毎日がプリンセスパーティー
温室にあるテーブルの上にシェイドは一枚の円形のマットを敷く。
マットの中央にはおひさまの国の紋章が、そしてそれを囲むように周りにはふしぎ星の各国の紋章が刺繍されており、それぞれの国の紋章は白い糸の線によって区切られていた。
続いてそのマットの上に丁度同じサイズの水の入った丸いガラスの容器を置き、ポケットから七つの星の小さなオブジェを取り出して水の中に入れた。
「さて・・・」
胸ポケットから三日月のオブジェのついたガラスのマドラーを取り出して容器の中に突き立て、一度深呼吸をしてから目を閉じると静かに円を描くようにゆっくりと掻き回し始めた。
水が回る感覚、カン、コロとマドラーやオブジェが容器に当たる音を聞きながら心を無にしていく。
円を描く回数は七回。
邪念を払った心の中で回数だけは数えて七回目に差し掛かった所で静かにマドラーを動かす手を止める。
ほんの数秒遅れて水の動きも止まり、水中を泳いでいた星々も静かに水底に沈んでいった。
その星たちを動かさないようにそっとマドラーを取り出すとシェイドはそれをハンカチで拭きながら容器の中を覗き込んだ。
おひさまの国の紋章の上に星が一つ、メラメラの国に二つ、タネタネの国と月の国の間に一つ、しずくの国に三つ。
「ま、こんなもんか」
「シェイドー、何してるのー?」
星の位置関係やそれの意味する事から導き出される結果に一人満足してフッと息を吐いているとピュピュを肩に乗せたファインが温室に入って来た。
放課後になってからまだ時間はあまり経っていないので今日は部活の助っ人はないのだろう。
シェイドは快くファインを迎え入れると目の前の状況について説明をした。
「占いをしていたんだ。月の国で古くから伝わるメジャーなタイプのな」
「へ~占いか~。どういうタイプの占いなの?」
「ふしぎ星の紋章を描いたマットの上に同じサイズの水の入った容器を置いてその中に星の形の小さなオブジェを七つ入れるんだ。その後に三日月のマドラーで七回かきまぜて星の位置を読んで結果を見るんだ」
「へ~、幻想的で面白そう!それで結果はどうだったの?」
「まぁまぁと言った所だな。だが少しは良い事があるみたいだ。お前もやってみるか?」
「うん!」
ファインが席に座るとシェイドは今しがた拭いたマドラーを渡した。
「目を瞑ってそのマドラーで水を七回掻き回すんだ、ゆっくりな。食べ物とか余計な事を考えてまぜるとロクな結果がでないから無心で掻き回すんだぞ」
「う、うん!頑張って考えないようにする・・・!」
言わなかったら絶対におやつの事を考えながら掻き回していただろう事をシェイドは長い付き合いからくる勘で見透かす。
そうとは知らずにファインは眉間に皺を作って無心になるのだと自分に言い聞かせながら水を掻き回していたが、きっと心の中は『無心』という言葉で埋め尽くされていて全く無心になれていないだろう。
シェイドはそれすらも見透かしながらファインの作業工程を見守った。
神妙に掻き回している所為で魔女が鍋をかき混ぜているように見えて少し笑いが込み上げてくる。
それに対して水の中の星はカン、コロと音を立てて楽しそうに遊泳している。
涼し気で静かな空間に一瞬の永遠を感じて、ついぼんやりしてしまう。
そんなシェイドの意識を引き戻したのがファイン「七!」という数を数える声だった。
「も、もういいよね?」
「ああ。ちゃんと無心でやったか?」
「やったよ!無心無心って考えながら!」
「それは無心とは言わないぞ」
苦笑しながらマドラーを回収してハンカチで水を拭いながら容器の中を覗き込む。
パッと見ただけでも良い結果が出ているのがすぐに分かった。
「おひさまに星が二つ、月に一つ、かざぐるまに二つ、宝石としずくの間に二つ、か・・・中々良い結果が出てるな」
「本当!?何か良い事ある!?」
「ああ。きっと明日にでも美味しいおやつが食べられるかもな」
「やったやった~!後でキャメロットに聞いてみようっと!それに明日はレインも放送委員の活動はないってさっき言ってたしハッピーデー間違い無しだ~!」
「あくまでも占いだから確定って訳じゃないぞ」
「でも良い結果は信じたいじゃない。ねぇねぇ、シェイドって他の占いも出来るの?」
