ピースフルパーティーと虹の蜜 第五章~月の国~
可憐な花の香りに包まれる月の国のピールフル『フラワー』パーティー。
メラメラの国で行われたピースフルパーティーにおいて招待客の前でプリンセス・プリンス一同がデコールを作るパフォーマンスが好評だった為、同じように招待客の前でフラワーアレンジメントをする事になった本パーティー。
そこにはプリンスとプリンセスの美的センスを競うという主旨も込められているが勿論これらは全て建前。
美しい花々によって隠されたその真実はプリンス一同による強盗団マッカロンの討伐作戦。
会場ではプリンセスとプリンスのフラワーアレンジメントスペースは大きく左右に別れており、距離もそれなりにある。
プリンセスサイドには花を生ける為の大きな鉢などが用意されているのに対してプリンスサイドの方は既に出来上がっているのか、作品に大きな白い布が掛けられていた。
「皆様、お待たせ致しました。これよりピースフル『フラワー』パーティーを開催致します」
ムーンマリアの開会宣言によって盛大に始まるピースフル『フラワー』パーティー。
それは同時にプリンス達にとっては作戦実行の開幕宣言でもある。
パーティー開始前から席を外してはあらぬ憶測が飛び交って不安を煽ってしまう為、一旦は顔を出すと決めた。
それにすぐに行っても砂嵐が止むまで待つ事になるので会場の平和を保つ為にも顔出しするのは丁度良かった。
いよいよ近付く作戦の時にプリンス達の気分は高揚し、緊張が高まる。
シェイド達は上手く普段通りを装っているがティオは両手を握って緊張感丸出しの顔をしている為、シェイドがさりげなさを装ってティオの前に立って隠す。
プリンセス一同がプリンス達の緊張感に気付いた様子はなく、むしろ少し不満そうにしている。
その理由が分かるだけにブライトやアウラーは小さく笑みを溢す。
「本日のパーティーの前半はプリンスとプリンセスによるフラワーアレンジメントの披露のし合いとなり、後半は花束の配布と歓談となります。どうぞ心行くまでお楽しみ下さい」
「いよいよだな」
「ああ」
「頑張ろうね、みんな」
「このティオ、全力を尽くす所存であります!」
「必ず成功させましょう」
シェイド、ブライト、アウラー、ティオ、ソロは円になってそれぞれに顔を見合わせて意気込む。
討伐作戦に気付かれない為に会話内容を徹底的にぼかしている為、周りからしてみればフラワーアレンジメント対決に対する意気込みのように聞こえているのに成功していた。
「ちょっとお兄様達!」
やや厳しめのアルテッサの声にブライト達は振り返る。
そこには両手を腰に当てたアルテッサと不満に頬を膨らませるファインとレインが並んでいた。
先程のプリンセス達の様子からして恐らくはプリンセス代表として抗議をしようとしているのだろう。
想定内の展開にブライトとアウラーが前に出る。
「どうしたいんだい、アルテッサ?」
「どうしたもこうしたもありませんわ!フラワーアレンジメント対決って言いだしたのはお兄様達の方なのにもう完成しているようですけれど?」
「うん、してるよ?それがどうかしたのかい?」
「同時にスタートしてアレンジメントするんじゃないんですか?」
「一緒にアレンジメントしようとは言ってないよ。ね、アウラー?」
「うん。だから先にやっちゃってさっさと終わらせちゃった」
「じゃあブライト達は前半何するの?」
「パーティーの後半を盛り上げる為にある物の準備をしに行くんだ」
「ある物って?」
「何々?」
「パーティーを放り出してどこに行きますの?」
「「女の子は来ちゃダメ!!」」
首を傾げながら興味深げにするファイン・レイン・アルテッサに対していつかのプリンセス達と同じようにブライトとアウラーが片手を突き出して制止をする。
それによって踏み出しそうになった三人の足はその場でぐっと留まり、思わぬ制止に驚きの表情を見せる。
ブライトとアウラーはやや挑発気味に余裕たっぷりの笑顔で三人に言い放つ。
「悪いけどこれは『男の子の秘密』だよ」
「女の子の干渉は禁止さ」
「禁止だなんてそんな・・・」
「アルテッサ達がメラメラの国でしてた『女の子の秘密』と同じさ」
「その『女の子の秘密』を教えてくれたら僕達『男の子の秘密』も教えてあげるよ」
「そ、それは・・・」
「「イヤイヤイヤーン!イヤイヤーン!」」
アルテッサの横でファインとレインがイヤイヤダンスを踊る。
あの時頑なに教えてくれなかったのだから絶対に口を割る事はないだろうと踏んでいたアウラーは読み通りの展開に内心口角を上げる。
