ピースフルパーティーと虹の蜜 エピローグ
おひさまの国の空中庭園でファインは二つの植木鉢の前でニコニコと笑顔を浮かべていた。
二つの植木鉢には緑色に色付く芽が出ており、気持ち良さそうにおひさまの恵みを浴びている。
「ファイン様、とても幸せそうでプモ」
「そりゃそうよ。みんなで見つけた七色貝を好きな人と一緒に育てているんだもの」
ご機嫌な様子のファインを少し離れた所でプーモとレインが見守る。
虹の蜜が台無しになってシェイドがみんなで七色貝を探しに行こうとファインに提案した後、善は急げという事でその日のお茶会の予定を取り消して急遽全員でコーラルビーチに赴く事になった。
またしても生憎の天気だったが一同は雨に濡れる事も海に濡れる事も厭わず七色貝を探してくれた。
賑やかな声を聞きつけてパールとブウモも参加してくれての大規模な宝探しとなった。
そんな中で七色貝は二つも見つかった。
見つけたのはアルテッサとティオだ。
ファインとシェイドは皆に深く感謝すると育成スケジュールを決め、基本はおひさまの国のおひさまの恵みを浴びせなければならない為にファインが管理する事となった。
そして各育成工程を行う時は一緒にその国へ赴くと決めた。
現在は宝石の国までの育成工程を終えており、今日はタネタネの国に行ってタネタネの国で一番栄養のある木の実の蜜を土にかける日である。
「ファイン様~!月の国のプリンスシェイド様がお見えですよ~!」
エレベーターから出て来たキャメロットが大きな声でファインに呼びかけるとファインは「はーい!」と元気よく返事をして二つの植木鉢をカゴに入れ始めた。
このカゴは持ち運びやすいようにというシェイドの案で用意された物だ。
シェイドに会うまではファインが持つが、シェイドと合流してからはシェイドがカゴを持ち運びしている。
「行って来るね!レイン、プーモ!」
「ええ、行ってらっしゃい、ファイン!」
「お気をつけくださいでプモ!」
「うん!」
弾けるような笑顔で手を振りながらファインは走ってエレベーターへと向かう。
一瞬躓きそうになったがなんとか踏みとどまり、それからまた走ってエレベーターに乗り込んだ。
賑やかな後ろ姿を見送ってすぐ、プーモはレインをの方を見て尋ねる。
「レイン様、一つお聞きしても宜しいでプモ?」
「ええ、いいわよ。なぁに?」
「レイン様は今でもファイン様の将来のお相手がシェイド様なのは気に入らないでプモ?」
「そうねぇ・・・本音を言えば一割くらいはそう思ってるかしら。だってありえないじゃない、『女の子の秘密』をバラして他のプリンスのみんなは大体を察したのに肝心のシェイドは分かってないんだもの!」
虹の蜜の騒動の後の事を思い出してレインは不満に唇を尖らせる。
ファインと一緒に虹の花を育てる事になり、二人で各国に赴くなどまさにデートではないかと興奮してファインが帰ってくる度に恋の進捗具合を確認するもこれといった進展はなく。
こっそりリオーネやアルテッサに聞いても終始仲良くしていただけで特にそれらしい事は起きなかったし、あるとしてもシェイドのファインに対する態度が前より更に穏やかになったくらいのものだった。
レインの方からそれとなくシェイドに探りを入れてみてもファインを大切に想っている節があったものの、それ以上の事は分からなかった。
分からなかった、というのはシェイドの答え方に曖昧な部分があったからだ。
ファインの将来の為にもハッキリして欲しい所ではあったが余計な事をしてはまたファインを傷付けてしまう。
それにファインが努力してその曖昧な部分をハッキリさせるのも恋の楽しみだ、奪ってはいけないとレインは己を戒めてそれ以上の口を挟むのやめ、見守るスタンスに回った次第である。
「あれじゃあ益々苦労するわね・・・」
「プモ・・・ファイン様の恋も前途多難でプモか」
「でも、強盗団や女王サソリに襲われそうになったファインを守ってくれたり、ファインがしてくれようとしていた事を汲んで一緒に虹の蜜を育てようって言ってくれたのは素直に評価するわ」
「という事は?」
「認めてあげるってこと!」
ニッコリと晴れやかに微笑むレインのそれはファインの幸せを心から願って祈るものでとても美しかった。
それが分かってプーモも穏やかに笑みを溢す。
そこに―――
「姫様~!」
ファインと入違いでエレベーターから降りて来たルルが大きな声でレインを呼ぶ。
レインがそちらに視線を向けるとルルは続けた。
「宝石の国のプリンスブライト様がお見えです~!天気が良いのでピクニックに行こうと―――」
「ブライト様~~~!!」
瞳をハートにしてルルの言葉を遮りながらレインは猛然と走るとエレベーターに乗り込んでブライトに会いに行った。
この調子ではレインの恋の進捗もファインとそう変わらないだろう。
そしてそれはロイヤルワンダー学園に入学しても進展具合は両者共に遅々としたものになるだろう。
だが、焦らずにゆっくりとその真っ直ぐで一途な恋心を育んでそれぞれの想い人と結ばれて欲しい。