「それなりに出来るが肝心の道具は国に残してきてるから今は出来ないな」
「そっかぁ」
「今度の夏休みに月の国に来るといい。お前でも出来る簡単な占いを教えよう」
「やった~!約束だよ!」
「ああ」
忘れないうちに、と呟きながらファインは生徒手帳を取り出して早速夏休みの予定を書き込み始める。
(やはりこの占いは信用出来る。早速良い事があった)
ファインが温室に訪れる直前にやっていた占いは本当にただの気紛れで行ったもの。
その結果は先程も言った通り『まぁまぁだが何か良い事がある』というものだった。
『良い事』についての内容まではこの占いでは細かく知る事はできないが、まさか夏休みの約束を取り付けられる事になろうとは。
シェイドの中で今回行った占いへの信頼度がまた一つ上がるのであった。
一方でファインは、実はシェイドが夏休みの約束を取り付けられて嬉しいと同じように思っているとは知らずに胸をくすぐる恋心に微笑みを溢しながら、ふとある考えが過って顔を上げた。
「そういえばシェイドがエクリプスを名乗ってた時にアタシ達の行く先々に現れてたけど、もしかしてそれも占いで確かめてたの?」
「ああ。お転婆で思いつきで動くお前らの行き先を知るのに人生であれほど『求め人占い』を使った事はないな」
「あ、あはは・・・ち、ちなみにそれはどうやってやる占いなの?」
「お前達が使ってたフォーチュレットと殆ど同じ原理だな。違いは自分の手でやるってだけで」
「へ~」
「ただ、かなり集中してやらないと正確な結果を出せないから結構疲れるんだ。それをまさか頻繁に使う事になるなんて一人で活動しようと決めた時には思わなかったな」
「あは、あはは・・・」
「これも大臣の陰謀の阻止や星を救う為だと思えば頑張れたけどな」
「・・・ごめんなさい・・・」
肩肘を突いて遠くを見ながら言い放つシェイドに何も言えず、ファインはとうとう気まずさからガックリと頭を項垂れて謝った。
その姿をチラリと横目で見やるとシェイドは小さく噴き出してファインの方に向き合った。
「くくっ、冗談だ」
「絶対に本音が混じってたと思うんだけど・・・」
「30%は混ぜたな」
「ほら~!」
「嘆く事はないぞ、たったの30%なんだからな」
「その30%が重いんだってば~」
涙目になりながらそう言い放つファインがおかしくてシェイドは肩を揺らして静かに笑う。
絶対にこういう反応をすると予想していてわざとやる辺り本当に自分は意地悪だと思う。
けれど面白いからどうしてもやめられない。
だが、あまり意地悪をすると拗ねられてしまう上に彼女を大切にしている片割れに怒鳴られる恐れがある。
そうなっては面倒なのでシェイドは話題を変えた。
「ところでおひさまの国ではどんな占いがあるんだ?」
「え?・・・う~んと、サニーコイン占いが有名かな~」
「サニーコイン占い?」
「金・銀・銅の三枚のコインがあって、三枚とも表は笑ってる太陽で裏は眠ってる太陽の絵が描かれてるの。その三枚をコイントスして結果を見るんだよ」
「面白そうだな。当たるのか?」
「結構当たるよ!よくその日のおやつがアタシの大好きな物だったりするしね!」
「お前はやっぱりそれか」
「レインはブライトとどこか出かける前の日にはよくやってるよ。進展するかどうかって」
「それ絶対微妙な結果が出てるだろ」
「えっ!?何で分かるの!!?」
「占わなくても分かるだろ」
妄想を爆発させて空回るレインと女の扱い方に慣れている所為もあって感覚が麻痺し、微妙に鈍感になっているブライトでは恋占いの結果なんてそれこそ火を見るよりも明らかだ。
最近ではブライトがレインにはとりわけ優しいが進展の程はまだまだのように思える。
そこまで考えるとなんだかレインが不憫に思えてシェイドは冗談交じりに思った事を呟いた。
「レインの場合は占いをするよりもおまじないをやった方がいいんじゃないか」
「おひさまの国で有名な恋のおまじないは全部試したよ」
「それでアレならもう神頼みしかないな」
「月の国にはよく効くおまじないはないの?」
「恋のまじないに関してはない事はないが試した事はない」
「そ、そっか~!」
(良かった~!)