これでプリンセス達を煙に巻く事が出来た。
更なる追及をされない為にも早く出発しようとするブライト達。
ところが―――
「ガビーン!!」
ベビーカーの中からナルロが待てと言わんばかりに大きな声を上げた。
「ナルロ?どうしたの?」
「ガビーン!ガビガビ、ガビーン!」
驚いたミルロが駆け寄るもナルロは何事かを訴えかけるかのようにガビーンを連呼する。
その必死な様子を見てミルロはナルロの気持ちを推測し、ある事に気付く。
「・・・もしかしてナルロも『男の子の秘密』を知りたいの?同じ男の子として、プリンスとして」
「ガビーン!」
当たり!と言わんばかりにナルロが笑顔で頷く。
どうやらミルロの推測は当たっていたらしい。
そのやり取りにブライトとアウラーは顔を見合わせると少し困ったような表情を浮かべた。
「どうする?ブライト」
「そうだな・・・」
こちらの言っている事をどれだけ理解出来ているのか計りかねる部分はあるがそれでもこれから行われる討伐作戦を赤ん坊のナルロに語るのはやはり憚られるものがあった。
幼くしてプリンスとしての自覚があるのは立派だがそれでも年端も行かぬ幼児に物騒な話をするのは如何なものか。
それはアウラーも同じで、目で反対の意を示していた。
心苦しくはあるがブライトはナルロにも秘密にしようと決意して口を開く。
「悪いけどナルロ、これは―――」
申し出の断りを入れようとしてブライトは言葉を詰まらせる。
見ればナルロは強い眼差しでしっかりとブライト達を見つめており、そこにはしずくの国のプリンスとしての覚悟と確かな意志が込められていた。
絶対に譲らない、何が何でも聞き出してみせる。
ナルロの瞳はそのように雄弁に語っていた。
幼くも強いその意志にブライトの決意は揺らいで迷いが生じる。
ナルロの強い意志は尊重したい。
しかし赤ん坊を巻き込んで良いものかと悩んでいた所にある人物の言葉が耳に飛び込んでくる。
「いいじゃないですか、話してあげましょう」
声の主を振り返ればそこには穏やかな表情のソロがブライト達を見上げていた。
「ソロ・・・」
「赤ん坊とはいえ、プリンスナルロも僕達と同じプリンスです。プリンスとして『男の子の秘密』を聞く権利はあると思いますよ」
「しかし―――」
「生半可な気持ちで首を突っ込んでいる訳ではない筈です。それ相応の覚悟があるんですよね、プリンスナルロ?」
「ガビーン!!」
視線をナルロに移して問いかけるとナルロはその通りだとでも言うように強く頷いた。
それでも尚も躊躇っている様子のブライトにシェイドがソロの意見を支持する。
「俺もソロの意見に賛成だ」
「シェイド・・・」
「お前の気持ちも分かるがソロの言う通りプリンスとしてのナルロの意思を尊重すべきだ」
「・・・分かった。二人がそこまで言うならそうしよう。その代わりにナルロ、条件がある」
ブライトはナルロを振り返って真剣な眼差しを向ける。
「ガビ?」
「『男の子の秘密』を絶対に誰にも言わないって約束出来るかい?」
「ガビーン!」
「そう、出来るね。流石はナルロだ」
勿論!と元気良く頷くナルロにブライトは笑顔になる。
それからアルテッサ達の方を見て言い放った。
「アルテッサ達も後でナルロから無理矢理聞き出すのは無しだよ。もしも聞いたらナルロに『女の子の秘密』を聞くよ。ね、ナルロ?」
「ガビーン!」
「わ、分かりましたわ・・・」
「ミルキーもこっそり聞くなよ。聞いたら分かるんだからな」
「バブゥ」
頬を膨らませながらミルキーは渋々といった様子で頷く。
釘を刺しておいて正解だった。
ブライトは今度はミルロの方を見るとベビーカーに手をかけながら尋ねる。
「ミルロ、そう言う訳だから少しの間だけナルロを連れて行くけどいい?」
「ええ、いいけど・・・」
「大丈夫、すぐに終わるから」
安心させるように笑顔でそう告げるとブライトはベビーカーを押してアウラー達と共に扉を潜って会場の外に出た。
扉を閉め切って他に人がいないのを確認してから、それでも話が漏れないように全員でナルロのベビーカーを囲うようにして寄り集まる。
ブライトがナルロと目線が同じになるように膝をついて純真無垢な小さくて丸い瞳を見据えた。
「いいかいナルロ、よく聞くんだ。僕達はこれから、ふしぎ星を騒がせる強盗団マッカロンっていう悪い奴らをやっつける為に砂漠の西にある廃墟に行くんだ」
「ガビッ!?」
「物騒な話で驚いたよね。でも僕達は人々を守る為に、そしてレインとファインが掴み取ってくれたこの平和を守る為にも行かなければならないんだ。プリンスとして、戦士として」
