毎日がプリンセスパーティー
元気で明るいファインと一緒にいて自分を変えたい。
そしてファインに対して芽生えた淡い恋心を育んでいきたい。
そんな思いから初等部に編入したノーチェだったがその結果は散々なものだった。
ファインには落大したと勘違いされ、チームに入ろうとしてもレモンに阻まれ、挙げ句の果てにはシフォンがファインとレインのチームに入ってしまった。
その為にファインと同じチームに入る事が出来ず、泣き崩れていたノーチェをチームに誘ったのがソロとシェイドだった。
元上級生なら色々頼りになるかも知れないという考えの元、誘った次第である。
現在は学生寮の中央サロンで自己紹介をしていた。
「改めまして僕はふしぎ星のタネタネの国のソロです」
「同じくふしぎ星の月の国のシェイドだ」
「ぼ、僕はオーケストラ星のノーチェ。宜しく・・・元は上級生だけど気を遣わなくていいからね」
「確か落大したんでしたっけ?」
「ち、違うよ〜!えぐえぐっ・・・!」
途端に泣き始めたノーチェにソロは顔を引き攣らせながら「す、すいません・・・」と謝罪を口にする。
それからノーチェは涙ぐみながらも泣き止んで会話を続けた。
「ソロ君は一目見てタネタネ人って分かったからふしぎ星出身なのはなんとなく想像出来てたけどシェイド君も同じふしぎ星出身だったんだね」
「まぁな」
「という事は二人はファインとレインのお友達でもあるのかな?」
「ええ、そうですよ」
「そっかぁ。じゃ、じゃあ二人について色々聞いてもいいかな?僕、もっと仲良くなりたくて・・・ファインとか元気で明るいからその秘訣を知りたいなぁ、なんて・・・」
人差し指の先をツンツンとぶつけ合いながらノーチェは恥ずかし気に目を逸らす。
二人の事がもっと知りたいというのは事実だ。
しかしそれ以上にファインについて話を聞きたいという小さな恋心がそこにはあった。
「ファインはああ見えて臆病だぞ」
「えっ?そうなの?」
即座に帰って来た返答にノーチェは弾かれた様に顔を上げてシェイドを見る。
シェイドは少し意地悪な表情を浮かべていた。
「暗い場所や怖い物、幽霊なんかが苦手なんだ」
「そ、そうなんだぁ。でも僕も苦手だからその気持ち分かるなぁ」
(元気で明るいファインにもそんな弱点があったなんて・・・僕もそういうのは苦手だけどいつか守ってあげられたらいいなぁ〜)
ノーチェ自身も暗い場所や怖い物を前にしたら泣いて逃げ出してしまうが、もしもファインが傍にいたら逃げずに守ってあげたい。
臆病で泣き虫な自分だけれど好きな女の子をしっかり守ってみせたい。
そんな想いが胸に込み上げて来て知らず笑顔を浮かべるのだった。
(その癖危険には躊躇いなく飛び込むんだよな・・・)
シェイドの脳裏に、闇に堕ちていた頃のブライトから届いた招待状を受け取って落ち込むレインの為に、そしてブライトの助けを求める声に気付いて一人飛び出したファインが思い出される。
あの頃のブライトは正気ではなかったし、実際にブラックプロミネンスを使ってファインを守ろうとするプーモを襲おうとした。
暗い所や怖い物を前にするとすぐに泣いて逃げようとする癖にああいう時ばっかりは恐れず躊躇いなく一人で突き進もうとするファインの事がシェイドは知らずの内に心配で目が離せなくなっていた。
「そういえばよくプリンセスレインにしがみついてますよね。逃げようとしたらしっかり掴まれてしまう事もあるそうですが」
「レインはそういうの平気だからな」
