ピースフルパーティーと虹の蜜 第二章~メラメラの国~
やってきたピースフル『デコール』パーティー。
開催国のメラメラの国は今日も暑い。
そんなメラメラの国でパーティー開催の一時間前に恒例の気球墜落芸をして胴体着陸をしたふたご姫とプーモ。
すっかり見慣れた光景に三人を心配しつつもリオーネは苦笑いをしていた。
「三人共、大丈夫?」
「ええ、なんとか・・・」
「またやっちゃった・・・」
「だからアレほど騒ぐなと言ったでプモ・・・」
みんなでデコールを作るのが楽しみだと言って『楽しみダンス』を気球の中でファインとレインが躍った為に気球のバランスが崩れ、墜落に至ったのである。
ファインが持参してきた七色貝を植えた植木鉢だけは幸いにして無事だった。
ちなみに植木鉢はレインの提案でシェイドの目に触れるのを避けるのも兼ねて桐の箱に入れて持参している。
その箱を大事そうに抱えながらファインは真剣な顔でリオーネにあるお願いをする。
「それよりリオーネ、お願いがあるんだけど!」
「お願いって?」
「可能な限りでいいの!『めぐみの炎』に一番近い所にある物を置かせて!」
「お願い出来ないかしら!?」
「ある物?」
リオーネがぱちぱちと瞬きをして首を傾げるとファインとレインは近くにシェイドがいないかを確認してからそっと桐の箱を開けた。
「これなんだけど・・・」
「植木鉢?」
「実はファインがね、七色貝っていう不思議な貝を育ててるの。それを育てると『虹の蜜』っていう凄く美味しい蜜が採れて、それを使ってシェイドへの誕生日ケーキを作ろうとしてるの」
「ええっ!?それってつまり・・・!?」
レインが頷き、ファインが顔を赤らめて小さく俯く。
その二人の反応で全てを察したリオーネは興奮からぴょこぴょこと白い獣耳を動かしながら両手を合わせて顔を輝かせる。
リオーネも女の子、その手の話は大好きだった。
それがしかもあのファインがそうなのだというから更に浮足立つというもの。
「え?えっ!?ファイン、いつからなの!?いつからそうなの!?」
「えっと・・・意識し始めたのはふしぎ星の平和を祝うパーティーで・・・それまではその・・・気になるな―ってだけで・・・」
「キャー!レイン、あのファインが気になるって!」
「そうなのよ!しかも意識し始めたですって!!」
「「キャー!!」」
「お、大きな声で叫ばないでよ~!」
「その為のお手伝いだったら任せて!喜んで案内してあげる!他に何かする事はある?」
「ありがとう!でもメラメラの国では『めぐみの炎』の近くに置いて芽が出るのを待つだけなんだ」
「その他にかざぐるまの国とか宝石の国とかふしぎ星の各国に行って育てないといけないの」
「それだったらみんなを集めて打ち合わせをしましょう!パーティーでみんな集まってるから丁度良いと思うわ!」
「そうしましょう!あ、でもシェイドや他のプリンス達は呼んだらダメよ?」
「分かってるわ!女の子だけの秘密だもの!」
リオーネはパチッと綺麗なウィンクをすると「待っててね!」と言って他のプリンセス達を呼びに行った。
詳細は伏せているのか、短い会話を交わしており、それぞれのプリンセス達は首を傾げながらも集まってくれた。
その際について来ようとするプリンス勢を制していたがミルロだけはナルロを抱っこして少し不安そうにしながらやって来た。
「みんなを呼んで来たわ!」
「ありがとう、リオーネ!」
「あの・・・男の子はダメって聞いたんだけどナルロはいいかしら?目を離すとすぐにどこか行ってしまうから・・・」
「いいわよね、ファイン?」
「うん!ナルロは特別って事で!」
「その代わりに絶対に秘密よ?」
「守れるわね?ナルロ」
「ガビーン!」
ミルロの言葉を理解したのか、ナルロは元気よく手を挙げて頷く。
そもそもナルロの言葉を理解出来る者はいないので情報漏洩の心配はないのだが念には念を、だ。
さて、ナルロが機密情報の保持に同意した所でアルテッサが話を切り出した。
「それで?話って何ですの?」
「あのね、みんなにお願いがあるの。実は―――」
もっと隙間なく集まるようにとレインが一同を手招きして集めるとヒソヒソとリオーネにしたのと同じ話をする。