「でも安心して。必ず全員無事に帰ってくるからさ」
ナルロの左側に立つアウラーが頼もしい顔つきで言い放つ。
「だが、この話を聞いた以上はナルロにも協力してもらわないとな」
ナルロの右斜め前に立つシェイドがニヤリと口角を上げる。
「ガビーン?」
「プリンスナルロ、僕達に代わってどうかこのパーティー会場を守っていただけませんか?」
「ガビッ!?」
ベビーカーの縁に立つソロから思わぬ申し出をされてナルロは驚く。
それに対してナルロの右側に立つティオは止めるどころかナルロに負けないくらい純粋な眼差しでソロの意見に熱く賛同する。
「名案ですなソロ殿!ナルロ殿が会場を守っていただけるのであれば我々も安心して出陣出来ますぞ!」
「ガ、ビ・・・」
「お願い・・・出来るかい?ナルロ?」
ブライトの問い、そして他のプリンス達からの信頼の眼差し。
赤ん坊のナルロでも物凄い重圧を感じた。
けれどそれは赤ん坊であっても一人のプリンスとして対等に見てくれている証拠でもある。
最初は赤ん坊だからと気を遣ってくれていたブライト達の気持ちも嬉しかったが、こうして一人のプリンスとして認めてくれて託してくれたのはもっと嬉しかった。
だからナルロは重圧を喜んで受け入れて頼もしく頷いてみせた。
「ガビーン!!」
「ありがとう、ナルロ」
「赤ん坊ながらに良い目だ」
「ミルロに見せてあげれないのが残念だね」
「その代わりに我々がしっかりこの頼もしさを胸に刻んで差し上げましょうぞ!」
「プリンスティオに言う通りです。僕達だけはしっかりこの姿を覚えていてあげましょう!」
「ガビーン!ガビガビガビ、ガビーン!」
ソロに向かってナルロが何事かを嬉しそうに伝える。
しかし何を伝えようとしているのかやはり理解する事が出来ずソロは首を傾げる。
「僕に何を伝えようとしているのでしょうか・・・?」
「もしかして秘密を教えてあげようって言ってくれた事に対してお礼を言いたいんじゃないかな?違う?ナルロ?」
アウラーが尋ねるとナルロは「ガビーン!」と笑って頷いた。
どうやらその通りらしい。
ソロは照れ臭くなってはにかんだ。
「そんな、お礼を言われる程のものじゃないですよ。それよりもパーティー会場をお願いしますね」
「ガビーン!」
「話もまとまった所でそろそろ出発するぞ。もうすぐ砂嵐が止む頃合いだ」
「ああ、分かった」
ブライトが頷き、それに続いてアウラー、ソロ、ティオ、そしてナルロも頷く。
ナルロをミルロの元に返す為にも六人は一度会場に戻った。
会場ではプリンセス一同が寄り集まって、プリンス一同が何をしようとしているのか推理している様子だった。
その中でミルロがこちらに気付いて足早に駆け寄ってくる。
「プリンスブライト」
「心配かけてごめんよ、プリンセスミルロ。ナルロはちゃんと良い子にしてたから心配しないで。ね、ナルロ?」
色んな意味を込めてブライトがウィンクしてみせるとナルロは得意気に「ガビーン!」と答えてみせた。
赤ん坊ながらに頼もしい限りである。
これなら安心して出立する事が出来る。
ブライトはシェイドと目で会話するとシェイドは静かに頷き、ムーンマリアの方を向いて言い放った。
「それでは母上、僕達は準備の為に一時席を外させていただきます。後の事をお任せしても宜しいでしょうか?」
「ええ、勿論です。お行きなさいシェイド、プリンスの皆様方」
(そして必ず無事に戻って来るのですよ)
心の中でそう祈りながら息子とその友人たるプリンス達の勇ましき背中を見送る。
ずっと子供だと思っていたそれは今ではすっかり頼もしさと力強さに溢れており、また一歩自分の手から離れて行く寂しさを実感しつつも逞しく成長する息子をムーンマリアは心から嬉しく思った。
だがずっと感傷に浸っている訳にもいかない。
自分もクイーンとしての務めを果たさねば。
「皆様、プリンス一同はパーティーの後半の準備に向けて席を外しました。フラワーアレンジメントは既に完成している為に途中経過をお見せ出来ませんがそれまでの間にプリンセス一同のフラワーアレンジメントをお楽しみ下さい」
言い放ちながら笑みを向けて来るムーンマリアにファインとレインは一種の圧力を感じ取る。
「あれ?ねぇ、これって・・・」
「物凄いプレッシャーをかけられてるでプモ」
「だ、大丈夫よ!きっとなんとかなるわ!・・・多分」
「もう!こうなったらお兄様達があっ!と驚くようなフラワーアレンジメントをして勝利を鷲掴みますわよ!」
「「うん!!」」
「まぁ、その為の障害が早速立ちはだかってますけれど・・・」