「へ~、レインは平気なんだ?ふたごなのにそういう所は正反対なんだねぇ」
「あの二人は普段の言動は全く一緒だが細かい所は割と違うぞ。例えばファインは運動が得意だがレインは苦手だ」
「それとプリンセスファインは食べ物が大好きでプリンセスレインはオシャレが大好きですよね」
「そうだな。他にもファインはそそっかしくてレインはしっかりしてる。ファインは赤が好きでレインは青が好きとかな」
「いっぱいあるんだね~。探すの楽しそう!食べ物と言えば好き嫌いも違ったりするの?」
「嫌いなものはあまりよく知らんが好みは微妙に違う気がしたな」
「ふ〜ん。ち、ちなみにファインの好きな物って何かな?」
「ああ、アイツの好きな物は・・・ケーキだ・・・」
「ケーキか〜」
(いつかファインと遊びに行く事があったら美味しいケーキをご馳走したいなぁ)
ノーチェの頭に思い浮かぶは街の喫茶店でファインとデートをする風景。
二人でテラス席に座り、向かいに座るファインが幸せそうにケーキを頬張り、自分はそれを笑顔で眺める。
そんな風に過ごす事が出来たらどんなに素敵だろう。
後で美味しいお店を探しておかねばとノーチェはひっそり心に決めるのだった。
(ケーキに負ける日が来るなんて思わなかったよなぁ・・・)
(あ、これあの時の事を思い出してますね)
遠い目をするシェイドを見てソロはふしぎ星が救われた事を祝ったパーティーを思い出す。
遅刻して転んだファインにシェイドが手を差し出して共にダンスを踊ったのだが、あろう事かファインはケーキを見るなり一目散にそちらへ走って行ってしまったのだ。
その時のシェイドは苦笑いしつつもとても穏やかな表情をしていたのだが、この様子だと自分よりもケーキを優先された事についてまだ尾を引いているのだろう。
別の意味でファインも罪作りな女性だとソロは思わずにはいられなかった。
「と、ところでプリンスノーチェはどのようにして二人と知り合ったんですか?」
「えっと、入学式の日に修理に出してたバイオリンをふしぎ星に取りに行ったら遅刻しちゃってね。臨時電車の中で知り合ったんだぁ」
「なるほど、あの臨時電車で」
「ノーチェも大変だな。初めて顔合わせした新入生の第一号があの二人だなんてな」
「全然大変なんかじゃないよぉ。むしろ出会えて良かったって思ってるよ」
「とにかく落ち着きのない奴らだから早く慣れてあしらい方を知っておいた方がいいぞ。流す所は流しておかないとこっちの身が保たないからな」
「あはは、覚えておくよぉ」
苦笑しながらもノーチェはファインへの気持ちが募るのを抑えられなかった。
暗い場所や怖い物が苦手で、好きな食べ物はケーキで、シェイドやソロも認める程の元気な女の子で。
ファインについて良い事が沢山聞けてノーチェの胸は幸せで満たされるのだった。
それからその日の自己紹介を兼ねた雑談は終わり、解散となった。
街に用事のあったノーチェは道を歩いているとファインとレインに遭遇した。
「あ、ファイン、レイン!」
「ノーチェ!」
「どうしたのノーチェ?学校に忘れ物でもしたの?」
「ううん、ちょっと街に用事があって。それよりもさっきチームを組んだソロ君とシェイド君と話をしたんだぁ。二人共頼もしそうだねぇ」
「そうだよ!シェイドもソロも頼りになるから何かあったら遠慮なく相談するといいよ!」
「うん、分かった。と、ところでファイン・・・あの、その・・・」
「なぁに?」
「ええっと、あの・・・!」
(い、いつか一緒にケーキ食べに行こうって言うんだ・・・!)