すると一同は「まぁ!」だの「あらあら!」だのそれぞれに黄色い声を上げて先程のリオーネと同じように興奮して瞳を輝かせた。
「ファイン、貴女も隅に置けませんわね」
「そういう事だったらお安い御用だわ!」
「是非手伝わせて!」
「私達も全力で協力するわ!」
「バブブ~!」
「あ、ありがとう・・・!」
嬉しいがやはり恥ずかしさの方が勝るのかファインは顔を耳まで赤くして俯く。
そんな初心な反応が可愛らしくて益々プリンセス一同ははしゃぎだす。
と、そこで取り残されたプリンス達がやってきてアウラーが何事かと尋ねてきた。
「ねぇみんな、何の話をしてるんだい?」
『男の子はあっち行って!!』
プリンセス全員が一斉に声を揃えて片方の腕を突き出して制止してくる。
見事なまでに息ピッタリなその言動にアウラーはたじろぎ、他のプリンス達も驚く。
そんな中でも負けじと反論するのはシェイドだった。
「ナルロはいいのか?」
「ナルロは特別ですわ!」
「ならプーモは?」
「プーモも特別よ!ていうか私達といる以上はどう足掻いてもプーモも知る事になるわ!」
「シェイド様、これは『女の子の秘密』です」
「そういう訳で私達はこれで失礼しますね」
ミルロがニコリと微笑み、リオーネが軽く会釈するとプリンセス一同はぞろぞろとその場を立ち去った。
残されたプリンス一同は呆然と立ち尽くし、シェイドも訳が分からないと言った風に小さく首を傾げる。
「何なんだ・・・?」
「あの様子だとソフィーは教えてくれないだろうなぁ」
「アルテッサもきっと教えてくれないな」
「姉上達もこういうのは教えてくれないんですよね」
「ぬぬ、秘密と言われてしまっては物凄く気になりますな!」
それぞれに気になると口にしつつも無暗に女性の秘密を暴こうものなら後でとんでもない制裁が待ち受けている事を本能で理解しているプリンス一同は探ろうなどという無粋な真似はしなかった。
そもそもそういった行為はプリンスとしてご法度である。
それはシェイドも同じで、プリンセス達の好きにさせようと追及するのをやめた。
あの様子だと何か事件が起きた訳でもないのだろう。
何もないならそれでいいとシェイドは折角の平和を記念するパーティーを満喫する事にした。
「ここでいいかな?」
めぐみの炎にもっとも近い場所とされる火竜の石の塔にやってきたプリンセス一同。
炎に近いだけあって塔の中は地上よりもかなり暑かった。
恐らく地上に戻ったら地上の方が涼しいと感じる事間違いなしだろう。
リオーネを通して管理人から許可をもらったファインは塔の中に設置されている机の上に植木鉢を置く。
それをアルテッサが横から覗き込みながら不思議そうな表情を浮かべた。
「この植木鉢の中に貝が入ってますの?」
「うん、そうだよ!ほら!」
ファインが指で軽く土を掘って七色貝を見せる。
しかしその貝から植物が実る姿が想像出来ずにアルテッサや他のプリンセス達は尚も不思議そうな顔をするばかり。
「プーモ、本当にこの貝から植物は育ちますの?貴方達の勘違いではなくて?」
「おひさまの国の図書室にあった本ですので恐らく間違いはないかと」
「それに本当に育つかどうかは今日証明されるわ!」
「そうそう!それよりも今はファインの事よ!」
レインの後に頷いたリオーネが興奮気味にファインを振り返る。
「うぇっ!?」とファインは後退ろうとするがすかさずミルロとソフィーとタネタネプリンセスが背後に回って退路を断った。
逃げ場がなくなり、焦って混乱するファインにリオーネが迫る。
「ねぇファイン!改めて聞くけどシェイド様の事が好きって本当!?」
「えっ!?あ、あの・・・その・・・う、うん・・・!」
「キャー!みんな!ファインはシェイド様の事が好きなんですって!」
『キャー!!』
「み、みんなして叫ばないでよ~!」
プリンセス一同揃って頬を抑えて黄色い声を上げる。
ナルロも一緒になって「ガビ~ン!」とはしゃぐ。
赤ん坊なのでいつも大抵の事は理解するのが難しくて首を傾げているのに何故こんな時ばかり分かってしまうのか。
暑さとはまた違った意味で顔を赤くさせながらファインはみんなに口止めをする。
「み、みんな!シェイドには言わないでね!?絶対だよ!?勿論他のプリンスのみんなにもだよ!?」
