気が付けば僕はたった一人真っ暗な空間の中に立っていた。
此処はどこ？
信玄様は？昌豊様、昌信様、信春様、昌影…そして結月さん
みんなどこにいるの？

景色は一変してとある見覚えの場所へと変わった。

≪ここは…僕の…生まれた「本物の世界」…？≫

ーおかあさん！おかあさん！

ーなぁに？雪奈

ーおかあさんねるまえに、また「あのお話をして」！

あの小さい女の子昔の僕によく似ている…。
その子と話しているのは…もしかして、僕の母親？

ーえぇいいわよ？
ーやったー！

無邪気に喜ぶ女の子の僕を見て頬ましく笑う母。
そしてベッドに入り僕は布団に潜りながらお母さんの話を聞いていた。

ー昔、昔…

それから水面の波紋のようにうっすらとその幻ビジョンが消えていってしまった

待って…僕はそんな場面しらないお母さんから聞いたおとぎ話って…なんだろう…？

また場面が変わり今度は，あの時の事故の場面だった
車に乗り家族で久しぶりに出かけて楽しい一日を過ごしていた僕たちは家に向かって帰る途中だった。

その日の帰り道生憎な天気となり空は曇天で
雷雲が近づきさらに暗くなり雷鳴がゴロゴロと音を立てて鳴り響く
土砂降りな雨が僕たちの車を強くたたきつける。

楽しかったのかはしゃぎすぎたのかこの時の僕は後部座席の運転席の後ろでチャイルドシートに座りながらも眠ってしまった

ーきゃあああ！！
ーうわぁああー

父さんたちの悲鳴が聞こえたのと同時に僕は身体に強い衝撃が来たことで目が覚めた…
辺りは真っ暗でいつの間にか外に頬りだされていた僕は雨に撃たれていた。

この時の僕は何があったのかわからないでいた。
どうして父さんとお母さんは動かないのか
どうして車の下にいるのか
どうして…起きないのか？

それらの疑問は今ならはっきりわかる。

両親は濡れた地面がすべりやすくなっており急ブレーキをかけようとした際にタイヤを滑らせて横転したんだということが…。

ーおか…ぁさん？…おとう…さん？

ザァアアアという雨の音がやけにうるさく響いて聞こえる。

ー‥‥ぅぅう
お父さんたちの呻き声が聞こえた。
ー…ゆ、…雪奈無事…なのか？

ーおとう…さん…早く出てきてよぉお家に帰ってお風呂入るんだよね？

震えた声が聞こえたのか意識が朦朧するであろう父はごめんなという悲し気な表情をした。

ーおかぁ…さん…よるになったらまた、あのおはなし聞かせてくれるんだよね？

震えた声が聞こえたのか意識が朦朧するであろう父はごめんなという悲し気な表情をした。

ーおかぁ…さん…よるになったらまた、あのおはなし聞かせてくれるんだよね？

お母さんもまた涙を流すのをこらえているように笑った。
そしてちょいちょいと手招きした父さんに駆け寄る小さな僕は
僅かな力で両親は僕を抱きしめて

ゆっくりと口を開いた
ー≪愛している≫

と…力尽きた両親の手が地面に滑り落ちた。
それと同時に近くで激しく雷鳴が鳴り響く。
ぴカァアア

ーうわぁあああーん！！

この時の記憶ははっきりと覚えていなかった
事故のショックからか記憶の一部が消えているであろうということは医者からも話したのを聞いていた。

また場面が変わりあの日の悲劇の光景が再び蘇った
暁と呼ばれる組織が木の葉の「うちは一族に負けを劣らない最強の一族」夜神一族に何やら交渉を持ち掛けたらしいが
夜神一族の長である僕の父「夜神 蒼汰(そうた)」はそれをよしとせず反抗を見せた。

それと同時にもう一方のほうで木の葉に奇襲をかけたのは暁の一人だった。

尾獣「九尾」と「零尾」を暴走させて木の葉を壊滅させようとしたがそれを命がけ止めたのはナルトの両親と僕の両親だった。

その真実を知ったのは木の葉に再び暁のボス「ペイン」が奇襲をかける前のことだった。

僕は命を懸けて守ってくれたものを護るために命を懸けて戦った
相手はかなりの強敵で苦戦していたところでナルトが現れて
形勢逆転の流れまで持ち込んだ

それなのに僕に攻撃が当たろうとした瞬間に謎の声に導かれて
この世界にやってきた
今思えば失ったものが大きすぎて考える暇もなかった

≪まっすぐ自分の言葉はまげぇね！それが俺の忍道だ！！≫

≪お前は俺の側近になるんだろう？だったら一緒に頑張ろうぜ！

俺はお前になら任せてもいいと思ったんだってばよ二ィ)

俺の親友だからな！！≫

≪これが終わったら…一楽のラーメン食べようぜみんなも誘ってさ≫

≪母ちゃんたちが言ってた…俺のこと「愛している」って

俺は…ちゃんと愛されていたんだなってわかったからうれしかったってだよ…お前は…どうだ？≫

≪僕も…嬉しかった記憶を失ってから両親の顔が思い出せなかったから…独りぼっちだって思ってたこと全部…笑っちゃうほどだったよ二ィ)≫

≪ならその思いを皆にもぶつけようぜ！！≫

ナルト…今頃何してるのかな？
あれからどうなったの？

火影に慣れたのかな？僕を探してるのかな？

ナルト火影の側近になるっていう夢……もしかしたら

かなえられないかもしれない

だって僕はそっちの世界では死んでいると思うから
ごめんなさい。でもナルトの夢は違う世界でも暖かく見守ってるから

どうか僕の代わりに…木の葉を守って…
火の意思をどうか…受け継いで下さい…

僕は長い長い夢からゆっくりと現実世界へと戻っていった。