己を叱咤激励してデートの約束を取り付けようと奮起するノーチェ。
しかし―――
「ファイン!レイン!」
「あ、リオーネとミルロ!」
「二人共どうしたの?」
「私達これから街の探検に行くんだけど二人もどう?」
「オシャレなお店や美味しいお店が沢山あるみたいなの」
「ホントに!?」
「是非一緒に行かせてもらうわ!」
「そういう訳だからごめんねノーチェ!話はまた後でね~!」
「あ、ファイン~!」
オシャレなお店や美味しいお店と聞いて黙っていられるふたご姫ではなく、猛然と寮へと走って荷物を置きに行ってしまった。
残されたノーチェは見えなくなったファインの背中を追って寮の方角に力なく手を伸ばして涙を浮かべる。
「うぅ・・・チームの時と一緒でまた誘えなかったぁ・・・えぐえぐっ」
早くも自身の恋は前途多難だと悟るノーチェであった。
そしてその日の夜。
サロンに訪れたシェイドはファインが一人でテーブルに座っているのを見つけた。
「ファイン」
「あ、シェイド!」
「お前が一人でいるなんて珍しいな。レインはどうした?」
「それがブライトが他の女の子達に囲まれてるのを見て『私も負けてられない!』って言って・・・」
「入学早々どっちも通常運転だな・・・」
呆れたように溜息を吐きながらシェイドも席に座る。
脳裏に浮かぶはただ歩いているだけで、或いは何かしらの紳士的振る舞いをしてプリンセス達のハートを掴んで囲まれるブライトと、恋心を燃やしてブライトを取られまいと同じように囲みに行くレインの姿。
たとえどこの星に行こうと変わらない友人というのは安心感があるが、この場合はやはり安心感よりも呆れの方が強かった。
もっとも、それは目の前にいる少女にも言える事なのだが。
「お前は今日は学校が終わった後に何をしていたんだ?」
「あのねあのね!レインとリオーネとミルロと一緒に街探検に行ったんだけど―――」
「美味しい店を沢山見つけて来た、だろ?」
「えっ!?何で分かったの!?」
「そんな事だろうと思った。お前も通常運転みたいだな。もっともプリンセスらしくないプリンセスっていう称号が外れる事はしばらくはなさそうだ」
「何よー!?シェイドだって相変わらず意地悪な癖に!そんな調子で同じチームのノーチェに意地悪しちゃダメだよ!」
「心配しなくても態度は使い分けてるから問題ない」
「ならいいけど・・・って!?態度使い分けてるって何!?それってアタシには意地悪な態度を取ってるって事!?」
「平たく言えばそうなるな」
「も〜!シェイド〜!!」
頬を膨らませて怒るファインにシェイドは小さく噴き出す。
こういう分かりやすい所も変わっていなくて安心した。
何かと窮屈で空気が悪くて、おかしな事が起こりそうな学園だが、変わらない仲間とファインがいるなら問題なく過ごせそうだとシェイドは密かに嬉しく思うのだった。
END
そしてファインに対して芽生えた淡い恋心を育んでいきたい。
そんな思いから初等部に編入したノーチェだったがその結果は散々なものだった。
ファインには落大したと勘違いされ、チームに入ろうとしてもレモンに阻まれ、挙げ句の果てにはシフォンがファインとレインのチームに入ってしまった。
その為にファインと同じチームに入る事が出来ず、泣き崩れていたノーチェをチームに誘ったのがソロとシェイドだった。
元上級生なら色々頼りになるかも知れないという考えの元、誘った次第である。
現在は学生寮の中央サロンで自己紹介をしていた。
「改めまして僕はふしぎ星のタネタネの国のソロです」
「同じくふしぎ星の月の国のシェイドだ」
「ぼ、僕はオーケストラ星のノーチェ。宜しく・・・元は上級生だけど気を遣わなくていいからね」
「確か落大したんでしたっけ?」
「ち、違うよ〜!えぐえぐっ・・・!」
途端に泣き始めたノーチェにソロは顔を引き攣らせながら「す、すいません・・・」と謝罪を口にする。
それからノーチェは涙ぐみながらも泣き止んで会話を続けた。
「ソロ君は一目見てタネタネ人って分かったからふしぎ星出身なのはなんとなく想像出来てたけどシェイド君も同じふしぎ星出身だったんだね」
「まぁな」
「という事は二人はファインとレインのお友達でもあるのかな?」
「ええ、そうですよ」
「そっかぁ。じゃ、じゃあ二人について色々聞いてもいいかな?僕、もっと仲良くなりたくて・・・ファインとか元気で明るいからその秘訣を知りたいなぁ、なんて・・・」
人差し指の先をツンツンとぶつけ合いながらノーチェは恥ずかし気に目を逸らす。
二人の事がもっと知りたいというのは事実だ。
しかしそれ以上にファインについて話を聞きたいという小さな恋心がそこにはあった。
「ファインはああ見えて臆病だぞ」
「えっ?そうなの?」
即座に帰って来た返答にノーチェは弾かれた様に顔を上げてシェイドを見る。
シェイドは少し意地悪な表情を浮かべていた。