シェイドが恋のおまじないをした事がないと知れてファインは内心胸を撫で降ろす。
これでもしもシェイドが恋のおまじないを試していたらファインは再起不能になっていただろう。
ファインはレインと密かに行っていたおひさまの国の恋のおまじない『おひさまの守護』に感謝するのだった。
「恋愛に関係なくおひさまの国のおまじないはどんなのがあるんだ?」
「んー、有名なのだとおひさまの国の森にある『ソーラーポンド』っていう池でお願い事を三回唱えるやつかなぁ。お願いが叶う事で有名だし、池の周りもすっごく綺麗で・・・シェイドも今度一緒にどう?」
「そうだな、折角だから行ってみよう」
「じゃ、じゃあ夏休みに一緒に行こうね!」
「ああ」
快く頷かれてファインは嬉しそうに生徒手帳に夏休みの予定をまた書き込んでいき、シェイドも同じように生徒手帳に書き留める。
(サニーコイン占い、当たったなぁ)
実はファインは今日はシェイドの温室に行くと決めており、前日の夜にサニーコイン占いをしていたのだ。
結果はかなり良いもので、レインに冷やかされた上に報告もするようにと約束をさせられていたりする。
(絶対に冷やかされるだろうな~)
占いをしなくてもなんとなく今夜の事が予想出来た。
そしてそれが的中して「夏休みにデートに着ていく服を決めておきましょう!」とはしゃがれたのはまた別のお話。
END
マットの中央にはおひさまの国の紋章が、そしてそれを囲むように周りにはふしぎ星の各国の紋章が刺繍されており、それぞれの国の紋章は白い糸の線によって区切られていた。
続いてそのマットの上に丁度同じサイズの水の入った丸いガラスの容器を置き、ポケットから七つの星の小さなオブジェを取り出して水の中に入れた。
「さて・・・」
胸ポケットから三日月のオブジェのついたガラスのマドラーを取り出して容器の中に突き立て、一度深呼吸をしてから目を閉じると静かに円を描くようにゆっくりと掻き回し始めた。
水が回る感覚、カン、コロとマドラーやオブジェが容器に当たる音を聞きながら心を無にしていく。
円を描く回数は七回。
邪念を払った心の中で回数だけは数えて七回目に差し掛かった所で静かにマドラーを動かす手を止める。
ほんの数秒遅れて水の動きも止まり、水中を泳いでいた星々も静かに水底に沈んでいった。
その星たちを動かさないようにそっとマドラーを取り出すとシェイドはそれをハンカチで拭きながら容器の中を覗き込んだ。
おひさまの国の紋章の上に星が一つ、メラメラの国に二つ、タネタネの国と月の国の間に一つ、しずくの国に三つ。
「ま、こんなもんか」
「シェイドー、何してるのー?」
星の位置関係やそれの意味する事から導き出される結果に一人満足してフッと息を吐いているとピュピュを肩に乗せたファインが温室に入って来た。
放課後になってからまだ時間はあまり経っていないので今日は部活の助っ人はないのだろう。
シェイドは快くファインを迎え入れると目の前の状況について説明をした。
「占いをしていたんだ。月の国で古くから伝わるメジャーなタイプのな」
「へ~占いか~。どういうタイプの占いなの?」
「ふしぎ星の紋章を描いたマットの上に同じサイズの水の入った容器を置いてその中に星の形の小さなオブジェを七つ入れるんだ。その後に三日月のマドラーで七回かきまぜて星の位置を読んで結果を見るんだ」
「へ~、幻想的で面白そう!それで結果はどうだったの?」
「まぁまぁと言った所だな。だが少しは良い事があるみたいだ。お前もやってみるか?」
「うん!」
ファインが席に座るとシェイドは今しがた拭いたマドラーを渡した。