アルテッサはファインがドリームシードで育てた巨大なひまわりを呆然と見上げる。
元気いっぱいなファインを象徴するかのようなそのひまわりは前回もそうだが、一体どうやって運んできたのだろうかと考えだしたら止まらないくらいの巨大さだ。
しかし当のファインは首を傾げて不思議そうにするばかり。
「え?障害って?」
「あ・な・た・の!この巨大なひまわりの事ですわ!!ひまわりが好きなのはいいけどせめて通常サイズに育てなさいよ!!」
「まぁまぁ、インパクトがあっていいじゃん」
「そうよ。ブライト様達が用意した物に比べたら大きさの点では勝ってるわ」
「そういう問題じゃなくて!!」
「お、落ち着いて、アルテッサ!」
「みんなでどういう風にするか考えましょう」
ツッコミを炸裂させるアルテッサをリオーネとミルロが宥める。
その隣ではソフィーとタネタネプリンセスがのんびりと巨大なひまわりを見上げている。
「前回より更に大きいひまわりね。ジャックと豆の木みたい」
「私達だったら本当にジャックと豆の木ごっこが出来るわ」
「羨ましいわ、ゴーチェル。私も登ってみたいけど流石に無理よね」
「そうね。途中で折れたりして危険だわ」
「そうなると私が出来るのは精々で主人公を導くハープの役かしら。巨人の役はもうアルテッサで決まってるし」
「何で私で決まってますの!?」
目を釣り上げて怒鳴るアルテッサを面白そうに笑うソフィー。
通常運転な二人のやり取りに笑いの渦が起きる中、ミルキーは歩行器に乗ってすいーっとナルロのベビーカーの傍まで飛行する。
「バブ」
「ガビ?」
「バブバブバブブ」
「が、ガビーン。ガビガビガビーン」
「バブー?」
「・・・」
「バブバブ。バブ、バブバブバブバ」
「ガビーン!」
「ミルキーとナルロ、何を話してるのかしら?」
「虹の蜜の事を話さないようにミルキーが釘刺してくれてるみたい」
「あら、そうだったのね。ところでファイン、今の内にムーンマリア様にお礼を言いに行ったら?シェイドがいない今がチャンスよ」
「そ、そうだね!ちょっと行ってくる!」
「あら?レイン、ファインはどこに行くの?」
「あのね―――」
駆け出したファインを見てアルテッサがレインに尋ねるとレインはプリンセス全員を集めて訳を話し始める。
戻ってきたらきっとまた冷やかされるだろう。
それを思うと余計に顔に熱が集まって戻ってくるのが億劫になる。
かと言ってどうする事も出来ないのでここは潔く受け入れて冷やかされよう。
耐えられなくなったらレインの後ろに隠れればいい。
それをしたって冷やかされるだろうがレインは優しいのでファインの気持ちを汲んで程々のタイミングで切り上げてくれる筈だ。
ファインは決心するとムーンマリアの前で立ち止まり、一度深呼吸をしてから見上げた。
「あ、あの!ムーンマリア様!」
「どうしましたか?プリンセスファイン?」
静かで淑やかな声音と共にムーンマリアがファインの方を振り向く。
その顔には夜空に浮かぶ月の如き優しい微笑みが称えられており、シェイドと同じ夜空の瞳は全てを見透かすように美しく澄んでいた。
もう既に全てを知っていると思うので見透かすも何もないのだが。
そう思うと羞恥心が込み上げて来てくじけそうになるがファインはなんとか踏ん張ってお礼を告げた。
「その・・・月光宮を使う許可をいただいてありがとうごうざいます!凄く助かりました!」
「いいえ、私はミルキーの意思を兵士の方達に伝えただけですよ。お礼ならミルキーに言ってあげて」
「ですがミルキーの意思を伝えていただけたのも嬉しかったのでどうしてもお礼を言いたかったんです」
「お礼を言うのはむしろこちらの方です。シェイドの為に何か特別な物を用意して下さっているそうですね」
意味ありげな笑みにファインは恥ずかしさから赤くなっている顔を俯かせる。
やはり色々察せられてしまっているらしい。
ファインは焦りながらも話を続ける。
「べ、別に全然特別じゃないですよ・・・!」
「誰かの為に一生懸命になって用意する物はどんなものであろうと特別な物ですよ。それよりもシェイドと喧嘩をしたと聞きましたが大丈夫ですか?」
「大丈夫・・・じゃ、ない・・・けど、大丈夫・・・です!えっと、喧嘩しちゃってすいません・・・」
「いいんですよ。あの子が女性と喧嘩をするなんて初めての事なので女性の扱い方を学ぶ良いキッカケだと思っています。不器用で気難しい所があるけれどシェイドの事、宜しくお願いしますね」
「はい!」
優しく微笑むムーンマリアにファインは元気よく頷く。
