あんなすごい生き物というのは昨夜みた白髪の赤い瞳をした人たちのこと。
それを察したのだろう‥険しい顔をするもの、渋い顔をするもの、驚いた顔をするものそれぞれの表情をしていた。

「まぁ…それが歴史の闇の中に放り去られた存在ならば未来の一般人である僕が知らないのも無理はないかもしれませんが…」

一通り話し終えてからふぅと溜息を吐く。
しばらくの沈黙後口を開いたのは土方さんだった。

土方「…はぁ、いいだろう信じてやる」
意外な言葉に思わず「えっ！？」と声を上げた
それは僕だけでなくその場にいた全員が驚いていた。

沖田「あれ？いいんですか？土方さん…」

からかうような口調で尋ねた。
土方「仕方ねぇだろう…そう考えりゃあ色々辻褄があっちまうんだから…」

永倉「嘘を言っているようにも見えないしな…」
土方「…おい、夜神とか言ったな…選べ今すぐここで「殺されるか」「隊士になるか」…」

「‥‥は？」

土方「お前の腕を買ってやるって言ってんだよ…剣は出来るみてぇだからな…」

つまり…新選組に入れば助けてくれるということだよね？
でも…僕は女だし…

「…あの確かに僕は剣道をしています。つい最近中学生の全国大会で優勝した経験もあります…ですが、僕は女ですよ？

新選組に女が入っていると知られたら風体が悪くなるのでは？」

と疑問を付き返した。
土方「…確かに、女は禁止区域だ…だがお前はそのまま男装していれば問題はねぇだろう？」

平助「なぁ、そのちゅうがくせい？のぜんこくたいかいってなんなんだ？」

「…あぁ、僕たちの世界では子供はみな文学を学ぶための学校という学ぶ場所に通うんです

主に歴史とか計算式とかをね…大人になるために必要な知識をつけておかないと後々働くのに困るからということで義務図けられているんです…

中学生の全国大会というのはその12歳～15歳までの年のこたちは中学生というんです。剣道している中でもそのくらいの年の子たちが集まり上位を競うんです…」

斎藤「つまり…あんたはその優秀者というわけだな？」

「…えぇ、まぁ…といっても大の大人にはかなわないと思いますが…」
とちらりと土方さんを見るが決意は変わっていないようだ。

土方「嫌…それでもあいつらを斬れるほどの腕前だ‥

ここで死なせるのは惜しい…
それに見たところお前は頭も切れるみたいだしな…」

近藤「うむ！夜神君！君ほどの優秀な人材はこうは少ないからな君が来てくれると我々も嬉しい。

共に戦おうではないか！」

と笑顔で歓迎してくれる近藤さんに僕は苦笑いした。

土方「そいうわけだ…どうする？」

「…よろしくお願いします」

近藤「いやぁー実は新選組も人手不足でな先ほどもいったが君みたいな優秀な人材に入ってもらえると助かるんだ。」

と嬉しそうに話す近藤さんに対して答えたのが沖田さんだった

沖田「それを聞いたら不逞浪士たちが大喜びしますよ」
と悪戯っぽく笑った沖田さんに対して近藤さんはハッと自分の発言に気が付き罰が悪そうな顔に変わる。

「‥‥クスッ)…ははは」

二人のやり取りが面白くてつい拭いてしまった
目尻に涙が溜まりそれを拭った。
本当に面白い人だ…。こいう人だからこそ信頼関係が高まるんだなと改めて思った。


つい笑ってしまった彼女の顔を見てほとんどのものが唖然としていたり、見惚れていたりしていることなどその時の本人はまったくもって気づいていなかった。

これで兎に角しばらくの間は殺されずに済む。
新選組隊士として戦うことになるだろう…。

そしたら僕は刀で人を斬らなければならない。
人を殺してしまった僕は……仕方ないとはいえ、元の時代に
帰ることができるのだろうか？

其ればかりが心残りである。

その日の夜僕と千鶴姉は同じ部屋を当てが割られた。
千鶴姉に「隊士として生きることになった」と伝えると
安堵したのか僕に抱き着いてきた。

「うわっ！千鶴姉？」
千鶴「…大丈夫なの？雪奈ちゃんは仮にも女の子だし
私よりも年下なのに…刀を持って戦うなんて…」

彼女の身体が震えていたことに気が付いた。
恐らく自分のせいで巻き込んでしまったと怪我をしたらと心配しているのだろう…

でも彼女は戦う力が無い僕ならある。
だから、こんなところに彼女をを一人残していく方が余程嫌なんだ

「大丈夫だよ…僕そこらへんの不逞浪士よりは強いと思うし。
死なない程度に頑張るよ…」

と安心させるように微笑むと。
まだ納得しきれていないのか不安そうな顔をする千鶴姉がいた。

その日は色々あって疲れてしまったために休むことにした。