「大丈夫よ、心配しないで」
「もしもお兄様に聞かれそうになってもアルテッサとのイチャイチャをしつこ~く聞き返すから問題ないわ!」
「私が飛び火をくらってるじゃありませんの!!」
ミルロが頷く横でソフィーとアルテッサがいつもの漫才のようなやり取りをする。
そんな二人を他所にゴーチェルが心配そうにミルキーを見上げる。
「ミルキーは大丈夫?ほぼ毎日シェイド様と一緒にいるからかなり気を付けないといけないと思うわ」
「バブバーブ!バブバブバブバブブバブブイ!」
「だいじょーぶ!このくらいの秘密なら絶対に守れるよ!だって」
「でもミルキー、お菓子につられてうっかりバラしちゃわないようにね?」
「バ、バブ・・・バブバーブ、バブ・・・」
「う、うん・・・だいじょーぶ、だよ・・・だって」
「とても不安でプモ・・・」
レインに釘を刺されてミルキーは冷や汗をかきながら目を逸らす。
ファインに言葉を通訳してもらっても自信が少し揺らいでいるのが分かる。
その態度にプーモは心底不安になるのであった。
「ところでファイン、その七色貝は他の国でも育てる必要があるのよね?」
ソフィーとの漫才を終えたアルテッサが尋ねるとファインは頷いて説明をした。
「うん!宝石の国では七色に光る宝石、タネタネの国では一番栄養のある実、月の国ではフルムーンの光を一番浴びれる場所、しずくの国では一番澄んでいる水、かざぐるまの国では七枚羽のかざぐるまの風が必要なんだ。ピースフルパーティーに合わせて育てていくつもりなんだけどみんな、手伝ってもらっていいかな?」
「貴女が殿方を好きになるなんて滅多にない事ですからね。仕方ないから手伝って差し上げますわ」
「キャー!アルテッサのツンデレよ~!」
「ソフィー、何で貴女が興奮してますの・・・」
「しずくの国で一番澄んでいる水なら任せて。心当たりがあるわ」
「タネタネの国で一番栄養のある実も私達の方で調べておくわ」
「バブバブバブ~!」
「ありがとう、みんな!」
「一緒にファインのサプライズ計画を成功させましょう!」
『おー!』
レインの号令の下、プリンセス達は声を揃えて腕を振り上げて一致団結するのだった
続く
開催国のメラメラの国は今日も暑い。
そんなメラメラの国でパーティー開催の一時間前に恒例の気球墜落芸をして胴体着陸をしたふたご姫とプーモ。
すっかり見慣れた光景に三人を心配しつつもリオーネは苦笑いをしていた。
「三人共、大丈夫?」
「ええ、なんとか・・・」
「またやっちゃった・・・」
「だからアレほど騒ぐなと言ったでプモ・・・」
みんなでデコールを作るのが楽しみだと言って『楽しみダンス』を気球の中でファインとレインが躍った為に気球のバランスが崩れ、墜落に至ったのである。
ファインが持参してきた七色貝を植えた植木鉢だけは幸いにして無事だった。
ちなみに植木鉢はレインの提案でシェイドの目に触れるのを避けるのも兼ねて桐の箱に入れて持参している。
その箱を大事そうに抱えながらファインは真剣な顔でリオーネにあるお願いをする。
「それよりリオーネ、お願いがあるんだけど!」
「お願いって?」
「可能な限りでいいの!『めぐみの炎』に一番近い所にある物を置かせて!」
「お願い出来ないかしら!?」
「ある物?」
リオーネがぱちぱちと瞬きをして首を傾げるとファインとレインは近くにシェイドがいないかを確認してからそっと桐の箱を開けた。
「これなんだけど・・・」
「植木鉢?」
「実はファインがね、七色貝っていう不思議な貝を育ててるの。それを育てると『虹の蜜』っていう凄く美味しい蜜が採れて、それを使ってシェイドへの誕生日ケーキを作ろうとしてるの」
「ええっ!?それってつまり・・・!?」
レインが頷き、ファインが顔を赤らめて小さく俯く。
その二人の反応で全てを察したリオーネは興奮からぴょこぴょこと白い獣耳を動かしながら両手を合わせて顔を輝かせる。
リオーネも女の子、その手の話は大好きだった。
それがしかもあのファインがそうなのだというから更に浮足立つというもの。
「え?えっ!?ファイン、いつからなの!?いつからそうなの!?」
「えっと・・・意識し始めたのはふしぎ星の平和を祝うパーティーで・・・それまではその・・・気になるな―ってだけで・・・」