同時に絶対に今日、シェイドと仲直りしようと決意するのだった。
続く
メラメラの国で行われたピースフルパーティーにおいて招待客の前でプリンセス・プリンス一同がデコールを作るパフォーマンスが好評だった為、同じように招待客の前でフラワーアレンジメントをする事になった本パーティー。
そこにはプリンスとプリンセスの美的センスを競うという主旨も込められているが勿論これらは全て建前。
美しい花々によって隠されたその真実はプリンス一同による強盗団マッカロンの討伐作戦。
会場ではプリンセスとプリンスのフラワーアレンジメントスペースは大きく左右に別れており、距離もそれなりにある。
プリンセスサイドには花を生ける為の大きな鉢などが用意されているのに対してプリンスサイドの方は既に出来上がっているのか、作品に大きな白い布が掛けられていた。
「皆様、お待たせ致しました。これよりピースフル『フラワー』パーティーを開催致します」
ムーンマリアの開会宣言によって盛大に始まるピースフル『フラワー』パーティー。
それは同時にプリンス達にとっては作戦実行の開幕宣言でもある。
パーティー開始前から席を外してはあらぬ憶測が飛び交って不安を煽ってしまう為、一旦は顔を出すと決めた。
それにすぐに行っても砂嵐が止むまで待つ事になるので会場の平和を保つ為にも顔出しするのは丁度良かった。
いよいよ近付く作戦の時にプリンス達の気分は高揚し、緊張が高まる。
シェイド達は上手く普段通りを装っているがティオは両手を握って緊張感丸出しの顔をしている為、シェイドがさりげなさを装ってティオの前に立って隠す。
プリンセス一同がプリンス達の緊張感に気付いた様子はなく、むしろ少し不満そうにしている。
その理由が分かるだけにブライトやアウラーは小さく笑みを溢す。
「本日のパーティーの前半はプリンスとプリンセスによるフラワーアレンジメントの披露のし合いとなり、後半は花束の配布と歓談となります。どうぞ心行くまでお楽しみ下さい」
「いよいよだな」
「ああ」
「頑張ろうね、みんな」
「このティオ、全力を尽くす所存であります!」
「必ず成功させましょう」
シェイド、ブライト、アウラー、ティオ、ソロは円になってそれぞれに顔を見合わせて意気込む。
討伐作戦に気付かれない為に会話内容を徹底的にぼかしている為、周りからしてみればフラワーアレンジメント対決に対する意気込みのように聞こえているのに成功していた。
「ちょっとお兄様達!」
やや厳しめのアルテッサの声にブライト達は振り返る。
そこには両手を腰に当てたアルテッサと不満に頬を膨らませるファインとレインが並んでいた。
先程のプリンセス達の様子からして恐らくはプリンセス代表として抗議をしようとしているのだろう。
想定内の展開にブライトとアウラーが前に出る。
「どうしたいんだい、アルテッサ?」
「どうしたもこうしたもありませんわ!フラワーアレンジメント対決って言いだしたのはお兄様達の方なのにもう完成しているようですけれど?」
「うん、してるよ?それがどうかしたのかい?」
「同時にスタートしてアレンジメントするんじゃないんですか?」
「一緒にアレンジメントしようとは言ってないよ。ね、アウラー?」
「うん。だから先にやっちゃってさっさと終わらせちゃった」
「じゃあブライト達は前半何するの?」
「パーティーの後半を盛り上げる為にある物の準備をしに行くんだ」
「ある物って?」
「何々?」
「パーティーを放り出してどこに行きますの?」
「「女の子は来ちゃダメ!!」」
首を傾げながら興味深げにするファイン・レイン・アルテッサに対していつかのプリンセス達と同じようにブライトとアウラーが片手を突き出して制止をする。
それによって踏み出しそうになった三人の足はその場でぐっと留まり、思わぬ制止に驚きの表情を見せる。
ブライトとアウラーはやや挑発気味に余裕たっぷりの笑顔で三人に言い放つ。
「悪いけどこれは『男の子の秘密』だよ」
「女の子の干渉は禁止さ」
「禁止だなんてそんな・・・」
「アルテッサ達がメラメラの国でしてた『女の子の秘密』と同じさ」
「その『女の子の秘密』を教えてくれたら僕達『男の子の秘密』も教えてあげるよ」
「そ、それは・・・」
「「イヤイヤイヤーン!イヤイヤーン!」」
アルテッサの横でファインとレインがイヤイヤダンスを踊る。
あの時頑なに教えてくれなかったのだから絶対に口を割る事はないだろうと踏んでいたアウラーは読み通りの展開に内心口角を上げる。
これでプリンセス達を煙に巻く事が出来た。