「目を瞑ってそのマドラーで水を七回掻き回すんだ、ゆっくりな。食べ物とか余計な事を考えてまぜるとロクな結果がでないから無心で掻き回すんだぞ」
「う、うん!頑張って考えないようにする・・・!」
言わなかったら絶対におやつの事を考えながら掻き回していただろう事をシェイドは長い付き合いからくる勘で見透かす。
そうとは知らずにファインは眉間に皺を作って無心になるのだと自分に言い聞かせながら水を掻き回していたが、きっと心の中は『無心』という言葉で埋め尽くされていて全く無心になれていないだろう。
シェイドはそれすらも見透かしながらファインの作業工程を見守った。
神妙に掻き回している所為で魔女が鍋をかき混ぜているように見えて少し笑いが込み上げてくる。
それに対して水の中の星はカン、コロと音を立てて楽しそうに遊泳している。
涼し気で静かな空間に一瞬の永遠を感じて、ついぼんやりしてしまう。
そんなシェイドの意識を引き戻したのがファイン「七!」という数を数える声だった。
「も、もういいよね?」
「ああ。ちゃんと無心でやったか?」
「やったよ!無心無心って考えながら!」
「それは無心とは言わないぞ」
苦笑しながらマドラーを回収してハンカチで水を拭いながら容器の中を覗き込む。
パッと見ただけでも良い結果が出ているのがすぐに分かった。
「おひさまに星が二つ、月に一つ、かざぐるまに二つ、宝石としずくの間に二つ、か・・・中々良い結果が出てるな」
「本当!?何か良い事ある!?」
「ああ。きっと明日にでも美味しいおやつが食べられるかもな」
「やったやった~!後でキャメロットに聞いてみようっと!それに明日はレインも放送委員の活動はないってさっき言ってたしハッピーデー間違い無しだ~!」
「あくまでも占いだから確定って訳じゃないぞ」
「でも良い結果は信じたいじゃない。ねぇねぇ、シェイドって他の占いも出来るの?」
「それなりに出来るが肝心の道具は国に残してきてるから今は出来ないな」
「そっかぁ」
「今度の夏休みに月の国に来るといい。お前でも出来る簡単な占いを教えよう」
「やった~!約束だよ!」
「ああ」
忘れないうちに、と呟きながらファインは生徒手帳を取り出して早速夏休みの予定を書き込み始める。
(やはりこの占いは信用出来る。早速良い事があった)
ファインが温室に訪れる直前にやっていた占いは本当にただの気紛れで行ったもの。
その結果は先程も言った通り『まぁまぁだが何か良い事がある』というものだった。
『良い事』についての内容まではこの占いでは細かく知る事はできないが、まさか夏休みの約束を取り付けられる事になろうとは。
シェイドの中で今回行った占いへの信頼度がまた一つ上がるのであった。
一方でファインは、実はシェイドが夏休みの約束を取り付けられて嬉しいと同じように思っているとは知らずに胸をくすぐる恋心に微笑みを溢しながら、ふとある考えが過って顔を上げた。
「そういえばシェイドがエクリプスを名乗ってた時にアタシ達の行く先々に現れてたけど、もしかしてそれも占いで確かめてたの?」
「ああ。お転婆で思いつきで動くお前らの行き先を知るのに人生であれほど『求め人占い』を使った事はないな」
「あ、あはは・・・ち、ちなみにそれはどうやってやる占いなの?」
「お前達が使ってたフォーチュレットと殆ど同じ原理だな。違いは自分の手でやるってだけで」
「へ~」
「ただ、かなり集中してやらないと正確な結果を出せないから結構疲れるんだ。それをまさか頻繁に使う事になるなんて一人で活動しようと決めた時には思わなかったな」
「あは、あはは・・・」
「これも大臣の陰謀の阻止や星を救う為だと思えば頑張れたけどな」
「・・・ごめんなさい・・・」