「キャー!レイン、あのファインが気になるって!」
「そうなのよ!しかも意識し始めたですって!!」
「「キャー!!」」
「お、大きな声で叫ばないでよ~!」
「その為のお手伝いだったら任せて!喜んで案内してあげる!他に何かする事はある?」
「ありがとう!でもメラメラの国では『めぐみの炎』の近くに置いて芽が出るのを待つだけなんだ」
「その他にかざぐるまの国とか宝石の国とかふしぎ星の各国に行って育てないといけないの」
「それだったらみんなを集めて打ち合わせをしましょう!パーティーでみんな集まってるから丁度良いと思うわ!」
「そうしましょう!あ、でもシェイドや他のプリンス達は呼んだらダメよ?」
「分かってるわ!女の子だけの秘密だもの!」
リオーネはパチッと綺麗なウィンクをすると「待っててね!」と言って他のプリンセス達を呼びに行った。
詳細は伏せているのか、短い会話を交わしており、それぞれのプリンセス達は首を傾げながらも集まってくれた。
その際について来ようとするプリンス勢を制していたがミルロだけはナルロを抱っこして少し不安そうにしながらやって来た。
「みんなを呼んで来たわ!」
「ありがとう、リオーネ!」
「あの・・・男の子はダメって聞いたんだけどナルロはいいかしら?目を離すとすぐにどこか行ってしまうから・・・」
「いいわよね、ファイン?」
「うん!ナルロは特別って事で!」
「その代わりに絶対に秘密よ?」
「守れるわね?ナルロ」
「ガビーン!」
ミルロの言葉を理解したのか、ナルロは元気よく手を挙げて頷く。
そもそもナルロの言葉を理解出来る者はいないので情報漏洩の心配はないのだが念には念を、だ。
さて、ナルロが機密情報の保持に同意した所でアルテッサが話を切り出した。
「それで?話って何ですの?」
「あのね、みんなにお願いがあるの。実は―――」
もっと隙間なく集まるようにとレインが一同を手招きして集めるとヒソヒソとリオーネにしたのと同じ話をする。
すると一同は「まぁ!」だの「あらあら!」だのそれぞれに黄色い声を上げて先程のリオーネと同じように興奮して瞳を輝かせた。
「ファイン、貴女も隅に置けませんわね」
「そういう事だったらお安い御用だわ!」
「是非手伝わせて!」
「私達も全力で協力するわ!」
「バブブ~!」
「あ、ありがとう・・・!」
嬉しいがやはり恥ずかしさの方が勝るのかファインは顔を耳まで赤くして俯く。
そんな初心な反応が可愛らしくて益々プリンセス一同ははしゃぎだす。
と、そこで取り残されたプリンス達がやってきてアウラーが何事かと尋ねてきた。
「ねぇみんな、何の話をしてるんだい?」
『男の子はあっち行って!!』
プリンセス全員が一斉に声を揃えて片方の腕を突き出して制止してくる。
見事なまでに息ピッタリなその言動にアウラーはたじろぎ、他のプリンス達も驚く。
そんな中でも負けじと反論するのはシェイドだった。
「ナルロはいいのか?」
「ナルロは特別ですわ!」
「ならプーモは?」
「プーモも特別よ!ていうか私達といる以上はどう足掻いてもプーモも知る事になるわ!」
「シェイド様、これは『女の子の秘密』です」
「そういう訳で私達はこれで失礼しますね」
ミルロがニコリと微笑み、リオーネが軽く会釈するとプリンセス一同はぞろぞろとその場を立ち去った。
残されたプリンス一同は呆然と立ち尽くし、シェイドも訳が分からないと言った風に小さく首を傾げる。
「何なんだ・・・?」
「あの様子だとソフィーは教えてくれないだろうなぁ」
「アルテッサもきっと教えてくれないな」
「姉上達もこういうのは教えてくれないんですよね」
「ぬぬ、秘密と言われてしまっては物凄く気になりますな!」
それぞれに気になると口にしつつも無暗に女性の秘密を暴こうものなら後でとんでもない制裁が待ち受けている事を本能で理解しているプリンス一同は探ろうなどという無粋な真似はしなかった。
そもそもそういった行為はプリンスとしてご法度である。
それはシェイドも同じで、プリンセス達の好きにさせようと追及するのをやめた。
あの様子だと何か事件が起きた訳でもないのだろう。
何もないならそれでいいとシェイドは折角の平和を記念するパーティーを満喫する事にした。