更なる追及をされない為にも早く出発しようとするブライト達。
ところが―――
「ガビーン!!」
ベビーカーの中からナルロが待てと言わんばかりに大きな声を上げた。
「ナルロ?どうしたの?」
「ガビーン!ガビガビ、ガビーン!」
驚いたミルロが駆け寄るもナルロは何事かを訴えかけるかのようにガビーンを連呼する。
その必死な様子を見てミルロはナルロの気持ちを推測し、ある事に気付く。
「・・・もしかしてナルロも『男の子の秘密』を知りたいの?同じ男の子として、プリンスとして」
「ガビーン!」
当たり!と言わんばかりにナルロが笑顔で頷く。
どうやらミルロの推測は当たっていたらしい。
そのやり取りにブライトとアウラーは顔を見合わせると少し困ったような表情を浮かべた。
「どうする?ブライト」
「そうだな・・・」
こちらの言っている事をどれだけ理解出来ているのか計りかねる部分はあるがそれでもこれから行われる討伐作戦を赤ん坊のナルロに語るのはやはり憚られるものがあった。
幼くしてプリンスとしての自覚があるのは立派だがそれでも年端も行かぬ幼児に物騒な話をするのは如何なものか。
それはアウラーも同じで、目で反対の意を示していた。
心苦しくはあるがブライトはナルロにも秘密にしようと決意して口を開く。
「悪いけどナルロ、これは―――」
申し出の断りを入れようとしてブライトは言葉を詰まらせる。
見ればナルロは強い眼差しでしっかりとブライト達を見つめており、そこにはしずくの国のプリンスとしての覚悟と確かな意志が込められていた。
絶対に譲らない、何が何でも聞き出してみせる。
ナルロの瞳はそのように雄弁に語っていた。
幼くも強いその意志にブライトの決意は揺らいで迷いが生じる。
ナルロの強い意志は尊重したい。
しかし赤ん坊を巻き込んで良いものかと悩んでいた所にある人物の言葉が耳に飛び込んでくる。
「いいじゃないですか、話してあげましょう」
声の主を振り返ればそこには穏やかな表情のソロがブライト達を見上げていた。
「ソロ・・・」
「赤ん坊とはいえ、プリンスナルロも僕達と同じプリンスです。プリンスとして『男の子の秘密』を聞く権利はあると思いますよ」
「しかし―――」
「生半可な気持ちで首を突っ込んでいる訳ではない筈です。それ相応の覚悟があるんですよね、プリンスナルロ?」
「ガビーン!!」
視線をナルロに移して問いかけるとナルロはその通りだとでも言うように強く頷いた。
それでも尚も躊躇っている様子のブライトにシェイドがソロの意見を支持する。
「俺もソロの意見に賛成だ」
「シェイド・・・」
「お前の気持ちも分かるがソロの言う通りプリンスとしてのナルロの意思を尊重すべきだ」
「・・・分かった。二人がそこまで言うならそうしよう。その代わりにナルロ、条件がある」
ブライトはナルロを振り返って真剣な眼差しを向ける。
「ガビ?」
「『男の子の秘密』を絶対に誰にも言わないって約束出来るかい?」
「ガビーン!」
「そう、出来るね。流石はナルロだ」
勿論!と元気良く頷くナルロにブライトは笑顔になる。
それからアルテッサ達の方を見て言い放った。
「アルテッサ達も後でナルロから無理矢理聞き出すのは無しだよ。もしも聞いたらナルロに『女の子の秘密』を聞くよ。ね、ナルロ?」
「ガビーン!」
「わ、分かりましたわ・・・」
「ミルキーもこっそり聞くなよ。聞いたら分かるんだからな」
「バブゥ」
頬を膨らませながらミルキーは渋々といった様子で頷く。
釘を刺しておいて正解だった。
ブライトは今度はミルロの方を見るとベビーカーに手をかけながら尋ねる。
「ミルロ、そう言う訳だから少しの間だけナルロを連れて行くけどいい?」
「ええ、いいけど・・・」
「大丈夫、すぐに終わるから」
安心させるように笑顔でそう告げるとブライトはベビーカーを押してアウラー達と共に扉を潜って会場の外に出た。
扉を閉め切って他に人がいないのを確認してから、それでも話が漏れないように全員でナルロのベビーカーを囲うようにして寄り集まる。
ブライトがナルロと目線が同じになるように膝をついて純真無垢な小さくて丸い瞳を見据えた。
「いいかいナルロ、よく聞くんだ。僕達はこれから、ふしぎ星を騒がせる強盗団マッカロンっていう悪い奴らをやっつける為に砂漠の西にある廃墟に行くんだ」
「ガビッ!?」
「物騒な話で驚いたよね。でも僕達は人々を守る為に、そしてレインとファインが掴み取ってくれたこの平和を守る為にも行かなければならないんだ。プリンスとして、戦士として」
「でも安心して。必ず全員無事に帰ってくるからさ」