肩肘を突いて遠くを見ながら言い放つシェイドに何も言えず、ファインはとうとう気まずさからガックリと頭を項垂れて謝った。
その姿をチラリと横目で見やるとシェイドは小さく噴き出してファインの方に向き合った。
「くくっ、冗談だ」
「絶対に本音が混じってたと思うんだけど・・・」
「30%は混ぜたな」
「ほら~!」
「嘆く事はないぞ、たったの30%なんだからな」
「その30%が重いんだってば~」
涙目になりながらそう言い放つファインがおかしくてシェイドは肩を揺らして静かに笑う。
絶対にこういう反応をすると予想していてわざとやる辺り本当に自分は意地悪だと思う。
けれど面白いからどうしてもやめられない。
だが、あまり意地悪をすると拗ねられてしまう上に彼女を大切にしている片割れに怒鳴られる恐れがある。
そうなっては面倒なのでシェイドは話題を変えた。
「ところでおひさまの国ではどんな占いがあるんだ?」
「え?・・・う~んと、サニーコイン占いが有名かな~」
「サニーコイン占い?」
「金・銀・銅の三枚のコインがあって、三枚とも表は笑ってる太陽で裏は眠ってる太陽の絵が描かれてるの。その三枚をコイントスして結果を見るんだよ」
「面白そうだな。当たるのか?」
「結構当たるよ!よくその日のおやつがアタシの大好きな物だったりするしね!」
「お前はやっぱりそれか」
「レインはブライトとどこか出かける前の日にはよくやってるよ。進展するかどうかって」
「それ絶対微妙な結果が出てるだろ」
「えっ!?何で分かるの!!?」
「占わなくても分かるだろ」
妄想を爆発させて空回るレインと女の扱い方に慣れている所為もあって感覚が麻痺し、微妙に鈍感になっているブライトでは恋占いの結果なんてそれこそ火を見るよりも明らかだ。
最近ではブライトがレインにはとりわけ優しいが進展の程はまだまだのように思える。
そこまで考えるとなんだかレインが不憫に思えてシェイドは冗談交じりに思った事を呟いた。
「レインの場合は占いをするよりもおまじないをやった方がいいんじゃないか」
「おひさまの国で有名な恋のおまじないは全部試したよ」
「それでアレならもう神頼みしかないな」
「月の国にはよく効くおまじないはないの?」
「恋のまじないに関してはない事はないが試した事はない」
「そ、そっか~!」
(良かった~!)
シェイドが恋のおまじないをした事がないと知れてファインは内心胸を撫で降ろす。
これでもしもシェイドが恋のおまじないを試していたらファインは再起不能になっていただろう。
ファインはレインと密かに行っていたおひさまの国の恋のおまじない『おひさまの守護』に感謝するのだった。
「恋愛に関係なくおひさまの国のおまじないはどんなのがあるんだ?」
「んー、有名なのだとおひさまの国の森にある『ソーラーポンド』っていう池でお願い事を三回唱えるやつかなぁ。お願いが叶う事で有名だし、池の周りもすっごく綺麗で・・・シェイドも今度一緒にどう?」
「そうだな、折角だから行ってみよう」
「じゃ、じゃあ夏休みに一緒に行こうね!」
「ああ」
快く頷かれてファインは嬉しそうに生徒手帳に夏休みの予定をまた書き込んでいき、シェイドも同じように生徒手帳に書き留める。
(サニーコイン占い、当たったなぁ)
実はファインは今日はシェイドの温室に行くと決めており、前日の夜にサニーコイン占いをしていたのだ。
結果はかなり良いもので、レインに冷やかされた上に報告もするようにと約束をさせられていたりする。
(絶対に冷やかされるだろうな~)
占いをしなくてもなんとなく今夜の事が予想出来た。
そしてそれが的中して「夏休みにデートに着ていく服を決めておきましょう!」とはしゃがれたのはまた別のお話。
END