雪奈side

城に帰った信玄たち一行はお互いに合流を果たした。
昌豊さんたちが帰ってきたところで僕が何故倒れたのかその状況を信春さんたちに洗いざらい吐かされて

取りあえず僕がいつも行っている「医療忍術」の欠点というのは
チャクラの消耗が激しいからと連日により体調管理を整えていなかったということにしておいた。

これが本当は相手の病や傷を自分へ移す「損者転成(そんしゃてんせい)だということは秘密にしておこう
これはオリジナルの忍術でトトの回復力があるからこそ
できる技なのだから。

今まではそんな大したことのない信玄様の症状だったために
僕は目の前で倒れるなんてへまなことはしない。
むしろ信玄様の病そのものを僕に写し取ることができないのは
僕の欠点というか修行不足っといったところだな。

偉そうに木の葉では最強の忍びなんて謳われていたけど
今の五代目火影「綱手様」に比べたら僕なんて大したことないんだけどね…。

僕は無茶をした罰として信玄様にしばらく任務禁止命令が下されて昌豊様からは「しばらく絶対安静」という厳しい禁止令がでた

そして元もと医療担当である昌信様からも「修行禁止」命令が出てしまった。

トトの力のおかげでもう身体の方は何ともないんだけど
皆今日のことが合ってからすごい過保護になったような気がする
まだあの術の本質までは気づかれていないためか疲労ということで納得してくれた…これがいつまで続くか。

それに今日あの子が言っていたあの言葉がやけに胸にチクッと痛みがきた。

結月≪でも信玄さんに助けていただいた恩もあります！
私なら助けられるってわかっているのに「助けない」なんてことできません！≫

あれは僕に向かって言っているような言葉にも思えた。
確かに僕にも行き場のないどこのだれかもわからないこんな忍びの僕を無償で助けてくれたのは信玄様だし。

僕だって、助けたいのに助けられないなんて嫌だ。

なのに、僕は今日の症状に耐え切れずに熱を出して倒れてしまった情けないにもほどがある。

僕は床に横になり天を仰いで右手を目元の上の方におき
自傷気味に笑って見せた。

忍びは己の弱き心打ち砕くべからず
忍びは感情を捨て任務を全うせよ

忍び会の掟だ。そんなのわかっている
だけど、今日の僕は何の役にも立たない只の「くず」になりさがってしまったことに悔しさを感じた。

どことなく結月さんを嫉んでいたのかもしれない。
何故同じ異世界人なのに僕には「血の力がない」んだろうって

忍びの医療忍術はあるけど、僕はまだまだ未熟ものだと
改めておもい知らされた
いつもなら忙しくてそんな気持ちになってたとしても振り返ることはしなかったけど

今日だけは…悔し涙を…流させてください


「……ぅ…っぅぅ」

腕で泣いている顔を隠す。
ごめんねナルト君こんな僕を見てたら

ー泣いている暇があったら修行しろ！

って言うかもしれないだろうね…
君は一度だって涙を見せたことが無い強い人だもんね
同時に弱い人だもんね…。

強くなるために今日だけは今までの想いを全て爆発させて
泣かさせてください。

今思い返せば波乱な人生を送っているんだと思う。
三次元結月さんがいたという世界で僕は誕生した。

そしてナルトの世界に転生トリップしたときは驚いた
とある「夜神一族」に生まれた僕は九尾と零尾の奇襲にあった

立向った四代目火影と僕の父親は
二人の娘と息子に尾獣を封印した。世間からは化け狐と化け狼と呼ばれて二人孤独に生きてきた。

人に認められたくて修行に明け暮れた毎日
そして僕らを狙う暁
暁が次々と人柱力を襲った
ナルトも僕も狙われた。ナルトが修行中に木の葉が襲撃されて僕も戦った

その時に姫神子様に呼ばれた声が聞こえてそれと同時に僕はその世界でまた「死んだ」と思う。

大切な仲間を残して。

もう誰も失いたくない。