイドの舌は瞬く間に元の熱以上の熱を持ち、ファインを蕩かしていく。
その内にスイッチが入ってしまったのか、徐々にファインの方も積極的に絡んで行ってシェイドとのキスに夢中になっていった。
深く甘くなっていく愛の行い。
とろりと溶けたファインの瞳は誘惑的でいつまでも見つめ続けていられる。
本当はこのままずっと溶け合っていたいのだがそうもいかず、シェイドは名残惜しそうに絡めていた舌を引かせるとファインの肩を優しく押した。
「ん・・・・・・ご、ごめん・・・風邪引いてるのに・・・こんなにしちゃって・・・」
「いや、いい。望んだのは俺だ。それに理由は他にある」
「他って?」
「やはりミルキーに見せるにはまだ早いと思ってな」
「へ?」
苦笑しながらシェイドが扉の方に目をやるので視線を追いかけると、扉の隙間からミルキーがこれ以上ない程瞳を輝かせて覗き見をしていた。
「また~~~!!?」
「お兄様、ファイン、私の事は気にしないで続けて!」
「だからしないってば!!ていうかいつから見てたの!?」
「ファインが―――」
「やっぱり言っちゃダメ~~~!!!」
ファインは慌てて立ち上がるとミルキーの口を塞ぎにかかった。
しかし簡単に捕まるミルキーではなく、スルリとファインの手を逃れるとシェイドの部屋に入って追いかけっこを始めた。
「騒ぐなら外で騒いでくれ」
一応の注意をするも今の二人の耳に届く事はなく。
まぁいいかとそのままほっといてシェイドはキスの余韻に浸りながら静かに瞳を閉じるのであった。
ちなみにこの後、ファインが風邪を引いてシェイドがお見舞いに行くのだが、理由を知ったレインによって門前払いを喰らったのはここだけの話である。
END
しかし軽く引いただけなので一日寝るだけで良くなる程度なのだが城の者たちは、それではシェイドが十分に休めないと不満を募らせ、仮病を使ってでもいいからあと三日は休んでくれとミルキーを通して伝えてきた。
早く回復するように願われるどころか仮病を使ってでももっと休めと言われたシェイドの心境が色々複雑なものであったのは言うまでもない。
「俺、もしかして嫌われてるのか?」
「その逆です。みんなお兄様の事を心配してるんですよ。ね?ファイン」
「そーそー!」
シェイドの自室でミルキーがファインに同意を求めるとファインは同調して顔を縦に振った。
ちなみにファインはミルキーが「お兄様が倒れた!」と誇張表現をして月の国に呼んだ。
しかし来てみればただの軽い風邪で、けれどファインは怒らずに「ただの風邪なら良かった」と胸を撫で降ろして看病に名乗り出てくれたのだ。
これに対してシェイドはミルキーに紛らわしい誇張表現をして人を振り回すなと注意したい所だったが、ファインが看病してくれる事に関しては満更でもなかったので今回の件に関しては不問にするのであった。
「とにかくお兄様、今日はゆっくり休んでくださいね。私とファインが面倒見ますから。はい、あーん!」
メイドが作ってくれたおかゆをレンゲで掬い、ふーふーと息を吹きかけて冷ましたものをミルキーが楽しそうにシェイドに差し出す。
これには流石のシェイドも素直に口を開く事が出来ず、やんわりとその行為を遠慮しようとする。
「いや、ミルキー。自分で食べられ―――」
「あーん!!」
「はぁ・・・分かったよ・・・」
溜息を吐いて仕方なく口を開ける。
横でファインがおかしそうにクスクスと笑っていたので横目に睨んだが照れ臭さを隠しきれていないので大した効果は発揮しなかった。
この行為が三回程繰り返された所でミルキーはレンゲを器の中に入れるとそれをファインに差し出した。
「はい、次はファインの番よ!」
「えっ!?あ、アタシ!?」
「ファインもお兄様にあーんするの!」
「で、でも~・・・」
「すーるーのー!」
「うぅ・・・分かったよぅ・・・」
ファインは病人のシェイドよりも顔を赤くして震える手で器を受け取るとレンゲでおかゆを掬い、弱々しくふーふーすると「はい・・・」と言ってシェイドの口元に差し出した。
しかしその顔は横に逸らされており、綺麗な赤い髪の隙間から別の種類の赤い耳が見え隠れしている。
シェイドはシェイドでファインに食べさせてもらう事、そしてミルキーが見ている前でするこの行為に羞恥心を感じており、無言でそれを食べると同じように顔を逸らしてゆっくり咀嚼しながら飲み込んだ。
たった一回、この行為をするだけでも恥ずかしくて堪らないのにミルキーに視線を移しても「最後までやって」と目で訴えられてしまい、ファインは仕方なくこの行為を最後までやり切った。
やり終わった時には自分を褒めてやりたい気分だったのは言うまでもない。