そう願いながらプーモはおひさまの恵みの如く温かく柔らかな笑顔で空を見上げるのだった。
エピローグ END
二つの植木鉢には緑色に色付く芽が出ており、気持ち良さそうにおひさまの恵みを浴びている。
「ファイン様、とても幸せそうでプモ」
「そりゃそうよ。みんなで見つけた七色貝を好きな人と一緒に育てているんだもの」
ご機嫌な様子のファインを少し離れた所でプーモとレインが見守る。
虹の蜜が台無しになってシェイドがみんなで七色貝を探しに行こうとファインに提案した後、善は急げという事でその日のお茶会の予定を取り消して急遽全員でコーラルビーチに赴く事になった。
またしても生憎の天気だったが一同は雨に濡れる事も海に濡れる事も厭わず七色貝を探してくれた。
賑やかな声を聞きつけてパールとブウモも参加してくれての大規模な宝探しとなった。
そんな中で七色貝は二つも見つかった。
見つけたのはアルテッサとティオだ。
ファインとシェイドは皆に深く感謝すると育成スケジュールを決め、基本はおひさまの国のおひさまの恵みを浴びせなければならない為にファインが管理する事となった。
そして各育成工程を行う時は一緒にその国へ赴くと決めた。
現在は宝石の国までの育成工程を終えており、今日はタネタネの国に行ってタネタネの国で一番栄養のある木の実の蜜を土にかける日である。
「ファイン様~!月の国のプリンスシェイド様がお見えですよ~!」
エレベーターから出て来たキャメロットが大きな声でファインに呼びかけるとファインは「はーい!」と元気よく返事をして二つの植木鉢をカゴに入れ始めた。
このカゴは持ち運びやすいようにというシェイドの案で用意された物だ。
シェイドに会うまではファインが持つが、シェイドと合流してからはシェイドがカゴを持ち運びしている。
「行って来るね!レイン、プーモ!」
「ええ、行ってらっしゃい、ファイン!」
「お気をつけくださいでプモ!」
「うん!」
弾けるような笑顔で手を振りながらファインは走ってエレベーターへと向かう。
一瞬躓きそうになったがなんとか踏みとどまり、それからまた走ってエレベーターに乗り込んだ。
賑やかな後ろ姿を見送ってすぐ、プーモはレインをの方を見て尋ねる。
「レイン様、一つお聞きしても宜しいでプモ?」
「ええ、いいわよ。なぁに?」
「レイン様は今でもファイン様の将来のお相手がシェイド様なのは気に入らないでプモ?」
「そうねぇ・・・本音を言えば一割くらいはそう思ってるかしら。だってありえないじゃない、『女の子の秘密』をバラして他のプリンスのみんなは大体を察したのに肝心のシェイドは分かってないんだもの!」
虹の蜜の騒動の後の事を思い出してレインは不満に唇を尖らせる。
ファインと一緒に虹の花を育てる事になり、二人で各国に赴くなどまさにデートではないかと興奮してファインが帰ってくる度に恋の進捗具合を確認するもこれといった進展はなく。
こっそりリオーネやアルテッサに聞いても終始仲良くしていただけで特にそれらしい事は起きなかったし、あるとしてもシェイドのファインに対する態度が前より更に穏やかになったくらいのものだった。
レインの方からそれとなくシェイドに探りを入れてみてもファインを大切に想っている節があったものの、それ以上の事は分からなかった。
分からなかった、というのはシェイドの答え方に曖昧な部分があったからだ。
ファインの将来の為にもハッキリして欲しい所ではあったが余計な事をしてはまたファインを傷付けてしまう。
それにファインが努力してその曖昧な部分をハッキリさせるのも恋の楽しみだ、奪ってはいけないとレインは己を戒めてそれ以上の口を挟むのやめ、見守るスタンスに回った次第である。
「あれじゃあ益々苦労するわね・・・」
「プモ・・・ファイン様の恋も前途多難でプモか」
「でも、強盗団や女王サソリに襲われそうになったファインを守ってくれたり、ファインがしてくれようとしていた事を汲んで一緒に虹の蜜を育てようって言ってくれたのは素直に評価するわ」
「という事は?」
「認めてあげるってこと!」
ニッコリと晴れやかに微笑むレインのそれはファインの幸せを心から願って祈るものでとても美しかった。
それが分かってプーモも穏やかに笑みを溢す。
そこに―――
「姫様~!」
ファインと入違いでエレベーターから降りて来たルルが大きな声でレインを呼ぶ。
レインがそちらに視線を向けるとルルは続けた。
「宝石の国のプリンスブライト様がお見えです~!天気が良いのでピクニックに行こうと―――」
「ブライト様~~~!!」
瞳をハートにしてルルの言葉を遮りながらレインは猛然と走るとエレベーターに乗り込んでブライトに会いに行った。
この調子ではレインの恋の進捗もファインとそう変わらないだろう。
そしてそれはロイヤルワンダー学園に入学しても進展具合は両者共に遅々としたものになるだろう。
だが、焦らずにゆっくりとその真っ直ぐで一途な恋心を育んでそれぞれの想い人と結ばれて欲しい。
そう願いながらプーモはおひさまの恵みの如く温かく柔らかな笑顔で空を見上げるのだった。
エピローグ END