ナルロの左側に立つアウラーが頼もしい顔つきで言い放つ。
「だが、この話を聞いた以上はナルロにも協力してもらわないとな」
ナルロの右斜め前に立つシェイドがニヤリと口角を上げる。
「ガビーン?」
「プリンスナルロ、僕達に代わってどうかこのパーティー会場を守っていただけませんか?」
「ガビッ!?」
ベビーカーの縁に立つソロから思わぬ申し出をされてナルロは驚く。
それに対してナルロの右側に立つティオは止めるどころかナルロに負けないくらい純粋な眼差しでソロの意見に熱く賛同する。
「名案ですなソロ殿!ナルロ殿が会場を守っていただけるのであれば我々も安心して出陣出来ますぞ!」
「ガ、ビ・・・」
「お願い・・・出来るかい?ナルロ?」
ブライトの問い、そして他のプリンス達からの信頼の眼差し。
赤ん坊のナルロでも物凄い重圧を感じた。
けれどそれは赤ん坊であっても一人のプリンスとして対等に見てくれている証拠でもある。
最初は赤ん坊だからと気を遣ってくれていたブライト達の気持ちも嬉しかったが、こうして一人のプリンスとして認めてくれて託してくれたのはもっと嬉しかった。
だからナルロは重圧を喜んで受け入れて頼もしく頷いてみせた。
「ガビーン!!」
「ありがとう、ナルロ」
「赤ん坊ながらに良い目だ」
「ミルロに見せてあげれないのが残念だね」
「その代わりに我々がしっかりこの頼もしさを胸に刻んで差し上げましょうぞ!」
「プリンスティオに言う通りです。僕達だけはしっかりこの姿を覚えていてあげましょう!」
「ガビーン!ガビガビガビ、ガビーン!」
ソロに向かってナルロが何事かを嬉しそうに伝える。
しかし何を伝えようとしているのかやはり理解する事が出来ずソロは首を傾げる。
「僕に何を伝えようとしているのでしょうか・・・?」
「もしかして秘密を教えてあげようって言ってくれた事に対してお礼を言いたいんじゃないかな?違う?ナルロ?」
アウラーが尋ねるとナルロは「ガビーン!」と笑って頷いた。
どうやらその通りらしい。
ソロは照れ臭くなってはにかんだ。
「そんな、お礼を言われる程のものじゃないですよ。それよりもパーティー会場をお願いしますね」
「ガビーン!」
「話もまとまった所でそろそろ出発するぞ。もうすぐ砂嵐が止む頃合いだ」
「ああ、分かった」
ブライトが頷き、それに続いてアウラー、ソロ、ティオ、そしてナルロも頷く。
ナルロをミルロの元に返す為にも六人は一度会場に戻った。
会場ではプリンセス一同が寄り集まって、プリンス一同が何をしようとしているのか推理している様子だった。
その中でミルロがこちらに気付いて足早に駆け寄ってくる。
「プリンスブライト」
「心配かけてごめんよ、プリンセスミルロ。ナルロはちゃんと良い子にしてたから心配しないで。ね、ナルロ?」
色んな意味を込めてブライトがウィンクしてみせるとナルロは得意気に「ガビーン!」と答えてみせた。
赤ん坊ながらに頼もしい限りである。
これなら安心して出立する事が出来る。
ブライトはシェイドと目で会話するとシェイドは静かに頷き、ムーンマリアの方を向いて言い放った。
「それでは母上、僕達は準備の為に一時席を外させていただきます。後の事をお任せしても宜しいでしょうか?」
「ええ、勿論です。お行きなさいシェイド、プリンスの皆様方」
(そして必ず無事に戻って来るのですよ)
心の中でそう祈りながら息子とその友人たるプリンス達の勇ましき背中を見送る。
ずっと子供だと思っていたそれは今ではすっかり頼もしさと力強さに溢れており、また一歩自分の手から離れて行く寂しさを実感しつつも逞しく成長する息子をムーンマリアは心から嬉しく思った。
だがずっと感傷に浸っている訳にもいかない。
自分もクイーンとしての務めを果たさねば。
「皆様、プリンス一同はパーティーの後半の準備に向けて席を外しました。フラワーアレンジメントは既に完成している為に途中経過をお見せ出来ませんがそれまでの間にプリンセス一同のフラワーアレンジメントをお楽しみ下さい」
言い放ちながら笑みを向けて来るムーンマリアにファインとレインは一種の圧力を感じ取る。
「あれ?ねぇ、これって・・・」
「物凄いプレッシャーをかけられてるでプモ」
「だ、大丈夫よ!きっとなんとかなるわ!・・・多分」
「もう!こうなったらお兄様達があっ!と驚くようなフラワーアレンジメントをして勝利を鷲掴みますわよ!」
「「うん!!」」
「まぁ、その為の障害が早速立ちはだかってますけれど・・・」
アルテッサはファインがドリームシードで育てた巨大なひまわりを呆然と見上げる。
