目を覚ますとそこは…独特の薬品の匂いと真っ白な天井だった
そして腕に繋がれている細い糸から管が繋がっていて
ぽたっぽたっと一つまた一つ雫が落ちていく。

ぼやける視界の中で状況を整理しようと体を起こす
ズキンと体が痛みが走る

「…っ！‥‥ここは、…どこ？‥‥病院…なの？」

ぼやける視界は段々とはっきりしていく
自分の身体を見ると腕に点滴が施されており、左肩には包帯が巻かれていて入院服らしきものを着ていた。

何故、怪我をしているんだろうか？
何故、自分は病院にいるのだろうか？

こうなった出来事を思い出そうと必死に頭を回転させる、
頭の中に浮かんだビジョンは…。

ーお前は私と一緒に来てもらおう‥‥

あのお方がお前を必要としている。

パァアアンという一つの銃声が鳴り響いた。

同時に赤く染まる左の肩と激しい痛み。
ぐらりと傾く身体は重力に従って落ちていく。

ドサッ

「…ぅ…ぁ！…っく」

アイリッシュ「安心しろ…殺しはしない、少々痛い目をみてもらうだけだ…逃げようなんて気を…おこさせないためにな…

下手に能力とやらを使って逃げられたら困るしな…」

そうだった、…このアイリッシュという男は僕の力のことを知っていた…。一体いつどこで！？
余計な思考と撃たれた痛みが逃げる判断を鈍らせる‥‥。

「…はぁ…っ、はぁ‥‥」

ドクドクと血が流れていくために倒れ撃たれた場所から血が広がっていく。

血が足りなくなってきたのか意識が無くなっていく…

ここで眠ってはだめだとわかっているのに‥‥
意識が遠のいていく‥‥


全てを思い出した‥‥

アイリッシュに捕まったんだ‥‥。
ということはここは彼のアジト？いや、それにしては怪我の治癒もされているし白い天井が見える。

病院なことは確かなようだが…ここは一体？

兎に角逃げることが先決だな…
コナン君たちに連絡を取って助けを呼ばないと…

でも病院服なためにポケットには携帯が入っていなかった
あたりを見渡してみるもある見込みはなさそうだ…
ベッドから降りて立ち上がろうとした時、激しい痛みが体中を襲う
ズキンという痛みが走る中歯を食いしばりながらスマホを探す

タンスの中を開けてみるが入っていなかった…
やはり、アイリッシュがもっているのだろうか…
これでは連絡が取れない。

次なる行動はここから出て、逃げるしか…。
様子を見て扉に近づくドアノブに手を伸ばそうとした時ガラリと開いた扉…入ってきたのは！

スーツを着た男が二人入ってきた

「……！目が覚めたんだね、よかった

気分はどうだ？」

男の一人が優しく声をかけてきた…。

「いぇ…あのここは…どこですか？

それに…あなたは誰ですか？」

少しずつ距離をとるように一歩ずつ後ろへ下がる

スーツの男「ここは「警察病院」です、ある人があなたが倒れているという通報を受けてここに運ばれたんですよ」

「…け、警察病院？！」

なんで？何で組織の人間が警察病院の中に入れるんだ？
あ、…そうか今は松本警視に化けているんだった

スーツ男「我々は警察の者です」

警察手帳を見せてきた…どうやら本物のようだ
名前は「柊 蒼汰」刑事だそうだ
※オリジナル捜査官です。(モブ刑事)

事情聴取をしたいといことでベッドに戻される。

柊「辛くなったら言ってください」

「…はぃ‥‥」

柊「では、貴方は診断の結果左肩と腹部に銃痕がありました

誰にやられたんですか？」

「あ、…あの！実は、僕松もと「…あぁ、目が覚めたんだな」…っ！！」

事情聴取の途中で入ってきたのは松本警視こと「アイリッシュ」だった

柊「ま、松本警視！！」

慌ててびしっと敬礼する柊刑事
当然のことのように「うむ」といいながらこちらに迫ってくる
逃げなきゃ…逃げなきゃ…

後ずさろうとするもベッドの上のために移動場所も限られている
すぐに距離を詰められて奴は僕のベッドのそばにある椅子に座った

松本「‥‥ご苦労、あとは私が直々に聴取しよう」
柊「え、ですが‥‥」

突然の申し出に困惑する柊刑事に有無を言わせない威圧感を乗せる
松本「君達は外で見張りを頼む

彼女を襲った犯人が侵入してくるかもしれないんでね」

犯人はお前だろう！？
いかないでという視線を柊刑事に向けるのも虚しくはいと言って外に出てしまった

「まって！」

松本警視が追いかけようとする僕を両肩を押さえるとベッドに押し戻される。

押し戻されるのと同時に目線をドアの方へ向けると閉められる音がした今はアイリッシュと二人きりという状態だった。

僕は彼を睨んだ

「‥‥っ！‥‥こんなところに連れてきて、何が目的なの？」

アイリッシュ「ふん、まだ俺にはやらなければならない任務があるからな…

お前を連れて帰るのはあの探偵坊主も一緒になってからだ」

探偵坊主‥‥っていうことは工藤新一だって彼らにバレたのか！？

「‥‥探偵坊主って…誰の事？」

アイリッシュ「とぼける必要はないぜ‥‥

先日お前らが通っている学校に忍び込んで指紋を合致させたからなぁ‥‥

そしたら出てきたんだよ…工藤新一だっていう証拠がな…」


「‥‥っ！」

アイリッシュ「俺はこれから会議にいかなきゃならない、

だが…逃げようなんて考えるなよ？

お前がここから逃げだせば…お前に関わったあの二人の警察官の命はねぇぜ‥‥

勿論俺の正体をばらしたとしてもだ…

誰もお前の話を信じない‥‥犯人に撃たれたショックで精神的に不安定だっていえばな…」

「っ！…な、‥‥卑怯よ！」

アイリッシュ「‥‥大人しくしてるんだな‥‥

そうすれば…早く連れて行ってやるからよ」

そういってアイリッシュは出て行ってしまった‥‥

僕は布団のシーツをぎゅっと握りしめた
僕が騒ぎ逃げだせば彼らが殺されてしまう‥‥。

もし、アイリッシュのことを言ったとしても…
誰も信じてくれない混乱している女の子で終わってしまう…

スマホも取られてしまったし‥‥一体どうすれば…