雪奈が倒れる前にアラジンが受け止める
アラジンが声をかけるが反応はない。

息をしているのを見てどうやら気を失っているようだ。
その間にも魔人のほうとも決着がついたようで魔人が消えアリババは帰ってきた。

アリババが抱えているのは変わり果てた
かつての友人の姿だった。

友人であったカシムは黒い金属器の器として
全ての力を使い果たしその身は黒く灰のように固まっていた。

アリババは友を抱きしめながら泣いていた。
そのアリババの気持ちを表すかのように不思議な雨が降り始めた…

気を失っている雪奈を抱きしめながらアリババを見て悲し気な表情をしながら

アラジン「お帰り…アリババ君…雪奈も」

暴れる魔人が消えて暴れていた人間たちも落ち着きを取り戻していた。

これで…すべてが終わったのだ‥‥


アラジンは雪奈をそっとその場に寝かせてアリババの方へと歩き始める。

アラジンはその時気づいていなかった。
再び雪奈の元に黒い魔の手が忍び寄るのを

戦いの一部始終を見ていた銀行屋イスナーンはジュダルを他のものへ預けた後すぐに誰にも気づかれぬよう黒いルフを放ち

誰もいない雪奈の周りを取り囲み
自分がいるもとへと呼び寄せた。

ピィイイイ

「‥‥ぅぅ」

あの黒いルフが再び彼女に語り掛けるので呻き声を上げた

だが魔力封じの鎖をつけたままの雪奈ではすでに抵抗する力が残されておらず
わずかな気力での抵抗しかできなかった。

銀行屋「まさか、がソロモンの知恵を獲得した四人目のマギか…ふふ、面白い

手に入れて見せよう

貴様も貴様が選んだ王の器も全て我らが闇に染め上げてくれる

そして…お前もすぐに我が父の元へくだるのだ…嬉しいだろう？」

「……ぅぅ、ぃや」

手足を黒いルフで封じられているためにわずかに動く口で抵抗の言葉を示す

しかし、イスナーンはそれを嘲笑う

イスナーン「くく、今の貴様の状態では抵抗など最早無意味…きょうのところは貴様を連れ帰ることとしよう。」

マスルール「残念だがそれは無理だ」

聞き終え覚えのある声が聞こえた
そしてイスナーンはいるはずのない誰かの声に姿を探すために振り返った瞬間眷属器の能力を纏わせたマスルールが軍神の一撃を見舞いした

マスルール「眷属器金剛鎧甲（バララーク・カウーザ）」

イスナーンはその衝撃で蹴鞠から落とされて空中に逆らうことなく落ちていく。
そしてそこに待ち受けていたのは
崖の上でジャーファルが眷属器を纏わせながら構えていた。


ジャーファル「眷属器双蛇鏢（バララーク・セイ）」

イスナーン「ぐわぁあ」

イスナーンが張っていたボルグは二人の眷属器使いによって破られてしまった。
さらに身体は海の方へと落ちていくしかしそこでさらに彼を待ち受けていたのは…
イスナーン「これは…まさか」

雷が鳴り響き下に待ち受ける気配のするほうをみて叫ぶ

イスナーン「‥‥何故だ…何故貴様のような男が存在している！？

七海の覇王シンドバッド！！」

シンドバッドはバアルの全身魔装をしていた。
シンドバット「雷光剣（バララークサイカ）」

大きな雷がイスナーンを曇天事消し去った
その力を使い終わると魔力が切れたのか身体がよろけマスルールがそれを支える。

ジャーファル「大丈夫ですか！？シン！！」
シンドバッド「あぁ何とか奴らの影は消し去ったよ…それより雪奈は」

ジャーファルが抱えている雪奈を視界に移すルフに囲まれていた時は苦しそうな表情をしていたが，今では穏やかな表情になっていたのをみて小さく安堵の溜息を

その光景を第三者たちが口をはさんだ
その三者とはシンドバッドの金属器を盗んだ盗人三兄弟だったからだ。

それをみてシンドバッドは苦笑いしジャーファルはこの男のどうしようのなさに恐ろしい剣幕をしながらうなっていた。

そんな時シンたちの背後にコロンと音を立てて落ちてきたのはマトリョシカのような小さな不気味な人形だった。

シンドバッド（‥‥浅かったか）






そのころ謎めいた暗黒の場所では

≪おや‥‥≫
≪これは‥‥≫
≪やられました≫
≪やられましたね≫
≪しかし、致し方あるまい≫
≪聖宮で匿われていた…マギがいてはね。≫
≪えぇ、それにこの時代に現れた「ソロモン王の鍵を持つ少女」も≫
≪そしてそのマギと王の器もあの第一級特異点と手を結びつつある。それにその例の少女もその男に取り込まれようとしている≫


一人一人にスポットライトが照らされていく頭を布で隠した魔導士のような謎の男たちが一円にかいて座っていた

そしてその中央に一つの光が照らされる
1つの光の中にいたのは先ほどアラジンたちにやられたジュダルが気を失って倒れていたのだ

男たちが悩んでいると後ろの列に並んで座っている女たちが声を出す

≪案ずることはないでしょう。
単なるソロモンのいつもの妨害でしょうから…≫

≪似たようなことは数世紀おきに何度かあったこと…≫

≪我々はただ、屈せずに立向えばよいのです≫

男たちは肯定の意を示した

≪そうですね≫
≪その通り≫
≪ソロモン王の鍵の持ち主はあと一歩で捕らえられたものを…思わぬところで邪魔が入ってしまったようだ≫

≪彼女は…まだ幼い。我々が手に入れるのは時間の問題でしょう…≫
≪それに我らの国の王候補‘紅炎’が彼女を気に入り魔力う藤の鎖を付けた。≫

女が答える
≪あらあら…横暴だこと…ですがこちらとしてはこの国にいてもらえば好都合というもの≫
≪また機会があればこちらも手をだすといたしましょう≫

≪彼女は我々にはなくてならない存在ですからね…≫

男たちが答える
≪そうですね…≫
≪その通り…彼女はこの世界を暗黒に作り上げるための鍵であることは確かなのですから≫

≪隙があればいつでも我らが…奪うと致しましょう≫


そして女たちが立ち上がり腕を組んだ

≪我々は未来永劫この世に暗黒を作り出すと致しましょう≫

そしてさらに後ろにいた男たちが声を同時にだす

≪≪我らが王が作られたし誠なる民の行交代

アル・サーメンの計画書（アジェンダ）のままに≫≫