ピースフルパーティーと虹の蜜 後日談
本日は月の国のプリンスシェイドの誕生日パーティー。
各国のプリンセスやプリンスも招いた盛大なパーティーとなったこの日。
友人達がプレゼントをそれぞれ贈る中、ファインとレインはそれぞれに赤と青の花束を抱えてシェイドに贈っていた。
「お誕生日おめでとう、シェイド!」
「良い一年になるといいわね!」
「おめでとうございますでプモ!」
「ああ、ありがとうな」
礼を述べながら穏やかな表情で花束を受け取る。
思えばこうやって友人に誕生日を祝われる日を過去の自分が想像した事はなかったように思う。
あの時点ではまだみんなとは親しくもなかったし興味もなかったからある意味で無理もない話ではあるが。
しかしそれを抜きにしてももっと想像出来なかったのが、ファインが自分の為に虹の花を育てて特別なケーキを作ろうとしてくれていた事だ。
生憎の事件でファインが長い時間をかけて育てた虹の蜜が台無しになったのはとても悔やまれたが、それでもシェイドはファインの気持ちがとても嬉しかった。
「ところで七色貝の世話はちゃんと出来てるのか?」
「もっちろん!ちゃ~んと毎日お水あげてるよ!」
「今度メラメラの国に行くのよね?」
「そうだよ!」
「シェイド、ファインの事お願いね?」
「ああ、分かっている」
「えへへっ!それじゃあまた後でね!」
頬を朱色に染めて弾けるような笑顔を振りまいてファインはレインと共にその場を後にし、プーモも礼儀正しくお辞儀をすると二人の後を追いかけた。
虹の蜜が台無しになって悲しみに暮れていたファインだったが、今ではいつも通りの笑顔でいてシェイドは安心した。
その理由の一つが自分が一緒に虹の花を育てようと提案したからだと思うとこそばゆい何かが込み上げてくる。
恐らくこれは『照れ臭い』というものだろう。
柄にもない事をしたが、それでもファインが笑顔になったのだからいいかと考える自分は本当に変わったと思う。
少し前の自分が知ったら驚くだろう。
そんな事を考えているとナルロを乗せたベビーカーを押しながらミルロがやってきた。
「お誕生日おめでとう、プリンスシェイド」
「ガビーン!」
「これ、私とナルロからのプレゼント。お菓子だからプリンセスミルキーと食べてね」
「ああ、ありがとう」
「それからもう一つあるのだけど・・・」
綺麗にラッピングされた箱を渡した後、ミルロはベビーカーの外側ポケットに手を伸ばすと一枚の丸めた用紙を取り出した。
それは赤のリボンで留められており、中身を知る事は出来なかったが絵を描くのが好きなミルロの事だからきっと何か絵が描かれているのだろうとシェイドは予想する。
「良かったらこれも受け取っていただけるかしら?」
「何かの絵か?」
「ええ。きっと気に入ってくれると思うわ」
「開けても?」
「勿論よ」
微笑んで頷くミルロに許可をもらってリボンを解いて紙を広げる。
そしてそこに描かれていたものにシェイドは目を見開いた。
「これは・・・!」
大きく膨らんだ虹の花の前に座って微笑むファインの絵。
ミルロの高いデッサン力と細かく鮮やかな色使いで美しく描かれたそれはその当時の風景を上手に綺麗に切り取れていた。
この絵は間違いなくファインがこっそり虹の花を育てていた時のものだと確信しながらもシェイドは絵から目が離せないままミルロに尋ねる。
「・・・ファインが虹の花を育てていた時のものか?」
「ええ。その時のファインが凄く幸せそうな顔をしていたから咄嗟に描いたの。それで良ければどうかと思って」
「そうか・・・有難く受け取ろう」
自分でも知らない内に愛おしそうに微笑むシェイドを見てミルロも嬉しそうに笑みを浮かべるのだった。
END
各国のプリンセスやプリンスも招いた盛大なパーティーとなったこの日。
友人達がプレゼントをそれぞれ贈る中、ファインとレインはそれぞれに赤と青の花束を抱えてシェイドに贈っていた。
「お誕生日おめでとう、シェイド!」
「良い一年になるといいわね!」
「おめでとうございますでプモ!」
「ああ、ありがとうな」
礼を述べながら穏やかな表情で花束を受け取る。
思えばこうやって友人に誕生日を祝われる日を過去の自分が想像した事はなかったように思う。
あの時点ではまだみんなとは親しくもなかったし興味もなかったからある意味で無理もない話ではあるが。
しかしそれを抜きにしてももっと想像出来なかったのが、ファインが自分の為に虹の花を育てて特別なケーキを作ろうとしてくれていた事だ。
生憎の事件でファインが長い時間をかけて育てた虹の蜜が台無しになったのはとても悔やまれたが、それでもシェイドはファインの気持ちがとても嬉しかった。
「ところで七色貝の世話はちゃんと出来てるのか?」
「もっちろん!ちゃ~んと毎日お水あげてるよ!」
「今度メラメラの国に行くのよね?」
「そうだよ!」
「シェイド、ファインの事お願いね?」
「ああ、分かっている」
「えへへっ!それじゃあまた後でね!」
頬を朱色に染めて弾けるような笑顔を振りまいてファインはレインと共にその場を後にし、プーモも礼儀正しくお辞儀をすると二人の後を追いかけた。
虹の蜜が台無しになって悲しみに暮れていたファインだったが、今ではいつも通りの笑顔でいてシェイドは安心した。
その理由の一つが自分が一緒に虹の花を育てようと提案したからだと思うとこそばゆい何かが込み上げてくる。
恐らくこれは『照れ臭い』というものだろう。
柄にもない事をしたが、それでもファインが笑顔になったのだからいいかと考える自分は本当に変わったと思う。
少し前の自分が知ったら驚くだろう。
そんな事を考えているとナルロを乗せたベビーカーを押しながらミルロがやってきた。
「お誕生日おめでとう、プリンスシェイド」
「ガビーン!」
「これ、私とナルロからのプレゼント。お菓子だからプリンセスミルキーと食べてね」
「ああ、ありがとう」
「それからもう一つあるのだけど・・・」
綺麗にラッピングされた箱を渡した後、ミルロはベビーカーの外側ポケットに手を伸ばすと一枚の丸めた用紙を取り出した。
それは赤のリボンで留められており、中身を知る事は出来なかったが絵を描くのが好きなミルロの事だからきっと何か絵が描かれているのだろうとシェイドは予想する。
「良かったらこれも受け取っていただけるかしら?」
「何かの絵か?」
「ええ。きっと気に入ってくれると思うわ」
「開けても?」
「勿論よ」
微笑んで頷くミルロに許可をもらってリボンを解いて紙を広げる。
そしてそこに描かれていたものにシェイドは目を見開いた。
「これは・・・!」
大きく膨らんだ虹の花の前に座って微笑むファインの絵。
ミルロの高いデッサン力と細かく鮮やかな色使いで美しく描かれたそれはその当時の風景を上手に綺麗に切り取れていた。
この絵は間違いなくファインがこっそり虹の花を育てていた時のものだと確信しながらもシェイドは絵から目が離せないままミルロに尋ねる。
「・・・ファインが虹の花を育てていた時のものか?」
「ええ。その時のファインが凄く幸せそうな顔をしていたから咄嗟に描いたの。それで良ければどうかと思って」
「そうか・・・有難く受け取ろう」
自分でも知らない内に愛おしそうに微笑むシェイドを見てミルロも嬉しそうに笑みを浮かべるのだった。
END