((終わった・・・))
おかゆがなくなり、気恥ずかしい行為の終了にファインとシェイドは同時に脱力するのだった。
「じゃ、食器は私が片付けて来るわね!」
「あ、ちょっ、ミルキー!?」
「ファインはお兄様にお薬飲ませて寝かせておいて!」
ミルキーは風の如き速さでファインから食器を回収すると、さっさと部屋から出て行ってしまった。
気を遣われた、明らかに。
食器を片付けて来るだなんてのはただの建前で二人きりにさせてくれたのだ。
しばらく呆然としたように扉を見つめていた二人だったが、顔を見合わせると互いに苦笑の息を漏らす。
「気を遣われちゃったね」
「情けないな」
「まぁいいじゃない。ほら、お薬飲んで?」
サイドテーブルの上に置かれていた薬と氷の入った冷たいコップを手渡すとシェイドは素直にそれを受け取って薬と水を順番に飲んだ。
それからゆっくり横たわるとファインが布団を掛け直してくれた。
「シェイド、他に何かして欲しい事はある?今日は思いっきり甘えていいんだからね!」
「じゃあ、氷を食べさせてくれ」
「うん!・・・って、え?食べさせる?」
「そうだ」
「氷を?」
「ああ」
「アタシが?」
「他に誰がいる?」
「・・・・・・ゆ、指で掴む―――」
「いい加減にしろ」
「うぅ・・・」
鋭い目つきで釘を刺されてファインは分かりやすくしょげてみせる。
二人きり、シェイドは横たわっている、その状態で氷を食べさせる方法はただ一つ。
ファインは顔を赤くしながらコップを掴むと唇を付ける前に恨み言を呟く。
「・・・これでアタシも風邪引いたらシェイドの所為だから」
「その時は俺が見舞いに行く」
「でも今みたいなのはしないでね?また風邪が移って同じ事の繰り返しになっちゃうから」
「その前にレインに追い出された挙句、接近禁止令を突きつけられるだろうから流石にそれはしない。だから安心しろ」
「ならいいけど・・・」
ファインはコップを傾けると氷を一つ口の中に含んだ。
それからシェイドの顔の両側に手を突き、ゆっくりと顔を近付けながら瞳を閉じて唇を重ねた。
つん、と氷を突き出すとシェイドの唇はすんなりと開いてファインの舌ごと氷を迎え入れた。
「ふぁ・・・ん・・・ぁ・・・んっ」
シェイドの口の中で氷を溶かし合っている間に後頭部を押さえつけられてしまう。
薄っすらと瞼を開けるが夜空色の瞳は細められていて逃がしてくれる雰囲気は一切なかった。
これはダメだと早々に観念したファインは再び瞳を閉じるとシェイドとのキスに耽る覚悟を決めた。
熱を出しているシェイドの舌が熱いからか、それとも二人の絡み合う舌の動きが激しいからか、氷は瞬く間に小さくなっていき、シェイドの喉がこくん、こくん、と小さく動いてそれを飲み下していく。
ついでにファインの舌も吸われた。
「む~!」
軽くもがいてみても勿論解放はされず、絡み合いは続く。
氷の所為で冷たかったシェイドの舌は瞬く間に元の熱以上の熱を持ち、ファインを蕩かしていく。
その内にスイッチが入ってしまったのか、徐々にファインの方も積極的に絡んで行ってシェイドとのキスに夢中になっていった。
深く甘くなっていく愛の行い。
とろりと溶けたファインの瞳は誘惑的でいつまでも見つめ続けていられる。
本当はこのままずっと溶け合っていたいのだがそうもいかず、シェイドは名残惜しそうに絡めていた舌を引かせるとファインの肩を優しく押した。
「ん・・・・・・ご、ごめん・・・風邪引いてるのに・・・こんなにしちゃって・・・」
「いや、いい。望んだのは俺だ。それに理由は他にある」
「他って?」
「やはりミルキーに見せるにはまだ早いと思ってな」
「へ?」
苦笑しながらシェイドが扉の方に目をやるので視線を追いかけると、扉の隙間からミルキーがこれ以上ない程瞳を輝かせて覗き見をしていた。
「また~~~!!?」
「お兄様、ファイン、私の事は気にしないで続けて!」
「だからしないってば!!ていうかいつから見てたの!?」
「ファインが―――」
「やっぱり言っちゃダメ~~~!!!」
ファインは慌てて立ち上がるとミルキーの口を塞ぎにかかった。
しかし簡単に捕まるミルキーではなく、スルリとファインの手を逃れるとシェイドの部屋に入って追いかけっこを始めた。
「騒ぐなら外で騒いでくれ」
一応の注意をするも今の二人の耳に届く事はなく。
まぁいいかとそのままほっといてシェイドはキスの余韻に浸りながら静かに瞳を閉じるのであった。
ちなみにこの後、ファインが風邪を引いてシェイドがお見舞いに行くのだが、理由を知ったレインによって門前払いを喰らったのはここだけの話である。
END