「暗い場所や怖い物、幽霊なんかが苦手なんだ」
「そ、そうなんだぁ。でも僕も苦手だからその気持ち分かるなぁ」
(元気で明るいファインにもそんな弱点があったなんて・・・僕もそういうのは苦手だけどいつか守ってあげられたらいいなぁ〜)
ノーチェ自身も暗い場所や怖い物を前にしたら泣いて逃げ出してしまうが、もしもファインが傍にいたら逃げずに守ってあげたい。
臆病で泣き虫な自分だけれど好きな女の子をしっかり守ってみせたい。
そんな想いが胸に込み上げて来て知らず笑顔を浮かべるのだった。
(その癖危険には躊躇いなく飛び込むんだよな・・・)
シェイドの脳裏に、闇に堕ちていた頃のブライトから届いた招待状を受け取って落ち込むレインの為に、そしてブライトの助けを求める声に気付いて一人飛び出したファインが思い出される。
あの頃のブライトは正気ではなかったし、実際にブラックプロミネンスを使ってファインを守ろうとするプーモを襲おうとした。
暗い所や怖い物を前にするとすぐに泣いて逃げようとする癖にああいう時ばっかりは恐れず躊躇いなく一人で突き進もうとするファインの事がシェイドは知らずの内に心配で目が離せなくなっていた。
「そういえばよくプリンセスレインにしがみついてますよね。逃げようとしたらしっかり掴まれてしまう事もあるそうですが」
「レインはそういうの平気だからな」
「へ~、レインは平気なんだ?ふたごなのにそういう所は正反対なんだねぇ」
「あの二人は普段の言動は全く一緒だが細かい所は割と違うぞ。例えばファインは運動が得意だがレインは苦手だ」
「それとプリンセスファインは食べ物が大好きでプリンセスレインはオシャレが大好きですよね」
「そうだな。他にもファインはそそっかしくてレインはしっかりしてる。ファインは赤が好きでレインは青が好きとかな」
「いっぱいあるんだね~。探すの楽しそう!食べ物と言えば好き嫌いも違ったりするの?」
「嫌いなものはあまりよく知らんが好みは微妙に違う気がしたな」
「ふ〜ん。ち、ちなみにファインの好きな物って何かな?」
「ああ、アイツの好きな物は・・・ケーキだ・・・」
「ケーキか〜」
(いつかファインと遊びに行く事があったら美味しいケーキをご馳走したいなぁ)
ノーチェの頭に思い浮かぶは街の喫茶店でファインとデートをする風景。
二人でテラス席に座り、向かいに座るファインが幸せそうにケーキを頬張り、自分はそれを笑顔で眺める。
そんな風に過ごす事が出来たらどんなに素敵だろう。
後で美味しいお店を探しておかねばとノーチェはひっそり心に決めるのだった。
(ケーキに負ける日が来るなんて思わなかったよなぁ・・・)
(あ、これあの時の事を思い出してますね)
遠い目をするシェイドを見てソロはふしぎ星が救われた事を祝ったパーティーを思い出す。
遅刻して転んだファインにシェイドが手を差し出して共にダンスを踊ったのだが、あろう事かファインはケーキを見るなり一目散にそちらへ走って行ってしまったのだ。
その時のシェイドは苦笑いしつつもとても穏やかな表情をしていたのだが、この様子だと自分よりもケーキを優先された事についてまだ尾を引いているのだろう。
別の意味でファインも罪作りな女性だとソロは思わずにはいられなかった。
「と、ところでプリンスノーチェはどのようにして二人と知り合ったんですか?」
「えっと、入学式の日に修理に出してたバイオリンをふしぎ星に取りに行ったら遅刻しちゃってね。臨時電車の中で知り合ったんだぁ」
「なるほど、あの臨時電車で」
「ノーチェも大変だな。初めて顔合わせした新入生の第一号があの二人だなんてな」
「全然大変なんかじゃないよぉ。むしろ出会えて良かったって思ってるよ」
「とにかく落ち着きのない奴らだから早く慣れてあしらい方を知っておいた方がいいぞ。流す所は流しておかないとこっちの身が保たないからな」
「あはは、覚えておくよぉ」
苦笑しながらもノーチェはファインへの気持ちが募るのを抑えられなかった。
暗い場所や怖い物が苦手で、好きな食べ物はケーキで、シェイドやソロも認める程の元気な女の子で。
ファインについて良い事が沢山聞けてノーチェの胸は幸せで満たされるのだった。
それからその日の自己紹介を兼ねた雑談は終わり、解散となった。
街に用事のあったノーチェは道を歩いているとファインとレインに遭遇した。
「あ、ファイン、レイン!」
「ノーチェ!」
「どうしたのノーチェ?学校に忘れ物でもしたの?」
「ううん、ちょっと街に用事があって。それよりもさっきチームを組んだソロ君とシェイド君と話をしたんだぁ。二人共頼もしそうだねぇ」
「そうだよ!シェイドもソロも頼りになるから何かあったら遠慮なく相談するといいよ!」
「うん、分かった。と、ところでファイン・・・あの、その・・・」
「なぁに?」
「ええっと、あの・・・!」
(い、いつか一緒にケーキ食べに行こうって言うんだ・・・!)