元気いっぱいなファインを象徴するかのようなそのひまわりは前回もそうだが、一体どうやって運んできたのだろうかと考えだしたら止まらないくらいの巨大さだ。
しかし当のファインは首を傾げて不思議そうにするばかり。
「え?障害って?」
「あ・な・た・の!この巨大なひまわりの事ですわ!!ひまわりが好きなのはいいけどせめて通常サイズに育てなさいよ!!」
「まぁまぁ、インパクトがあっていいじゃん」
「そうよ。ブライト様達が用意した物に比べたら大きさの点では勝ってるわ」
「そういう問題じゃなくて!!」
「お、落ち着いて、アルテッサ!」
「みんなでどういう風にするか考えましょう」
ツッコミを炸裂させるアルテッサをリオーネとミルロが宥める。
その隣ではソフィーとタネタネプリンセスがのんびりと巨大なひまわりを見上げている。
「前回より更に大きいひまわりね。ジャックと豆の木みたい」
「私達だったら本当にジャックと豆の木ごっこが出来るわ」
「羨ましいわ、ゴーチェル。私も登ってみたいけど流石に無理よね」
「そうね。途中で折れたりして危険だわ」
「そうなると私が出来るのは精々で主人公を導くハープの役かしら。巨人の役はもうアルテッサで決まってるし」
「何で私で決まってますの!?」
目を釣り上げて怒鳴るアルテッサを面白そうに笑うソフィー。
通常運転な二人のやり取りに笑いの渦が起きる中、ミルキーは歩行器に乗ってすいーっとナルロのベビーカーの傍まで飛行する。
「バブ」
「ガビ?」
「バブバブバブブ」
「が、ガビーン。ガビガビガビーン」
「バブー?」
「・・・」
「バブバブ。バブ、バブバブバブバ」
「ガビーン!」
「ミルキーとナルロ、何を話してるのかしら?」
「虹の蜜の事を話さないようにミルキーが釘刺してくれてるみたい」
「あら、そうだったのね。ところでファイン、今の内にムーンマリア様にお礼を言いに行ったら?シェイドがいない今がチャンスよ」
「そ、そうだね!ちょっと行ってくる!」
「あら?レイン、ファインはどこに行くの?」
「あのね―――」
駆け出したファインを見てアルテッサがレインに尋ねるとレインはプリンセス全員を集めて訳を話し始める。
戻ってきたらきっとまた冷やかされるだろう。
それを思うと余計に顔に熱が集まって戻ってくるのが億劫になる。
かと言ってどうする事も出来ないのでここは潔く受け入れて冷やかされよう。
耐えられなくなったらレインの後ろに隠れればいい。
それをしたって冷やかされるだろうがレインは優しいのでファインの気持ちを汲んで程々のタイミングで切り上げてくれる筈だ。
ファインは決心するとムーンマリアの前で立ち止まり、一度深呼吸をしてから見上げた。
「あ、あの!ムーンマリア様!」
「どうしましたか?プリンセスファイン?」
静かで淑やかな声音と共にムーンマリアがファインの方を振り向く。
その顔には夜空に浮かぶ月の如き優しい微笑みが称えられており、シェイドと同じ夜空の瞳は全てを見透かすように美しく澄んでいた。
もう既に全てを知っていると思うので見透かすも何もないのだが。
そう思うと羞恥心が込み上げて来てくじけそうになるがファインはなんとか踏ん張ってお礼を告げた。
「その・・・月光宮を使う許可をいただいてありがとうごうざいます!凄く助かりました!」
「いいえ、私はミルキーの意思を兵士の方達に伝えただけですよ。お礼ならミルキーに言ってあげて」
「ですがミルキーの意思を伝えていただけたのも嬉しかったのでどうしてもお礼を言いたかったんです」
「お礼を言うのはむしろこちらの方です。シェイドの為に何か特別な物を用意して下さっているそうですね」
意味ありげな笑みにファインは恥ずかしさから赤くなっている顔を俯かせる。
やはり色々察せられてしまっているらしい。
ファインは焦りながらも話を続ける。
「べ、別に全然特別じゃないですよ・・・!」
「誰かの為に一生懸命になって用意する物はどんなものであろうと特別な物ですよ。それよりもシェイドと喧嘩をしたと聞きましたが大丈夫ですか?」
「大丈夫・・・じゃ、ない・・・けど、大丈夫・・・です!えっと、喧嘩しちゃってすいません・・・」
「いいんですよ。あの子が女性と喧嘩をするなんて初めての事なので女性の扱い方を学ぶ良いキッカケだと思っています。不器用で気難しい所があるけれどシェイドの事、宜しくお願いしますね」
「はい!」
優しく微笑むムーンマリアにファインは元気よく頷く。
同時に絶対に今日、シェイドと仲直りしようと決意するのだった。
続く