「ここでいいかな?」
めぐみの炎にもっとも近い場所とされる火竜の石の塔にやってきたプリンセス一同。
炎に近いだけあって塔の中は地上よりもかなり暑かった。
恐らく地上に戻ったら地上の方が涼しいと感じる事間違いなしだろう。
リオーネを通して管理人から許可をもらったファインは塔の中に設置されている机の上に植木鉢を置く。
それをアルテッサが横から覗き込みながら不思議そうな表情を浮かべた。
「この植木鉢の中に貝が入ってますの?」
「うん、そうだよ!ほら!」
ファインが指で軽く土を掘って七色貝を見せる。
しかしその貝から植物が実る姿が想像出来ずにアルテッサや他のプリンセス達は尚も不思議そうな顔をするばかり。
「プーモ、本当にこの貝から植物は育ちますの?貴方達の勘違いではなくて?」
「おひさまの国の図書室にあった本ですので恐らく間違いはないかと」
「それに本当に育つかどうかは今日証明されるわ!」
「そうそう!それよりも今はファインの事よ!」
レインの後に頷いたリオーネが興奮気味にファインを振り返る。
「うぇっ!?」とファインは後退ろうとするがすかさずミルロとソフィーとタネタネプリンセスが背後に回って退路を断った。
逃げ場がなくなり、焦って混乱するファインにリオーネが迫る。
「ねぇファイン!改めて聞くけどシェイド様の事が好きって本当!?」
「えっ!?あ、あの・・・その・・・う、うん・・・!」
「キャー!みんな!ファインはシェイド様の事が好きなんですって!」
『キャー!!』
「み、みんなして叫ばないでよ~!」
プリンセス一同揃って頬を抑えて黄色い声を上げる。
ナルロも一緒になって「ガビ~ン!」とはしゃぐ。
赤ん坊なのでいつも大抵の事は理解するのが難しくて首を傾げているのに何故こんな時ばかり分かってしまうのか。
暑さとはまた違った意味で顔を赤くさせながらファインはみんなに口止めをする。
「み、みんな!シェイドには言わないでね!?絶対だよ!?勿論他のプリンスのみんなにもだよ!?」
「大丈夫よ、心配しないで」
「もしもお兄様に聞かれそうになってもアルテッサとのイチャイチャをしつこ~く聞き返すから問題ないわ!」
「私が飛び火をくらってるじゃありませんの!!」
ミルロが頷く横でソフィーとアルテッサがいつもの漫才のようなやり取りをする。
そんな二人を他所にゴーチェルが心配そうにミルキーを見上げる。
「ミルキーは大丈夫?ほぼ毎日シェイド様と一緒にいるからかなり気を付けないといけないと思うわ」
「バブバーブ!バブバブバブバブブバブブイ!」
「だいじょーぶ!このくらいの秘密なら絶対に守れるよ!だって」
「でもミルキー、お菓子につられてうっかりバラしちゃわないようにね?」
「バ、バブ・・・バブバーブ、バブ・・・」
「う、うん・・・だいじょーぶ、だよ・・・だって」
「とても不安でプモ・・・」
レインに釘を刺されてミルキーは冷や汗をかきながら目を逸らす。
ファインに言葉を通訳してもらっても自信が少し揺らいでいるのが分かる。
その態度にプーモは心底不安になるのであった。
「ところでファイン、その七色貝は他の国でも育てる必要があるのよね?」
ソフィーとの漫才を終えたアルテッサが尋ねるとファインは頷いて説明をした。
「うん!宝石の国では七色に光る宝石、タネタネの国では一番栄養のある実、月の国ではフルムーンの光を一番浴びれる場所、しずくの国では一番澄んでいる水、かざぐるまの国では七枚羽のかざぐるまの風が必要なんだ。ピースフルパーティーに合わせて育てていくつもりなんだけどみんな、手伝ってもらっていいかな?」
「貴女が殿方を好きになるなんて滅多にない事ですからね。仕方ないから手伝って差し上げますわ」
「キャー!アルテッサのツンデレよ~!」
「ソフィー、何で貴女が興奮してますの・・・」
「しずくの国で一番澄んでいる水なら任せて。心当たりがあるわ」
「タネタネの国で一番栄養のある実も私達の方で調べておくわ」
「バブバブバブ~!」
「ありがとう、みんな!」
「一緒にファインのサプライズ計画を成功させましょう!」
『おー!』
レインの号令の下、プリンセス達は声を揃えて腕を振り上げて一致団結するのだった
続く