己を叱咤激励してデートの約束を取り付けようと奮起するノーチェ。
しかし―――
「ファイン!レイン!」
「あ、リオーネとミルロ!」
「二人共どうしたの?」
「私達これから街の探検に行くんだけど二人もどう?」
「オシャレなお店や美味しいお店が沢山あるみたいなの」
「ホントに!?」
「是非一緒に行かせてもらうわ!」
「そういう訳だからごめんねノーチェ!話はまた後でね~!」
「あ、ファイン~!」
オシャレなお店や美味しいお店と聞いて黙っていられるふたご姫ではなく、猛然と寮へと走って荷物を置きに行ってしまった。
残されたノーチェは見えなくなったファインの背中を追って寮の方角に力なく手を伸ばして涙を浮かべる。
「うぅ・・・チームの時と一緒でまた誘えなかったぁ・・・えぐえぐっ」
早くも自身の恋は前途多難だと悟るノーチェであった。
そしてその日の夜。
サロンに訪れたシェイドはファインが一人でテーブルに座っているのを見つけた。
「ファイン」
「あ、シェイド!」
「お前が一人でいるなんて珍しいな。レインはどうした?」
「それがブライトが他の女の子達に囲まれてるのを見て『私も負けてられない!』って言って・・・」
「入学早々どっちも通常運転だな・・・」
呆れたように溜息を吐きながらシェイドも席に座る。
脳裏に浮かぶはただ歩いているだけで、或いは何かしらの紳士的振る舞いをしてプリンセス達のハートを掴んで囲まれるブライトと、恋心を燃やしてブライトを取られまいと同じように囲みに行くレインの姿。
たとえどこの星に行こうと変わらない友人というのは安心感があるが、この場合はやはり安心感よりも呆れの方が強かった。
もっとも、それは目の前にいる少女にも言える事なのだが。
「お前は今日は学校が終わった後に何をしていたんだ?」
「あのねあのね!レインとリオーネとミルロと一緒に街探検に行ったんだけど―――」
「美味しい店を沢山見つけて来た、だろ?」
「えっ!?何で分かったの!?」
「そんな事だろうと思った。お前も通常運転みたいだな。もっともプリンセスらしくないプリンセスっていう称号が外れる事はしばらくはなさそうだ」
「何よー!?シェイドだって相変わらず意地悪な癖に!そんな調子で同じチームのノーチェに意地悪しちゃダメだよ!」
「心配しなくても態度は使い分けてるから問題ない」
「ならいいけど・・・って!?態度使い分けてるって何!?それってアタシには意地悪な態度を取ってるって事!?」
「平たく言えばそうなるな」
「も〜!シェイド〜!!」
頬を膨らませて怒るファインにシェイドは小さく噴き出す。
こういう分かりやすい所も変わっていなくて安心した。
何かと窮屈で空気が悪くて、おかしな事が起こりそうな学園だが、変わらない仲間とファインがいるなら問題なく過ごせそうだとシェイドは密かに嬉しく思うのだった。
END